初心者DMのキャンペーン顛末記(第7回)

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初心者DMのキャンペーン顛末記(第7回)


キャンペーン第二回、スタート

 そんなこんなで第二回。前回の冒険でPCが2レベルに成長したため、プレイヤたちも少しばかり気楽になってるようです。たしかに1レベルから2レベルへ成長するとHPが一気に倍増するわけで、多少は安心感も出てくるんでしょう。

 ……実際には危険なことは何ら変わってないわけですが。

二階層目に突入

「君たちが『扉』を開けると、ダンジョンの奥から空気がこちらへと流れてくる。それと同時に、君たちは寒気を感じた……というわけで、以後ワンダリングが発生するので、よろしく」

 そう、前回は面倒なのでワンダリング・モンスターは出さなかったのです。それが今度からはきちんと出る(かもしれない)と聞くや、プレイヤたちの顔にみるみる緊張の色が見えてくるわけですよ。やー、剣呑剣呑。

再録:ダンジョンの全体図

階段を潜り抜け、広間(b)に出る

「階段を降りて通路を抜けると、そこには30フィート四方の大きさの広間があった。床には半径15フィート弱の円形にラインが刻み込まれている。また、真向かいの壁には頑丈そうで両開きの鋼鉄扉が嵌め込まれている。この扉には取っ手や鍵穴などは見当たらない」


 いきなりの行き止まりにいぶかしむよりも先に、床の円陣が何か魔法の罠なんじゃないかと怯える一行。特にクレリックのプレイヤは「〔印形/Symbol〕という床に刻み込む呪文があった」とおぼろげに記憶していたために異常なまでの警戒を示します。

# DMがいくら初心者だからって、高位呪文を2レベルPCに出したりしないぞ。

 しばらくして、さすがに平静をとりもどした一行は、扉を開閉するための仕掛けがあるはずだと周囲を見回します。このパーティ、ローグ以外もドワーフだったりエルフだったりするので〈捜索〉は得意だったりするんで、ほどなく以下の情報を手に入れました。

「壁の高さ5フィートほどの所に、『対なす顎』のレリーフがある。そしてよく見るとその『口』から奥へと続く細い細い通路があることがわかる」


 続けて、中型の二足歩行クリーチャでは匍匐前進でなければ移動できない通路であると説明。匍匐前進ではあまりに行動が制限されると考えると、いまのパーティではハーフリングのローグかウィザードの使い魔(カエル)ぐらいしか選択肢はありません。

# 同行していた「動物の仲間」はなにせ知力2なので除外。

 結局、マスタの目論見通り、ローグが単独行動で通路に入っていくことになりました。

スイッチ部屋(c)と魔狼


「そこには台座に載せられた水晶球と共通語で『汝が善なる者であれば左に、邪なる者であれば右に回すべし』と書かれたプレートが設置されていた」

 通路の奥のスイッチ部屋(c)に入ると、ローグはひとしきり罠などを調べてから頭を悩ませはじめます。ここでDMは他のプレイヤたちが助言することを禁止。こころゆくまで悩んでもらうことにしました。

 結局、彼はスイッチをある方向に回し、扉を開けることには成功します。しかし、それと同時に罠が発動して、魔狼(フィーンディッシュハイエナ)が広間に2匹、ローグの背後に1匹召喚。即座に戦闘が開始されます。

 広間の方は主力が固まってるので、魔狼が2匹といってもさしたる脅威ではありません。しかしローグは一人で魔狼と戦って勝利するのは厳しい。
 ただ、DMはプレイヤフレンドリなので、魔狼の初期配置は脱出経路を塞ぐ形にはしませんでした。ちょっと機会攻撃を受けることを厭わなければ、すぐに仲間と合流できる余地は残して悩んでもらいます。

# 万が一、機会攻撃を受けて引き倒されるとかなり厳しいですけど。

 結局ローグはDMのダイス運を信じて(失礼な話です)、即時脱出を決定。そして機会攻撃も外れてしまったので戦闘は盛り上がることもなくPC側の勝利に終わります。とはいえ、魔狼たちは召喚クリーチャだったので財宝や経験点を出しませんからDMは痛くも痒くもありません。

宝箱の間(e)

「明かりを向けると、その部屋の中央にはチェスト(長持,宝箱)が置かれているのが目に映った。そして箱の左右には翼を持った悪鬼の石像が2体、箱を見張るように向かい合わせで鎮座している」


 部屋(d)は「扉が閉まっているから後回しにしよう」と言って、通路を進んで宝箱の間(e)に到着した一行。DMの描写を聞くなりガーゴイル説を提唱するものの「このマスタなら毒ガスを封入したガーゴイル像の可能性もある」と遠距離から攻撃するのは差し控え……しかし、なんだか酷い言われようだなぁ。

 〈視認〉判定でも見抜くことができなかったので、結局はアーマークラスの高いファイターが接近して正体を暴いて、殴り倒す方針を採択する。

 でも、せっかくキャンペーン初の飛行能力を持ったクリーチャーだったしいつも同じ展開では緊張感がなくてよろしくない。というわけで、前衛を飛び越えてウィザードのすぐ傍まで移動して攻撃しようと考えるDM。たしかDMGに飛行のルールがあったはず……なんだけど、探すのがちょっと面倒だな。
 そこでPLの皆に「飛行に関するルールがDMGにあるはずだが、探すのが面倒なので今回は〈軽業〉のようにPCが占めるマスを通過できるという処理にしようと思う。ただし判定を行わない以上、PC側の機会攻撃は可能とする」と提案して了承を得る。

≫[MM:p44][DMG:p69][PHB:p63]

 で、なんとかウィザードに接敵したガーゴイルは手痛い一撃を加えたものの、その後はいつものように囲まれて敗退。彼の個人資産と宝箱のランダムトレジャーはPCたちに奪われてしまいます。大半が莫大な数の銅貨だったので、少しだけ心が軽くなりましたが。

次は本命、深溝の部屋(f)

「その部屋の真中にはおよそ3フィートほどの深い溝が刻まれている。溝の深さは10フィート以上あり、もし落下すればタダではすまないだろう」


 そしていよいよ今回の本命「見える溝+魔法で隠された溝+機械式罠」の三段構えからなる罠です。なにも考えずに飛び越そうとすれば大ダメージ。幻影の床を見破っても、普通に飛び越そうとしたら魔法に反応しない落とし穴が待ち構えてるというこの巧妙な仕掛けはどうだっ!!

 クレリックPL:「この溝、幻影かなんかで幅を偽ってないかな?」
 DM     :「(なななな、なぜそれをっ!!)」
 ウィザードPL:「それじゃ〔魔法の感知/Detect Magic〕を使いましょう」
 DM     :「くっ……溝の向こう2フィート分の床に魔力反応がある」
 ローグPL  :「やはりか……すると、幅跳びの着地点には落とし穴か?」
 DM     :「(ななんなな、なにぃーっ)」
 クレリックPL:「廊下から助走して降りるトコロが怪しいですね」
 DM     :「(無言)」

 ……というわけで、なぜか罠を見抜かれてる。挙句の果ては「〈跳躍〉での幅跳びは危険があるから、広間(b)の鋼鉄扉を剥がして簡易の橋にしよう。そうすれば落とし穴があるか落ち着いて調べられる」などと言い出す始末。

≫[PHB:p229,p70]

 そんなことされたらせっかく考えた罠が空振りになってしまうじゃないか。そんな暴挙を看過できない……とはさすがに言えないんで、せめてもの抵抗と「煩いし時間もかかるから、ランダムエンカウンターを振るぞ」と脅してみる。
 しかし方針は変わらず、結局は「部屋(d)を捜索して安全を確保したら、扉を剥がして橋にする」ということに相成りました……おかしい、こんな予定じゃなかったんだけどなぁ。

さいごに

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月刊TRPG.NET 2005年05月号

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