PBB (Play By BBS) という遊び方

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PBB (Play By BBS) という遊び方



オンセ暦約4年の森須です。主に前回の記事でも書いたPBBサイトでプレイしています。どこのサイトかは……とりあえず内緒にしておきます。(今のところは)結構クローズドになってしまっているので。

はじめに

 去年の10月号で、とあるPBBサイトに関する記事を書いた(僕とPlay by BBS(PBB))。それから1年、気がつけばGMをひとつ・PL(プレイヤー)をふたつやるくらいまで復活していた。そのサイト自体も移転し、cgiを改良していたため、以前より遊びやすくなっていた。オフ会にも参加し、懐かしい顔と新しい顔に会ってきた。結局のところ、僕はやっぱりこのサイトが好きだったんだと思う。

PBBの利点

 さて、今回はPBBに関することを記事としてまとめてみようと思う。

 PBBの利点として、まずは時間的制約がほとんどないことが挙げられる。3つのフィールド(冒険の舞台となるBBS)を回っても、1日に30分しかかからない。しかも、GMの書き込み→PLの書き込み→GMの書き込みの1サイクルは2〜3日であるため、毎日書く必要はない。PLで参加するだけ、しかもひとつのキャラしか扱わなければ、1日平均5分で済んでしまうかもしれない。

 また、インターネットへのアクセスさえできれば、どこからでも参加できることもPBBの利点だ。旅行先や出張先からでも確認・書き込みできるし、日本語を扱える環境さえあれば海外からでも参加できるのだ。僕が利用しているサイトとは別のサイトの話だが、一緒にTRPGをプレイした仲間たちが離れ離れになっても、PBBでキャンペーンを続けていたということがあったらしい。しかも、そのうちの1人はアメリカから参加していたらしい──まぁ聞いた話なので真偽のほどは不明だが。

 さらに、GMをするのが楽である。普通に顔をつき合わせてプレイしていると、PLの発言に対処するための時間は長くても十数秒〜1分ほどしかない。しかしPBBでは、GMは2〜3日おきに発言すればよく、PLの予定外の行動にも十分対処できる(他の人に助けを求めることだってできる)。また、ダンジョンマップを作成・更新する時間も十分にあるのだ。簡単なHP作成の知識さえあれば、現在の状況をHPにまとめておくことで、全員が情報を共有し、またこれまでの経緯をいつでも見返すことができて便利である。

PBBの欠点

 PBBの欠点は、やはり長くかかることだろう。プレイの仕方やシナリオの内容にもよるが、1シナリオを終わらせるのにだいたい短くて3ヶ月、長いと1年もかかってしまう。その間に参加者のやる気や環境は変化するし、終わってからログを見ると最初と最後で設定が変わっていたなんてことも珍しくない。また、前回の記事でも書いたが、途中でPL(や時にはGM)が音信不通になってしまうこともよくある。

 これらの対処法もないわけではない。こまめにログを見返し、あるいはこまめにリプレイとしてまとめておけば、設定が変わってしまうのを防げる。(もっとも、設定が変わったおかげでシナリオが良くなるのなら、全員に告げた上で変えるのもひとつの方法だったりする。)環境の変化などで音信不通になりそうな時は、あらかじめそう告げておけばよい。そのための掲示板を用意したっていいのだ。長期でなく短期的に離れる場合でも、告げておいたほうが無難である。かくいう僕も、最近では風邪を引いたりやる気を失ったり(!)して2〜3日というサイクルからは外れ気味であるが、それでも自分のHPで逐一告げているため大きな混乱にはなっていない。

PBB運営の工夫

 PBBはその名のとおり、BBSを用いて遊ぶ方式である。そのため、cgiの知識さえあればBBSに様々な機能を付加させることによって格段に遊びやすくなる。

 最初にも書いたが、僕が参加しているPBBサイトは移転するにあたり、cgiを大幅に改良していた。移転する前でもダイスロールや(システムがソードワールドなので)レーティング表の自動参照ができたが、さらに改良を加えることでキャラシートの自動管理もできるようになっていた。魔法を唱えれば自動でロールしてくれるし、精神点の減少だってレベルに合わせて自動で行ってくれる。冒険後、GMは参加キャラに経験点と報酬を渡し、PLはそれらを消費して成長したり装備を買い換える、これらも専用フォームが用意されて簡単に処理できるようになっている。

 かといって、これらの機能がなければプレイできないわけではない。システムにもよるが、ダイスなどの乱数処理さえなんとかできれば、どんなBBSでも遊ぶことができる。ダイスロール用のcgiをBBSとは別に用意したっていい。また、今ならwikiやblogを用いれば、キャラシートの管理も簡単にできる。

 しかし、PBBを運営するに当たって、最低限必要なことがある。普通のBBSを用いれば必ず起こりうるふたつの問題、「なりすまし」と「部外者の書き込み」だ。これに対処するためにも、ぜひパスワード式のBBSを用いるべきだ。

PBB向きのシステム、PBBに向かないシステム

 もちろん、TRPGのシステムにもPBB向きのものとそうでないものがあると思う。PBBの特徴は「GM→PL→GMのやりとりのサイクルが2〜3日かかる」ことなので、短いサイクルでやりとりされる部分が多いほどプレイ終了までの時間が長くなるのだ。そして、短いサイクルでやりとりされるものといえば、もちろん戦闘になる。実際のプレイを思い浮かべてもらえばわかると思うが、普通はGMが次に行動する人を宣言、そのPLが行動宣言、GMが反応、PLがダイスロール、GMがそれを処理、これだけのことを処理するのにわずか十秒前後しかかかっていない。しかしGM→PL→GMのサイクルが2つ含まれているため、PBBで行うと1週間もかかる計算になる。雑魚戦闘で1ヶ月もかかることもよくある。

 さらに、何らかのリアクションや割り込み行動を行うと、時間はもっともっと長くなるだろう。FEARのゲームに多いが、相手の行動に割り込んで威力を上げたり行動をキャンセルしたりすることがあるゲームだと、ひとつの行動でもGM→PL→GMあるいはPL1→PL2→PL1のサイクルがとても多く含まれることになる。つまり、下手な運営をすれば、なんと1戦闘に半年かかる計算になってしまう。これではとてもPBBではプレイできない。

 つまり、戦闘回数が少ないかサイクル数が少なく、しかも割り込み行動が起こらないシステムがPBBに向いていることになる。しかし、そんなシステムは数少ない。プレイしやすいシステムはウィッチクエストやレレレ(これらは全般的にサイクルが少ない)、あるいはT&TやHT&T(これは戦闘の1ターンにおけるサイクルが少ないのでやりやすい)といったものになるだろうか。運営方法である程度まで回避できるとすればソードワールド(戦闘中の割り込みが起こらない)もやりやすいといえる。しかし、完全に「PBB向き」なシステムは今のところ存在しないのではないだろうか。

 逆に、割り込みが多かったり、ダイス以外のギミックを用いているシステムは、PBB上でプレイしにくい。トランプや専用カードを用いているものがこれにあたる。しかしそういったシステムも、それらの部分をcgiでなんとかできれば、プレイは不可能ではない。また、ネックとなる割り込み行動さえなんとかできれば、大抵のFEARのゲームもプレイできるようになるし、あるいは他のゲームよりもプレイしやすいかもしれない。

 結局のところ、工夫次第ではどんなシステムでもPBBでプレイできる。その工夫しなければならない量がシステムによって異なるので、それがPBB向きかそうでないかにつながるのだろう。

PBBと他の形式との融合

 PBBと他の形式を組み合わせてプレイしているのも見かける。よくあるのは、定期セッションでキャンペーンをする場合、導入部分をBBSを用いて行うものである。ある程度までをBBSでプレイすることにより、全員が情報を共有でき、またある程度モチベーションが上がっている状態でプレイを開始できる。プレイ後の成長もBBSを用いて行うことで、他のPLの成長を確認しながら自分のPCを成長させることができるし、それらの成長を記録しておくこともできる。

 また、PBBの欠点はサイクルが多いものには向かないと上で述べた。ならば、これらの部分をリアルタイムチャットを用いて行うのはどうだろうか。戦闘と戦闘の間の部分はBBSで行い、戦闘部分は日時を決めてチャットで行うのである。こうすれば、PBBでは時間がかかる戦闘部分も短時間で終わらせることができるため、戦闘回数が多いシナリオも短期間でプレイできるようになる。もちろんこの方式を用いるためには、全員が同じ時間帯にアクセスできなければならない。普段からネットに入り浸っていると忘れがちだが、昼の特定の時間帯しかネットにアクセスできない人も多く存在する。そういう人がいる場合は、この方法は使えない。

最後に

 振り返ってみれば、PBBにはまだまだ無限の可能性があるように思える。TRPGプレイヤーがTRPGから離れる原因として一番多いものは、おそらく「プレイ時する間が確保できなくなった」であろう。そういった人でも、PBBでTRPGを続ける事ができるのだ。

 PBBに関して、ある程度のアドバイスはできる自信がある。PBBを新たに始めたい人がいれば、いつでも相談に乗る準備ができている。今後のPBBの発展に期待している。

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TRPG.net上にHP「もりすの世界」を持っていたりします。そちらもよろしく。

さいごに

感想・執筆宣言は一行掲示板001もしくは irc.trpg.netの #openTRPG へどうぞ。

月刊TRPG.NET 2004年10月号

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