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Date: Sat, 3 Mar 2007 18:38:09 +0900 (JST)
From: Subject: [KATARIBE 30869] [HA21L] エピソード『鎮める者達』
To: kataribe-ml@trpg.net
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2007年03月03日:18時38分09秒
Sub:[HA21L]エピソード『鎮める者達』:
From:久志
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エピソード『鎮める者達』
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登場人物
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蒼雅梓(そうが・あずさ)
:蒼雅家長女。御霞神社の巫女として水を鎮める任につく。
蒼雅巧(そうが・たくみ)
:蒼雅家の現当主。霊鷹秋芳を使役する。梓の弟。
蒼雅西条(そうが・さいじょう)
:蒼雅家の一人。主筋である梓に想いを寄せている。
舞
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夕刻、御霞神社。
社の地下に広がる空間、そこに湛えられたのは金色の水面。
梓 :「………」
静かに水面の上に立っているのは、薄茶色の長い髪をゆるく束ね、巫女装束
姿でその手に鈴を持った一人の女。その顔を覆っているのは、目を見開いて牙
を剥きだした竜の面。
一歩ゆっくりと足を踏み出し、水面につくと同時にその手を振る。
澄んだ鈴の音がしんと静まり返った地下の空洞に響く。
静かに波紋の広がる水の上、一歩足を踏み出す毎に左手に持った鈴を鳴らし、
右手の中指と人差し指を伸ばして手を握り、刀に見立てて正眼に構える。
シャン。
響く鈴の音。
見えない何かを断ち切るように、振り下ろされる手刀。
さわさわと揺れる水面の上で動きを止める。
一瞬、女の体から広がるように空洞を満たし更に外へと何かが広がっていく。
鎮めの舞。
浄化の巫女。
蒼雅梓がその身に負った使命。
再び鈴を手にゆっくりと舞を続ける。
何度も繰り返し、繰り返し。
守護者達
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同時刻、御霞神社にて。
黄昏時、あるいは逢魔ヶ時。
巧 :「お前と共に戦うのも、久しいな」
西条 :「は、光栄にございます」
細身の体に白い着物紺袴を着込み、青年と少年の間といった風情の若い男と
その隣にたった二十半ば程の青年。短く揃えた黒髪に引き結んだ口、鋭い視線
は薄闇に染まりつつある鎮守の森の奥をじっと見据えている。
巧 :「近いな」
西条 :「はい」
踏みしめた足に微かに力をこめる。右手に握られたのは白い刀身の一本の刀。
普通の打刀よりか幾分短く、日本刀独自の弓形に反った刀身。無銘なれど巧が
長年愛用し続けてきた業物であり、鉄をも斬らんばかりの鋭さを秘めている。
西条 :「……直に、我が術にかかりましょう」
西条の答えに呼応するように巧が刀を正眼に構える。
呼応するように薄闇の空の下、甲高い鷹の鳴き声が響いた。
罠師
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日も落ちて。
冷たく澱んだ風が頬を撫でる。
逢魔ヶ時の魔を祓い、まだ微かに血の匂いが立ち込めた場に立つ西条。
西条 :「もうすぐ」
その手に握った短刀を目の前に構えて。
西条 :「解き放って差し上げます……」
その目が見るのは。
西条 :「……梓さま……」
時系列と舞台
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2007年2月。
解説
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チャットログ『嵐の前』の後あたり。
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鎮めの役目と、西条が望むもの。
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以上
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