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ダイスは振りたいけど、セッションをする時間がない。
キャラ同士の交流をしたいけど、キャラクターチャット(なりきりチャット)だけじゃ刺激が薄いよなあ。
そんなときにおすすめしたいのが、模擬戦です。
ここでは、これまで私が見てきたいろいろな模擬戦の楽しみ方をまとめてみました。
模擬戦を知らない人や、最近始めた人に、こんな遊び方があるんだなあと知って頂ければ幸いです。
なお、私はソード・ワールドRPGをメインに活動していますので、ルールなどの解釈がそちらに偏っていることをご了承ください。
ルールには、そのサークル全体で決められているものと、その場で相談して決めるものがあります。
模擬、つまり真似した戦闘ですから、キャラが死に、蘇生や登録削除を必要とすることはありません。
現実世界のサバイバルゲームのようなものです。
ルール的には、生死判定の必要なく体力が0になったら退場となります。
生死判定の代わりに同様の「気絶判定」というものを設け、失敗すれば気絶、成功すれば転倒したが意識はある、という処理にする場合もあります。
お互いのキャラを見せて、レベルや強さに差があれば揃えます。
弱いキャラを強くさせることを『下駄を履かせる』と言いますが、強いキャラに制限を与えることを『鉄下駄』『砂袋』『鉄球』『ウェイト』、魔法であれば『孫悟空の輪』などと表現したりもします。
また、あらかじめ禁じ手などを取り決めておきます。
ソード・ワールドRPGであれば、スリープクラウド・ライトニングバインドなど、発動した瞬間に勝敗が決してしまう類の『一発魔法』は大抵禁止となります。
ホールドなど、行動に著しく制限を生じさせる魔法が一発魔法に含まれることもあります。
回復も、長期化を避けるため控えることが一般的です。
双方が回避型であるなどで、長丁場が予想される場合は、何ラウンドまでと先に決めておくといいでしょう。
残った体力で勝敗を判定するのか、引き分けとするのかなども相談しておきます。
開始時の相互距離は、ダイスで決めるのが一般的です。
1d100などでもいいですが、4d10や5d6などを使えば、ある程度コントロールできます。
また、お互いが戦士専門キャラであるなどの場合は、接敵状態から開始することもあります。
ただダイスを振り合うだけでなく、キャラクター同士の交流と位置づけて楽しむこともできます。
いつものセッションやキャラクターチャットでは表現できない、青春の1ページを演出できます。
ここぞ! というときに攻撃がクリティカルしたり、あるいはからぶったり、ダメージを真っ向から食らったりすることも間々あります。
運次第とせずに、『気合いが入っていた』『油断した』と表現するとそれっぽくなるかもしれません。
※格好いい台詞を叫んでから大失敗すると悲しいので、熱い台詞はダイスを振ってから叫ぶといいでしょう(笑)
見学歓迎! 外野がヤジを飛ばしてくれると盛り上がるものです。
キャラクターでもプレイヤーでも、どんどん喋って盛り上げましょう。
実況や解説をする人もいるようです。
誇らしかったり、悔しかったり、腹を抱えて笑ったり、キャラクターにもプレイヤーにも様々な感情が生まれていることでしょう。
お互いを認め合い、再戦を熱く誓ってください。
ここぞとばかりに、ギャラリーの中から救護班が現れたりします。
単純に、2人の手合わせだけが模擬戦ではありません。
基本的な、1対1の戦いです。
戦士や前衛同士の戦いが多いですが、魔術師や精霊使いも魔法対決などができます。
2人から数人でタッグを組み、全力で戦います。
これも回復は制限されることが多いですが、援護魔法や前衛・後衛の戦術の見せどころです。
メンバーが多いので、掛け合いもいっそう楽しくなります。
先輩戦士に、駆け出しが数人で当たる、力士とちびっ子が土俵の上で戦うようなイメージでしょうか。
強さを確認したら、ぜひそれを目標にして、冒険に励みましょう。
GMを予定している人が、オリジナルモンスターの性能テストをしたり、TRPG初心者さんに戦闘のやり方を説明するためによく行われます。
もちろん、ただ暇をもてあましている人が数名集まった時にすることもあります。
セッションではお目にかかれないようなモンスターと当たれたり、より思い切った戦術を取れたりするのが魅力です。
トーナメント戦で、参加者のうちから王者を決めます。熱い選手紹介と実況が魅力。
他にも、いろいろな遊び方ができるかもしれません。
確かに存在する、ダイス目の妙。
セッションとも共通するのですが、1人のキャラクターを遊んでいるうちに、ダイス目に偏りがあることに気がつきます。
回避では神業のような出目を出しつつ、攻撃がふるわない。
数ラウンド低迷したあとに、高確率で大ダメージを叩き出す。
攻撃魔法は苦手で、援護魔法はやたら高い目が出る。などなど。
みんなと同じダイスを使っているはずなのに、不思議とよく現れます。
個性より不思議なのが、使っているダイスや対象によって出目がばらつくケースです。
dice_creだと大失敗が多く、[dice]ではそうでもない。
ゴブリン相手には無駄にクリティカルヒットすることが多い。
この相手にはいつも逆転負けをする。などです。
特定のキャラクター数名と、あるダイスが揃っていると、誰かの運を誰かが吸い取る……なんていう話もありました。
なお、熱い台詞を吐くと高いダメージや素晴らしい成功度が出る、というのは一般的に確認されていることですが、『熱い台詞を吐くキャラに味方する』という、ドラマチックなダイスの存在も伝えられています。
最後に、都市伝説をご紹介しましょう。
もともとは出目が低め安定で、なおかつ1ゾロでもないので経験点も手に入れられないキャラクターになにかが取り憑いている、という話だったはずです。
しかし、そのキャラクターが接触したキャラに、『それ』が威力を発揮しているとしか思えないダイス目が現出するのです。
彼が会場に姿を見せたとたん、数名が相次いで1ゾロを連発したことすらありました。
そのため、『後ろのもの』がいるから、と囁かれるようになっていきます。
最近では彼が手合わせしたとある神官戦士の出目が乱れたのですが、その後神官戦士は、回復や特殊神聖魔法の発動に、高確率で失敗するようになってしまいました。
『後ろのもの』はきょうも虎視眈々と、次の獲物を狙っているかもしれません……。
紫峰風海(Kazami) 月光華亭
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