Wiki、使ってみました 〜Wikiの活用例4通り〜

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TRPG専門Web雑誌月刊TRPG.NETの記事です。

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Wiki、使ってみました 〜Wikiの活用例4通り〜



著:篁修一
 「信州TRPGガイド」の管理人。
 DEEP FOREST LIBRARY

活用例その1 〜合宿の打ち合わせ

 TRPGをプレイする上で欠かせないものとしてあげられるのは「時間・場所・面子」の3つです。学生の頃なら場所以外は比較的都合がつけやすいですが、社会人になるとそうも行きません。ましてや、就職で面子が各地に散ってしまえば尚のこと。
 私が参加していたグループは、場所として一軒家を押さえることができたので、学生の頃から長期休暇の時期に1週間前後泊り込みで遊ぶ、ということを例年の行事としてきました。社会人になってもこの行事は続いていたのですが、長期休暇は学生の頃に比べて格段に短く、密度濃く遊ぼうと思えばスケジュールの調整は必須です。

問題点:まとめ役に負担が掛かり過ぎる。

 初期の頃はメールや掲示板でのやり取りでスケジュールを教え合い、それをまとめ役が表組みにしてweb上に掲示、という形で調整をしていましたが、これだとまとめ役に結構な負担がかかりました。まとめ役が仕事で多忙になると更新が遅れることもありました。

改善点:スケジュール表更新の負担が分散。更に各セッションの密度も向上。

 そこで、この打ち合わせにWikiを導入してみました。利用したのは「結城浩のWiki入門」(ISBN4-8443-1915-9)で用いられている「YukiWiki」です。
 非公開領域にWikiを設置、参加メンバーのみにアドレスを通知して運用開始。スケジュール表の他に、各GMの演目も専用のページが作られてキャラの作り込みなどが行われるようになり、より密度の濃いセッションが行われるようになりました。

活用例その2 〜オンラインセッションの管理

 面子と時間、そして場所の代わりにネット環境があればオンラインセッションが気軽にできる時代になりました。常時接続で通信費を気にしなくてもよくなりましたし。
 ボイスチャットも専用ソフトがいろいろあります。スカイプならチャットも平行してできます。もっとも、ダイスを振ることも考えればチャットはIRCを利用した方が便利です。

問題点:キャラシートなど変化するデータの管理

 言葉のやり取りはボイスチャットやIRC、ダイスはIRCのボットで、地図なんかの図示したいものはお絵かきチャットで。表現ツールはいろいろ揃いましたが、肝心のキャラシートはちょうどいいものがありませんでした。打ち合わせのときは掲示板で、まとまったものをHTMLにすれば見栄えはとてもいいのですが、セッション中の情報を追記するのにはまるっきり向いていません。
 HPやMPの管理や情報のメモ、我々がキャラシートに書き込んでいることは単に自分のためだけじゃなく、他人に見せることもできる有益な記録なのです。でも、これをIRCに書いても膨大なログの中に埋もれて、利用するのは難しくなってしまいます。

改善点:チャットログの要旨が簡単に提示できる。

 そこで、キャラシートの管理にWikiを利用してみました。
 実際のところ、まだキャラメイクの段階ですが、IRCのログがすぐさま整ったキャラデータとなってブラウザに表示されるのはとても効果的です。
 GMが能力値などを書き込んだあとで、時間の空いた時にPLが購入した装備品を書き込んだり、他のPL向けに簡単なプロフィールを書き込んだり、いつでも手が加えられて、いつでも他の人のキャラが確認できるというのはとても便利なようです。

活用例その3 〜情報サイトとして利用してみる

 「TRPGガイド」の名前で、各地に地域密着型の情報サイトが運営されています。賑わっているところもありますが、管理人さんが疲れてしまったのか、更新が止まってしまったところも多々あります。

問題点:情報更新が管理人に多大な負担をかける。

 NEWSサイトの「TRPG NEWS」にしてもそうですが、管理人が自分で情報を集め、投稿を整理し、HTMLに整形してwebサイトに掲示する、というのは以外に手間暇がかかります。
 一日の時間には限りがあり、しなければならない事が色々ある中で趣味にさける時間はそれほど多くはありません。
 そして、その趣味の時間の中でも、遊ぶことに直結しないこうした情報サイトの管理なんかは負担に感じることが多いのじゃないかと思います。

改善点:情報を発信したい人が自分で更新できる。

 そこで、「信州TRPGガイド」ではWikiを利用しました。告知用のページとテンプレートを用意して、アドレスをあちこちに告知。本格的に利用されるようになるまで1年ほどかかりましたが、今は各コンベンションの企画者が開催日を企画した時点でテンプレートを貼り付けてくれるようになりました。
 管理者の私自身も情報の更新をしていますが、正直なところホームページ管理ソフトを使って作っていた自分のページより更新が楽です。
 また、コンベンション告知の他にGMするためのノウハウを集めたページも幾つか投稿がありました。こういった情報が集まるのも嬉しい限りです。サークル以外の場所でこういったノウハウが伝えられていくことは稀ですが、コンベンション以外でTRPGすることがない人も増えているようなので、色々利用してもらうといいのではないか、と考えています。

活用例その4 〜サークルの公式サイトとして利用してみる

 コンベンション運営サークルもWebで告知することが多い昨今。何度かお世話になったコンベンション「n.t.-t.」もそんなサークルの一つです。

問題点:サイトの更新が担当者にのみ負担をかける。

 最初のスタッフはWebの利用に積極的だったのですが、就職ということでスタッフが交代。その際にWeb担当と会場確保担当が別になったのですが、どうも連携がうまくないようでサイトの更新が遅れがちになりました。やはりサイトの更新は面倒なようです。

改善点:情報の更新がスムーズになった。

 そこで、公式サイトにWikiを使うように提案してみました。
 無論、スタッフ以外が更新できるのは問題があるのでパスワードを利用するタイプのWikiを設置しました。
 今では、会場を確保したその日に告知が出され、コンベンション開催後には速やかにアンケートとレポート、反省がまとめられて掲載されるようになりました。
 アクションが早いこともあり、利用者には好評のように見受けられます。

まとめ

 4つの活用例を書き連ねましたが、いずれも

・サイトの更新は専任者が必要で、それなりの負担になる

という問題を抱えていました。そして、Wikiを利用することで

・サイトの更新が誰でもでき、それほど負担にならない

という形に改善できました。

 個人の情報発信手段としてBlogが利用されるのと同じように、集団での情報発信・共有にWikiはとても有効ではないかと思います。
 Wikiのレンタルサービスもでてきたことですし、あなたのサークルでも利用してみたらどうでしょう?

さいごに

感想・執筆宣言は一行掲示板001もしくは irc.trpg.netの #openTRPG へどうぞ。

月刊TRPG.NET 2005年09月号

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