TRPG総合研究室 LOG 066

TRPG総合研究室の2001年01月05日から2001年01月10日までのログです。


2001年01月10日:16時55分26秒
Re:思考実験:非情な行動について / myrt
私はキャラ作りが苦手で、ついつい地で考えてしまい...基本的に「あがいて 駄目だったらあきらめる」スタンスです。

 状況的に降伏が可能である場合については、身の代金を用いた帰還、捕虜交換 や救出作戦の是非についてまず考えます。見込みが大きければ全員、 怪我をした人物だけ、あるいは怪我をした人物とその介護者(??)の降伏とい う手段を考えます。

 次に隠蔽性と怪我の具合に ついて考えます。例えば、怪我人と介護者だけが起伏に隠れ、他の全員が ぞろぞろと逃げて行けば敵を誘導でき、さらには怪我人も助かるかもしれません。

 また少々分が悪くても、撃退できる可能性がある程度あればその算段を練ります。 特に「質問1:C」の場合には、怪我人にオトリやだまし討ちクラスまでやっても らいます。

 相手が異教徒やモンスターなどで降伏しても利がなく、さらに捕虜になる くらいなら味方の手で殺したほうがマシであり、しかも怪我人と介護者の 隠蔽性が確保できず、撃退の可能性が極めて低い場合について考えます。

質問1:
A.B.C.ともに怪我人を殺します。

質問2:
A.B.C.ともに、 GMとそのPLと残り予定時間を確認し、「殺してよさそうオーラ」が感じ られれば殺します。でなければ一縷の望みにかけて戦闘し、 さっさと全滅して反省会に移ります。B.の場合のみ、放置してもいいかも しれません。

質問3:
ここまで条件がそろったなら、諦めて放置してもらうことを主張します。適当に 戦って自決できれば恩の字でしょう。見学の時間が長くなると寂しいので、 ちょっと「時間稼ぎに役立つ」程度の見せ場が欲しいということで。

質問4:
A.敵の接近などによって時間制限をもうけます。怪我人がNPCならばPLに 任せますが、PCならば丸くおさまる可能性を複数示唆するようなイベント を起こします。

B.PC同士でなく、PL同士が険悪になりそうな状況であれば都合の良いイベント を起こしてその場を丸くおさめておきます。反省会で、GM情報も交えて議論 することを考えます。

C.出てしまった結果は仕方ないので(できれば)早めにセッションを終らせ、 反省会を長めにとって議論してもらいます。同様にGM情報も交えます。
2001年01月10日:16時50分25秒
[【用語】開放系/閉鎖系]Re:閉鎖系ゲーム内の開放系サブゲーム / myrt
 私の構想は判定系とはちょっと離れてまして。

> しかし、“詰め将棋”の部分も、より広い領域での将棋も同一のルール系に服し
>ているので、意思決定の判断手法も同質です。 ルール改変の類が生じるわけでも
>ありません。

 考慮するリソースを制限することにより、選択肢の幅が大幅に減少して 簡単化 されています。私の頭では将棋のすべての選択肢については考えられ ませんが、このサブゲームではすべての(有効に思える)選択肢を 把握して意思決定できるかも しれません。同じようにボードゲームでも、各局面における局地戦略を 立てる場合に短期的なサブゲームとして把握してみることもよくあると 思います。

 これが同様に、TRPGから戦闘シーンや、ひいては「姫君救出ゲーム」など のシナリオのゲーム的側面そのものを開放系サブゲームとして切り出すと きと同等ではないかと思いまして。
#元は現実世界からの「株式投資ゲーム」の切り出しを考えていたのですが。

 考えの発端は、「思いがけない位置から大駒による攻撃を受ける」こと とTRPGでの「思っても見なかった要素のために先が読めなくなる」 ことが感覚的に似ているような気がしたことです。 将棋のほうは「切り出さなくてもゲームとして把握できる」のですが、 どちらも大局の見誤りですし、切り出したあとはどちらも「切り出し方による 外部の影響がありうる」ゲームとして扱えるように思えます。

 外部からの影響を抽象化して将棋が語れるかどうかですが、 素人目には「穴熊による守備ゲームの守り手」は「外部からの影響」と いう抽象的なものに対しても 強固であるように感じられます。不完全情報ゲームではなおさらではないでしょうか。
2001年01月10日:14時59分28秒
Re:思考実験:非情な行動について / PALM-12
 どうも、アンケートに答えさせてもらいます。

>質問1
 自PCの性格付けによりますが、責任者ということで非情というか、小を殺して大を生かす的な決断を下す可能性は高いと思います。 実際には誰かがカヴァーに入ったところで、そいつに負傷者の責任を押し付けて、話を先に進めると思います。 場の雰囲気によりますが、ウィークポイントが多いほど話は盛り上がりますから(笑)

>質問2
 よほど性格がハッキリ出ているPCの時以外は、助けると言うPCがいれば見捨てるべきだと主張し、見捨てろというPCがいれば助けようと言うでしょう。
 パーティー内での意見の対立がハッキリしていれば、自分は参加せず人に任せて日和ることもあると思います。

>質問3
 これも同じく自PCの性格付けによりますが、基本的には見捨てることが有利である条件をあげつらい、以下に自PCが他のPCと仲が良かったかをアピール(自分のPCの話ではなく相手のPCの印象に残ったことを語ってみるとか)して遊ぶと思います(笑)

>質問4:あなたはGMです。あなたが望むか望まないかはわかりませんが、上記の状況 にPCたちは陥っています。
>A.PC(PL)たちは、長い時間迷っていて結論が出そうに内容に思えます。かといってそう長い時間をかけるわけにもいきません。GMであるあなたはどのような対応を取りますか?
>B.一部のPC(PL)が独断で行動しそうです。結果としては対立を生みそうな状況になると予想できます。GMであるあなたはどのような対応を取りますか?
>C.PC(PL)たちは(一部のPC(PL)の独走により)議論の結果は(強引にでも)出しましたが、雰囲気が険悪です。GMであるあなたはどのような対応をしますか?

 Aに関しては、何時までに決めてくれとはっきりと言います。
 Bについては、特に対応しません。
 Cについては、休憩を取り、お茶でも入れてガス抜きしながら「こーいう修羅場ってTRPGの醍醐味の一つですよね」とか言って、ゲームの中の話にしてしまいます。

 こんな感じでしょうか?
 ではでは
2001年01月09日:20時34分09秒
大訂正:[【用語】開放系/閉鎖系]Re:閉鎖系ゲーム内の開放系サブゲーム / 鍼原神無〔はりはら・かんな〕
>これに対して、TRPGでは、例えば、「プレイヤー-GM間のコミュニケーション」と、「PC-NPC間のコミュニケーション」とですら系が違うと言えます。前者で用いられるコミュニケーションで、後者に用いられないものはたくさんありますので。行為選択の手法にもそれぞれ性質が違うものが含まれます。
>通例、判定処理は、前者の系でしかおこなわれません。そして、その経緯や結果は後者にも影響を及ぼします。

下線付け部が訂正個所です。
#何やってんだ、アタシ。どうもすみません。
2001年01月09日:20時05分55秒
[【用語】開放系/閉鎖系]Re:閉鎖系ゲーム内の開放系サブゲーム / 鍼原神無〔はりはら・かんな〕
#「[【用語】開放系/閉鎖系]閉鎖系ゲーム内の開放系サブゲーム」 (当掲示板,Myrtさん記,2001年01月09日:11時45分59秒)、について
 Myrtさんの挙げられた事例「将棋内の詰め将棋」ですが。
 これは、「盤面上の一部領域のゲーム状況」に対して、盤面全体の状況を「環境」とみるのだと思われます。
 この「部分領域での“詰め将棋”」、サブゲームではあると思います。
 
 しかし、“詰め将棋”の部分も、より広い領域での将棋も同一のルール系に服しているので、意思決定の判断手法も同質です。
 ルール改変の類が生じるわけでもありません。
 
 Myrtさんが挙げた「思いがけない位置から大駒による攻撃を受ける」「王手から逃れる手が逆王手になっている」などは、完全情報ゲームであるにも関わらず、プレイヤーが大極状況を見損なった結果にすぎないでしょう。
 
 同質な系の間に区別をつける必要が無いならば「開放系」とみなすこともないでしょう。
 例えば、「開放系とみなす」ことで何か新しい事柄が説明できる、もしくは従来の知見も効率的に説明できるならば、みなしてもよいかもしれませんが。
 「部分領域での“詰め将棋”」の場合、特に理由が無いなら、同一の系(大きなゲーム状況下)の、同質な一局面と考えた方が素直と思われます。
  
 これに対して、TRPGでは、例えば「PC-NPC間のコミュニケーション」と、「プレイヤー-GM間のコミュニケーション」ですら系が違うと言えます。前者で用いられるコミュニケーションで、後者に用いられないものはたくさんありますので。行為選択の手法にもそれぞれ性質が違うものが含まれます。
 通例、判定処理は、前者の系でしかおこなわれません。そして、その経緯や結果は後者にも影響を及ぼします。
 この関係は、TRPGセッションに含まれる開放系の一例です。
#PC・NPCが、物語内でダイスゲームなどをプレイする場合などもあるでしょうが。普通それは、ルールに記されたダイスゲームを処理するわけではないでしょう。
2001年01月09日:20時02分27秒
Re:思考実験:非情な行動について / 鍼原神無〔はりはら・かんな〕
#「思考実験:非情な行動について」 (ベンジャミンさん記,当掲示板,2001年01月09日:17時29分21秒)、について
質問1〜質問3について:
 大筋、紙魚砂さんのお応え(「re:思考実験:非情な行動について」,当掲示板,2001年01月09日:18時24分28秒)とほとんど同じ考えです。
 
 自分のPCらしい言動を採らせると思います。そこには、PCが架空ワールドをどうみているか、とか、PCのセルフイメージはどんあであるか、とか、PCがセッションで展開している(と思われる)状況をどう観ているか、などなどが関わります。
 「PCらしい言動」と言っても、たんじゅんな性格設定・だけから、こうと言ったものを考えているわけではないです。
 
 ひとつ、特記するならば、「PCを含むパーティーは疲弊して必死に退却ポイントへ向けて逃げている」状況の場合。
 負傷したキャラに武器を渡し、身を隠すよう告げる。そのうえで、退却ポイントに撤退後できるだけ速く救出隊と共に戻ってくると約束する。
 うえのような発想をできるだけPCに取らせたくなるのは、アタシがプレイヤーをする場合の傾向です。(他の選択肢と比較して考えますが)
 殺すか/連れていくかの二択でどちらかを選ぶより、別の選択肢を考えてみるほうが面白いと思っていますので。
 
 しかし、うえに挙げた選択肢も、設問の「戦場」が近代戦に類似のそれだろう、とのイメージに基づいた想定にすぎません。
 例えば、ファンタジーもので、強大な帝国に掃討をかけられている、部族民の残存者たちがPCだった場合。「負傷したキャラに武器を渡しつつ『いざとなったら敵を一人でも倒して死ね』と励ます」かもしれません。
 負傷の程度によっては、「ヴァルハラで会おう」みたいなことを言って、キャラを殺すかもしれません。
 要するに、ワールドとシナリオによっても違います(と書くだけではあまりにそっけないと思い、細かい説明もしてみました)。
 
質問4について:
 やはりシナリオによって異なってきます。
 特にセッション時間残量と、以降予想されるセッション展開、想定されるイベントが考慮材料になります。
 
 こちらも、基本的には、紙魚砂さんのお応え同様、状況を伝えて、プレイヤーさんたちに判断してもらう、ではあるのですが。実時間と物語内時間をシンクロさせて、制限時間を設けることはアタシもすると思います。
 シナリオによって、選択の影響が多方面に渡る場合、考えられる影響はできるだけ暗示したいですね。
 NPCがいれば、NPCのセリフで暗示をします(伏線を張るような感じですね)。
2001年01月09日:18時24分28秒
re:思考実験:非情な行動について / 紙魚砂
>質問1:あなたはそのパーティーの責任者(リーダー、部隊長など)です。少なくともこのような状況を打開する必要が生じました。どうしますか?

 自分のPC次第です。自分のPCの思想に則って行動するだけです。
 とりあえず自分のPCの意見は言い、時間の許す限り話し合います。タイムリミットが来たら、その時点の自分のPCの考えに則って行動するだけです。

>質問2:実は負傷した仲間は他のPCでした。以下のようなPLのPCです。あなたはどうしますか?
>質問3:今度はあなたが戦闘で大怪我(自力で移動できない程度)を負ってしまいました。仲間はあなたの対応について迷って結論が出ない(置いて行く、連れて行く、殺す等)ようです。そこであなたはどのような対応を取りますか?

 同上。自分のPCの考え方次第。

>質問4:あなたはGMです。あなたが望むか望まないかはわかりませんが、上記の状況にPCたちは陥っています。

 基本的に状況を説明して見守るのみです。そこにNPCがいれば、NPCにNPC自身の意見を言わせます。
 で、制限時間を宣告し、
 制限時間内に行動すれば、そのように処理します。
 制限時間内に行動しなかったら、「敵に追いつかれた」という処理を行います。

#あくまで私の考え方ですが、思想というものは人それぞれ異なるという前提で考えていますので、どのような選択をしようがそれを受け入れるというのが私のスタンスです。それによって参加者が精神的ダメージを受けるのも一つの経験と考えますので、それに関するフォローはしません。
#というか、「…というのは正しい考え方/やり方だよね」という合意というものは、参加する人間が自発的に言い出さないと無意味、押しつけても無駄だと思いますので、「あくまでキャラクターとしての自分の意見は言う」「それに相手が合意してくれるかどうかについては関知しない」ということにしています。
2001年01月09日:17時29分21秒
思考実験:非情な行動について / ベンジャミン
取り敢えず、マスタリング研究室を読んでいて、以下のようなアンケートを考えてみました。どのような結果になるか、総括をだすのは長くかかるかもしれませんが、お答え下さい。

状況:舞台は戦場です。あなたのPCを含むパーティーは疲弊して(多少のダメージを負っている、武器が少ない)必死に退却ポイントへ向けて逃げています。そんな時にあなたの仲間(NPC)が戦闘で大怪我(自力で移動できない程度)を負っています。ゆっくり動かす(誰かが肩を貸して運ぶ)分には支障はないでしょう。ただし敵に追いつかれる(戦闘になる)可能性は大きくなると考えられます。そのまま留まっていても追いつかれるでしょう。

質問1:あなたはそのパーティーの責任者(リーダー、部隊長など)です。少なくともこのような状況を打開する必要が生じました。どうしますか?
A.そのNPCは、(目的があるから)PCを殺さないでくれと言っています。
B.そのNPCは、足手まといになるから殺してくれても構わないと言っています。
C.そのNPCは、生き残るためなら何でもすると公言していました(A.と同様の言葉を言っています)。

質問2:実は負傷した仲間は他のPCでした。以下のようなPLのPCです。あなたはどうしますか?
A.そのPC(のPLさん)は、(目的があるから)PCを殺さないでくれと言っています。
B.そのPC(のPLさん)は、足手まといになるから殺してくれても構わないと言っています。
C.そのPC(のPLさん)は、生き残るためなら何でもすると公言していました(反応的にはA.と同様の言葉を言っています)。

質問3:今度はあなたが戦闘で大怪我(自力で移動できない程度)を負ってしまいました。仲間はあなたの対応について迷って結論が出ない(置いて行く、連れて行く、殺す等)ようです。そこであなたはどのような対応を取りますか?

質問4:あなたはGMです。あなたが望むか望まないかはわかりませんが、上記の状況にPCたちは陥っています。
A.PC(PL)たちは、長い時間迷っていて結論が出そうに内容に思えます。かといってそう長い時間をかけるわけにもいきません。GMであるあなたはどのような対応を取りますか?
B.一部のPC(PL)が独断で行動しそうです。結果としては対立を生みそうな状況になると予想できます。GMであるあなたはどのような対応を取りますか?
C.PC(PL)たちは(一部のPC(PL)の独走により)議論の結果は(強引にでも)出しましたが、雰囲気が険悪です。GMであるあなたはどのような対応をしますか?

粗末なものですが自分を振り返ることはできるかと思います。失礼しました。
2001年01月09日:11時45分59秒
[【用語】開放系/閉鎖系]閉鎖系ゲーム内の開放系サブゲーム / myrt
 将棋は完全情報型ゲームですが、さらにその中で詰め将棋的なサブゲームが発生 することがあります。特に詰め将棋状態の場合、
・王手が続く限り、相手は王手から逃れる以外の選択肢は取れない(相手の王を その手で取ってしまう場合は例外??)
・詰め将棋的なサブゲームで「詰み」となれば、将棋においても「詰み」である
という特徴があるために閉鎖的でありやすいです。

 しかし、サブゲームとしてとらえる段階で領域設定に失敗すると
・思いがけない位置から大駒による攻撃を受ける
・王手から逃れる手が逆王手になっている
というような閉鎖系を崩す展開がありえます。このような場合、「実はこのサブ ゲームは開放系だったんだ」と捉えて良いのでしょうか。

 MTGの話でもありましたが、最近「そのゲームとはどこからどこまでを指 すのか??」が曖昧な話が多いような気がします。
2001年01月08日:18時02分02秒
[用語]Re:完全情報ゲーム / 鍼原神無〔はりはら・かんな〕
@CrescentaurさんWrote (「[用語]完全情報ゲーム」,当掲示板,2001年01月08日:12時45分34秒)
>鍼原神無さんと私では完全情報ゲームの解釈が違うように思いますが、いかがでしょうか。
 
>Crescentaurさんへ
 そうですね。解釈、違うかもしれませんね。
 
 アタシの先の投稿「[【TRPG論】開放系]近似としての『開放系/閉鎖系』」 (TRPG総合研究室 LOG 065,カンナ記,2001年01月05日:09時44分36秒)、の論旨は次のようなものです。
・デザインされたゲーム間の比較をする場合には、「開放系≠閉鎖系」とみなした方がよい。
・デザインされたゲーム間の比較をする場合には、同時に「閉鎖系=「完全情報型+完備情報型」とみなした方がよい。

 
 後は、「TRPGは開放系システムであり、遊びかたも開放系ゲームである」まー、この辺がアタシの投稿の論旨です。
 
 ですから、うえの論旨に差し障りないので、アタシは、「デザインされたゲーム間の比較をする」話題で、ご指摘の解釈の違い、もしあるのだとしても、今のところはあまり気になりません。
#もし、Crescentaurさんの方が議論に参加される上で、気になられるようでしたら、「『完備情報型ゲーム』⊃『完全情報型ゲーム』」は、一時取り下げても構いません。
 
 一応、アタシの方で、言わんとしたこと、書いておきます。
 
 「完備情報型ゲーム=ゲームのプレイヤーが互いに戦略集合と利得関数を知っているうえでプレイされるゲーム」とした場合。
 ポーカーの類では、相手プレイヤーがある局面では可能などんな戦略集合から特定の戦略をしたかはわからない(確率などから推定は可能)。(もちろん選択され実行された特定の戦略はわかる)
 しかし、チェスの類では、相手プレイヤーがある局面で、どのような戦略が可能か、の集合もわかる。そのうえで、選択された特定の戦略もわかる。
 
 与条件と言ったのは下線付け部の関係に注目してのことです。「ある局面で、プレイヤーが選択可能な戦略集合が他のプレイヤーに明示されているか、それとも確率論などで推論しなくてはならないか」の違いです。
 
 ですので、「『完備情報型ゲーム=ゲームのプレイヤーが互いに戦略集合と利得関数を知っているうえでプレイされるゲーム』と概念規定すると〔その場合は〕」、と述べました。
 
 「システムに許容される戦略集合の共有理解」は前提としたうえで、「ある局面で特定プレイヤーが選択可能な『戦略集合』が明示されるかどうか」の差違について注目したわけです。
2001年01月08日:17時58分28秒
[【用語】開放系/閉鎖系]補足:不完備情報ゲーム / 鍼原神無〔はりはら・かんな〕
>SHiNさんへ
 もしかしたら、先の投稿は、SHiNさんの投稿に対して、ちょっとピントはずれのこと書いたかもしれません。(ごめんなさい)
#[【用語】開放系/閉鎖系]不完備情報ゲーム (当掲示板,カンナ記,2001年01月08日:08時33分40秒)
 
 @SHiNさんWrote (「〔用語〕不完備情報ゲーム」,TRPG総合研究室 LOG 064,2000年12月31日:21時30分04秒)
 >私の言ってるのはこの状態の事です。この状態では、その、「一般的なゲーム論」では、どこに分類されるんでしょう? (ちなみに、ルール判定には、ルールを完全に理解しているコンピューターを用いるものとしましょう)
 
 ルール判定にコンピュータが使えるってことは、判定系ルールシステムは論理的に完結してるってことと思えます。(「ルール判定にコンピュータを使う」のですから、ゲームソフトのように、言語記号などが組み込まれてるわけではない、と判断します)
 
 ならば、「ポーカーのようなタイプのルールのトランプゲームで、電話帳一万冊にわたるルールを与えられるような」場合でも「完備情報型」システムになるはずです。
 
 ゲームプレイの方は「コンピュータに支援された完備情報型ゲームのプレイ」でよいのではないのでしょうか。
 プレイに即して、限られた時間でとっさの判断はできない・場合でも、ルールの意味は前もって把握しておくことはできます。
 
 えーと、思考実験ですので「プレイに時間制限がある/ない」って条件すら未定ですが。
 どちらにしても、プレイヤーは前もってルールの意味は前もって把握しておくことはできます。論理的に完結したルールであるはずですので解釈の余地もありません。
 ですから、システムもプレイも「完備情報型」であり得ます。
 
 これを、ルール系の意味を前もって把握せずにプレイしていったら、まったく「不・完備情報型」のゲームのようにプレイせざるを得ないでしょう。
 
 この場合、判定用に組まれたコンピュータソフトが、プレイヤーにとっては文字どおりブラックボックスのように機能すると思います。
 この場合のプレイは、アタシはある種、開放系ゲームのようにプレイされる、としても構わないと思います。
#ただし、プログラムの論理式がプレイヤーに推定されるに従って、プレイは「完備情報型(閉鎖系)」のそれに近づいていきます。
2001年01月08日:12時45分34秒
[用語]完全情報ゲーム / Crescentaur
鍼原神無さんの書込([【TRPG論】開放系]近似としての「開放系/閉鎖系」,TRPG総合研究室 LOG 065,2001年01月05日:09時44分36秒)
> 実は、「完備情報型ゲーム=ゲームのプレイヤーが互いに戦略集合と利得関数を知っているうえでプレイされるゲーム」と概念規定すると、「完全情報型ゲームとは特殊な余条件のついた完備情報型ゲーム」(「『完備情報型ゲーム』⊃『完全情報型ゲーム』」)とならざるを得ないことは、確認しておいた方がよいでしょう。
 
 完備情報型ゲームの概念規定には概ね同意できても、その後の「完全情報型ゲームとは特殊な余条件のついた完備情報型ゲーム」には同意できません。
 匿名希・望さんの「#「完全情報」はゲーム内の全ての事象が明らかなもの」との説明で、「事象」は、各プレイヤーの選択した行動やその結果と解釈していました。これは、私がゲーム理論で知る
「どのプレイヤーも、自分を含めて全てのプレイヤーのその局面になるまでの行動の選択結果を知った上で、各自の手番の行動の選択ができるゲーム」
という完全情報ゲームの定義に合うからでした。
 そこで、私の解釈では完全情報ゲームと完備情報ゲームは異なる事柄に関して述べているので、「完全情報型ゲームとは特殊な余条件のついた完備情報型ゲーム」とはなりません。
 鍼原神無さんと私では完全情報ゲームの解釈が違うように思いますが、いかがでしょうか。
2001年01月08日:12時40分20秒
〔用語〕Re:不完備情報ゲーム / Crescentaur
SHiNさんの書込(〔用語〕 不完備情報ゲーム,TRPG総合研究室 LOG 064,2000年12月31日:21時30分04秒)
> ポーカーのような簡単なルールのトランプゲームも、電話帳一万冊にわたるルールを与えられるような複雑なルールのトランプゲームでも、種別としては同じ「完備情報ゲーム」ですよね?

> でも、もし、その電話帳一万冊分のルールを、プレイヤーの全てが完全には理解していないとすれば?(実際、理解できるわけはありませんよね?)

> 私の言ってるのはこの状態の事です。この状態では、その、「一般的なゲーム論」では、どこに分類されるんでしょう? (ちなみに、ルール判定には、ルールを完全に理解しているコンピューターを用いるものとしましょう)
 
 ポーカーが完備情報ゲームであるというのは、ゲームに参加するプレイヤーはあらかじめルールを知っているものとするからです。実際のプレイの場では、完備情報ゲームとなっていない場合もあるでしょう。
 
 「電話帳一万冊にわたるルールを与えられるような複雑なルールのトランプゲーム」は、ゲームに参加するプレイヤーはあらかじめルールを知っているものとできるなら、完備情報ゲームであると言えるかもしれません。ゲームに参加するプレイヤーはこのゲームのルールを理解できていると仮定するわけですが。
 その場合、実際のプレイではプレイヤーがゲームのルールを理解することができない訳ですが、その状況を議論・分析するときに、とりあえず完備情報ゲームとして考えてみるか、実状に合わせて不完備情報ゲームとして扱って考えてみるかを決めれば良いことだと思います。
2001年01月08日:08時33分40秒
[【用語】開放系/閉鎖系]不完備情報ゲーム / 鍼原神無〔はりはら・かんな〕
 「電話帳一万冊にわたるルールを与えられるような複雑なルールのトランプゲーム」についてコメントを差し挟みます。
 
@SHiNさんWrote (「〔用語〕不完備情報ゲーム」,TRPG総合研究室 LOG 064,2000年12月31日:21時30分04秒)
>ポーカーのような簡単なルールのトランプゲームも、電話帳一万冊にわたるルールを与えられるような複雑なルールのトランプゲームでも、種別としては同じ「完備情報ゲーム」ですよね?
>でも、もし、その電話帳一万冊分のルールを、プレイヤーの全てが完全には理解していないとすれば?(実際、理解できるわけはありませんよね?)
>私の言ってるのはこの状態の事です。この状態では、その、「一般的なゲーム論」では、どこに分類されるんでしょう? (ちなみに、ルール判定には、ルールを完全に理解しているコンピューターを用いるものとしましょう)
 
 「電話帳一万冊にわたるルールを与えられるような複雑なルールのトランプゲーム」
 あくまで思考実験ですが。
 仮に、システムのタイプとして「完備情報型・システム」として構築された場合・でも、「ルールブックが電話帳一万冊にわたる」場合、実際に「完備情報型・ゲーム」としてプレイできる人間は、すごく少ない。事実上、いないに等しいってことでしょう。
 
 その場合、ゲームの「プレイ」は、事実上開放系であるかのようにプレイされざるを得ないでしょうね。もしくは、なんらかのマシンに補助されてプレイされるかです。実際、リアルなシミュレーション・ゲームでの意思決定には、そうゆうのもあるはずですし。
 
 ここで、注意されるべきことは「トランプカード」を使った「パラフリ」のようなTRPGのルールブックが、仮に「電話帳一万冊にわたる」ことがあったとしても、架空世界での架空の冒険を扱うTRPGとして水準的なできで作製されていたら、それはもともと開放系システムとしてデザインされている・はず、ってことです。
 
>で、前提として、人為的に構築されたシステムをしようしたものを「ゲーム」と呼ぶといったのは、人為的に構築される以上、人間が理解不可能な状況はありえないだろうという考え方のもとです。つまり、この「一万冊のルールブック」を使用するようなケースを、TRPG論を語る上で回避したかったわけです。
 
 開放系/閉鎖系とルールブックの厚さが絡む論旨は、アタシなりに想像できるものはあります。
 けれど、TRPGについて論じる場合は、回避しない方がよいように思えます。
 
 例えば、ガープスの特徴ルールをすべて暗記していないでプレイしてる、プレイヤーってよくいると思います。アタシもそうですし(苦笑)。
 えーと、もちろんガープスの特徴ルールは「人間が理解不可能」ではありません。
 アタシも暗記はしていないけれど、うろ覚えで必要に応じてルールブックみながらプレイしてはいるんですけど。(だからまー、ルールはみんな知れると言えば知れます)
 
 読めば理解できる、けど、暗記しててプレイ中NPCがでてきたときの描写から、「あー、Xの特徴を持ってる可能性が20%に、Yの特徴を持ってる可能性が25%で、Zの特徴も持ってる可能性は15%で云々」で「Xの特徴を戦術aでつくとこれこれのメリット、戦術bでつくとこれこれのメリット、戦術cでつくと……、そして、Yの特徴を戦術a-2でつくと……、b-2でつくと……」従って、「この場合Zの特徴を持ってると仮定して戦術d-3を選択するのが最適」(笑)とかって、閉鎖系みたいな、「きちんとした意思決定」してる・わけない(笑)ですよね。
 
 まずNPCのトータルCPは、普通オープンにされませんし。(だから各々の特徴を持ってる可能性なんて整理できない)
 意思決定に類似のことをやってる場合でも、まずは「蓋然性を糸口にして絞り込んであたりをつける」か、後(よい悪いは別にして)「刑事コロンボ式に、アタリを直観しておいてから、手掛かりを集めてゆくか」だと思います(他にもあるかもしれません)。
 
 それから、疑似閉鎖系ゲームを左右しがちな「弱点」などについては、これは特に、意思決定に類する行為がなされること多いですよね。
 特に「妖魔夜行」なんかだと、NPCの「弱点」を探る為のいろいろな試行錯誤とかはあると思います。これもきちんとした意思決定であっても、蓋然性先行式であっても、刑事コロンボ式であっても、PCからの働きかけとNPCからのリアクションが適確にコミュケートされれば、もんだいはないです。その辺がTRPG特有の「曖昧な“ゲーム”性」であるわけです。
#通例、疑似閉鎖系である戦闘シーンは、もっときちんとした意思決定がおこなわれる「部分」なわけです。
 
 TRPGは完備情報型システムではなく、開放系のシステムであり、TRPGセッションで遊ばれるのも閉鎖系のゲームではなく開放系のゲームです。
 
 TRPGは閉鎖系ゲームではないので、プレイヤーは、ルールブックを全てを完全に把握できていない状態・でも、プレイはできます。
 ルールを全部を暗記していなくてもだいじょうぶ(もちろんできるだけ把握していた方がプレイヤー本人にとって好ましいのですが)
 
 ただし、「システムのコンセプト」(この場合はいわゆるコアルールも含めましょう)は、セッション前に把握している必要があるわけです。
 
 この辺は、前Myrtさんとアタシが話し合っていた「セッションを重ねるに連れ、システムについての理解度・了解度をあげていく」関連の話題になります。
 
 「システムのコンセプト」+「コア・ルール」を把握している状態からプレイがはじめられれば、プレイヤーはゲーム展開にも、基本的にはひとつのセッションを通じて、コミュニケーションを通じた、類推と推測とで対応していけるはずです(水準的な出来栄えのシステムでは、と留保しておきましょう)。
 
 同時に、GMは「システムのコンセプト」からはずれるおそれのある「ルール改変(総称)」に関しては、セッション前に告知する必要が生じることになります。
2001年01月08日:08時30分02秒
[【用語】開放系/閉鎖系] Re:開放系ゲーム、閉鎖系ゲーム / 鍼原神無〔はりはら・かんな〕

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@SHiNさんWrote (「[用語定義]開放系ゲーム、閉鎖系ゲーム」,当掲示板,2001年01月07日:05時06分00秒)
>>アキトくんの紹介した「開放系/閉鎖系」の用語は、数学、社会科学、自然科学など、多くの分野で既に幅広く使われている用語です。
>で、それをゲーム論にもってくるときに、ミスが生じた可能性はありませんか?
 
 まず、アキトくんがふたつの記事で整理した内容に関して、アタシはTRPGについて、妥当だと思っています。定義もだけど、用法もです。
「開放系ルールとしての RPG──あるいは RPG は将棋ではないという話」
「付け足しなんかつまらない!──続・RPG は将棋ではないという話」(半完成)
 
 ただし、一般性の高い整理である「閉鎖系とは極・特殊な開放系である」は、特殊事例である「デザインされたゲームジャンル間を比較するには不適当」(一般性が高すぎる)と思われます。
 ですのでアタシは、この件については、「デザインされたゲームジャンル間を比較する・場合には」「開放系≠閉鎖系」とみなす方が妥当、との意見を公開しました。
#[【TRPG論】開放系]近似としての「開放系/閉鎖系」 (TRPG総合研究室 LOG 065カンナ記,2001年01月05日:09時44分36秒)
 
 手前味噌かもしれませんけど、SHiNさんの「開放系/閉鎖系」の解釈も「これこれの場合には、これこれの解釈をしたほうが適当」って限定を、まとめてほしいです。そのようにされた方が説得力増すはずと思われます。
 
 
 なんてゆーかな、SHiNさんの論は、性急に「一般解」を求めすぎているような気配を感じています。
 「気配」と言うのは、アタシには細部によく理解できない点が多いので、判断しきれず困っているから言うのですが。
 
 それから、私見では「効率」も性急に求められすぎているように思います。
 特殊理論でしたら「効率」の追求も仕方ない面もあると思います。
 けど、一般理論を考えるなら、まずは、細かく考えて、徐々に整理してゆく方が確実だし安全であるように思いますが。いかがでしょうか。
 でないと「馬場講座」みたいに偏頗な論に固まっちゃう危険が大きいと思います。

>私が指摘した、閉鎖系ゲームであっても、そのルール系はプレイヤーの意思決定などの影響を受けるため、開放系システムであるって話、間違ってます?
 
 これについては、「間違っている」って言うより、一般的なゲーム理論(ベーシックなゲーム理論)の整理方法や説明と微妙にズレてるとこが、基本用語に関わるとこであるんです。そのため混乱する読者がいると思います。アタシだけではないと思うんですね。
 
 アタシが言ってるのは「正しい/間違っている」ではなく、SHiNさんが独自の解釈を提示するなら、1「どこが他の解釈(一般的な解釈も含めて)と違うか」、2「なぜ、そうした独自な解釈をした方がよいと思われるのか」、3「独自な解釈が妥当に適用できる範囲はどこまでと条件付けられるか」を整理して明示してほしいってことです。
 
 それに、なにより「開放系」「閉鎖系」って定義の一貫性が、SHiNさんの論の中で崩れてる(ように読める)のはまずいでしょう。
 それは「システム」と「ゲーム」の表現上のもんだいなのかもしれませんけど。だとしたら、「システムとゲーム」の関係性、SHiNさんなりの説明を、もっとする必要が生じてると思います。
 
 SHiNさんは多分、独自に考えられて、一般的なゲーム理論の整理とは、少し違った説明方法に取り組んでると思います。(それは、正直言ってすごいってアタシは思っていますが)
 
 えーと、一般的なゲーム理論では、「デザインされた閉鎖系ゲーム」について、「プレイヤーは利得関数(つまりはルール)と戦略集合(つまりはルールに許容される戦術)」をすべて知っている(または戦略集合に関しては知ることができる)と前提されます。
 そのため「デザインされた閉鎖系ゲーム」に関しては、「プレイヤーは常に、閉鎖系状況のうえで、予め定められた目的達成に向っての、一番合理的な戦略(≒最適解)を追求するもの」と前提されるんです。
 
 「予め定められた目的達成に向っての、一番合理的な戦略(≒最適解)を追求する」ことが、「デザインされた閉鎖系ゲーム」に関しての、「意思決定(ベーシックな意思決定)」とされます。
 TRPGでは、およそ妥当ではありません。
#「馬場講座」で「意志決定と意思決定とは違う」とされているのもこの辺のことに関わってくるのですが。どこがどう違うか、不充分な説明しかなされていませんが。「馬場講座」が実践論(マスタリング論)のひとつにすぎないのだとしたら、まぁ、仕方ない面もあるでしょう。
 
 で、SHiNさんの「閉鎖系ゲームであっても、そのルール系はプレイヤーの意思決定などの影響を受けるため、開放系システムである」の場合、「閉鎖系システムでプレイした場合と、開放系システムでプレイした場合の意志決定」、性質が違ってくるはずと思われます。
 けれど、その辺については、まだ考察されていないですよね(?)。結果として論に飛躍が生じているように思えます。
#例えば、なんですけど「閉鎖系システムでゲームがプレイされる場合でも、戦略策定は、プレイヤー間の駆け引きなどの影響も受けるため、実際には開放系ゲームのようにプレイされる・こともある」だと、アタシなんかには言わんとされること分かり易いです。
 
 一般的なゲーム理論(ベーシックなゲーム理論)では、「デザインされた閉鎖系ゲーム」については、「システム」も「ゲーム」もあまり区別されていなはずです。
 特にルール系がシンプルな閉鎖系ほど区別する必要が減ります。
 
 「デザインされた閉鎖系ゲーム」についての範囲では、「プレイヤーは常に、閉鎖系状況のうえで、予め定められた目的達成に向っての、一番合理的な戦略(≒最適解)を追求する」と考えられるからです。シンプルなシステムほど区別する意味がなくなります。
 
 もちろん、これは理論上の話で、現実のプレイの実態とはかけ離れることがあります。 例えチェスのような極・特殊なゲームでも、実際にはプレイヤーの習熟度みたいな要素は絡むわけですし。実際には、「指し手によるコミュニケーション」を通じての駆け引きのような要素はよくある、と思われるからです。
 
 で、注)一般的なゲーム理論の方では、「開放系」云々にいく前に「メタゲーム」みたいな考え方が導入されているはずだと思います。
 
 この辺のことをSHiNさんは、「システムとゲーム」(ゲームプレイ?)の区別で説明しようとしてるんだと思うんですけど。
 これは「一般的なゲームの理論」での説明とは違う整理に取り組んでいる型になってます。
 だからと言って、今のところは間違ってるとか正しいとか言えるところではない、とアタシには思えます。正直言うと、私見では、見通し、結構厳しいのではないかな、とも思えますが。
 
 ただ、SHiNさんは独自なアプローチで説明を試みているので、だとしたら例えば、「システムのタイプごとに性質が違う意思決定について」とか、「システムのタイプごとに関わり方が違ってくる、システムとゲームとプレイヤー」についてとかとか、そうゆうことについても、説明が必要になっていると思うわけです。
 
 注)一般的なゲーム理論の方では、開放系云々にいく前に「メタゲーム」みたいな考え方が導入されているはず
 うえは、「デザインされた閉鎖系ゲーム」中心に整理してみた、偏った説明です。
 多分、ゲーム理論で「メタゲーム」の考え方が必要となった主な理由は、「囚人のジレンマ」タイプについてのベーシック理論の説明が、あまりに偏った結論にしかならないからだと思うんですけど(私見)。
 
 「一般的なゲーム理論」は、もともと「交渉」とか「戦争」とか、一般的なゲームでの合理的な意志決定方法を整理してくための理論です。
 そのため「一般的なゲーム理論」では、まず、「デザインされたゲーム」が、ある種「特殊なゲーム」として分析されます。ちょっと、ややこしい説明になってますけど(困笑)。
 「特殊な事例(デザインされたゲームなど)」の分析から「一般的な事例(現実的な「交渉」とかで)」の分析へと、段階的に進んでくのはよくあることですよね。

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2001年01月07日:15時09分31秒
[用語定義] Re:開放系ゲーム、閉鎖系ゲーム / myrt
(Re:2001年01月07日:05時06分00秒〔用語 定義〕開放系ゲーム、閉鎖系ゲーム / SHiNさん)

> 私が指摘した、閉鎖系ゲームであっても、そのルール系はプレイヤーの意思決定などの影響を受
>けるため、開放系システムであるって話、間違ってます?
 
 少なくともその話は間違っていると思います。例えば五目並べは必勝手について研究されて発見され ているらしいですが、その研究過程において外部の要素の影響は全く関係ないでしょう。プレイヤー の状態などの外部要素が影響を与えるのはゲームに対してではなく、各プレイに対してではない でしょうか。
2001年01月07日:15時08分36秒
[【TRPG論】ゲーム性]RE:理不尽な状況はゲームでもありがち / myrt
(Re:2001年01月07日:05時23分22秒 [【TRPG論】ゲーム性]RE:理不尽 な状況はゲームでもありがち / SHiNさん)

> だからこそ、私も「疑似体験」をベースに分析しましょうってな提案も行
>ったりしたわけですが。
 
> ただ、それはあくまで「分析」のための話で、「現状認知」にすぎません。
> 私としては、その先の話がしたいんですよ。そのための現状分析ですから。

 「疑似体験」だけに絞った理論的なTRPG論の構築は、TRPG理論そのものに 直結するそれだけで魅力あるテーマであり、現状認知だけに止まらない 深い議論ができると思います。鍼原神無さんやアキトさんはTRPG理論そのもの について語ろうとされているために、その部分に触れた場合についてコメント されているように感じられます。

 ところが、その理論的な話と「その先」の話が、そして「疑似体験」と「ゲーム」 の側面が議論上で混在しているために話が錯綜しているのではないでしょうか。 また理論面での議論が十分でなく、(少なくとも相互認識において)不安定な基礎理論 の上に応用例が語られているために混乱の度が増しているように感じられます。

 ここから下は「ゲーム面から見たTRPG」に絞った話です。

> だとしたら、いったい「ゲームの成立」って何? 「適切なゲームデザイン」
>って何なのでしょう?

 SHiNさんは、ゲームは「リスクに対して正しくリターンがあるべきだ」と考えておられる ように見えます。それはゲームを面白くするためのデザインにおけるTipsの一つにすぎませ ん。ランダム要素を含むゲームは大抵(必ずかな??)ギャンブル要素を含みますし、注意深 く(??)デザインされたゲームさえT&Tのソロシナリオシリーズのように理不尽な一発死があり得ます。

> ゲームがきちんと成立していて、ゲームデザインも適切であるとGMが主張し
>た場合、どんな抗議の仕方があるでしょうか?って事です。
 
 プレイが終了した段階では、GM補助の立場としてのPLはGMと同格です。プレイスタイルに個人差が あるように、ゲームデザインのスタイルにも個人差があるだけの話でしょう。 デッドリーなバランス(??)を誇るベアダンジョンを絶賛する人は、ソードワールドのシナリオ集内 のシナリオを「緊張感に欠ける」と切って捨てるかもしれません。

 相手のGMが「適切だ」と信じているものに対しては、「私はこうしたほうが適切だったと思う」以上の コメントはできないでしょう(喧嘩したいなら別だが)。自分が自分のスタイルが適切だと思っている くらい、相手は相手のスタイルを適切だと考えているのですから。

> 私の意見では、この(myrt注:情報不足による判断の誤りによって死亡した)盗賊プレイヤーは、十分
>な意思決定の材料を得ないまま行動していたのだから、これはゲーム(挑戦)として成立していない。
>よって、自己責任を取らされる筋合いはない。って事なんですけどね。

 いくらなんでもそれはわがままがすぎないでしょうか。(十分な意志決定の材料を得な いで)たまたました判断の結果が良かったり、悪い 選択を行ったがダイス目だけで切り抜けたりする場合を認める ならば、その逆も認めるべきでしょう。それこそ、「PLがGMの温情やシナリオの筋を当てにして、 PCの枠を超えて意志決定をする」温床だと思います。
#そういうプレイスタイルもお互いわかってやってるなら良いとは思うが。

 また、PLの見込むリスク-リターン関係があくまでも見込みであることにも注意すべきだと思います。 例えばPCが作戦を実行する前にどれだけ貴重なリソース「時間」を消費して事前調査するかなどは、 見込みが正しい保証がないからそのようなジレンマを楽しむことができるのではないでし ょうか。「強さの不明な敵と戦ったら殺された。理不尽だ」というのは「強さが不明」という 既知の情報をあまりにも軽んじているように思えます(未知の知の軽視)。
#もっと理不尽な例はドッペルゲンガー系の敵の例として上げ済み。

 アメリカ横断ウルトラクイズじゃないですが、「PLのPCとしての意志決定」「PCの能力、および 扱えるリソース」「時の運」がうまくかみ合ったときにゲームとしてのTRPGには勝利できると思い ます。逆に言えば、うまくかみ合わなかったときには敗北するからこそ、うまくかみ合ったときの価値 や達成感が保証されるのだと思います。私は、ドラゴンクエスト3(有名CRPG、死亡したときのペナルティ が低い)をクリアしたことはそんなに誇りにしていませんが、jnethack(そこそこ理不尽死があり、死んだら 最初からやりなおしのCRPG)を1回クリアしたことがあることはそこそこ誇りにしています。
#スポイラー見たし、何千回と挑戦したが。
#ドラゴンクエスト3が面白くなかったと主張しているわけではない。
#もちろんTRPG「ドラゴンクエスト」のことでもない...私は存在しか知らない。
2001年01月07日:05時23分22秒
[【TRPG論】ゲーム性]RE:理不尽な状況はゲームでもありがち / SHiN
 
(myrtさん)
 >疑似体験のような話ですが、「PLがゲームをしているような気分になるような、PCにとってのゲームが成立するか」に収束するのではないでしょうか。だって、「TRPGはゲームではない」のですから。
 
 そうですね。
 だからこそ、私も「疑似体験」をベースに分析しましょうってな提案も行ったりしたわけですが。
 
 ただ、それはあくまで「分析」のための話で、「現状認知」にすぎません。
 私としては、その先の話がしたいんですよ。そのための現状分析ですから。
 (と、いうか、myrtさんとはゲーム中デザインなどの話を通じて、その先に既に進んでいたと思うのですが……)
 
 それに、例えば世の中には、TRPGをマルチシチュエーションのシミュレーションゲームとして楽しみたい人もいますからね。(私もその一人ですし)
 そういう人達の多くは、今も「擬似閉鎖系ゲーム」を通じて、「そういうゲームをしているような気分」になって、TRPGを楽しんでるんだと思います。
 が、たまに、それらが破綻したり、逆にそれらを守るため、別の部分を犠牲にしたりしてらっしゃるでしょう?
 私の話に出てくる、開放系における閉鎖系の構築云々は、そういう部分をカバーするためのものです。
 言い換えれば、ゲーム性を高めるためのゲーム中デザインの手法の一つということです。
 それに、疑似体験に絞ってもmyrtさん自身、以前指摘されてたように、「ゲーム要素」が疑似体験の価値を高めるって話もありますから。
 
(myrtさん)
>世の中には屋外のランダムエンカウントで「ドラゴンがブレス一吹き、キャンプは全滅」するようなシステムがあり、roguelike ゲーム(CRPG)を見ればこのような状況でもゲームは成立することがわかります。
 
 ふむ。
 じゃあ、TRPGにおいて、盗賊が調査のために単独侵入を行った場合、中に敵がいて、結局発見されて、捕らえられそうになったとする。で、戦おうとしたら、相手が意外に強くて(人間の敵の場合、見た目だけじゃ、その強さははっきりしませんよね?)殺されてしまった。
 これでも、「その盗賊のプレイヤーにとって」ゲームは成立するって思います?
   
 (myrtさん)
 >同意しません。PLはPCでなく、GM補助の立場から「このゲームのデザインは適切でない(あるいは気に入らない)」と抗議すべきでしょう。
 
 もちろん、抗議するでしょう。上の盗賊のプレイヤーだって。
 でもGMはこう言ったとしたら?
 「しっかりした情報を集めないうちに、単独潜入なんて無謀な事をしたからだ。酒場なんかでちゃんと情報を集めてからであれば、こんなことにならなかったはずだ。それに戦わずに素直に捕らえられておけば、殺されるとこまではいかなかっただろう」
 
 ゲームがきちんと成立していて、ゲームデザインも適切であるとGMが主張した場合、どんな抗議の仕方があるでしょうか?って事です。
 
 それとも、この場合、GMの言い分の方が正しいってのがmyrtさんの見解なのでしょうか?
 だとしたら、いったい「ゲームの成立」って何? 「適切なゲームデザイン」って何なのでしょう?
 
 私の意見では、この盗賊プレイヤーは、十分な意思決定の材料を得ないまま行動していたのだから、これはゲーム(挑戦)として成立していない。よって、自己責任を取らされる筋合いはない。って事なんですけどね。
 
 これに似たような例として、戦士が未知の敵に対し、自分の役割を果すため仲間の盾になったら一撃で殺された。結局、その他の仲間は降伏したら、この場面では降伏するのがシナリオに沿った行動であり、本編は脱出シナリオだった、なんて例もありますね。
 「未知の敵に戦いを挑むなんて無謀なことをするからだ。」という、非常にごもっともな意見をおっしゃるGMに対し、PLは抗議できないのか?って事なんです。
 
 (myrtさん)
 >PCの立場から文句をつけることは許されないでしょう。
 
 誤解があるようですが、私の言ってるのは、PCとしての立場ではなく、『PL』としての立場で抗議することの話です。
2001年01月07日:05時06分00秒
〔用語定義〕開放系ゲーム、閉鎖系ゲーム / SHiN
(鍼原神無さん)
>アキトくんの紹介した「開放系/閉鎖系」の用語は、数学、社会科学、自然科学など、多くの分野で既に幅広く使われている用語です。
 
 で、それをゲーム論にもってくるときに、ミスが生じた可能性はありませんか?
 
 私が指摘した、閉鎖系ゲームであっても、そのルール系はプレイヤーの意思決定などの影響を受けるため、開放系システムであるって話、間違ってます?
 
 私は、開放系、開放系といっても、ずっと「開放系システム」ではなく、「開放系ゲーム」という意味で使ってたんですが。ここらへんも、行き違いの原因になってないでしょうか。(あえて疑問を提示されるまで、私は、さほど気にしてなかったんでもしかしたらごっちゃに使ってる部分があるかもしれませんけれど)
 
 
2001年01月06日:04時59分53秒
TRPG総合研究室 LOG 065 / sf

 TRPG総合研究室 LOG 065として2001年01月01日から2001年01月05日までのログを切り出しました。


2001年01月05日:23時17分25秒
【開放系ゲーム】閉鎖系ゲームとストーリー/物語(長文) / 鍼原神無〔はりはら・かんな〕

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>SHiNさんへ
 えーと、アタシは「開放系/閉鎖系@SHiNさん」の用法には異議を唱えているのですが。
 
 この投稿では、「開放系/閉鎖系@SHiNさん」をできるだけ踏まえながら、SHiNさんの「【開放系ゲーム】 開放系ゲームにおいて挑戦的要素を成立させる条件 〜外部環境のブラックボックス化〜」にコメントします。
#けど、正直言うと、いろいろやりづらい面が多すぎるので、「できるだけ」です。
#特に「閉鎖系」ゲームについては、「開放系/閉鎖系@SHiNさん」を導入しながらアタシが論じてゆくと、すぐに論旨が破綻してしまいます。
 
 「【開放系ゲーム】 開放系ゲームにおいて挑戦的要素を成立させる条件 〜外部環境のブラックボックス化〜」 (SHiNさん記,当掲示板,2001年01月05日:02時21分52秒)、では、SHiNさんに、アタシの方の前提を意識していただけたので、アタシにはずっと分かり易かったです。
 けれども疑問は残っています(ってゆーか、アタシにとっては、ずっと感じていた違和感の正体が明確化されて来た感じです)。
 
◆論点(?)1
>例え、鍼原さんの提示された「シナリオを妥当性のある解釈で」という手法を用いたとしても、全てのゲーム展開をシナリオで記述できるわけは無いですしね。それに、結局、解釈に幅が出来るのだから、Purpleさんの「リソースを出来る限り用意すべし」という意見に比べ、適用範囲は広くなるけど妥当性の面で反比例しちゃいますからね。
 
 おそらく、この変に議論の焦点が潜んでいるようです。アタシにはそう思えます。
 
 Myrtさんの提言は、「TRPGをより・ゲーム的に(単なる疑似閉鎖系の曖昧な“ゲーム”性以上にゲーム的に)楽しむ」ためのものです。アタシとMyrtさんの議論では、そのような合意が成立し、公表されてもいます。
 アタシも上記の範疇で、Myrtさんの提言、妥当と思っています。
 
 一方、アタシは、だいたいにおいては、「TRPGでの多彩な物語展開を楽しんでいく(そして疑似閉鎖系の曖昧な“ゲーム”性を温存し活用する)」って観点から発言してきているつもりです。
 いろいろなアタシの方の都合で不明瞭でしたが。おそらくこの件はMyrtさんには(他の方にも何人かの方には)、了解してもらえているものと、期待しています。
 
 ところで、SHiNさんは、「一般的に妥当性が高い方法」として論を展開していますよね。そこでアタシにはいろいろな疑問が生じているわけです。
 
 前も書きましたが、SHiNさんの論がMyrtさんの論同様、「TRPGをより・ゲーム的に(単なる疑似閉鎖系の曖昧な“ゲーム”性以上にゲーム的に)楽しむ」ための考えならば、アタシにはほとんど異論はないと思います。(いろいろ用語や表現上の疑問は残ると思いますが、それらは比較的重要性は低いです)
 
 ずっと判断を迷っていたんですけど。
 やっぱり、SHiNさんの論では結局、TRPGでの多彩な物語展開が制限されざるを得ない、と思われます
 SHiNさんそうは思ってないかもしれないんですけど、表現を読む限りそう判断されます。
 
 アタシは多彩な物語展開を楽しむことはTRPG本来の楽しみの一部、と考えています。ですから「SHiNさんの提示する方法が一般性が高い」とゆうことは納得し難いです。 SHiNさんの意図がどうであれ、SHiNさんが提示してる方法論ではセッションは、単一なストーリーに強力に収束されてゆくはずと思われます。
 
 関連して、「『閉鎖系ゲーム@カンナ』を構築する」こと、とは、アタシにはTRPGらしくないセッティングをすることと同意になります。
 ここで、「閉鎖系ゲーム@SHiNさん」の詳細な内容がわかりません。
 
 関連議論で「閉鎖系=『完備情報型+完全情報型』」って定義をSHiNさんは受け入れていますよね。
 完全情報型とは、将棋やチェスのようなゲームである。
 完備情報型とは、ポーカーやトランプゲームのようなゲームである。
 うえの定義にもSHiNさんは同意を表明しています。
 
 そうすると「TRPGにおいて『閉鎖系ゲーム@SHiNさん』を構築する」とは、「TRPGを将棋やチェス、ポーカーやトランプゲームのように遊べるようにすることだ」と判断されます。
 これはアタシは「TRPGらしくない」遊びかたと判断します。生起するストーリーも単一なもののはずです。
 
 アタシのうえの判断、SHiNさんの本意でないかもしれません。
 アタシとしては、まず、この辺のことを分かり易く整理して説明してほしいと思います。
 
◆論点(?)2
 それから「シナリオに沿って公正に処理を行うとか、信頼やコミュニケーションに頼った方法は、非常に脆くあやうい部分があるという事は、既に、示したつもりです」とのことですが。
 
 この件については、アタシSHiNさんのご指摘、ある程度わかります。
 が、「脆さ」を補強する要素で、SHiNさんが検討されていないものがいろいろあるように思えます。その点については疑問を感じています。
 
 もし、SHiNさんの論が、何かの限定された方向性についての方法論なのでしたら、こんなに強く問いただすことでもないかな、とも思います。
 けれど「より・一般性のある方法論」と主張されているので、疑問を差し挟まざるを得ません。
 
>簡単に言ってしまうと、「事前に必要なゲームリソースが揃えられてしまうようなゲーム」は、TRPGらしく無い場合が多いからです。
 
 例えば、ここでアタシの意図が、きちんと伝わったうえで評価されているのかどうなのか、迷います。
 
 アタシにしてみれば、TRPGのリソースは多義的ですから、文字どおり「事前に必要なゲームリソースが揃えられてしまう」ようなことにはならない、と考えられます。
 
 セッション中デザインのときに、SHiNさんが挙げていた「短剣を魔法的通信機に使う」ような事例が一例です。それからアタシが前挙げた「机のバリケード」なんか、はじめは多義的で曖昧なイメージが、セッションを通じて絞り込まれていくわけです。
 
 シナリオに用意されたリソースも、プレイヤーの解釈が妥当である限り、シナリオの基本プロットに想定された以外の活用がなされます。これはアタシは充分TRPGらしいもの、と考えています。
 ところで「閉鎖系ゲーム@カンナ」では、こうした、リソースの多義性に基づいた活用も不可能にならざるを得ません。この辺のことをSHiNさんはどう思っているのでしょうか?
 
>それに、今回の論考で分析したように、「開放系ゲーム」においては、ゲームバランスの変更(つまり、ゲームリソースの変更)や、あらたなゲーム要素の付加というのが、無原則に生じるわけで。とても事前に用意できるわけが無いからです。
 
 ここは違うと思います。
 いつも繰り返すことですが、TRPGでは「あらたなゲーム要素の付加」は、無原則に生じるわけではありません。
 ワールド設定の範囲内で生じるのですから無原則ではありません。
  
 TRPGのリソースは、論理的には定義しきれない(無定義ではなく多義的)だけです。プレイヤーにせよ、GMにせよ、予測も成り立ちます。
 
 SHiNさんとアタシの意見の相違のルーツは、多分この、「TRPGのワールドリソースが多義的と思うか無定義と思うか」の辺にあるようです。
 アタシは無定義だったらそもそもゲームもセッションも成り立たないはず、って思うんですけど。←これ、単なる表現のもんだいで済ませてよいこととは思えません。
 
 で、その辺も含めて、どっちの観点が妥当か、とか、どちらがどんな方向に適しているかとか、そうしたことが検討できると嬉しいと思います。
 
◆論点(?)3 
 特に、SHiNさんが「【開放系ゲーム】 開放系ゲームにおいて挑戦的要素を成立させる条件 〜外部環境のブラックボックス化〜」で言われている、「ブラックボックス」ですが、これ、曖昧でわかりづらい概念だし誤解し易い用語だと思います。
 
 「リアルなマネーゲーム」の外部環境(リアルなワールド)と、「架空世界@SHiN」さん、これ、性質違うはずなんですけど、どちらも「ブラックボックス」と一括されてるので、論旨に飛躍が生じてしまているように思われます。

>この「現実世界」という外部環境は、ブラックボックスとして扱う他ありません。その仕組みを完全に記述することが出来ないからです
 
 このように断定してしまうと、結局は「リアルなマネーゲーム」はギャンブルとしてしかプレイできなくなるはずです。
 
 「リアルなマネーゲーム」を「ゲーム」としてプレイするために、人はその能力に応じた様々な「市場メカニズム」を「現実世界」から読み取ろうとします。ここが「ブラックボックス」って比ゆとそぐわないところです。
 つまり、「リアルなマネーゲーム」は「外部環境解釈(読み取り)の妥当性を競うゲーム」って側面も持ってるわけです。これが、開放的ゲームならではの挑戦的要素の在り方です。
 開放系ゲームであるTRPGには、固定されたシステムの予想範囲内でしか遊べない閉鎖系ゲームとは違う性質の挑戦があるわけです。
 そして、開放系ゲームの定義から導き出される特徴のひとつ
でもあるんです。
 
 この辺は、「リアルなマネーゲーム」のプレイとTRPGセッションでのプレイとが少しだけ似ている一面です。
>しかし、「仮想世界」は、PLに対しても『開かれて』います。ここが、シナリオを外部環境として使用する場合との決定的な差異です。
>「仮想世界」がPLに対して開かれる事で、GMにとっても「仮想世界」は、完全なる「外部環境」であり「ブラックボックス」となるのです。
 
 まず、シナリオは、「疑似閉鎖系ゲーム@カンナ」や「判定システム」の外部環境であっても、セッションの外部環境であるわけではないです。
 
 「仮想世界@SHiNさん」も、「疑似閉鎖系ゲーム@カンナ」や「判定システム」にとっては外部環境ですが、GMにとってもプレイヤーにとっても、いわゆる「ブラックボックス」ではありません。解釈されるべきリソースで構成された構造態です。
 
 「仮想世界@SHiNさん」の解釈には、より上位の環境である「仮想ワールド(システムに含まれるワールド設定)」が参照されます。ここまではセッションの外部環境では・ない、でしょう。
 「仮想ワールド」の解釈で異論が並立したりして、意味決定不能状態になったとき、はじめて、セッションの外部環境である「言語環境」とか「現実」とかが参照されるはずです。
 
 シナリオがセッションの初期において、プレイヤーにとっては一見、ブラックボックスであるかに感じられる。それはわかります。
 
 でもシナリオがブラックボックスであかに感じられるのはセッション初期におけるみかけのことにすぎないでしょ? だんだんブラックボックス性が暫減してくものではないのですか?
 最後の最後にどんでん返しみたいなことをして、プレイヤーさんの裏をかくのが好きなGMさんがいるとか、そーゆーことでしょうか? そーゆーのは、なんてゆーか、内には偏ってるGMさんがいるってだけのお話ではないでしょうか??
 
◆論点(?)4
>よって、TRPGにおいては、GMが常にプレイヤーの行動に関してリスクとリターンが生じるように、それらを恣意的に処理し続けることが出来れば、TRPGは、常に挑戦的要素を持ち続けうるという事になるといえます。
 
 この関連でアタシに同意可能なのは、「TRPGセッションでは、常に挑戦的要素を持ち続ける必要はない」ってとこまでです。
  
 「TRPGセッションでは挑戦的要素は常時必要なわけではない」が、SHiNさんの言いたかったことなんでしょ。(←これでよいのですよね?)
 これと「TRPGでは挑戦的要素は不要」とでは意味が違います。アタシは文脈からも「TRPGセッションでは挑戦的要素は常時必要なわけではない」と解せませんでした。
 SHiNさん、表現が曖昧だったと思います。
 
 一方、アタシが言ってきているのは、「TRPGセッションでは挑戦的要素は常時必要なわけではない」が、しかし、「GMも、プレイヤーもセッション全体の構成上メインになる挑戦的要素(例えば戦闘シーンとか、クライマックスとか)に、より多くの行為選択を関連付けてゆくことが望ましく、期待されるし、期待して構わない」。
 それでないとTRPGセッションがおもしろくなるとは思えない、ってことです。
 「意思決定×α」もその表現です。
 
 これと「TRPGセッションでは挑戦的要素は常時必要なわけではない」は両立します。しかし「TRPGでは挑戦的要素は不要」とは両立しません。
 
 SHiNさん、個々のシーンで成り立つ疑似体験と、TRPGセッションを通じて成立する疑似体験とを区別しないで論じてるから、読む方混乱します。文脈でもどっちの意味だか決定不能でどちらでも採れる表現多いと思います。
 
 そして「GMの処理は主観的でしかあり得ないが、勝手気侭であってはいけない」はず、と言うのもアタシが繰り返して来ている主張ですが。その判断基準はシステム(ワールドも含めた広義のシステム)にあるとも主張してきています。
 
 もし、「ワールドも含めた広義のシステムの解釈」を判断基準にすることまで含めて、アタシの考え方が「脆くて危うい」と言われているのだとしたら。アタシには、TRPGとはそうゆうものなので、シナリオ作製・マスタリング・プレイングを通じて、より・妥当なシステム(広義のシステム)解釈を求めていくしかないない・はず。としか言いようがありません。
 
 例えば、シナリオのラフプロットを決めてから、プレイヤーがどんな行為選択をし得るか、いろいろ思考実験しながら必要性の高いリソースを整理してゆくこと、シナリオ作製上多くの方がやってられると思うのですが。要するにこれなど「より・妥当なシステム(広義のシステム)解釈を求めていき、対応力を高めてゆく」作業なわけです。
 
 極、あたりまえのことでしょう。
 
 ここも、アタシがSHiNさんの論に強く疑問を持っている個所のひとつです。
 
 SHiNさんは「実際に生じているトラブル」についてを論拠として挙げてられますが。
 アタシがNET上でいろいろ見聞きしている範囲では、関連のトラブル、「ワールド解釈の相違」を認めない姿勢がある場合(これはGMサイドである場合も、プレイヤーサイドである場合もあります)に生じている、とアタシには思えます。
 
 アタシとしては、それも、これも、実際は、開放系システムに則った遊びであるTRPGの方法論が、ずっと閉鎖系ゲームのアナロジー・ばかりで・考えてこられているからだ、と考えています。
 
 アタシも「TRPGは将棋ではない(ゲームの性質が違う)」と思っているわけです。
 もともとゲームの性質が違うものを、わざわざ「閉鎖系@カンナ」に限定する遊びかたは、特殊な遊び方であって、一般性のある遊び方とは、思えません。

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