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Date: Fri, 07 Jan 2005 22:57:11 +0900
From: Motofumi Okoshi <motoi@mue.biglobe.ne.jp>
Subject: [KATARIBE 28112] [HA06P] エピソード:『しろいはね』
To: KATARIBE ML <kataribe-ml@trpg.net>
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MOTOIです。
小説『白い覚醒』の後日談に当たるエピソードです。
知佳、新異能に目覚めるの巻、第2弾。
なお、小説『白い覚醒』は、こちら。↓
http://www.trpg.net/ML/kataribe-ml/28000/28095.html
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エピソード『しろいはね』
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登場人物
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白神知佳(しらかみ・ちか)
:小学4年生。「しろいちから」などの異能を持つ。
新崎智也(しんざき・ともや)
:知佳の親戚で大学3年生。「霊聴」などの異能を持つ。
白神佳美(しらかみ・よしみ)
:知佳の母、智也の従姉。特に異能を持たない。酒に弱い。
智也登場
--------
智也 :「よー、知佳っち、久しぶり」
知佳 :「あっ、智也おにーちゃん」
ある土曜日のこと。知佳の母親の従弟にあたる、智也が白神家にやってきた。
知佳は『智也おにーちゃん』と慕っている。
智也 :「ヨシ姉、いる?」
ヨシ姉とは、白神佳美、すなわち、知佳の母親のことである。
知佳 :「ママ、今日はバレーボールの日なの」
智也 :「じゃあ知樹さんは?」
知佳 :「パパは草野球だって」
智也 :「じゃ、上がって待っていいかな?」
知佳 :「うん、いいよっ。また、いろいろお話聞かせてー」
言われるがまま上がりこむ智也。
知佳の病気?
------------
智也 :「……でさあ、そのダルビッシュってピッチャーがかっこ
:いいわけよ」
知佳 :「へぇ〜……」
智也 :「今度、大阪ドームに連れてってあげるからね」
知佳 :「うんっ」
などと、いろいろな話で知佳の興味を引く智也。
と、智也の頭に沸く素朴な疑問。
智也 :「そういや、知佳っちがヨシ姉にも知樹さんにもついてい
:かずに、一人で留守番なんて珍しいな」
以前にも、知佳の父と母が休日に同時に出かけることは多々あった。しかし、
ほぼ例外なく、知佳はどちらかと一緒に出かけていたのだ。
知佳 :「実は、きのう、学校で倒れちゃったの。だから、今日は
:家でおとなしくしてなさい、って」
智也 :「倒れた? 健康優良児の知佳っちが?」
知佳 :「うん。目の前が急にまっしろになって……」
智也 :「病院には?」
知佳 :「行ってない。行く前に治っちゃったから」
智也 :「それじゃ、どっか悪いところないか見てみるか」
知佳 :「智也おにーちゃんの場合、見るんじゃなくて聴くんで
:しょ?」
智也 :「あはは、まーな」
智也の能力は「霊聴」である。普通の人は感じることのないものを耳で聴く
能力だ。知佳と智也は、お互い能力のことを話し合える仲でもある。
智也は精神を耳に集中した。病気があれば瘴気を「聴く」ことができるはず。
智也 :(精神集中)「…………」
夢か現か
--------
やがて。
智也 :「……ふぅ」
知佳 :「どーだった?」
智也 :「病気の音はしなかった、ただ……」
知佳 :「ただ?」
智也 :「羽の羽ばたく音が聞こえたぜ」
知佳 :「はね?」
智也 :「ああ、間違いなく羽だ」
「羽」。その言葉を聞いて、知佳が一言。
知佳 :「あれって、夢じゃなかったのかなぁ」
智也 :「思い当たるフシでもあんのか? 遠慮なく言ってみ」
知佳 :「うん、じつはね……」
知佳は、一昨日の出来事の一部始終を智也に話した。
倒れたあと、白に覆われ、空を飛ぶ夢を見たこと。
保健室で、背中に羽を感じたことも。
智也 :「……なるほど。で、その後は?」
知佳 :「そのあとって?」
智也 :「その後、羽は出したのか?」
知佳 :「ううん、夢だと思ってたから」
智也 :「なら、ためしてみっか」
知佳 :「え?」
智也 :「引っ込めたときと反対に力を入れるようにすれば、また
:羽を出せるんじゃないか?」
知佳 :「……だせるかなぁ」
智也 :「俺が見ててやるから、安心して試してみ」
知佳 :「……うんっ」
元気よく返事をする知佳。知佳が智也を信頼している証でもある。
特訓
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知佳 :「……うーっ」
背中に力を込める。
知佳 :「……はぁ」
羽は、出ない。
智也 :「少し羽の音が強くなったけど、まだまだだな。なんか、
:背中以外の方向に力が分散してる感じだ」
知佳 :「そーなの?」
智也 :「背中の一点に集中するようにしてみ」
知佳 :「むずかしいなー」
そんなこんなで、しばらくして。
智也 :「今いい感じだぞ、もっと集中、集中!」
知佳 :「う゛ーっ」
ばさっ、という大きな音とともに。
知佳 :「で、でたぁ……」
知佳の背中に現れた大きな白い羽。
洋服を突き破……らず、服の上から翼が現れた。
智也 :「す、すげぇ……」
神々しい翼に、智也も思わず目を奪われる。
ママ帰る
--------
智也 :「……ま、出して引っ込めるのはできるようになったな」
知佳 :「……うん(つかれたー)」
特訓数時間。なんとか、翼の出し入れはできるようになったようだ。
智也 :「あとは実際に飛ぶ練習だけど、これは家ん中じゃきつい
:しなー」
知佳 :「ほんとうにとべるのかなぁ」
智也 :「夢の中で飛んだんだろ? 翼が出たんだから、飛べるに
:決まってるさ」
知佳 :「……うん、智也おにーちゃんが言うならきっとそうだね」
智也 :「今度来るときには練習場所みつけとくよ。空が広くって
:人の来ないところな」
知佳 :「おにーちゃん、いつもありがとう」
智也 :「はは、なーに」
と、そこへ。
SE :ぴんぽーん
知佳 :「あ、誰かきたっ」
佳美@玄関 :「知佳ちゃーん、誰か来てるの?」
智也 :「おっ、ヨシ姉の声っ」
二人で居間から玄関へ向かう。
知佳 :「ママ、おかえりー」
智也 :「よう、お邪魔してるぜ、ヨシ姉」
佳美 :「げっ、智」
智也 :「人の顔見て『げっ』はねーだろ」
佳美 :「あんた、うちの知佳に変なこと吹き込んでないでしょう
:ね」
智也 :「おいおい、俺が知佳っちになにか変なこと言ったことが
:あるか?」
佳美 :「大有りよっ」
智也 :「何が? 小学生のときお屠蘇でぶっ倒れたこととか?」
佳美 :「うるさいっ。大体あんたは子供の頃から強すぎるのよっ」
智也 :「逆だろ、ヨシ姉が弱すぎんだろ」
佳美 :「うるさーいっ!」
やっぱりママと智也おにーちゃんは仲良しさんだ。
そう思うと、妙に嬉しくなる知佳であった。
時系列
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2005年1月。
小説『白い覚醒』の翌日。
解説
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智也の力を借りて、さらに能力を覚醒させる知佳。
ちなみに、智也が何をしに来たのかというと……
智也 :「ヒマだからな、これ持って遊びに来たんだ」
:(日本酒のビンを出す)
佳美 :「……この、不良酔っ払いがぁ!」
おあとがよろしいようで。
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なお、知佳の父親、白神知樹さんはけっこういける口のようです(余談)。
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