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「部屋にはいくつかの棺桶が配置されていた。部屋に入ると3つの棺の蓋が開き、中から赤い目をした人影が体を起こすのが見える」
というわけで、シナリオ中盤の山であるヴァンパイア・スポーン1体とグール2体。
≫[MM:p30,p46]
悪名高きレベルドレインを持っているものの、パーティはすでに3レベルに到達しているため、脅威ではあっても致命的とまではいかない(はず)。そしてパーティの前衛はグールの麻痺毒に完全耐性を持つエルフ戦士と僧侶なので、他のパーティに比べればかなり有利。
ハウスルールとして、クリーチャに関する情報を技能で振るように設定したので、これに従ってダイスを振ってもらいます。
[Rule] クリーチャの判別
この結果、名称や脅威度はもちろん、レベルドレインと麻痺毒といった代表的能力までは僧侶が聞き及んでいたと判明。
ローグPL :「弓で攻撃。アンデッドは〔急所攻撃〕が効かないのが嫌だ」
ウィザードPL:「まず戦士の剣に〔魔法の武器〕。以降は〔魔法の矢〕」
クレリックPL:「じゃ、いつのもようにファイターと二人で前線を構築かな」
ファイターPL:「ドアの手前が5フィート幅だから、ここで迎撃するんだね」
そろそろルールと面子に慣れてきたのか、連携もスムーズになってきました。そしてDM以上にD&D経験が無いファイターPLが位置取りを自分で考えられるようになってきてるのを見て、DMの目頭はちょっと熱くなります。
DM :「(でも、いつも同じ作戦が上手くいくとは限らんのだがね)」
プレイヤたちの作戦は、5フィートしか幅の無いところで敵を食い止めることで、敵の攻撃は少なく、味方の攻撃は多い状況を作ろうというもの。相手が同じ作戦をとって持久戦になっても、ウィザードがワンドで〔魔法の矢〕を撃ち込んでいればやがては勝てるはずだからという、消極的ながら実に有効な戦術です。ワンドを購入して以降、パーティの基本戦術といっても過言ではありません。
が、かつてこの作戦が破綻したことが一度だけありました。そう、宝箱の間(e)でガーゴイルが前衛を飛び越えてウィザードに迫ったときです。
初心者DMのキャンペーン顛末記(第7回)
今回の敵であるヴァンパイア・スポーンは、〔クモ渡り〕がかかっているかのように壁や天井を歩くことができるという特殊能力を持っており、ウィザードを強襲することが可能なのです。
≫[MM:p30][PHB:p218]
ガーゴイル戦は敵が1体のみだったため、飛び越された前衛が戻ってきて攻撃をしさえすれば良かったのですが、今回はそうもいきません。ヴァンパイア・スポーンに攻撃しようと前線を崩せばグールの侵攻を止めることができなくなってしまうのです。
どうだどうだ、この完璧な作戦はっ!!!
と意気込んではみたものの。
気がつけば前衛二人の(潤沢な資金で防備を固めた)アーマークラスは、グールなんぞの攻撃がおいそれとあたるようなヤワなものではなくなっていたのでした。おまけに最大の武器である麻痺毒が前衛に効かないのだからどうしようもありません。あとは1/400で発生するクリティカルを神に祈るばかりの状況です。
グールが脅威でないと決まれば、後は懐に飛び込んできたヴァンパイア・スポーンさえ倒せばよい……というわけで、集中砲火を受けて死者はみるまに灰にされてしまったのでした。
ヴァンパイア・スポーンが倒れた後は、グールをのんびりと掃討。多少のダメージなら治癒のワンドで回復することを考えると、いたって気軽です。
# あっさりした戦闘でプレイヤたちもさぞや不満だろう、と思っていたのですけど。後で聞いたら「うっかり当たればレベル下がるかも」という緊張感は相当に堪えていたらしい。そんなもんなんですね。
「その鋼鉄製のものものしい扉には『邪教の輩は立ち去れ』といった類の警句が書かれている」
戦闘と回復と財宝略奪(ヴァンパイア・スポーンはアンデッドにしては珍しく財宝を持っている)を終えたパーティは、祭壇へと続く扉を前にして何やら相談をはじめました。
ファイターPL:「いよいよクライマックスかな」
クレリックPL:「ここは見なかったことにして、町に一端帰還しない?」
ローグPL :「この部屋に居たのが吸血鬼の"落とし子"だったしなぁ」
ウィザードPL:「1レベルパーティのダンジョンにドラゴン出すDMだしねー」
補給に戻ることを算段しはじめます。「善なるパーティがそれで良いのか。目の前にいる悪を看過するのか」と煽りはしたものの、奥の部屋にヴァンパイアがいるのではないかと大いに警戒しています。
# ま、実際に配置してたわけですが。一挙に2レベルほどドレインする奴が。
駄目押しはクレリックが準備していた〔アンデッドの感知〕という呪文。これで検出されたオーラが「強力(HD5-10)」というのを聞いて、プレイヤたちは撤退を決心します。
≫[PHB:p228]
赤竜退治というお題目
ファイターPL:「あ、ドラゴンを先に退治しようと考えたんだよ!」
ローグPL :「それだっ!! 危険な竜退治で疲弊してやむなく撤退を」
ウィザードPL:「でも、雛とはいえレッドドラゴンだよ。大丈夫かな?」
クレリックPL:「2レベル呪文でブレス対策はできるから、たぶん平気」
勝てる見込みが出たらすかさず倒す……冒険者の鑑とはこういう輩のことを言うんだろうな。なんだかレッドドラゴンに同情したくなってきたよ。
(つづく)
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