僕とPlay by BBS(PBB)

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僕とPlay by BBS(PBB)

「インターネットでTRPGをやりたいとしよう。さて手段はどうする?」

オンラインセッションを知らない人にこう聞いたら、どんな答えが返ってくるだろうか?メール?チャット?BBS?最近はヘッドセット(マイク付ヘッドフォン)を使って声でやりとりしている人もいるらしい。カメラもつければ、他のプレイヤーの顔も見える。そこまでやれば、テーブルを囲んでいるのとほとんど変わらない環境でTRPGができるだろう。

起:PBBとの出会い

 僕のPBB生活も、似た内容の言葉から始まった。今から約3年前のある日、当時どこにでもいるTRPGプレイヤーだった僕は友人と話していて、ふと口にした。
「インターネットでTRPGできればいいのにねー。どんな方法でできるんだろう?」
 それに対する友人の答えは、
「最近BBSでソードワールドやるサイト見つけたんだけど、やってみない?」
 その言葉が全ての始まりだった。その日の夜、僕はそのサイトのチャットに顔を出していた。

 最初の1ヶ月は、毎晩チャットに顔を出しつつ掲示板を確認する日々が続いた。そのサイトでは、作ったキャラクターはいったん酒場のカウンター(のBBS)に集まる。そこで依頼に立候補するシステムをとっていた。僕の作ったキャラもカウンターデビューを果たし、即座に依頼を受けることができた。また、他の冒険の様子を調べ、そこでだいたいのやり方を学んだ。BBSを使用しているので、そのパーティの今までの冒険はBBSのログをたどれば全てわかる。これもPBBの利点のひとつだ。

承:そしてGMへ

 そのサイトに顔を出し始めて1ヶ月くらいたったころ、チャットで管理人さんからこんな話題が出た。
「ストックしてたシナリオがなくなった……誰かGMできる人いない?」
 幸か不幸か、私はプレイヤーよりもマスターの方が得意だった。そして、その頃は好奇心旺盛だった(今でも好奇心旺盛だが、当時ほどではない)。よって、次の日にはシナリオを作り上げて管理人に送り、その次の日には新たな依頼人がカウンターに登場した。
 こうして、あるフィールド(そのサイトでは冒険をするBBSをこう呼ぶ)でプレイヤーをやりつつ、その隣のフィールドでGMをやるという生活が始まった。

 さて、PBBの大きな特長、それは「進みがもの凄く遅い」ことである。GMが書き込み、プレイヤーがそれに対して書き込み、それを受けてGMが書き込む。この周期はだいたい2〜3日だ。つまり、1回書き込むと次の書き込みまでに短くて1日、長いときは3〜4日ものブランクがある。(GMの書き込みに必ずレスを返す必要はないのだ)つまり、PBBだと日常生活の片手間にできる。ましてや当時僕は学生で、時間を持て余しつつあった。

 最初にそのサイトに入って約半年後。僕はふたつのフィールドでプレイヤーを、別のふたつのフィールドでGMをやっていた。1日1時間あれば、4つのフィールドを確認して書き込むのに十分だった。

転:失踪、そしてPBBとの別れ

 ところで、もう一度言おう。PBBは「進みがもの凄く遅い」。そのため、1シナリオ終わるまでに約半年もの時間がかかるのだ。年度の上半期から始めたシナリオはまだいいが、年度の下半期、特に冬から始まったシナリオは3月になっても終わらない。その結果どうなるか。
 引越しでインターネットに接続できなくなる人が出るのだ。
 また、GMは全プレイヤーのメールアドレスを把握している。しかし、そのメールアドレスがいつまでも生きているとは限らない。そして、チャットに顔を出していない限り、連絡手段はメールに限られる。つまりどういうことか。
 突然連絡がつかなくなることがあるのだ。また、送られてきたメールすら無視すれば…

 僕が入っていた4つのフィールドのうち、3つのフィールドで失踪するプレイヤーが出た。メールを送っても返事が来ない、もしくはUnknownが帰ってくる。結局そのプレイヤー達はひとりを除いて戻らず、PCはNPC化してみんなで動かすことにした。ちなみに、戻ってきたひとりは事故で入院していたらしい。こんなこともPBBでは起こりうるのだ。

 さて、そのサイトに入って3年目。突然、僕のまわりがあわただしくなった。なんでも、新たな学校の評価機関のおかげで学校に拘束される時間数が増えるらしい。しかもその年は僕が学校を卒業する年。卒業研究というものがある。
 その年の6月、ついにPBBに割ける時間がなくなってしまった。

 僕はまだ、多少の余裕を見つけては参加しようとがんばっていた。しかし、その「多少の余裕」は結局ほとんど見つけることができず、結局失踪同様になってしまった。僕がGM参加していた3つのフィールドは完全に止まってしまった。幸いにも、2人いた僕のPCが入っているフィールドはあとはエンディングを残すのみだったが。
 研究が忙しくて存在を忘れかけていたこともあり、結局僕が失踪状態だったことに気づいたのは管理者代理からのメールを受け取った時だった。失踪だけはするなよと言い続けていた僕が、結局は失踪してしまったのだ。

結:現在では

 今では時間の余裕もでき、そのサイトのチャットに再び顔を出している。しかし、それだけだ。当時輝いて見えたカウンターやフィールドも、今では色あせて見える。それに肥大化し、なりきりチャットみたいになってしまったカウンターに入り込むだけの余裕ももうない。いったん入れば、PCのキャラシートおよび話題の把握のために、1日数時間は拘束されてしまうだろう。(僕は全て把握していないと気がすまないタチなのだ)
 だが、新たにPBBを始める人はいる。そして続けられず失踪してしまう人もいる。PBBに興味がある人に、もう一度聞こう。
「PBBは手軽にできる。その半面、進みがもの凄く遅い。

 君は半年くらい続けられる環境にいるかい?続けられなくなった場合はちゃんと連絡するかい?ホントに?

 なら、歓迎しよう。BBS上でゆったりと紡がれる、冒険の物語に」

さいごに

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月刊TRPG.NET 2003年10月号

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