[KATARIBE 31295] [HA06P] エピソード『その妹、ブラコンにつき』

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Date: Fri, 31 Aug 2007 13:07:22 +0900 (JST)
From: Subject: [KATARIBE 31295] [HA06P] エピソード『その妹、ブラコンにつき』
To: kataribe-ml@trpg.net
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2007年08月31日:13時07分21秒
Sub:[HA06P]エピソード『その妹、ブラコンにつき』:
From:久志


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エピソード『その妹、ブラコンにつき』
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登場人物
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 御羽仁藻(おわ・にも)
     :通称、ニモ。小学六年生。ツインテールつり目ニーソな女の子。
 橋本保鷹(はしもと・やすたか)
     :ニモと同じ塾に通ってるらしい小学六年生。
 御羽貞我(おわ・ていが)
     :通称、オワタ。高校二年のニモの兄。

ニモ、塾にて
------------

 学校が終わって、塾についてすぐのこと。
 ポケットに入れた携帯がメールの着信を告げていた。

 ニモ     :「あ、ママだ」

 専用の着信音、携帯を開いてメールボックスを開く。

 母      :『タイトル:ごめんね 
        :本文:今日、ちょっと緊急のトラブル対応がはいっちゃっ
        :たの。ご飯先に食べて寝てていいわ』
 ニモ     :「ママ……」

 十年程前、父と離婚してからデパート販売員として働きながら、一人で子供
二人を育てている母。生活はなんとか苦しくない程度に送っていけるものの、
休みの日や早く帰ってくる日は限りなく少ない。

 続けてメール着信中、携帯から響いた聞きなれた着信音に顔を曇らせていた
ニモの目がぱっと輝いた。

 オワタ@メール:『タイトル:メールみた? 
        :本文:母さん遅いってさ、先帰ったほうがメシつくる?』

 五つ上の兄、貞我。通称オワタからのメール。
 本文を三回読み直してから返事のメールを打つ。

 ニモ@メール :『タイトル:ご飯たいておいて 
        :本文:塾終わったらスーパーよるから、それくらいやれよな』

 このズボラな兄に料理を任せておいたら、いつものごとく二割引きの豚肉に
塩と胡椒を振って焼いただけの味気ない夕飯になること請け合いだ。

 ニモ     :「しょーがない奴だよね、もう」

 パタンと携帯を閉じてうんうんと頷く。心なしか少し嬉しそうでもある。
 隣の席でノートを広げていた塾の友達、保鷹が丸い目をぱちくりさせてニモ
の顔を見る。

 保鷹     :「ニモちゃん、どしたの?」 
 ニモ     :「うん、今日ちょっと早く帰らないと」 
 保鷹     :「あれ、なにかあったの?」 
 ニモ     :「うん、ママがお仕事で遅くなるって……ご飯当番あたし
        :だし」 

 残念な口調ではなく、ちょっと胸を張るように。

 保鷹     :「へえ、えらいね」 
 ニモ     :「ホントもう、オワタが全然お料理とかダメなんだもん、
        :あたしがちゃんと作らないと栄養かたよっちゃうもん」

 ぷん、と。しょうがない奴なんだから、とでも言わんばかりの顔で携帯を軽
くにらむニモの顔は心なしか台詞と違って、嬉しそうに見える。

 保鷹     :「ああ、おにーさんの」

 ことあるごとに口にするオワタという人物がニモの実の兄だということは、
保鷹は随分前から知っていた。
 やれ、オワタは掃除がいい加減だからあたしが見てあげないと。
 やれ、オワタは料理がすっごく適当であれこれ考えてあげないと全然ダメ。
 やれ、オワタは洗濯物の表示とか全然見てくれないから注意しないと大変。
 などなど。
 兄がいかにダメで、自分がついてないといけないと言うことを実に嬉しそう
に語る姿は、いつも嬉しそうに見えた。

 保鷹     :「たいへんだねぇ」 

 何となく、遠まわしに兄に甘えてるんじゃないかなあというのは、同じく
兄弟のいる保鷹にも薄々わかっていた。

 しかし、波乱はこのあと数分後に起こった。
 メール着信、ぴこんと飛び跳ねるように携帯を確認するニモ。

 ニモ     :「オワタだ」

 いそいそと携帯のメールを読んで……ふと、ニモの顔がぴきっとこわばった。

 オワタ@メール:『タイトル:すげーぞ 
        :本文:学校の後輩の子がオムライス作ってくれるぜ! 
        :買い物しなくていーぞ、まっすぐ帰ってこいよ』

 ニモ     :「…………」
 保鷹     :「…………に、にもちゃん?」 

 携帯を睨みつけたまま眉根を寄せて黙り込んだニモに恐る恐る声をかける。

 学校の後輩。
 オムライス作ってくれる。

 保鷹     :「……あ、あのー」

 この時、保鷹の目にはニモの背後でめらめらと燃え上がる炎が見えたような
気がした。

 ニモ     :「………………誰」

 体の底からこみ上げてくる熱い何かの正体も良くわからぬまま、携帯を片手
にわなわなと震えつつ。

 ニモ     :「誰よ!それっ!!!」>きぃ 
 保鷹     :(びくぅ) 

 ツインテールの髪を跳ねさせて携帯に向かって咆えるニモだった。

時系列と舞台
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 オワタの妹、ニモ、塾にて。
解説
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 [HA06L] ランダム小隊・ふわとろオムライス
 http://www.trpg.net/ML/kataribe-ml/31200/31292.html
 オワタの妹、ニモサイドのちょっとした会話。
 http://kataribe.com/IRC/KA-02/2007/08/20070830.html#220000
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