[KATARIBE 29305] [HA06N] 小説『猫が踊る』

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Date: Mon, 3 Oct 2005 14:35:45 +0900 (JST)
From: ふきら@研究室  <furutani@mahoroba.ne.jp>
Subject: [KATARIBE 29305] [HA06N] 小説『猫が踊る』
To: kataribe-ml@trpg.net
Message-Id: <200510030535.OAA51105@www.mahoroba.ne.jp>
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2005年10月03日:14時35分45秒
Sub:[HA06N]小説『猫が踊る』:
From:ふきら@研究室


 ふきら@研究室です。
 小説といえるものではありませんが、何となく書きたくなったので
(正しくは,最初の一行が使いたかっただけなのですが)。
 まあ、そんなわけで。

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小説『猫が踊る』
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登場人物
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 津久見神羅(つくみ・から):
   研究室にこもり気味な大学院生。

本文
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 見上げれば満月。今宵は影がよく映える。
 研究室を出た時刻は午後十時。大学の構内は昼間の
喧噪などなかったかのようにひっそりと静まりかえって
いた。
 月の光は青白く、周囲の景色から色を奪い去り、まる
でモノクロームの世界に迷い込んだような錯覚に陥る。
 吹いてくる風は秋の気配が色濃く、神羅は顔をしか
めた。
「ん?」
 商店街から少し離れたところ、小さな店が点在する
通りにさしかかったところで、視界の隅に何か動くもの
を認めて、足を止めた。
 ちょうど影になった部分に何かがいる。神羅はじっと
そこを見つめた。
 やがて影の一部が盛りあがり、猫の形を取ると大きく
のびをしてこちらを見た。
 目に輝きはない。というか、目や口などが見あたらな
い。猫のシルエットが立体になったというようなもので
ある。
 その猫は大きくのびをして、一つ跳躍をすると影から
光の当たる部分に飛び出した。
 影なのに消えない。周りが明るくて、逆にその部分だ
け切り取られたように見える。
 猫は神羅の方を見ると、くるり、くるりと誘うように
円を描き、再び影へと飛び込んだ。
 神羅は飛び込んだ先を凝視するが、もはやそこには猫
の姿はなく、ただの影しかない。
「まあ、そんなこともあるやろうね」
 そして再び足を進める。
 見上げれば満月。今宵は影がよく映える。

時系列
------
2005年ある秋の満月の夜。

解説
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この街では多少不思議なことが起きても、問題ないのです。

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