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Written by NISHIGAMI, Masaki.
僕の仕事は「ディベロッパー」とか呼ばれるものである。
……というとまず「ディベロップとはなんぞや」という話からはじめないと読者の皆さんに対して不親切かもしれない。
However――しかしながら。
人によって「TRPG」に対するイメージが異なるようにこの「ディベロップ」という言葉も実に曖昧に使われていて、現状では「魔法の言葉」と化している。
僕も常々疑問には思うのだが、実のところハッキリ「ここからここまでがディベロップ。それ以外の仕事はしませんよ〜」なんて言ってしまうと僕の仕事が減るので好ましくない訳である。そこはやはり清く正しい日本人として、曖昧なものをそのまま活かすという美しい伝統を継承したいと思う次第に仕(つかまつ)り候(そうろう)。
ひとまずディベロッパーというのは、デザイナーからの発注に基づいてテキストを直したり、データを直したり、ルールを補完したり、テストプレーヤーからの反応を取りまとめたりする立場の人間だと考えてほしい。
However――とはいえ。
様々な事情によって、僕が自分の仕事について自由に語れる機会というのはほとんどない。僕の上には「デザイナー」と呼ばれる方々が鎮座ましましておられる訳で、この方々を差し置いて僕が「あのルールはねー」なんて言い出そうものなら責任問題になりかねない。ぶるぶる。
そうでなくても、世の中には守秘義務というものがあって、例えば現在製作中のゲームのアイデアなんかを外で開陳しようものなら私には損害賠償が待ち受けていたりする。怖ろしい。
さらに付け加えると各出版社にはそれぞれ販売戦略というものがあって、ここで僕が変なことを言うと大切な商品に傷を付けてしまうかも知れない。僕とまったく関わりのないゲームであっても、全体の売れ行きが落ちれば減るのは僕の仕事であり収入である。くわばらくわばら。
However――けれども。
製作の現場に立ち始めて既に4年を過ぎ、ついにはゲームデザイナーとしても名前を出して仕事をするようなことになってしまった今、僕もそろそろ「自己アピール」というものをはじめねばならない、と遅まきながら気づいてしまった。
TRPG製作というプロジェクトにおいて、ディベロップに携わる人間は大変多いが、実際にディベロップを専門職とする人間は大変少ない。ていうか普通のユーザーの方がディベロッパーの名前を聞いたところで「誰それ?」というものである。実際に僕が「遊ぶ側」だった時(むろん今でも遊んでいるけれども)、ディベロッパーの名前でゲームを選んだかというとそんなことはない。
However――しかして。
だからこそ、僕は声を上げなければならない。売名行為と言われるならば認めよう。浅ましくもこれは名を売るための行動である。僕はみんなに振り向いてもらわなければならないし、そのためには自分のよいところだけをアピールし、都合の悪いところには目をつぶると断言しよう。それが効果的だと信じるならば自作自演やマッチポンプすら辞さない覚悟である。
However――それでも。
約束しよう。このテキストは必ずや君の目を開かせるだろう。TRPGに関して、僕が蓄積した18年に渡る経験と知識が無駄ではないことを証明しよう。これは紛れもなく、一人の職人が18年をかけて磨き上げた技術の粋である。
ノーロジック・イズ・ノーマジック。論理のないところに魔法のごとき解はない。
「Magicじゃない、Logicだ」――No Logic, No Magic
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