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著:sfこと古谷俊一
首ナイフ問題には、問題を見たときにどのような回答が自然に心に浮かぶかにより、ゲームマスターとしての考えかたを浮き彫りにする効能が有ります。
Q.敵NPCが人質の首にナイフをつきつけて脅迫したものの、プレーヤーは大人しくしなかったのでゲームマスターはNPCが首筋を刺して人質が死亡したと処理した。しかしルール上はナイフのデータでは即死しないとプレーヤーが抗議する。どうしたらよいだろうか。
正直に、最初に浮かんだ思いを一つ選んでみてください。
・プレーヤーを説得する方法はある
・自分の利用するルールでは問題ない
・ゲームマスターはルール通りに処理するべきだ
・プレーヤーとの合意を作れるように配慮するべきだ
それぞれに妥当性が有り、それぞれの考えかたで首ナイフ問題は解決できるはずです。
さて。以下に、それぞれの回答ごとのマスタリング傾向の推測と落とし穴を考えてみました。
どの回答でもそれなりに上手く行くのですが、どの回答でも表裏一体の問題点があるものです。簡単に書いただけなので、他にも色々とあると思います。
あなたは、場を盛り上げるために状況を工夫するゲームマスターなのでしょう。口が達者でゲームを支配する技量にも長けているのではないでしょうか。
しかし結果として、プレーヤーに無力感を与えている危険性を考慮してみる必要があるかも知れません。
あなたは、手慣れたゲームシステムを縦横に利用することに慣れたゲームマスターなのでしょう。おそらく、それなりに精緻なシミュレーションを実現できるルールを使用しているのではないでしょうか。
しかし今回の問題はルール処理できたとしても、他のルールと知識の不整合はあるかも知れません。現実をモデル化して処理している以上、絶対に問題の起きないルールなどはないのです。その時の態度や考え方についても考えておく必要は有るでしょう。
あなたはルールをきっちり運用するだけで盛りあがるゲームが好きなゲームマスターなのでしょう。ボードゲーム的にゲーム構造を組み立てられたゲームシステムを利用しているのではないでしょうか。
公言していれば公正なのは間違い有りません。しかし、実際の局面においてルールを正確に適用しない誘惑に負けていないかは要注意でしょう。
プレーヤーの言動から望みや不快感を読んで、自分に引けるところは引いて場をコントロールゲームマスターなのでしょう。楽しくなるように工夫するというよりは、楽しくならないことを防止するためにやらないことが増えていくような傾向があるのではないでしょうか。
ルール運用の御都合主義で特定の声の大きなプレーヤーに便宜を図っていないか、注意してみましょう。
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