[KATARIBE 28095] [HA06N] 小説:『白い覚醒』

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Date: Thu, 06 Jan 2005 23:44:05 +0900
From: Motofumi Okoshi <motoi@mue.biglobe.ne.jp>
Subject: [KATARIBE 28095] [HA06N] 小説:『白い覚醒』
To: KATARIBE ML <kataribe-ml@trpg.net>
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MOTOIです。
たまにはシリアスな小説を書いてみたり。

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小説『白い覚醒』
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登場人物
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 白神知佳(しらかみ・ちか)
  :高身長小学生。白い何かに目覚める。


すべて白
--------
 白、白、白。
 目の前にはただ白が広がるだけ。
 他に、何もない。

 白、白、白。
 白の中に、私がひとり。
 他に、誰もいない。

 白、白、白。
 周りはすべて白。触れることもできない。
 五感が、利かない。

 ……ここは、どこだろう……


恐怖
----
 目の前は、すべてが白。
 手にも、足にも感覚がない。
 声も出せず、ただ白の中にいるだけ。

 怖い。
 何も見えない、何も触れない、何も言えない。
 何もできない、恐怖。

 ここはどこ? わからない。
 私はどうしてここにいる? それもわからない。
 パパやママはどこにいるの? クラスメイトのみんなは?
 何もわからない、恐怖。

 怖い。
 怖い。
 怖いよぉ………


迫る白
------
 怖い。怖い。
 そう思った瞬間。

 目の前の白が、こちらに迫ってくる。
 白が、私めがけて襲ってくる。
 真っ直ぐに、こっちに向かってくる。

 怖い。恐ろしい。
 助けて。助けて。助けて!

 思わず、目を閉じる私。


開放
----
 次に、私が目を開けると。
 白が、消えていた。

 青い空。緑の木々。真っ赤な太陽。
 目の前に、壮大な世界が広がる。

 見える。世界が見える。
 でも、足に感覚がない。
 立っているという感覚が、どうしても戻らない。

 その理由は、自分の足を見てすぐわかった。
 足が、地面についていない。

 私は、空中にいた。
 空を、飛んでいた。

 見えるようになった目で、いろいろなところを見てみる。
 背中に、真っ白な羽。
 そうか、さっきの白は、私の羽になったんだ。

 気持ちいい。心地いい。
 青い空を、白い羽で飛ぶ。
 これほど気持ちいいことは、ない。

 私は、気持ちよさに心を奪われた。


覚醒
----
 「……ちゃん! 知佳ちゃん!」

 ……誰?

 「知佳ちゃん! しっかりして!」

 ……ああ、その声……

 「ん……」
 「あっ、気が付かれましたか」

 火狐ちゃん。桃花ちゃん。ローザちゃん。
 みんなが、戻ってきた。
 いや、私が、みんなのところに戻ってきたんだ。

 「まったく、いきなり倒れやがって」
 「……心配しちゃったよ」
 「何やってんだか」
 「もう、大丈夫ねぇ?」

 眼美ちゃん。ひとめちゃん。さくりちゃん。そのこせんせー。
 みんなが、私の顔を覗き込んでいる。
 なんだか、心配させちゃったみたい。

 そうか。私は、体育の授業中に倒れちゃったのか。
 そうだ。目の前が、急にまっしろになったんだ。
 それで、あんな夢を見てたんだ。

 でも、夢にしては、よく覚えてた。
 いつもは、忘れちゃうことのほうが多いのに。

 うっ。まだ少し、頭が痛む。
 少し、頭の中に、白いものが残ってる感じ。
 思わず、頭をおさえる。

 「こういうときは、保健室に行くといい。そう言えばいいと言われた」
 「無理しないほうがいいよっ」
 「でも、無事でよかったっ♪」

 あたるちゃん。エルちゃん。おぺらちゃん。
 みんなが心配してくれてる。

 「日向君、知佳ちゃんを保健室につれてってあげてねぇ」
 「チッ……ほら、肩貸せ」

 ひなたくん、ありがとう。


羽
--
 ひなたくんに連れられて、保健室に着く。
 ひなたくんが外に出て、私はベッドに横になる。
 保健の先生は出張中。保健室には、私ひとり。

 「……あれ?」

 背中がいたい。
 なにか、はさんだ感じ。
 なんだろう。背中の辺りをさわってみる。

 「……これは?」

 手についたのは、白い羽。
 体操服を脱いでみると、背中から、白い羽。

 まだ、夢の中なの?
 でも、夢の中にしては、いたい。
 いたくて寝られないから、ひっこめなきゃ。

 なんとなく、背中に力を入れる。
 すると、羽が引っ込んだ。

 「ふぅ」

 ほっとして、ため息ひとつ。
 体操服を着なおして、ひとねむり。

 目覚めると、もう羽はなかった。
 やっぱり、夢だったのかな?

 頭のいたいのもとんでった。さあ、授業にもどろう。


時系列
------
 2005年1月。


解説
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 白い何かに目覚めた知佳。

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小学生組&先生の台詞を1行ずつ借りましたので、
まずい台詞ありましたらチェックをお願いいたします。
(ちょっと借りすぎたかもしれない(爆))


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Motofumi Okoshi
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