[KATARIBE 30731] [HA21P] Girl who doesn't have memory

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Date: Sat, 3 Feb 2007 02:44:29 +0900 (JST)
From: Subject: [KATARIBE 30731] [HA21P] Girl who doesn't have memory
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2007年02月03日:02時44分29秒
Sub:[HA21P] Girl who doesn't have memory:
From:Toyolina


[HA21P] Girl who doesn't have memory
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登場人物
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 西海道アハト ファッション史に詳しいけが人
 淡蒲萄    いろいろ覚えてない
 檻宮戒    大の字。寝相悪そう

前振り
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[Toyolina] そしてタカがベッドで大の字なので
[Toyolina] 今日は家に帰るのでした
[ER]    えうー
[Hisasi]  うひひ


意外に普通
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 HazyHotel 1001号室。
 淡蒲萄の住処であり、セーフハウス。現在の住人は……三名。
 獅子騎との戦いで重傷を負い、リスティとの戦いで重傷箇所を増やした、
西海道アハトと、その彼女、檻宮戒。


 戒      :(大の字)「くかー」
 淡蒲萄    :「……やっぱり」
 アハト    :(突き落とされてる)「うーんうーん」
 淡蒲萄    :「アハさん、ケガ大丈夫……?(頭のそばにしゃがみこんで
        :様子を伺う)」

 うなされたまま眠っているアハトは返事をしない。
 悪い夢でも見ているのだと判断して、ソファで寝ようと淡蒲萄は考え。
 立ち上がった。

 アハト    :(薄く目を開ける)「……大丈夫。意外に普通の穿いてんだな」
        :(cエロ天)

 淡蒲萄は黙って、アハトの右肩を踏んだ。踵で。
 そこは、リスティに撃たれた銃創。
 アハトは目を見開いて、声にならない悲鳴を上げ……沈んだ。

 淡蒲萄    :「いちいち言うな」

 黙ってれば普通に役得だったのに。アハさんに合掌。



アハさんのファッション史講座
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 アハト    :「あんたのスカートが短すぎるんだ……」
 淡蒲萄    :「え、これくらい普通だって普通。ワカメちゃんくらいだっ
        :たらすぎるって言ってもいい」
 アハト    :「それはもう露出狂じゃねえか」
 淡蒲萄    :「自分でもそう思った……でもこれ以上長くは出来ない、
        :結構これでも研究したんだから」

 手で、膝とスカートの裾の間を指し示す。

 アハト    :「ルーズソックスはいたりはしねーの?」
 淡蒲萄    :「一昨年くらいは履いてたけど。あれ汚れ目立つし」
 アハト    :「ガングロにしたりは?」
 淡蒲萄    :「遡ってんじゃん」
 アハト    :「遡ればやってたのか」
 淡蒲萄    :「やってない」
 アハト    :「そうか……」

 流石にガングロは。
 試そうとも思ってなかったので、アハトの反応が気に障る淡蒲萄。

 淡蒲萄    :「……なんだと思ってたの、あたしのことを……」
 アハト    :「何って。いわゆるギャル?」(よっこいせと立ち上がる)
 淡蒲萄    :「……大体当たり……」

 アハト    :「いつからそんな事してんの?」
 アハト    :(戒の脇に座って寝顔眺めながら)
 淡蒲萄    :「いつからかなー……三年前はもうやってた」
 淡蒲萄    :「ルーズ流行りだしてちょっとくらい……は覚えてる」
 アハト    :「チョベリバとかMKなんとかとか言ってた口か」
 淡蒲萄    :「ぐ……それは覚えていません……」

 アハト    :「忘れたか……さらに前に遡るとボディコンとか着てそう
        :だな」
 淡蒲萄    :「……アハさんの脳内で、あたしタイヘンなことになって
        :ない、それ」
 アハト    :「実はさっきから笑いを堪えるのに必死」
 淡蒲萄    :「……」
 アハト    :「脳内でいまもんぺ穿いてホシガリマセンカツマデハとか
        :いってる」

 黙ってクッションを投げつける淡蒲萄。
 見事に鼻っ柱で、アハトは顔面ブロックした。
 クッションはそのままベッドの角に当たって転がる。
 何事もなかったかのように、続けるアハト。

 アハト    :「大分逆行したな。途中ミニスカブームとか学生運動も
        :経由した」
 淡蒲萄    :「……ブームって、普通にあるんじゃなくて? 流行って
        :たんだ、アレ」
 アハト    :「あの野際陽子がブームの立役者だ」
 淡蒲萄    :「ウソーッ」

 淡蒲萄    :「……よく知ってるね、昔のこと。勉強してんの?」
 アハト    :「まあな。兄貴がファッション史は詳しかったから」
 淡蒲萄    :「……昔のこと知ってるって、どんなカンジ?」
 アハト    :「どうってもな……知識として知ってるだけで体験がある
        :わけじゃねーし」
 アハト    :「まあこうしてあんたをからかうネタくらいにはなる」
 淡蒲萄    :(ぐ)「それはいいね……そういうのあったら、アハさん
        :からかうネタも増えてたか」


記憶がないこと
--------------


 そう、以前から淡蒲萄と話すたびに思っていたこと。
 淡蒲萄には、過去の記憶がほとんどない。そして当人は、それを全く意に
介していない様子なのだ。


 アハト    :「記憶がないって恐くねーの?」
 淡蒲萄    :「怖い? 怖いって……? 自分が誰かわかんないとか……?」
 アハト    :「記憶って拠って立つもんだろ。それなしにどうやって、
        :生きんのって。オレならしんどい。どんな酷い記憶でもね」

 淡蒲萄    :「……ヒドイ記憶……うーん……たまに……ほんとたまに
        :だけど」
 淡蒲萄    :「なんか、思い出す……のかな、きっとそう。そんな感じが
        :する」
 アハト    :「大変だな。あんたも」

 記憶がないことが当たり前の淡蒲萄にとって、それが恐怖とはならないよう
だった。人間にとって当たり前の感覚が、当たり前ではなく。
 アハトはひとまずそう言って。

 アハト    :「飲む?」
 淡蒲萄    :「……ん? なんかあるの?」
 アハト    :「ビールでよければ」
 淡蒲萄    :「うん、飲む」

 普段ほとんど飲まないのだが、こういう場面にはビールが似合う。
 冷蔵庫(もちろん従量課金だ)から缶を出してきて手渡すアハト。
 淡蒲萄は受け取って、うっかりちぎってしまわないよう、注意しながらプル
タブを開ける。

 アハト    :「ベッド占領しといて言うのもなんだがこっちは気にしな
        :いでいいからな。あんたも暇じゃねーんだろうし」
 淡蒲萄    :「……そう? そう言われると気にしなくても……って思っ
        :ちゃうけど……先にカラダが動くタイプなんだよね(ぐび)」
 アハト    :「ふーん。身体が」
 淡蒲萄    :「今ヘンな想像したでしょ」
 アハト    :「……してねーよ」

 一瞬の間が。
 あまりにも雄弁だった。

 淡蒲萄    :「……アハさんが思ってる程……よりは……エロくない」
 アハト    :「してねーって」(ぼそぼそ)


水について入れ込み過ぎる
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 淡蒲萄    :「ふーん。そ、そうだ、それよりさ、戒、大丈夫?」

 ごまかしにかかる淡蒲萄。
 日頃、ケンカし出すといつ収束するのかわからない二人だし、ケンカの理由
も、仲直りの理由も把握しかねているから、戒の様子だけでも把握しておく必
要がある。

 アハト    :「あ、ああ。今は落ち着いてる。こいつのはただの情緒不
        :安定だから……」
 淡蒲萄    :「それって、前から? 最近?」
 アハト    :「最近。会った頃はまったく感情の揺れないガキだったん
        :だが」
 淡蒲萄    :「……もしかして、水……飲んでから?」
 アハト    :「わからない。けど人間くさくなったよ」

 随分細かく聞くな。アハトが訝しんだ頃合いで、淡蒲萄は口を開く。

 淡蒲萄    :「……じゃ、まだいいのか……いい方に効いてるってこと
        :だよね。……この前さ、水飲んだって人と戦った」

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 アハト    :「ふむ」
 淡蒲萄    :「あの公園の水、もし本当に霞ヶ池だったら……もう手遅
        :れだけど、なんだ、程々に……しとくわけにはいかない?」

 淡蒲萄の決めつけるような言い回しに、アハトは少し呆れて言い返す。

 アハト    :「いきなりそんな話かよ…… 言っただろ。もう引けないん
        :だ。だいたい手遅れってなんだよ」
 淡蒲萄    :「ゴメン、引けないのはわかるんだけど……手遅れっての
        :は仮定の話だけど、飲み過ぎたら、戒がひどいことになる
        :のが、早くなっちゃう、って可能性が出てきた……ゴメン、
        :説明下手すぎる」

 あわてたせいで、さらにおかしなセリフを言う。
 ただ、巫山戯て言っているわけではなく、それなりに深刻に捉えている、
それは十分伝わった。

 アハト    :「オレだってあんな水で本当に何かがどうなるなんておもっ
        :ちゃいないよ」
 淡蒲萄    :「ああ、ゴメン、一人でヘンなこと言ってた……ほら、
        :アハさんと戒、幸せになったらいいなって、思ってるから、
        :たぶんそれで」
 アハト    :「いや、いい。アンタの言うように最悪の結果も考えてるし」

 さらにあわてる淡蒲萄。

 アハト    :「溺れる者は藁をもつかむってやつ。溺れ死ぬの待つよりは
        :マシでしょ。まあ忠告は忠告として、こっちも多少は調べてみる」
 淡蒲萄    :「……そうならないことを祈ってる。ホントに。うん、そう
        :して。出来ることあったら、手伝うから」
 アハト    :「サンキュ」


時系列と舞台
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2007年2月初旬頃


解説
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ログのままじゃよくわからなかったので整形ついでに。
アハさんについては勝手に想像したので訂正あったらご指摘よろしく。


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Toyolina


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