[KATARIBE 30648] [HA21L] 共闘と<<連絡網>>

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Date: Tue, 16 Jan 2007 17:44:51 +0900
From: Subject: [KATARIBE 30648] [HA21L] 共闘と<<連絡網>>
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[HA21L] 共闘と<<連絡網>>
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登場人物
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 淡蒲萄    吸血鬼の少女
 大沢那琴   知恵と勇気の少年


練習を見物
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 とある雑居ビルの屋上。管理者がいい加減なのか、このビルは昼夜を問わず
屋上への出入りが可能だった。木刀を振っている少年が一人。それをしゃがん
で眺めている少女が一人。


 ナコト    :(振りながら)「なあ、淡蒲萄さん」
 淡蒲萄    :「うん、何?」
 ナコト    :「強くなりたいって、思ったことある?」


 木刀を振ったまま、訊ねるナコト。
 訊ねられた淡蒲萄は小さく唸りながら、思案する。


 淡蒲萄    :「うん、ある」
 ナコト    :「俺は弱いからさ。最近ずっと、そんなこと思ってばっかり
        :なんだ」
 淡蒲萄    :「ふぅーん。なんだっけ、なんか目的あるんだっけ」
 ナコト    :「ああ。けどそのための、力が足りないんだ」
 淡蒲萄    :「強くなるだけだったら、カンタンだけどねー。簡単すぎて
        :拍子抜けするくらい」
 ナコト    :「そうなのか?」


 手を止めて、淡蒲萄を見るナコト。しゃがみこんだままの淡蒲萄は、嘘をつ
いているようには見えない。


 淡蒲萄    :「うん。ただ強くなるだけなら。それ以外何もなくなっちゃ
        :うかもしれないけど」
 ナコト    :「……そっか」
 淡蒲萄    :(しゃがんだままじっと見上げて表情を伺う)


 ナコトは、淡蒲萄の発言の真意について、自分なりに考えていたようだった。


 ナコト    :「強いだけじゃ、なにも手に入らないことは分かってるんだ。
        :とても強い、先輩が言ってたんだけど。力があることと、
        :使い道を知っていることとはまた別の話なんだって」

 ナコト    :「けれど、力がなければ出来ないことだってある。俺は
        :だから、戦うための強さが欲しい」
 淡蒲萄    :「それだったら、さっきアタシが言ったのは、忘れた方が
        :いいな、うん。力の使い道、ちゃんとわかってるじゃん」
 ナコト    :「口で言えるのと、体現できるのとではまた別さ」


 ちょっと赤くなるナコト。誉められ慣れてないのか初心なのか。


 淡蒲萄    :「こういうとき上手く言えたらいーんだけどなあ、全然
        :出てこない。なんだろ、そーやって努力してたら……
        :望む力? になるんじゃない、かな(自信なさそう)」
 ナコト    :「武術系の部にでも入ろうかな。こんなところで木刀を
        :振ってても、手になじむくらいが関の山」

 ナコト    :「でも、良く考えてたら木刀触れるようになっても、水の
        :固まり相手に何が出来るかと言われると疑問なんだよな」
 淡蒲萄    :「うーん、たしかに木刀じゃ……実はその木刀、由緒正しい
        :タイマのツルギでした、とかゲームっぽいのは……ないよね」


 何を思ったか、妄想でしかありえない展開を口にする淡蒲萄。


 ナコト    :「北海道に旅行言ったときに買った赤樫の木刀。でも、
        :赤樫って北海道に生えて無いんだよね」
 淡蒲萄    :「? 堅いのは堅そうだけど、えーっと、北海道産じゃ
        :ないってこと?」

 ナコト    :「そうなんじゃないかなあ。土産物屋で売ってたんだけど、
        :なんで観光地の土産物屋って特産品でもない木刀売ってるん
        :だろうな」
 淡蒲萄    :「うーん、たとえば……日常じゃないよってのを演出して
        :る……とか、ほら、木刀とか日頃周りにある人ってすごく
        :珍しい」

 ナコト    :「剣道でも練習に使うのは竹刀だもんな。土産で買わなきゃ
        :武器マニアか、あとは古流の道場とかでもないかぎり無さ
        :そうだ」
 淡蒲萄    :「何か意味とかあるのかも。実は霊木削りだしてるから、
        :お守りになったりとか。それだったら、北海道産じゃなく
        :ても……ダメかな、この理屈」

 ナコト    :「一本五百円で売ってる霊木ってのもありがたみの無い
        :気が……」
 淡蒲萄    :「安ッ」


気を取り直して
--------------


 淡蒲萄    :「……ウーン。よし、実は霊木でした……ってのはナシで、
        :もっと基本に返ろう」
 ナコト    :「ていうか、憶測にたとえ信憑性があっても、実際そうじゃ
        :なかったら意味が無いだろ」
 淡蒲萄    :「……案外思いこみってバカにならないんだけど、500円
        :じゃ、ちょっと根拠になんないしね。やっぱり訓練とかした
        :ほうがいいと思う、うん」


 さすがにワンコインでは、有り難みを感じるのは難しい。


 ナコト    :「そんなものかな。まあ、訓練はするよ」
 ナコト    :「まずは基礎的な体作りからだけどな」
 淡蒲萄    :「ランニングとか?」
 ナコト    :「ああ。このあいだ、その必要性を身にしみて実感したばっ
        :かりだし」
 淡蒲萄    :「ほー、なんかあったんだ、しかもなんか大物キタって感じ
        :……よし、今度なんか合ったら呼んでよ。……たぶんイヤ
        :だろーけど」

 淡蒲萄    :「……男の助っ人の方がいいなら、そっちも紹介できるけど
        :……過労死寸前だからチョット気を遣いたい」

 ナコト    :(ちょっと焦って)「いや、その、淡蒲萄さんが嫌なんじゃ
        :ないんだ。ただ、関係が無いのに巻き込んでしまうのが
        :気が引けるだけで。つまり俺の我が儘なわけで……」
 淡蒲萄    :「やっさしー。でもアレだよ、黙ってたけど、あんまり
        :無関係ってわけでもないし……たぶんだけど。「水」相手
        :だったら、きっと利害は一致すると思うんだ」

 ナコト    :「……淡蒲萄さんも、あれに因縁があるのか?」
 淡蒲萄    :「因縁、因縁かな、目的かも。ずっとそうしてきたし」


 遠い目をするでもなく、首をかしげながら。


 ナコト    :「そう、か。それなら……何かあったら、連絡を入れる」
 ナコト    :「(やっぱり、俺の考えなんて我が儘なお節介なんだよな)」

 淡蒲萄    :「ウン、そうして、こっちからも連絡入れるし……あとそれ
        :から」
 ナコト    :「なに?」

 淡蒲萄    :「んー、ナコトくんの気遣いは、きっと正しい。普通の子
        :だったら、きっとそれで合ってる(にひ)」
 ナコト    :「……ありがとう、淡蒲萄さん」

 ナコト    :「そうだ。水を追うんだったら……淡蒲萄さんは《連絡網》
        :ってSNSを知ってる?」
 淡蒲萄    :「連絡網? 初めてきいたかも。結構やってんだけどなー、
        :携帯でそれ出来る?」
 ナコト    :「ああ、出来ると思うよ」
 淡蒲萄    :「連絡はそれでってこと? あとなんか情報とかあったり
        :しそー」

 ナコト    :「理屈は良く分からないけど、ネット上っていうのが水の
        :影響を受けにくいんだって」
 淡蒲萄    :「ふうん、まあそれもそっか、水とかなさそーだもんね」
 ナコト    :「着メロで仮想空間に転移したり、連絡には結構便利だよ」
 淡蒲萄    :「うん、帰ったらやってみる。すごいな、やっぱプロは違う」
 ナコト    :「俺も先輩の紹介で知ったんだけどね。初めてやった時は
        :かなり驚いた」
 淡蒲萄    :「よっし、ありがと、そろそろ帰って晩ご飯つくんないと
        :だから、今日はもう帰るね」
 ナコト    :「ああ、またな」


 ナコトはまだ知らない。
 彼女が家事全般てんでダメだということを。



時系列と舞台
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ナコトと淡蒲萄   http://www.trpg.net/ML/kataribe-ml/30600/30640.html
電網他界《連絡網》 http://hiki.kataribe.jp/HA/?InternetTakaiRenrakumou

解説
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よくわかんないけどひとまず共闘することになりました。


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Toyolina
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