TRPGのための政治学的設定の部屋 LOG 008

TRPGのための政治学的設定の部屋の2001年12月01日から2003年03月14日までのログです。


2003年03月14日:00時07分56秒
領主経営系RPGでイメージしている時代・地域 / アキト

 アキトです。こちらでははじめまして。

≫清水さん

 領主経営系RPGに関する一連の投稿、興味深く読まさせていただいてます。

 色々とお話をうかがってますと、清水さんが想定している領地経営とゆーのは、中世ヨーロッパのかなり後半をイメージしてるような感触を受けています。

 よろしければ、どこらへんの時代・地域をイメージしているのかざっくりとで良いので教えていただけるとこちらもイメージしやすくて助かります。

 あるいは、特定の時代や地域を想定していないのであれば、その世界がどーいった環境にあるのかを説明してもらいたいです(モンスターの有無とか)。じゃないとアイデアとか出しにくいので。

# それと、文明/文化/技術が進歩することを前提とした世界にするのかとかも気になったり。

 おねがいします。


2003年03月13日:06時04分07秒
領地経営系RPG 9 / 清水
>宮本 隆志さま
 じつは宮本さんのHPを以前より拝見させてもらっていました。 どこかで見たお名前だとは思ったのですが、前回はまったく気づかず失礼しました。 今後ともご指導よろしくお願いします。
 出来うれば、『BIRTHRIGHT』リプレイを復活させてください…。
 DomainTurnにおけるコマンド選択方式ではなく、私は「人格投影プログラム方式」(笑)というものを考えています。領地経営というのは小手先のものというより、全人格的なものだと思うのです。だから経営ノウハウを特徴としてとる。つまり寛容/厳格とか、領民思い/立身出世指向とかで基本修正が決まって、それに家臣団修正やら、状況修正が加わるという感じで、で、年中行事に束縛されるけど領主は基本的にやることがなくて趣味に走る(もちろん勤勉に領地経営を行うという「趣味」もある)というのが領主っぽくてよいなかと(楽しみといえば戦争と狩猟!)。
 年中行事とはちょっと違いますが、国王宮廷の儀式の担当官になって、領地の少ない上役のいびりに耐えるという忠臣蔵プレイとか、普段のことでもちょっとは楽しめるのでは? でも主流は「特別な場合」でしょうね。
 家臣団についていえば、私は「名無し」と「名前つき」の二通りの考えでやるのはどうだろうかと思っています。基本的に集団として家臣団に能力を与え、領主との特別な関係、特別な能力を持つ家臣を「名前つき」として捉え、こいつらは能力がある分、自立性が強く、PLとしては彼らが離れていかないように感情で拘束するようなプレイをし、PCは三顧の礼のような美しい演出をするのが良いかと…。「名前つき」家臣を入手して、情念でがんじがらめにする過程(意地の悪い書き方だ…)は十分シナリオのネタになるでしょうね。
 私は基本的に諸侯級でプレイすることを想定しています。で舞台は「戦場」、「諸侯会議」、「王都での快楽生活」、「領地にて」がスタンダートなものではないかと考えています。基本的に領主が「影響力」を高めて、自分の理想を達成する(趣味に没頭するにも、他人から干渉されないという「影響力」が必要である!)というのが大まかな流れになるでしょう。で、普段勝手なことをやらせておいて、互いに顔を合わせる局面(結構あると思います。なぜって領主の絶対数が少ないのですから!)に事件を起こすというので、かなり場数がこなせるのではないかと楽観していますが果たしてどうなのでしょう?(笑)
 
 答えになっていなかったり、ただ思いつきを書いただけだったり、お見苦しい点はご容赦を。
2003年03月13日:06時03分05秒
領地経営系RPG 8 / 清水
>宇津見さま
 手厳しい意見ありがとうございます。物事を作り上げていく過程において叱咤していただくことは、出来上がりの完成度を高める上で大変貴重な手助けだと思っています。
 宇津見さんがありがちだと批判される面については、私のオリジナリティが不足しているという現実があり、弁解のしようがありません。なにとぞ汎用を目的としているという言い訳を聞き届けになってご寛恕ください。 
 しかし、その他の件では私と宇津見さんの間に見解の相違があるようなのでそれについて私の意見を述べさせていただきます。
 宇津見さんは「MTG」についての見解を書かれていますが、なるほど「MTG」に関しては私も同意見です。しかしこれが「アルス・マギカ」の場合であれば私は同意するわけにはいきません。「MTG」、ディプロマシーといった勝敗を争う過程を楽しむ一般のゲームとRPGとは大きな溝があるのです。一般のゲームでは勝敗を争うための共通の土台である「ルール」がありますが、RPGのシステムはそのような要素を欠いており、セッションとして成立させるためにはシステムには明記され得ない、共通認識が必要なのだと思います。「MTG」をやるには「ルール」を知っていれば十分ですが、RPGでは「システム」以上に知っておくべき事柄というものが存在するのだと思います。
 一度だけRPGを経験し、その後二度とRPGをやらないという人たちのなかでこういう事を言う人がいました。「説明もなしにゲームが始まって、何をやっていいのか分からなかった」。
 RPGを身体で理解している私たちにとって、つい忘れがちなことですが、セッションを始める前に共通認識を構築し、確認する作業は不可欠なものだと思います。私は始めてD&Dをプレイする人には「地下迷宮に入って、モンスターの溜め込んでる財宝を奪い取ってくる。かなり死にやすいけど、生き残れば目に見えて強くなれる。こいつはDM、間違えるなよDMだからな。これは10フィート棒と言って…」程度のことは説明すべきだと思っています。RPG自体の初心者ならばもっと詳しく説明するでしょう。
 私が現在、ここの部屋を借りて構想しているのはアメリカでも数えるほどしかなく、日本では皆無といってよい領地経営系RPGです。そのようなものを話題とするにあたって共通認識を構築し、確認するためには、いままで私がやってきたことは必要不可欠な作業だと思っています。
 
 
 
 とは言うものの、ここで私がどんなことをやりたいかを明らかにしておくことは無意味ではないでしょう。
 
 若いころ小姓として国王に仕え、親の死後、跡を継いで諸侯となったり、騎士身分のまま国王の高級官僚になったり、
 王都で劇団のパトロンになって女優を愛人にして、戦場まで連れて行きながら、「おまえより奴の方が俺には大切だ」とか言って領地から連れてきた雑兵のために愛人を見殺しにしたり、
 建築家のパトロンになって私財を傾けて建物を建てまくって、後世の歴史家に「無能な領主。趣味のために巨額の借財をする。領民には極悪人と呼ばれる」とか書かれたり、
 領地が貧困だったため、兵を募り、傭兵隊長として各地を転戦中に、妻が愛人を作り、二人によって毒殺されかけたり、
 外国勢力に占領された王国のふるくからの友人である諸侯が、あるいは公然と抵抗し、あるいは亡命し、あるいは外国勢力に協力した姿勢を見せながら実際は王国独立のために協力したり、
 初代が国王の建国戦争に参加して諸侯となり、二代目が国王の宰相になって君主権の確立のために諸侯を取り潰し、軍制改革を推し進め、三代目は王国の親衛隊長として、二代目の死後に跡を継いだ宰相に王国を奪われた王女を連れて領地に戻り、初代と協力して宰相軍と戦ったり、
 戦争中のために領内に兵がおらず、モンスター退治のために渋々冒険者を雇い入れ、そのため領内の治安がますます悪化して苦虫をかみつぶしてみたり(「いい若いモンが何してるんぢゃ。戦争行け、戦争」とか思ってみたり)。
 諸侯の次男で、騎士として国王に仕えていたのが国王に気に入られて、実家の兄貴を追放して、諸侯となって、嫁を世話してもらったりして、戦功を挙げて有力な諸侯になって、そうこうしているうちに国王が暗殺されて、その後の混乱を収拾したかつての同僚である国王に仕えるようになって、半分友人、半分家臣のような立場で適当なことをして、その国王の死後覇権を握った新しい国王に白眼視されたり、
 名門の諸侯家に無理やり養子として送り込まれた王子が、家臣団の抵抗に遭いながらリーダーシップを構築していったり、
 名門の諸侯家に国王の寵臣として婿養子に入ったのだけど、嫁にも家臣にも無視されて、つまらない町娘に引っかかっちゃったり、
 竜退治とかして諸侯の婿養子になったのだが、家臣受けが悪く、嫁にも「私を助けてくれた時の貴方はもっと輝いていたわ」などと言われて、逃避するようにダンジョンに出掛けて行ったり、
 上級領主から与えられた領地に由緒を主張するものが現れ、裁判闘争を行いながら、軍備を整えたり、
 建国戦争参加中に、祖父が失った領地を通過中、「領主さまのお帰りだ。領主さまが我らを解放してくださった」と喜ぶ領民を見て感動した国王が土地の領主に任命してくれたのだが、前々よりその土地を貰う約束だった有力諸侯の反感をかってみたり、
 占領地の諸侯に任じられたが、領内領主の反感は止まず、本国の混乱が伝わると、一斉に反乱を起こし、命からがら本国に逃げ帰ったり、その後再占領を果たし、大粛清を行ったり、
 領主さまとして村の収穫祭に参加して前後不覚になるまで酔っ払って、それ以後領民からの視線が変わり、十ヵ月後ベビーブームがあり、15年後、家臣団が大増強されたり、
 建国戦争後、戦争によって土地を奪われた領主の子が土地はおろか王国まで手に入れて、でも王様になりたくなくて建国戦争前の諸侯領体制に戻したり
 諸侯で宰相の椅子を巡って派閥争いしたり(宰相になって、内務長官、陸軍司令を任命したり)、
 絶対勝てるはずの戦争を家臣の裏切りで失い、その後他人に雇われて戦争する立場に没落したり、
 国王の側近として賄賂を受け取ってそれを政界にばらまいて、領地は少ないけど、影響力の大きい役人になってみたりとか、
 こういうプレイの出来る領地経営系RPGが、私は欲しいのです。
2003年03月13日:06時01分27秒
領地経営系RPG 7 / 清水
国王級について
 
 ランク7…中規模の王国の支配者(人口二十万人以上)
 ランク8…大国の支配者(人口百万人以上)
 ランク9…皇帝(人口一千万人以上)
 
 国王級とは諸侯級の第一人者で、高貴な血筋、諸侯級の調停機能、圧倒的な力などによって他の諸侯級とは隔絶した地位にいる存在です。
 国王級は自ら諸侯級としての領地を持ち、臣下として他の諸侯に影響力を行使します。そのため国王級に求められる資質は第一に諸侯のコントロール能力です。そして、諸侯級に依存する体制から脱却するため、直属家臣団を用いて君主権強化プログラムを推進します。
 国王級の権力は臣下の諸侯集団と、直属家臣団によって構成されます。前者は国王級独自の性格であり、後者は国王級の諸侯級的性格です。諸侯集団は常に自立化の傾向をもち、国王級当人と直属家臣団は国家の統合、君主権の強化を計る傾向を持ちます。
 国王級の発展の道は、「諸侯中の諸侯」から国民の王へ至る道であり、そのためには領内安定の義務、秩序維持機能などを果たして君主権の強化に努めなくてはならないのです。
 国王級は国土の防衛のため戦略的国土支配にも心を砕かなくてはなりません。これは具体的には領内の大領主を国境地帯の要塞に配置し、防衛体制を固めることを意味します。しかし領主は古くからの領地を手放して新天地に移ることを好みません。ここで国王級は、秩序を望むが規制されることを欲しない諸侯の抵抗に合うことになるでしょう。
 王国内に存在する諸侯は王族、直臣、その他の諸侯に分類されます。王族は国王級の血族ですが、親疎によって性格を異にします。一般的に国王級と近い世代に別れた王族は国王級に忠実な傾向を示し、遠い血縁の王族は自立傾向を示します。直臣は国王級の直属家臣団の一員である騎士級が、諸侯級の領地を手に入れた存在であり、一般的に国王級に忠実です。その他の諸侯は本来的に国王級と同格の存在であり、たまたま利益が共通するため国王級に従っているに過ぎない存在です。その他の諸侯は国王級の秩序維持機能を最大限利用しつつ、自立体制を維持しようとし、国王級側は王国の統合のため君主権の強化に努めるというのが王国内の最大の権力ダイナミクスなのです。
 国王級の財源は諸侯級としての領地(直轄地)からの収入のほかに、王国全土から徴収される収入と、王都その他の都市からの税収などからなり、一般の諸侯級より現金収入が多く、比較的豊かです。この現金収入の多さにより、諸侯級までは家臣団を、その領地の現物経済の限界の中でしか維持できなかったのに対し、国王級ではより多くの人材を雇用できるのです。このため国王級は専門的な官僚を常時雇用し、戦争時には歩兵軍を雇用し、このアドヴァンテージを利用して君主権を強化していくのです。
 国王級の特徴として以下のものが挙げられます。
 1.王都:総人口の百分の一以上の人口を持つ王都を有します。
 2.宮廷:家族、直属家臣団、領内領主の子弟からなる宮廷を有します。
 3.統治組織:直属家臣団からなる広域統治組織を有します。
 4.諸侯会議:領内の諸侯級の領主からなり、諸侯の世論たる諸侯会議を有します。
 5.課税権:国政にかかわる費用を徴収するための課税権を有します。しかし使用目的、徴収方法などが諸侯会議によって規制されます。
 6.裁判権:国王級は領内領主の私的紛争解決(自力救済)を否定し、領主の裁判権を掌握する傾向にあります。
 ランク9の皇帝とは、「国王級の中の国王級」の存在です。国王級の君主権強化プログラムはほとんどの王国で不徹底な状態にまでしか到達しませんが、ごく一部の王国ではこのプログラムは完全に近い状態まで到達します。そうするとその王国は周辺諸国に拡大の手を伸ばします。抵抗する王国は蹂躙し、その他の王国を臣下に加えていきます。このような王国を帝国と呼び、その支配者を皇帝と呼びます。帝国の臣下となった王国は、帝国権力の担保のもとに君主権プログラムを徹底化することが出来ます。君主権プログラムの徹底化によって国王級は諸侯級の意向を無視することが出来るようになり、王国の完全なる支配者となることが出来ますが、その代わり帝国の要求に応える義務が生じます。この帝国の誕生は中世の最末期であり、近世への扉を開く画期にあたります。

(sf:丸数字は環境依存のシステム外字ですので利用しないでください。数字で代用しました)


2003年03月10日:00時23分04秒
領地経営RPG / 宮本 隆志
> 貴重な意見ありがとうございます。『BIRTHRIGHT』未経験にもかかわらず、それについて批判的とも取れるような発言をしてしまったことをまず陳謝します。

いえいえ。気にしないで下さい。

> 『BIRTHRIGHT』の不満点の第一はDomainTurnにおけるPCの行動設定です。そもそも領主は三カ月ごとに「このクールに〜しよう」とか考えるものなのでしょうか? もっと年中行事に即した、束縛された生活を送っているのではないか、そうならばその束縛を表現したいと思いました。

 そうですね。思うにDomainTurnの部分はPC/PLの自由裁量部分なんだと思います。例えて言うと「今週はちょっと残業を減らして家族サービスをしよう」みたいな。
 あと、束縛でもルーチンワーク的な部分はシナリオにはなりにくいですね。年中行事は多分ちゃんとやっているのだと思います。ただ、何事も無く慣例に乗っ取って行う行事はシナリオとしては遊びにくい。
 シナリオとして扱うのは、例えば定期的に賓客を招いて宴会するとしても、その中に暗殺者が紛れ込んでいたりとか、明らかに騒動を起こそうとしている問題客がいるような、シナリオになりうる宴会だけを遊べばいいのだと思います---ってまぁもうちょっとマスタリングの技量があれば、日常を切り取ってシナリオでうまく遊べるのでしょうな。

> 第二はHoldingです。Armies、Courts、Fortifications、などで領地の性格を表せるのでしょうか。私には納得できませんでした(でもとても興味深かったのは確かです)。

 だめです(笑)---いやまぁ、これもGM次第だとは思うのですが、私は自分で設定を作るのが苦手なGMなんで、詳細な背景世界設定が無いと苦労します。領国の詳しい地図やめぼしいNPCの貴族リストや系図、他国との関係、主要産物などなど---こういった設定があれば、シナリオねたが思い付きやすい。
 たとえば、林檎が主産物ならば収穫時期前後にトラブル(隣国との小競り合いやモンスター出現)とか、あるいは林檎を材料にした酒をドワーフの国へ輸出とか、なんかネタを考え付きますが、何もなくて、Armyとかの抽象的な数値だけでは全然イメージが湧きません。
 まぁ、実際には各領国毎の32pのサプリメントを買うのがいいのだと思います。これには割と詳しく各国の詳細な設定が載っています。

> サマリー程度の書き物と記憶だけで書いているので見苦しいかもしれませんが概ねこのような不満を感じました。また、家臣団の育成という視点も欠いていたと記憶しています。

 これもまぁ、GMがシナリオで行うしかないのだと思います。ルール的にはAdministrationやLawとかのNon-weapon Proficiencyを持ったNPCをかき集めるという話になってしまうのですが、やはり抽象的すぎてどうもあれかなと。
 ライトノベルとかでも「アルスラーン戦記」「デルフィニア戦記」「十二国記」などなど家臣を徐々に揃えて行くあたりが、序盤の重要な要素だと思うんですよね。(こういった小説が売れているんだから、この手のRPGを作る意味はあるんだと思うんですけど。)
 RPGとして遊ぶ以上は、家臣との人間関係みたいなものを扱いたいと思うんですが、まぁそういうのはGMがシナリオにするしかないのではないかと思います。例えば最初は敵対的なんだがシナリオイベントを通じて友好的になるとか、まぁその分はなんかルール的に有利な修正として統治に反映させるといいかと。

> また、これは世界観なのですが、「神に祝福された国王と、自立的な家臣たち」という図式ではなく、「家臣団連合に推戴された国王」を強調したいというのが私の意見です。

 えー、これは割と難しいですよ。Birthrightの枠組みとして、重要な家臣もPCになってしまうので、自立的に家臣が行動するのは避けられません。まさかGMと国王PLとが1 on 1で遊ぶ訳にもいかないし。まぁ、国王をNPCにして家臣をPLが遊ぶいうの可能ですけど。
 前に遊んだ時には、個々のPCにちょっとづつ兵力も収入基盤も持たせて、ちょっとづつ利害を衝突させて、PC間での交渉的な要素を加えようともしたんですが、概ねPLたちは無条件に一致協力出来る方が遊びやすそうには見えました。まぁPC間の利害の衝突と言うのは、どんなRPGでもありますが。

 まぁ、色々書きましたが、私が思うには、ボードゲーム的な領国経営部分と言うのはRPG部分のマスタリング部分を助ける為のツールなんだと思います。そういうものがないと、無闇に徴兵して収穫が減る部分だとかが定量的に表現されない(でないと、Administrationで20面を振って1が出たので全然影響が無かった、とかなりかねん)ということなんだと。でも、Birthrightの基本はRPGであってボードゲームでは無いのだと思います。
 ...まあ、私はあまりボードゲームに興味が無くて、RPGのストーリーテリング部分を重視してBirthrightを遊んだと言う事だと思います。っていうか領地経営をボードゲーム的に遊びたいならば、SLGとかを遊ぶと思う。そんな訳で、なんとなく清水さんの書き込みをみて、あぁ同じようなことを考えているなぁ、と思っている訳です。
2003年03月09日:14時23分20秒
RE:和製領地管理TRPG / 是通
 ども、此方でははじめまして、是通(ぜっつう)という者です。
 
>EL。さん
 
>わしの知っているゲームシステムの中では、長期に渡って遊ばれることの多いS=Wや、元々階級の高いPCを使用する可能性があるトーキョーNOVAが、サプリメントの製作手として有望かと。(あ! トーキョーNOVAは領地管理できねぇや)
(03月07日:14時21分投稿、和製領地管理TRPG / EL。さんWrote.なお、システムタイトルの誤字だけは訂正させて頂きました)
 
 まぁ、茶々みたいなコメントでなんですが…
 FEARの「ブレイド・オブ・アルカナ」というゲームでも、『コロナ』という、そのものズバリ「王侯貴族」を遊べるスタイル(当該システムでは、アルカナ)があります。
 もっとも、システムのコンセプトから言って、できる事は『水戸黄門』か『暴れん坊将軍』辺りが再現しやすいのですが…(苦笑)
 
2003年03月09日:11時55分41秒
RE:領地経営系RPG 4/5/6 / 宇津見
 清水さんへ

 たびたびこのような事を申し訳ないのですが、清水さんが現在されていることは、背景設定だけをかかれているだけなのです。それもありがちな封建制の。
 清水さんのされていることは、D&Dやソードワールドをやるのにダンジョンと冒険者の成立理由を長々書いたり、M:TGをやるのに魔法使いの背景設定を長々書いたり、ディプロマシーをやるのに20世紀初頭の国際外交について長々書いたりするだけで、ゲームの内容、方針、実際のプレイについて何も述べないような事です。

 設定について述べるより、まずは、「具体的にどのようなゲームをしたいのか」「プレイヤーキャラクターに具体的に何をさせるのか」を述べられるべきでしょう。
2003年03月09日:04時00分27秒
宮本 隆志さま / 清水
 前投稿において敬称を省いてしまったことを深くお詫びします。
2003年03月09日:04時00分23秒
宮本 隆志さま / 清水
 前投稿において敬称を省いてしまったことを深くお詫びします。
2003年03月09日:03時56分01秒
領地経営系RPG 6 / 清水
>宮本 隆志
 貴重な意見ありがとうございます。『BIRTHRIGHT』未経験にもかかわらず、それについて批判的とも取れるような発言をしてしまったことをまず陳謝します。『BIRTHRIGHT』については『コンプRPG』での紹介以来かなり探しているのですが発見に至らず、友人から借りて読んだだけなので、見当はずれな意見かとも思いますが、至らない点はなにとぞご指導ください。
 『BIRTHRIGHT』の不満点の第一はDomainTurnにおけるPCの行動設定です。そもそも領主は三カ月ごとに「このクールに〜しよう」とか考えるものなのでしょうか? もっと年中行事に即した、束縛された生活を送っているのではないか、そうならばその束縛を表現したいと思いました。この通称「信長」方式はなんとしても打破したいと思います。
 第二はHoldingです。Armies、Courts、Fortifications、などで領地の性格を表せるのでしょうか。私には納得できませんでした(でもとても興味深かったのは確かです)。
 サマリー程度の書き物と記憶だけで書いているので見苦しいかもしれませんが概ねこのような不満を感じました。また、家臣団の育成という視点も欠いていたと記憶しています。
 また、これは世界観なのですが、「神に祝福された国王と、自立的な家臣たち」という図式ではなく、「家臣団連合に推戴された国王」を強調したいというのが私の意見です。
 と、不満だらけのようですが、BloodLineやRegencyPointの考え方は大変興味深かったです。願わくは私にプレイの機会がおとずれんことを。
 
>ELさま
 デザイナーの問題だとすると、プレイスタイルすらデザイナーに依存するプレイヤーにも問題がありますよね。もう大昔ですが、ちょっと毛色の変わったシナリオを展開すると「もっと「普通」のシナリオやってくれよ」と怒られたことを思い出します。
 N◎VAの場合は、「エグゼグ」とかスタイルはファッションみたいなもので、全然ファッショナブルじゃない私の方向性とは違うかも(N◎VAだといくらやっても、「こんなカッコ悪いことしているキャラってカッコいい」から抜け出せないような気がする…)。
 マルチゲームですか…、ちょっと考えてみます。
2003年03月09日:03時54分59秒
領地経営系RPG 5 / 清水
 地域における諸侯級の働きとは、領内の騎士たちによる紛争を調整して、地域の「力」を内部で消費するのではなく、外部へと向けるということです。具体的には混乱している他の地域への侵攻という形を取るでしょう。逆に他からの侵攻を避けるためには諸侯級の領地の安定が欠かせません。では、周辺の諸侯級がそれぞれの地域を安定させたとき、領内の「力」をどこに向ければよいのでしょう? そこに諸侯級が国王級を推戴する理由の一つがあるのです。
 領主には縦のつながりのほかに横のつながりもあります。領主は自立していると言っても孤立しているわけではないのです。横のつながりは上級の領主、同級の領主、下級の領主を問わず、単なる友好関係から血縁、姻戚にいたるまで様々な形で結ばれます。古い歴史を持つ領主ならば周辺の領主と幾重にも関係が結ばれていることでしょう。領主たちにとって横のつながりは縦のつながり(臣従関係)よりも重要で、縦のつながりは横のつながりの延長線上で把握されることも多いのです。
 諸侯級の特殊性として、騎士級に比べ自立した経済圏を持っていることがあげられます。また国王級に比べて領内支配が貫徹しています。これは諸侯級の領地が伝統的支配権の基本単位となっているためです。その領地に対する諸侯級の伝統的、宗教的、社会的支配権によって、国王級はその地域の諸侯級の協力がなくては、その地域を治めることが極めて困難なのです。ここに国主級が諸侯級の協力を仰がなくてはならない理由の一つがあるのです。
 
>宇津見さま
 「開墾領主RPG」、面白そうですね。それに対比する形で私のコンセプトを少し述べさせてもらいます。私は領地を孤立的にとらえるよりも、PCの領地経営を縦と横の社会的な網の中でとらえた方が新機軸が打ち出せるのではないかと考えています。あと、「領地が拡大する」という考え方に違和感がありまして、領地というのは一つの単位であって、手柄をたてて上級領主から手に入れる。婚姻で妻の実家から手に入れる。どっかの養子になって領地を継承する。ちょっとした継承権を言い立てて力で奪い取る。名声により贈与されるとか、そんな感じで村落(私の設定では人口二百〜四百人)単位で手に入れて、一族や有能な家臣に分与して「影響力」を増大させるという形での方向性を考えています。具体的な話じゃなくてどうもすみません。
 
>ミッキーさま
 『バトルテック』ですか。確かあの世界ではメック乗りはみんな貴族さまでしたね。ほとんどシミュレーションとしてしかプレイしませんでしたが、世界設定は楽しく読んだ覚えがあります。
 このシステム、構想としては『RQシティーズ』とか『RPGキャラクターブック』のような汎用的なサプリにしたいとは思っています。その他ご要望がありましたらお聞かせください。
2003年03月09日:03時54分05秒
領地経営系RPG 4 / 清水
諸侯級について
 
 ランク1・・・上層農民:当主一名(歩兵)、その他二名。計三名
 ランク2・・・騎士(人口二百人以上の村の領主):当主一名、従士一名、その他三名。計五名
 ランク3・・・上級騎士(合計五百人以上の複数の村の領主):当主一名、従士二名、その他九名。計十二名
 ランク4・・・諸侯C(人口三千人以上のまとまった地域の領主):当主一名、騎士二名、従士八名、歩兵四名、その他四二名、計五七名
 ランク5・・・諸侯B(人口一万人以上のまとまった地域の領主):当主一名、騎士十名、従士十六名、歩兵六十名、その他一四九名、計二三六名
 ランク6・・・諸侯A(人口五万人以上のまとまった地域の領主):当主一名、騎士五六名、従士四十名、歩兵二六〇名、その他重臣一四名を含めて一〇〇四名
 
 諸侯はまとまった地域を領有する領主です。彼らの領土の多くは自然の境界によって区切られ、その中で独自の小文化圏が形作られています。彼らは戦争の主体となるだけの軍隊を持ち、城郭を拠点として自立していますが、中には別の道をたどる諸侯もいます。特に近隣に国王級の領主がいる場合、あくまで自立を求めるよりも以下の二つの道を選択するでしょう。
 一つは国王級の権力に参加する方法です。諸侯級の領主は国王級の権力内において、大臣、地方長官(城主)、軍団長などに任命され政権内で重要な地位を占めます。戦争時には配下の兵力のほかに国王級の直属家臣の指揮を委ねられ、活躍を期待されます。国王級の権力に参加した諸侯級の義務として助言と召集があります。助言は国王級の政治に対する助言で、具体的にはこれに伴う年の何分の一かの首都への居住、大臣その他としての政治への参加です。召集の義務は戦争時の出兵義務と国境要塞の守備などが代表的です。
 もう一つの道は近隣の領主と同盟を結び、国王級の権力に対抗する方法です。この対国王級権力同盟の中でリーダーシップを発揮できた諸侯級は自らが国王級の権力を振るう立場に置かれることになるでしょう。
 諸侯級の配下の騎士には二種の騎士が含まれています。一つはランク2、3の領地を持つ自立した騎士で、一つは諸侯級の家計に依存する騎士です。彼らはともに諸侯級の家臣団の一員として政務、軍務に参加します。諸侯級の領地のうち、ランク2、3の騎士の領地は諸侯級の自由に処分できない土地ですが、その他の土地には騎士級の代官を派遣したり、その土地のランク1に相当する上層農民を代官に任命して地方支配に当たります。また諸侯級の領内には小規模ながら都市が存在し、そこにも騎士級、あるいは有力商人の都市長官が任命されています。
2003年03月07日:14時21分12秒
和製領地管理TRPG / EL。
 話題提供者である清水さんの考えておられることとは若干方向性が異なることかもしれませんが、現在の日本で、領地管理系のゲームが製作されていない訳についてもう少し喋りたいと思います。
 
 清水さんは出版社の売り方についておっしゃられましたが、これはデザイナーに当てはまりますね。
 S=Wからして、公式サポートのほとんどは小説とリプレイであり、ゲームシステムに対するサプリメントは極少数であったと思います。
 和洋含めほぼ全てのTRPGは、数回サプリメントを製作した後は、サポートを打ち切っているのが現状であるように見受けられます。

 故に、TRPGの遊び方も、最初の一回を手を変え品を変えて遊ぶ、というのが現行の主な遊び方であり、PCが出世し、人の上に立つ役職についた場合はNPC化する、というのが通例になっていると思います。
 
 日本産の領地管理系ゲームシステムが誕生するには、まずこういった現状の遊び方から脱却するためのサプリメントの登場が必要なのでは、と思います。
 わしの知っているゲームシステムの中では、長期に渡って遊ばれることの多いS=Wや、元々階級の高いPCを使用する可能性がある東京NOVAが、サプリメントの製作手として有望かと。(あ! 東京NOVAは領地管理できねぇや)
 
 また清水さんは、領民との触れあいも描写することのできるゲームシステムを所望しておられるとのことですが、それでもやはり、領地運営を行うゲームは、TRPGとしてではなく、ボードゲームのようなマルチゲームとして遊ぶルールを基盤においたものを使用するのが良いかと。
 領地運営を行う場合、ゲームとしては数値の管理が重要事項であり、所謂交渉判定により解決する事柄はやっぱり副次的なものになるのですから。(即物的な物言いになってすみませんが)
 
 それと、宇津見さんは清水さんにゲームの方針とゲームシステムのアイデアの提起を求められていますが、その方面の話しを行うのでしたら、「ルールを作成することについて」という板に移られることをお勧めします。あちらが賑わうのはわしとしても嬉しいですし。
(わしのこの話しも、サポート研究室に移ってしようかなぁ、とは思ったのですが... 自分勝手ですみませんね)
2003年03月07日:12時24分42秒
領地経営系RPG / 宮本 隆志
 清水さんの書かれている領地経営系RPGの話って、どれもAD&DのBirthrightを遊ぶ際には考慮する(すべき)話だと思うのですよ。
 国王のPCがいて、有力騎士のPCがいて、神殿を運営するPCがいて、その誰もが、(建前としては国王に従うことになってはいるけど)自分自身の軍事力と経済基盤を持っていて、一枚岩では無い状況を遊び得る。
 勿論RPGだから、必ずしも最適化した領国経営をしなくてはいけないものでもないし、シナリオイベントという形で陰謀物や交渉なども扱える。
 概ね私が遊びたいと思って遊んだBirthrightと、(文章から想像される)清水さんの考えているRPGと、同じようなものを理想に置いているように思うので、Birthrightはどの辺が不足だ、と思ったのか興味があります。
 まぁ領国経営のところは多分にボードゲーム的な抽象化がされていて、その辺が不満点なのかなぁ、と想像するのですが。
2003年03月07日:02時47分15秒
開墾領主系RPGシステム・・・欲しい・・・ / ミッキー
開墾領主系のRPGシステム・・・欲しいですね・・・
 できれば、開墾、経済発展、新規産業振興、治安維持、人口増加、領民の生活向上、軍事防衛等等、ある程度一般的な要素を一通りできるようなシステムにして欲しいと思います。
 
 なお、ミッキーが今一番楽しんでいるのはバトルテックというゲームなのですが、これがもう全員領主といってもいいようなシステムです。
 しかも、戦争による文明の破壊によって、後進惑星では牛にひかせた鋤で畑を耕すといった光景が頻出します。
 そういうわけで、ここでの議論は非常に興味を持ってみさせて頂いています。
 
 だって、ここの議論って、全部バトルテックに応用できそうなのですから!
  
 願いますれば、こちらで作成している領地経営システムを、汎用的に多数のRPGに対応可能なものにして下されると嬉しく思います。
 RPGのシステムそのものの作成を目指すのではなく、RPGの拡張ツールとして作ってくださると良いと思うのです。
 
 そうすすれば、需要は無数に有ると思います。
2003年03月06日:22時06分09秒
re:領地経営系RPG 3 / 宇津見
 清水さんへ

 現在のところ背景設定をあれこれ書かれていますが、まずは、基本的なゲームの方針とゲームシステム(今現実にプレイできるものでなくても結構)のアイデアを書かれてはどうでしょうか。

 例えばこのように。

・開墾領主RPG
 プレイヤーは開墾領主とその直接の部下を担当しする。
 実際の冒険の内容は、領地に襲ってくるモンスターの撃退、他所の領地との外交工問題の解決、交易の陣頭指揮など。
 プレイヤーキャラクターが使える戦力は、キャラクター個人の能力以外に、「動員力」「資産力」のポイントがあり、魔法やヒーローポイントのように領民や領地の資産を使うことができる。
 冒険を終えた最後には、成果ポイントを得て、領地の整備や拡大にあてることができる。
2003年03月06日:00時53分34秒
領地経営系RPG 3 / 清水
 最後の方策は周辺の同じような小領主たちとの間に連合を組み上げ、周辺地域の平和を構築するという方法です。この連合の中でリーダーシップをとり、権力を確立できれば、それは諸侯と呼ばれる存在になります。
 このような3つの方策による安全保障によって始めて小領主は領地を安定的に経営することが出来ますが、多くの場合、このうちどれを選択するかは領地入手の経緯、あるいは家の伝統によるものです。この安全保障は軍事的な面ばかりではなく、経済的な意味も持ちます。騎士級の領地には市場が存在せず、それは諸侯級の都市に依存しているのです。
 
>ELさま
 あと、もう一つ、出版社の「RPGの売り方」にも問題があったと思います。つまり読者と一緒に成長せずに、常に中高生を主要な対象とし続けた、あるいは最初から「売り逃げ」だけを考えていたような感じを僕は持っています。昔から僕はRPGのアニメ絵には違和感を感じていますが、出版社にとってRPGとはライトノベルの延長線上の商品であるのなら、それは当然の結果だったのかも知れません。
 
>宇津見さま
 でも、シミュレーションでは出来ないこともあるでしょう?
 多くのゲームとRPGの大きな違いの一つは「RPGは手を抜くことが出来る」ことだと思っています。将棋とかだと真剣に戦わないのは相手に対して失礼でしょう。それは最低限の礼儀でもあります。でもRPGでは最適戦略以外の戦略を何らかの演出のために取ることだってあるはずです。「敢えて負ける」というのはRPGにしか出来ないことではないでしょうか。僕のやりたい領地経営系RPGとはシミュレーションゲームのように「生かさぬよう、殺さぬよう」に領民から税金を搾り取って領土の拡大を目指すというプレイスタイルだけではなく、領民に優しく、敬愛されながらその優しさによって没落していく(新興勢力に圧迫されていく)領主をも肯定しうるものなのです。なんだか勝手に熱くなりすぎました、笑って読み流してください。
2003年03月06日:00時52分26秒
領地経営系RPG 2 / 清水
騎士級について
 ランク1・・・上層農民
 ランク2・・・騎士(人口二百人以上の村の領主)
 ランク3・・・上級騎士(合計五百人以上の複数の村の領主)
 
 ランク1の上層農民は領主というよりも、村落の有力者ですが、その地位に応ずる義務として自装して戦争に参加したりもします。そもそも騎士たる小領主は彼らの中から成長したともいえるので、ここでは騎士級に含めています。上層農民を除き、騎士、上級騎士は小領主として自立した領地経営者です。しかし領内の治安を維持し、外敵に備えるにはあまりにも領主として小さすぎます。その解決策として3つの方策が取られます。
 ひとつはその地域の諸侯権力に参加し、奉仕する見返りに安全を保障させる方策です。騎士級は諸侯級の重臣として政務に参加したり、部隊長として兵を預けられたり、親衛隊として護衛を勤めたりします。
 二つ目の方策として地域権力を超えた権力、国王級の権力に参加する見返りに保護を求めるやり方です。騎士級は国王級の宮廷で、実務官僚として政務を支えたり、歩兵隊長として戦争に参加したり、親衛隊として国王戦力の中核を構成します。
 この二つの権力への参加の違いは、保護の厚さと義務の軽重です。諸侯権力への参加は同じ地域に地盤を持つものとしてかなり融通のきいた保護を期待できますが、国王権力への参加はその規模の大きさから迅速で適切な対応を期待するのは困難であり、かつ国王の領土の広大さのため領地を頻繁に留守にするという不利益をこうむります。そのためすでに名声を勝ち得ている騎士級は地域権力に参加し、出世、加増を期待する騎士級は国王権力に参加する傾向があります。
2003年03月01日:09時28分19秒
実際の領地経営系ゲームの需要 / 宇津見
(もうしわけありません。直前の投稿には、意味が通じなくなる誤記がありました)
 なんだか否定的な事ばかり言ってもうしわけありません。
 領地などの経営ゲームというのは、そもそもプレイヤーの視点が個人レベルのRPG向きではなく、プレイヤーの視点がもっとマクロな視点の、シミュレーションゲームやマルチゲーム向きという事もあるでしょう。
 現に、コンピュータシミュレーションゲームでは国産、洋物ともに、コンビニ経営から神様役まで、様々な経営を扱うゲームがあり、売れているのですから。
2003年03月01日:09時23分49秒
実際の領地経営系ゲームの需要 / 宇津見
 なんだか否定的な事ばかり言ってもうしわけありません。
 領地などの経営ゲームというのは、そもそもRPG向きではなく、プレイヤーの視点がもっとマクロな視点の、シミュレーションゲームプレイヤーの視点が個人レベルのやマルチゲーム向きという事もあるでしょう。
 現に、コンピュータシミュレーションゲームでは国産、洋物ともに、コンビニ経営から神様役まで、様々な経営を扱うゲームがあり、売れているのですから。
2003年02月28日:23時45分35秒
領地経営系RPGが少ない訳を類推 / EL。
 西洋ではファンタジーTRPGと言っても、中世を舞台にしている訳ですから民族の過去にほぼ直結していますよね。つまり、その世界では人々がどのように暮らしているのかが、西洋では実感されているのだと思います。
 しかし、日本ではファンタジーTRPGのイメージをどこから引き出すかといえば、指輪物語やスレイヤーズなどの(極端な例を引き出しましたが)創作物から、ということになります。
 なので、日本のプレイヤーはあまり領地管理といったところにまで頭が回らないのではないでしょうか。
 
 他の考え方としては、やはりTRPGの遊び方が異なっているから、と考えることもできると思います。
 D&Dはとても長期にわたって遊び続けることをサポートしているゲームですので、PCが領主になることもありえますし、ペンドラゴンは、えー、実はよく知らないのですが、騎士をPCにするからには、あちらの人々は騎士が所有している荘園の管理のことでも遊びたいと考えると思うのです。
 
 日本でも、戦国時代を舞台にしたTRPGがもっと流行すれば、需要が生まれると思います。
2003年02月28日:19時24分40秒
領地経営系RPG 1 / 清水
 階級について
 漠然と領主といってもその内部ではいくつもの階級に分かれています。
 今回は領主の階級について述べてみます。
 この試論では領主を大きく3つに分類し、その中で更に3つに分類します。
 大きな3つの分類はそれぞれ騎士級、諸侯級、国王級です。
 
 騎士級には、騎士というより上層農民である自装する歩兵。二百人以上の村ひとつを支配する騎士。総計五百人以上の複数の村を支配する上級騎士の3つの階級があります。
 諸侯級には、それぞれ人口規模で三千人以上、一万人以上、五万人以上の3つの階級があります。王権のさほど強力ではない時代にはこの諸侯の階級が比較的に領内を強固に支配しているでしょう。
 国王級には人口規模で二十万人以上、百万人以上、千万人以上の3つの階級があります。人口千万人以上となればそれは国王というよりも皇帝というべきかも知れません。国王級の領主は諸侯連合の盟主というべき存在で、「中世」という時代にはかなり弱体な領主です。
 
>宇津見さま
 そうですよね。需要、ないですよね。でも、誰かはやっていてもよかったのではないかとも思います。
 私がやりたいのは「社会に埋め込まれた存在としてのキャラクター」であって、そのためには「世界を記述する」必要があり、スタティックな「ワールド設定」にも、どっかで聞いたようなパーツを寄せ集めたものになりがちなノリのセッションにも物足りない者にはシステムというダイナミズムが必要であり、その一環としての領地経営系RPGの試論なのです。なぜ、領地経営かというと・・・、箱世代D&Dの夢よもう一度というのと、AD&D「バースライト」になんか違うものを感じたのが直接の発端です。 長文スマソ
 
2003年02月28日:09時39分41秒
RE:領地経営系RPG / 宇津見
 単純に、需要がないからでは?
 普通に必要なのは、背景としての領地経営についての設定解説であって、プレイヤー自身が領地運営するためのゲームシステムが必要になるのは極めてまれでしょう。
 それに海外RPGでも、領地経営系のシステムがあるのは、プレイの人口と歴史が膨大なD&D/AD&Dや、本格的な中世騎士を扱うという特殊事情のある『ペンドラゴン』など、ごく少数のはずです。
2003年02月27日:01時32分55秒
領地経営系RPG / 清水
 何で、日本のRPGには領地経営系のシステムが 整備されていないのでしょう?
 こういう封建制度的な政治システムの記述が 一般に欠けているから、トホホな世界設定が多いのでは ないでしょうか?
 そういうわけで領地経営系RPGについてちょっと 書いていきたいと思います。
2001年12月07日:10時33分03秒
歴史SLGの煽り文句なんてのは / myrt
 皆さんがっちりした史実の裏付け方面からアドバイスされているので、 気軽な方面から。

 適当でも良いからてっとり早くワールド設定に生かせる要素が欲しいならば、 コンピュータ歴史SLGの広告の煽り文句を片っ端から 調べるなんてどうでしょうか。各社のホームページからたどれると思います。

 実際ゲームに生かされてるかどうかは別にして、新作が出るたびに「今度は 朝廷が○○としてゲームにからんでくるぞ!!」「今度は家臣の所領管理 がリアルだ!!」などと煽られています。歴史SLGは皮をはがせば単なる 戦争ゲームと大差ないものが多いので、煽られている 皮の部分が「(デザイナーが考える)単なる独立国家とは違う点」を表 現していると考えられます。

 例えばKOEI社の「信長の野望 嵐世記」では、「朝廷、幕府、商 人、国人衆、寺社衆、海軍衆、忍者衆の諸勢力が大きな影響力を持 つ!!」と煽られています。

 ディフォルメされた表現は設定に利用しやすいので、限界を弁えて用 いれば史実を調べるよりも便利な面もあると思います。
2001年12月05日:17時42分13秒
re:(井沢元彦関係の捕捉)…やっぱ、議論にします?(笑) / あきのり
一方的な弁明を長々と述べるだけに終始するかもしれませんが…^^;

> もし、井沢の著作を参照にするなら、民俗学とか宗教史とか、人類学の本も読んで、いちいちウラとる必要があるし。

はい、その通りです。故あって、自分自身も、井沢氏の御主張のウラ取りをやった経験があったので、断言します。

第1巻が出た当初とか、週刊ポストで義満の簒奪の陰謀のあたりを読んでいたときは、発想がひじょーに面白いな、と思ったわけですね。

ただ、宇津見さんも多分ご同様じゃないかと思うんですけど、学説のこき下ろし方が大変にハナにつくようになりました。また、そこから展開される方法論にも大問題があると、すぐに感じるわけです。

井沢氏は、よくこう主張するわけです。その当時の常識的なものは、当たり前のこと過ぎて、当時の人が書き記すはずもない…故に、文書の解読を中心に置いている、現在の歴史研究のあり方は限界がある、と。そして、氏の場合は、その部分を、自らの「作家としての想像力」で埋めると、ご主張なさるわけです。

冗談じゃない。その想像力とやらが正当なものであるという担保は、どこにあるのか? それは、井沢氏の良心というヤツしかないわけですね。そして、良心というのは大変に主観的なものです。他人から見れば、それは「独断と偏見ではないですか? 単なる思い込みではないですか?」ということも多々あるわけです。さらに氏の場合、古代・中世人の物の考え方を、あたかも現代人にまで通じるようなエトスになってしまっていると位置付けて、ただちに、戦後の我々日本人全体の政治的なあり様にまで繋げて問題にしたがる。しかも、それは、井沢氏なりのバイアスの掛かったあり様であって…あ…ここまでくると完全に脱線かな…^^;。

ともかく、これまでの史料で解き明かせないような仮説にアプローチしようとするならば、新史料の発掘と既存史料の批判の徹底こそが第一義である。それでも検証できなければ、歴史学ではない学問領域の方法や成果を援用して、主張の根拠と為す。鍼原さんの言われるように、民俗学、宗教学、人類学のみならず、哲学、文学、社会学、法学、政治学…社会科学・人文科学に分類されるあらゆる学問が使え、そして、それぞれの分野の専門の史的アプローチの方法も援用できれば、既にある成果を活用することもできる。それらの成果に基づいて学際的に探求すべきであるし、そうするだけの価値もある。これらが正当な方法であり、井沢氏の場合は、それを怠っている単なるディレッタントの主張でしかないと、おれ自身も認識はしているわけです。

> そんなメンドクサイことするなら、はじめっからそっち(民俗学とか宗教史とか人類学とか)の本読んだ方が早い、と思う。

この点、確かにその通りで、「きっかけくらいになればいいや」くらいの軽い気持ちで、挙げてしまった自分を恥じてましてね…^^;。今朝、来てみたら、やっぱり突っ込みが入っていたし…^^;;。挙げておくならば、確かにもっともっと補足的事項を書くべきであったと…。しかも、中途半端に弁明的なことを書いてしまって、自分の無定見ぶりをさらけ出しているようです(苦笑)。捨て台詞的に言わせてもらえれば、おれの場合は、井沢氏の主張のいくつかの検証作業が、自分の蒙を啓かせてくれるところが大であった…いや、すみません、本当に捨て台詞ですね。他人をミスリードするなよ…と言われれば、それまでです…^^;

> 井沢元彦の本(『逆説の日本史』に限らず)は、既存のカッチリしたシステムの、シナリオ・ソース、イメージ・ソース程度ならいいと思うんだけど。
> システムやワールドをデザインする作業の参照には、絶対しない方がいい、と思う。

うーん、やっぱり、その程度に押さえておいた方が、無難ですかねえ…。氏のご発想のいくつかは、非常にファンタジーに満ちていて…いや、やめておきますか…自分がそうするつもりも無いものを、他人に安直に推薦する態度自体が問題のような気がしますので…^^;;
2001年12月05日:11時38分16秒
re:(井沢元彦関係の捕捉) / 鍼原神無〔はりはら・かんな〕
@あきのりさんWrote
>既に本筋とは関係のない話になってしまいますので、おれもこのあたりにしておきたいと思います^^;
 
 あ、ぁ。
 じゃぁ、じゃぁ、議論は無しってことで、個人的感想意見書かせてくれますか?
 
 井沢元彦の本(『逆説の日本史』に限らず)は、既存のカッチリしたシステムの、シナリオ・ソース、イメージ・ソース程度ならいいと思うんだけど。
 システムやワールドをデザインする作業の参照には、絶対しない方がいい
、と思う。
 
 もし、井沢の著作を参照にするなら、民俗学とか宗教史とか、人類学の本も読んで、いちいちウラとる必要があるし。
 そんなメンドクサイことするなら、はじめっからそっち(民俗学とか宗教史とか人類学とか)の本読んだ方が早い、と思う。
2001年12月05日:11時25分47秒
re:(井沢元彦関係の捕捉) / あきのり
宇津見さんwrote
>あと、やたら強く繰り返す学会批判も、真に受けず話半分ぐらいに聞いておいたほうがいいでしょう。 …(後略)…

歴史関係の真っ当な知識をしっかりとインプットして、自分なりの考え方をちゃんと形成してから、読み飛ばすべきところは、ちゃんと読み飛ばす…所によっては、歴史的考察というよりも、井沢氏がお考えになるある種の「ファンタジー」なんだと考えた方がいい…そういう読解の仕方が必要な類いの読み物であると、自分なりには認識していると捕捉させて下さい(苦笑)。

読み物としては、それなりに面白い味はあるし、戦国時代風の中世RPGの世界設定として、氏の御説の一部を取り入れても面白いかもしれない(例えば、祟り神の信仰が、暗黙の、しかも絶大な影響力を持つ社会など)…しかし、検証された歴史的事実を客観的に学習しようというには、明らかに不向きということで…^^;

実は、自分でも「問題は多々ある」と認めているものを挙げるべきではなかったと、今さらながらに後悔をしてるんです(苦笑)。

鍼原さんwrote
>(井沢元彦はちょっと……、と思うのですが、これは論旨が別になるので今は触れません)

はい、その通りですね。既に本筋とは関係のない話になってしまいますので、おれもこのあたりにしておきたいと思います^^;
2001年12月05日:10時33分07秒
re:探してみました(井沢元彦関係の補足) / 宇津見
>『逆説の日本史」』(1〜9巻)、井沢元彦、小学館

>なんかもいいかもしれません。内容面に問題は多々ありますが…(小説家とし
>ての「想像力」を前面に出しすぎているとか、作者の政治的な思いからくるバ
>イアスがそこかしこに見て取れるとか…)。
 あと、やたら強く繰り返す学会批判も、真に受けず話半分ぐらいに聞いておいたほうがいいでしょう。
 ちなみに井沢氏、『神々の指紋』ブームで著者のハンコックが来日した際、あの本と著者のインチキにころりとだまされて(もっともあれは、普通の歴史や考古学知識はあっても、オカルトや擬似科学を知らない人はたいてい、騙されてしまうようですが)、「学会の権威主義と誤謬に抵抗する同志」として持ち上げていたりしていますし。
2001年12月05日:08時33分26秒
「調べ学習」シリーズ、他のご紹介(Re:探してみました) / 鍼原神無〔はりはら・かんな〕
>蓮華さんへ
 あ、『天皇と天下人』って、新人物往来社の本ですね。よい本だと思います。
 が、新人物往来社は、歴史マニア向けの本を主力にしてる会社ですので。
 『天皇と天下人』、一般読者向けって言っても、「専門研究者向けじゃないよん」ってだけで、歴史に詳しい一般読者向けなんですよね。
 
>あとは、子供向けに書かれている物でも読んで見ようと思って借りた本もあるんですが…
>それらの本に限って突然、聖徳大使と用名天皇とか出てきてどうなっているの? みたいな…
 
 なるほど。
 子供向けに書かれた本を読むのは賛成です。
 アタシも、自分がよく知らない分野に取り込むときは、岩波ジュニア新書とか、ちくまプリマーブックスとか、あの辺で信頼できそうで、要領よくまとまってる本を探します。
 
 ただ、子供向けの本って、大人向けの本以上に、良書といい加減な本の落差が激しくって。
 もう出てないですけど、「ちくま少年図書館」のシリーズとか良かったなぁ。(ちくま少年図書館のシリーズは、古本屋さんでみかけると今でも購入を検討します)
 
●児童書セレクト
 TRPG.NETが、仲介販売契約(経由購入でマージンが入る)を行っているオンライン書店ビーケーワンをあたってみました。
 
 次が、児童書ですけどいかがでしょうか、と思うあたりです。
 申し訳ないのですが、この分野では、最近は児童書読んではいないので、版元とか、著者とかからの類推でのご紹介になってます。
 
 今谷明、著,岩波ジュニア新書335 日本の歴史 5『戦国の世』,岩波書店(利用対象:中学生、高校生)
 ISBN:4-00-500335-4

 この本、読んだことないですけど。書店でみかけたら、速断アタシ購入しちゃいます。 普段気難し気な今谷さんが、中・高生向けにどんな語り口してるのか。それだけでも見物(笑)。 いや、内容もきっと優れてると思います。
 
 田代 脩監修,調べ学習日本の歴史13『武士の研究 武士の誕生から没落まで900年の歩み』,ポプラ社(利用対象:小学5−6年生)
 ISBN:4-591-06740-8
 
 この本も、読んだことないですけど、「武士の誕生から没落まで900年の歩み」って言う切り口は「買い」だろうと思います。手にとって検討する価値はあるかと。
 
次点:ビーケーワンの検索で調べたところ、ポプラ社の「調べ学習日本の歴史」のシリーズには――
 
 4『金閣・銀閣の研究 日本文化のルーツをさぐる』、と、5『国大名の研究 乱世を生きた武将と民衆の姿』がありました。どちらも利用対象は小学5−6年生。
 
 4『金閣・銀閣の研究』、は「日本文化のルーツをさぐる」って切り口が今回の蓮華さんの目的とはあわないだろうな、と思いました。
 
 5『国大名の研究』は、「乱世を生きた武将と民衆の姿」って切り口は微妙なラインなんですけど。
「信長や秀吉、家康など戦国大名、川中島や長篠の合戦、戦いを変えた鉄砲などの武器、戦国時代の城などを紹介」ってところが、ちょっとマイナス。 盛期(中期)〜末期にかけて戦国時代が煮詰まったころの事件史だろうと予想されます。 やはり、今回の蓮華さんの目的、戦国大名の統治の仕組みの変遷を考える、にはあわないように推測します。(が、手にとって検討してみてもよいかもしれません)
 
●概説書
>それらの本に限って突然、聖徳大使と用名天皇とか出てきてどうなっているの? みたいな…
>学校でやった覚えも無いからどおりで判んないわけだと…
>ここら辺は「日本書紀」とかも含めて色々と読まないと駄目です
 
 なるほど。
 えーと、歴史関係は、背後の大まかな流れを頭に置きながら、対象の時代を深く調べていくのがよいと思います。
 その意味で、あきのりさんご紹介の『日本社会の歴史』(網野善彦)は、アタシもいいと思います(井沢元彦はちょっと……、と思うのですが、これは論旨が別になるので今は触れません)
 
 人名や、歴史用語に関しては、日本史事典を手もとにおいて、必要に応じて参照するのがよいかと思います。とりあえず受験用のハンディなもので構わないと思いますよ。
 
 後、この関連でお勧めできるのは次の本です。
 
 上杉荘介、他、編,有斐閣ブックス『日本史の基礎知識』,有斐閣
 ISBN4-641-08357-6
 
 この本は、237項目の歴史用語を主題に、ページ単位での解説を編集することで日本史の変遷を浮き彫りにする、といった手法の本です。
 解説は、学部学生が日本史専攻に進むときに読むってレベルで。
 ちょっと固いですけど、カッチリした内容です。見開き程度の分量なので、固い内容でも吟味し易いと思います。
 
 今回の蓮華さんの目的に関連するところでは「守護大名」「日本国王」「応仁の乱」「中世の村落」「庄屋の一揆・村一揆」「戦国大名」「国一揆・一向一揆」「中世の農業」といった項目が続いています。
 
 1974年初版刊行で、内容面ではやや古くなっているところも見られると思います。 が、用語の解説による歴史変遷の浮き彫り、というメリットとはかりにかえると、今でも使える本だと思います。
 内容面も「やや古くなってる・かもしれない」ことを念頭に置いて読まれるようにすれば、さほど差し障りにはならないと思います。
 
 最後にこれから狙い目なシリーズをご紹介します。
 山川出版社の「日本史リブレット」シリーズです。
 
 全68冊の予定で順次刊行中です。
 
 A5判100ページ内外で、定価800円内外を「高い」と思う人もいるんですけど。
 このシリーズは系統的な調べごとには本当に便利です。
 コンパクトで、しっかりしてて、よく整理されてて。
 主題が近い本を2、3冊併読すれば、多面的な観方もできますし。

 戦国大名の関連ですと、今後の刊行予定ラインナップに次のようなものが予告されています。
 19『中世に国家はあるか』
 21『一揆の世界と法』
 24『中世の交通と都市』
 26『戦国時代、町と村のかたち』
 27『中世の金融資本』
 
 19『中世に国家はあるか』とか、題名からしてキョーレツ(笑)ですねぇ。
 ちなみに「帝」の関連だと、36『江戸幕府と朝廷』が既に刊行されています。
 未読なんですが、ご紹介させていただきます。
2001年12月04日:10時43分36秒
re:探してみました / あきのり
そこまで踏み込んじゃうなら…

『逆説の日本史」』(1〜9巻)、井沢元彦、小学館

なんかもいいかもしれません。内容面に問題は多々ありますが…(小説家としての「想像力」を前面に出しすぎているとか、作者の政治的な思いからくるバイアスがそこかしこに見て取れるとか…)。ただ、直感的に、天皇の王権というものへの畏怖の念がどのようなものであったのか、ということを理解する一助になるかと思います。また、第7巻は、足利義満の「簒奪」の陰謀を中心に記述してますが、鍼原さんが上げた、今谷明氏の説を多く引用していましたかね。

基礎的知識として、ざっと日本史…特に、「国家」という権力の歴史だけでなく、「国家権力」を受けとめる人の集団としての「社会」の歴史にも目配せして理解したいというのなら

『日本社会の歴史』(上中下巻)、網野善彦、岩波新書

なんかも、お奨めしておきます。古代から近世に至るまでの日本史を概略的に頭に入れたいとか、鍼原さんやsfさんが上げた本を読む際に、参照図書として横に置いておくとかに、いい感じの本かな…と思います。何と言っても、新書だから安くて、手軽で、コンパクトなのが良い(笑)。
2001年12月04日:00時01分54秒
探してみました / 蓮華
鍼原神無さんへ
図書館で見つけたものは「戦国大名と天皇」「天皇と天下人」「呪術と占星と戦国史」(SFさんのお勧め)
で、ちらっと「天皇と天下人」を初め読んで見ましたが結構基礎知識と言うものが無いと難しいですね(現時点で松本清張との対談)
ただ、ちっとやそっとじゃわからない部分、学者先生ですら色々と悩んでいるですね
これから本文部分をじっくり読んで見たいと思います
あとは、子供向けに書かれている物でも読んで見ようと思って借りた本もあるんですが…
それらの本に限って突然、聖徳大使と用名天皇とか出てきてどうなっているの?
みたいな…
学校でやった覚えも無いからどおりで判んないわけだと…
ここら辺は「日本書紀」とかも含めて色々と読まないと駄目です
2001年12月02日:01時59分33秒
追記:Re:戦国大名て(お勧め書籍のご紹介) / 鍼原神無〔はりはら・かんな〕
>蓮華さん
 たびたびすみません。少しだけ補足を。
 
 先にご紹介しました、今谷明,集英社版日本の歴史9『日本国王と土民』(ISBN4-08-195009-1)
 
 −−なんですけど、室町守護大名体制の解体から、初期の戦国大名体制の形成までが概説されています。
 
 普通、いわゆる戦国時代の概説書ですと、盛期(中期)〜末期戦国の時代が中心に置かれることが多いので。『日本国王と土民』は、貴重な本と思います。
 
2001年12月02日:00時14分53秒
Re:戦国大名て(お勧め書籍のご紹介) / 鍼原神無〔はりはら・かんな〕
>蓮華さん
 こんにちは。はじめまして。
 ちょっとタイミングが遅かったかもしれませんが。
>図書館なりで色々と調べてみます
 
 −−と、いうお話ですので。
 戦国大名とその政治体制という主題でしたら、
 日本史の中世研究者の、小和田哲男さんと、今谷明さんの著作をお勧めしたいと思います。
 
 小和田さんは、まずは、
 
 『戦国大名』 (教育社歴史新書 日本史)
 
 −−を、お勧めします。
 小和田さんは故人で、この本もやや古いのですが.
 新書本のヴォリュームの概説書としては、とてもバランスがよいです。
 
 今は新刊では入手できないようですが、図書館で見つけられたら是非お勧めしたいです。
 
 今谷明さんの方は、特に「なぜ、『帝』が残っているのか」の関係でお勧めできる本が数冊あります。
 
 『戦国大名と天皇 室町幕府の解体と王権の逆襲』 (講談社学術文庫)
 ISBN4-06-159471-0
 
 『武家と天皇 王権をめぐる相剋』 (岩波新書)
 ISBN4-00-430286-2
 
 『信長と天皇 中世的権威に挑む覇王』 (講談社現代新書)
 ISBN4-06-149096-6
 
 それから今谷さんはもともと室町の足利政治史の専門家ですので、そっちの関係も読まれると「戦国大名」のイメージが立体的に感じられるようになるかと思います。

 この関係ですとまずは、次の本などがお勧めです。
 もちろん「帝」の関係も論考されています。
 
 『室町の王権 足利義満の王権簒奪計画』 (中公新書)
 ISBN4-12-100978-9
 
 集英社版日本の歴史9『日本国王と土民』
 ISBN4-08-195009-1

 補追になりますけど、『日本国王と土民』を読まれることがありましたら

 池上 裕子著『戦国の郡像』 (集英社版日本の歴史10)
 ISBN4-08-195010-5
 
 −−を、併せ読まれることをお勧めしたいです。
 
 池上さんの本では、戦国大名の統治と密に関る、中〜下層階層、特に惣村の自治権力についてが書かれています。
 ワールドを作られるご参考でしたら、きっとお役に立つかと思います。
2001年12月01日:23時29分21秒
戦国大名の統治の国家性 / sf

 現代日本人の考えるような、強固な国家意識/国民意識のある近代国家的な考えかたからは、戦国時代の諸大名は国家とはいえないでしょう。土着の豪族にたいして、実力・実績・権威・賃金・個人的繋がりによって、調停と法の行使の権限を相手に認められた存在に過ぎませんから。動員能力にしても、配下の面々は利益になると考えられるからこそ協力するのであって、直接指揮下にある戦力はさほど多くないわけです。

 現代風にいえば、株の(持株会社ほど集約されない)持ち合いによる企業グループのリーダーとか、人的繋がりと信頼・実績によるTRPGのサークル/ボランティア団体の役員、メンツと実績と心理的権威づけにより支配するヤクザの大親分、のようなものだと考えるといいんだと思います。どれも、それなりの内部的なルールや権力があり、それを支援する外部の存在が重要ですよね。

 このような集団は、個人的な繋がりと儀式儀礼、そして外部の権威によって、リーダーの正当性を支持します。そのための外部の権威として、過去の権威である天皇や将軍が利用されたというわけですね。事あるごとに行われる呪術的な儀式(『呪術と占星の戦国史』など参照)なんかも、戦国大名の権威づけのシステムであると考えることができると思います

 最近だとアフガニスタンの北部同盟その他のような軍閥なんか、立ち位置的に戦国大名に近いと思います。亡命国王を頭に据えてうんぬんとかあたりも、そっくりですね。


2001年12月01日:23時20分13秒
re:戦国大名て /回答、ありがとうございます / 蓮華
あきのりさんへ
かみ砕いて、なおかつ具体的な例題を上げて頂いて参考になりました
ただ、一つ気になったのがなぜ、なぜ、「帝」が残っているのか…
だけど、この点に関しては「帝」の成り立ちが元々が「神」の
子孫として崇められていたと言う事でしょうか
昔流し読みした「岩波版」の古事記とか、あとは太平洋戦争終結時の
「人間宣言」とか考えれば合点が行きますね(自己完結)
教えて頂いた事を参考にしながら図書館なりで色々と調べてみます
2001年12月01日:16時47分42秒
TRPGのための政治学的設定の部屋 LOG 007 / sf

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