TRPG.NET > 月刊TRPG.NET / 2005年06月号 >
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テーブルトークで「首ナイフ」といえば、次のようなものでした。
・ナイフはダメージの小さな武器だ
・これで攻撃されてもダメージ的に被害者は死なない
・だから仲間が人質に取られて首にナイフを突きつけられても大丈夫だ
(ダメージが蓄積される前に助ける事が可能だ)
・でも現実にはナイフで首を切られれば死ぬ。これはおかしい。
このような現実との食い違いを指しているわけです。
でも、ちょっと待ってください。
ゲームのルールとは現実を抽象化するものです。優しい言葉で言えばカンタンにしています。
ですからゲームでの色々な事が、よく見ると現実と食い違うのは当然のことです。
この「カンタンにする」という部分が表に出てしまって、次のような問題が起こるのです。
・現実では起こらない事が起きる
・逆に現実では起こる事が起こらなくなる
このような、いわばルールの穴でつまずいてしまうことを指しているわけです。
仮に、解決手段の一つとしてルールをカンタンにせず、写実的に現実をルール化するのならば、首ナイフ問題を含めてルールと現実の齟齬は起こらないでしょう。
ですが、そんなゲームをプレイすることはおそらく不可能でしょう。処理が煩雑になりすぎて、何かするよりもその処理に手間と時間を食われすぎてゲームにならないからです。
このように、ルールを「カンタンにする」というのはゲームである以上避けられないことです。
また、仕掛ける方と被害にあう方の両方の能力に関係なく即死を招くことを感情的に嫌ったり、即死と言うゲーム上の裁定を悪用したりするのも、首ナイフが取り沙汰される原因の一つでした。
首ナイフ問題は昔からずっとゲーマーを悩ませて来ましたし、今後も悩ませ続けるでしょう。私の知る限り最も古い記述は1988年に刊行された「RPGゲームマスターガイド」です。しかしこの本の中でも首ナイフ問題は典型的なトラブルの一つとして紹介されていたと思うので、おそらく首ナイフ問題はTRPGの発生と共にあり続けてきたのでしょう。
首ナイフ問題は、ルールの充実と公平な適用があればそもそも発生しない事柄です。
人質の首にナイフを当てて切ったら即死、というマスターの判断を勝手に拡大解釈して、いつでもどんな状態でも首にナイフを当てて切ったと言い張れば敵を即死させられると思い込んだに過ぎないのです。
一部のジャイアンなプレイヤーが、のび太なマスターに無理をねじ込んでいたに過ぎません。
いつまでも下らないくちプロレスをしていないで、マトモにゲームをすれば首ナイフ問題など起こらないのです。
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