[KATARIBE 29308] [HA06N]小説『猫が踊る』(修正)

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Date: Mon, 03 Oct 2005 23:14:26 +0900
From: "Hikaru.Y" <hukira@blue.ocn.ne.jp>
Subject: [KATARIBE 29308] [HA06N]小説『猫が踊る』(修正)
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ふきらです。
[HA06N]小説『猫が踊る』http://www.trpg.net/ML/kataribe-ml/29300/29305.html
に色々と不備があったので、その修正版です。

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小説『猫が踊る』
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登場人物
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 津久見神羅(つくみ・から):http://kataribe.com/HA/06/C/0077/
   研究室にこもり気味な大学院生。

本文
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 見上げれば満月。今宵は影がよく映える。
 研究室を出た時刻は午後十時。大学の構内は昼間の喧噪などなかったかのよ
うにひっそりと静まりかえっていた。
 月の光は青白く、周囲の景色から色を奪い去り、まるでモノクロームの世界
に迷い込んだような錯覚に陥る。
 吹いてくる風は秋の気配が色濃く、少し冷たくて、神羅は顔をしかめた。
「ん?」
 商店街から少し離れた、小さな店が点在する通りにさしかかったときに、
視界の隅に何か動くものを認めて、足を止めた。
 ちょうど影になった部分に何かがいる。神羅はじっとそこを見つめた。
 やがて影の一部が盛りあがり、猫の形を取ると大きくのびをしてこちらを見
た。
 目に輝きはない。というよりは、目や口などが見あたらない。猫のシルエッ
トが立体になったというようなものである。
 その猫は大きくのびをして、一つ跳躍をすると影から光の当たる部分に飛び
出した。
 影なのに消えない。周りが明るくて、逆にその部分だけ切り取られたように
見える。
 猫は神羅の方を見ると、くるり、くるりと誘うように円を描き、再び影へと
飛び込んだ。
 神羅は飛び込んだ先を凝視するが、もはやそこには猫の姿はなく、ただの影
しかない。
「まあ、そんなこともあるやろうね」
 そして再び足を進める。
 見上げれば満月。今宵は影がよく映える。

時系列
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2005年ある秋の満月の夜。

解説
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この街では多少不思議なことが起きても、問題ないのです。

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