[KATARIBE 31048] [HA06P] 笑顔の貴方が一番好き

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Date: Thu, 31 May 2007 00:55:28 +0900 (JST)
From: Subject: [KATARIBE 31048] [HA06P] 笑顔の貴方が一番好き
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2007年05月31日:00時55分27秒
Sub:[HA06P] 笑顔の貴方が一番好き:
From:Toyolina


[HA06P] 笑顔の貴方が一番好き
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登場人物
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 蒼雅紫
 品咲渚


浮かれて
--------

 もう五月も終わろうという頃。
 昼間は少し蒸すように暑く、夜は逆に未だ冷える。

 渚      :「紫のおうちは静かで勉強はかどるなー」

 お風呂を頂いて、パジャマに着替えて、その上から借りた袢纏を羽織って、
紫に話しかける。紫の部屋はとても片付いていて、見習わないといけない、そ
う思った。

 渚      :(それにしてもいつきても広々としてる)

 とうの紫はというと、どういうわけか、部屋のお掃除、片付けに夢中になっ
ているようだった。次から次へと、片付いていく。本棚も、箪笥も。
 障子の組子を拭き始めたところで、その手際の良さに見とれていた渚は、我
に返る。

 渚      :「いやそんな、障子まで……お姑さんでもおるん? もし
        :かして」

 脳内では、意地悪そうなお姑さんが、「紫さん、まだ汚れていますよッ」な
どと嫌みたらしくねちねちと紫を叱責していた。

 紫      :「いえ、でも……お客を招くときは部屋をかたづけなけれ
        :ば、と」
 渚      :「もう十分片付いてるよ。お布団と机しかなくなっちゃっ
        :てるんやもん」

 以前に二人で行った、山あいの温泉宿を思い出させる空間になっていた。
 八畳ほどの畳の間に、並べられたお布団と、隅に押しやられた机。

 紫      :「で、でも! せいいっぱいお迎えできるように心を尽くし
        :ました!」
 渚      :「うん、それは見ててすごく伝わってる。でもあれ、普段
        :使ってる本棚とかまで片付けんでも」
 紫      :「す、すみません。つい、全部押し入れにしまってしまい
        :ました」

 しゅん、となる紫。

 紫      :「でも、久しぶりに渚さまが遊びにくるのでついうれしくて」

 いつもは、紫が渚のところに遊びに来ているのだった。というのも、紫の家は
山裾にあって、市街地からは結構な距離がある。どうしても、紫が訪れることが
多くなるわけだ。それだけに渚が訪れ、渚を迎えることが、紫には嬉しくてたま
らなかったらしい。端的に言えば、浮かれていた。

 渚      :「……っ」

 努めて冷静にツッコミを入れていたが、渚の内心は、そんな紫が可愛くて愛し
くてしょうがない。抱きしめたくなる衝動をぐっとこらえる。

 紫      :「……でも、ええと……大学生らしい部屋にしたいとも思うん
        :ですが、なかなかうまくいかなくて」
 渚      :「これはこれで大学生ぽい感じするよ、えーっと、ほら、
        :前映画でみたけど、大正とかの大学生ってこんなお部屋」

 映画で見た大学生(男子だったが)の下宿の部屋は、四畳半に卓袱台、教科
書やらが詰め込まれ、隅に山積みになっていた。共通点といったら、畳くらい
しかないのだが、渚の贔屓目にかかれば、紫には何でも似合ってしまう。

 渚      :「落ち着いた感じやし、紫に合ってると思う」

 今は片付きすぎてて、ちょっと落ち着かんけどな、と内心付け加える。

 紫      :「そうですか? ……よかった」
 渚      :「うん、でもなんか白い家具とかピンクのカーテンとか、
        :そういうのも似合いそう。すっごい可愛い感じの。んで、
        :くまのぬいぐるみとかあったりして」

 大きなリボンにエプロンドレス。アリスか甘ロリにしか見えない紫が、くま
のぬいぐるみを抱っこして、嬉しそうに笑っている。渚の脳内にある、紫専用
ドライブの紫想像フォルダは、コンテンツの更新頻度が極めて高いのだった。


抱擁
----

 渚      :「……ねえ紫、一つ聞いてええかな」
 紫      :「はい、なんでしょう」

 紫は褒められて喜んだまま。その気分を害する質問をすることを、渚は申し
訳ないと思った。しかし。先日、泊まりに行くことが決まってからの紫のはしゃ
ぎ方が、少し無理しているように思えたのだ。
 たぶん、こちらから訊かないと、紫は限界まで耐えようとするだろう。それ
は渚にとって、紫を苦しめることと同義なのだ。

 渚      :「あれからさ、正樹と会った? うちがあのアホに絡まれ
        :てたとき(※)から後で」
 紫      :「え」

 紫がどう反応するかで、渚は状況を判断しようと思っていた。
 嬉しそうなら、仲直りのきっかけにもなりそうだし、怒っているようだった
ら、あれから会っていないと判る。
 渚の目には、とてもゆっくりと映った。
 ほんの少し、肩を震わせて、それを必死に抑え、こらえている紫の姿が。

 渚      :「……ごめん、無理に答えんでもええんよ。ただちょっと
        :ほら、大学とかちゃんと来てるみたいやったし、それやっ
        :たら、謝りに来たりしたかな、とか思っただけやねん」

 紫と正対して、渚はゆっくり話しかける。

 紫      :「……あいました、でも」
 渚      :「うん」
 紫      :「……でも」

 言葉を継ごうとして、黙ってしまう紫。

 紫      :「……」

 そして、俯いてしまう。

 紫      :「……もう、ダメかも、しれない……な、って」

 ずっと、こらえている。
 しかし、もう、限界に達しているようだった。
 渚は紫の顔を軽く抱き寄せてささやいた。

 渚      :「そう……ごめん、ほんと、きかんかったらよかったね」
 紫      :「……私は、忘れたくなくて、でも」

 どうにか、ぎりぎりで踏みとどまっている紫の髪をなでる。

 紫      :「……正樹さまは……」
 渚      :「うちは……うちやったら、忘れたり……絶対せーへんのに」

 言葉は浮かばなかったが、紫を慰めようとして。
 渚は、思わず本心をもらしてしまっていた。
 自分でもすぐ気づいたのだが、もう抑えようがなかった。

 紫      :「……渚さま」

 軽く息を飲む紫。
 すぐ側で、渚の声が続く。

 渚      :「……うちは、ずっと紫の側におる。紫がイヤやなかったら、
        :ずっと。それで……待ってる」
 紫      :「……はい」

 そのまま、紫を抱き寄せる。紫も渚の背中に手を回して、抱きしめていた。
 ぽろぽろと、こぼれる涙が、胸元に染みた。熱を帯びていたそれは、すぐに
山裾の冷えた空気で冷めていく。

 渚      :「うちは……紫のこと、全部好き、大好き。でも、でも、
        :笑ってる紫が一番好きなん。そやから……」
 紫      :「……はい、ありがとう……ございます」

 どちらからともなく、腕をゆるめて、見つめ合う。軽く握った手で、紫は涙
を拭った。それでも零れる涙の残りは、渚が指先で拭う。

 そして、そのまま二人は寄り添って眠った。


おまけ
------

[Hisasi]  ……もうみぎーと二人の世界に旅立ってしまいそう
[Toyolina] ついに。
[Hisasi]  だってもう
[Hisasi]  みぎーの海よりも深い愛が
[Toyolina] 深いですねこの人。
[Hisasi]  うむ

[Toyolina] そのうち先輩とタメはれそう
[Hisasi]  マジで

[Toyolina] 将来設計とかしてそうです、既に。
[Hisasi]  渚様と二人で生きていきます
[Toyolina] ゆかりんパパママにご挨拶。世間体とか大変な事態にしてしまって、
      申し訳ありません。でも、二人で生きていくって決めたんです
[Hisasi]  棗ママあたりは笑顔で送り出してくれそうですよ
[Toyolina] パパは……

 なつめ    :「まあ、二人ともお幸せにね」<手を振って
 譲パパ    :「ゆ、ゆかりー」

[Hisasi]  目の幅滝涙

 棗ママ    :「まあ、お父さん。お父さんにはお母さんがいますから、
        :ね?」
  
[Toyolina] 娘が二人になったとか喜ばれそう>ママ
[Hisasi]  泣いてるお父さんを膝枕して慰めておきます

[MOTOI]   りっちゃんますますおいてけぼり。
[Toyolina] りっちゃんを邪険にしているつもりもするつもりもないんだ。
[Toyolina] これがきっとアレ。暴走とか制御不能とかそれなんだ。今強く
      強く実感してる。
[Hisasi]  うむ、、
[Hisasi]  もう二人は走り出してる
[MOTOI]   いっそ明美が正樹君と……(マテマテマテ
[Hisasi]  それはそれで、、、そうなったらもう歯止めが
[Toyolina] なまじ自由があるだけに勢いで突っ走る。大学生っぽくていいですね


おまけ2〜大学生の恋愛の一例
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[Toyolina] 大学入ってサークル入って最初の集まりんときに
[Toyolina] お腹大きい三回生の人みて
[Toyolina] 大学ってSUGEEEEEEって思ったもの。
[Toyolina] ショックも出かかったけど。現実にこんなのあるんだ! って
[Toyolina] デカかった
[gombe]   ほー
[Toyolina] 吹田にあるデカイ大学なんで、まあそういう人もいますわね。
[Toyolina] って隠してもしょうがないや。さんざん言ってるし。関大なんだけどw
[gombe]   吹田かw
[Toyolina] よく自動車学校のスクールバス使って通学してましたよ。
[gombe]   学生結婚とか卒業直後結婚とかは結構いたけど、進行形パパママを
      目の当たりにしたことはありませんのう
[gombe]   うはw>自動車学校の

[Toyolina] あたしもうすぐ休学するから、産休
[Toyolina] 学生で産休!? 

[Toyolina] っていうカルチャーショック。
[gombe]   産休(汗)
[Toyolina] 大学生の恋愛って生々しくて結構好きなんですよ
[Toyolina] ゼミが別々になって別れる寸前までケンカするとか
[Toyolina] ええやんゼミくらい、とか外から見てると思うんですがw
[gombe]   ほへーw
[gombe]   生々しいっちゅーか、ぶっちゃけ若いなあw
[Toyolina] ですよねw
[Toyolina] 会社で言ったら部署が違うくらいのことなのに。
[gombe]   うんw

[gombe]   きっと大学だと、もうこの広い銀河で私たちの接点はなくなるのね、
      とかと同じに感じるに違いない(ぇ
[Toyolina] かなりソレに近いのがあると思います。
[gombe]   大学ってホームポジションがありませんからね。同じ場所に集ま
      るという保証が欲しいのかな。

[Toyolina] オレが居ない間にこいつ他のゼミ生に声かけられたりするんちゃ
      うか(嫉妬)
[Toyolina] うちがおらん間にこいつ、他の女にちょっかいだしてんちゃうか(疑念)
[Toyolina] メラメラ
[gombe]   ああ、あるかも。>俺がいない間に〜
[Toyolina] って思い始めると、そのうちこいつ浮気してるとか思い出したりして
[Toyolina] 破局w
[gombe]   若っw
[Toyolina] あとアレっすよ、就職がまた最後の難関で。
[Toyolina] 彼女は地元残るけど、おれは東京行く、とかなったりして別れたり
      とか。
[gombe]   あ、でもそれは絶対別れるね
[Toyolina] 続かないですもんね。

[Toyolina] その辺の葛藤とか、ドロドロしてて
[gombe]   今別れなくても就職半年後には別れてる
[Toyolina] 話のネタとしては大好きです。
[gombe]   生存率1割くらいか(ぉ
[gombe]   面白いなあw
[Toyolina] そんなもんすね。あと結婚率も半減しますね。大抵。
[gombe]   結構その辺に「縁」はなかったんで、なかなか実感として自分の
      話のネタに持って来れないんですよなあ >話のネタとしては好き

[gombe]   ぶっちゃけ
[gombe]   遠距離恋愛に二人ともが本気になるのは、至難の業
[Toyolina] そうですね
[Toyolina] お互い気が長くて信頼関係があって、あとは離れすぎない、のが
[Toyolina] 大学卒業〜就職三年
[gombe]   まして、離れてから相手を射止めようなんざ奇跡
[Toyolina] くらいの年代だと必要条件ですね
[gombe]   ですねえ


時系列と舞台
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 2007年05月末頃

解説
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 ※ [HA06L] 渚と元彼
      http://www.trpg.net/ML/kataribe-ml/31000/31008.html

 お幸せに。
 そう言わざるを得ない。

 そして訂正箇所あったらお願いします>Hisasiさん

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Toyolina




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