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「その部屋は一目で拷問用の部屋とわかった。犠牲者を張り付けにするための台や『鉄の処女』といった刑具をはじめ、その用途を想像することさえ憚れるような奇怪な器具が部屋のあちこちに並んでいる。」
「部屋に入ると『鉄の処女』の蓋が開き、中から穴だらけの死体が飛び出して来た! 他にも部屋の片隅から2体の死体が這い出してくる。そして〈視認〉の判定に成功した者は、部屋の片隅には何か『よどみ』のようなものが見えることに気がついた」
この部屋に配置されたクリーチャは中型ゾンビが3体とアリップ。
≫[MM:p23,p95]
ゾンビは他のゲームでもおなじみ。一方、アリップは他のゲームではあまり馴染みのないマイナーな怪物。これはプレイヤの知識が戦闘に影響しすぎないようにという配慮と、「能力値の減少」という低レベルでは冒険中に回復が困難な損害を生み出す怪物について学習する機会を設けようという考えから。
# 出さないとDMがルールを覚えないとか、能力値減少の回復としてパーティ資金を少し削ろうと思ったとかいうのは内緒です。
結果、戦士の判断力を2点ほど削ったところで戦闘終了。
「ふと拷問台の上に目を落とすと、そこにはおどろおどろしい装飾が施されたダガーが置かれている。永く放置されていたというのにその刀身には一点の曇りも無く、覗き込んだ君たちの顔を映し出している」
当初からDMは「盗賊用の魔法の武器」を出す予定でした。何故ならシナリオの後半には魔法の武器でなければダメージを受けないクリーチャが数体存在しているのに、通常武器に魔力を付与する呪文は少ないからです。
現状だと、
戦士 :魔力が付与された武器で戦闘参加
僧侶 :回復担当
魔術師:〔魔法の矢〕などで攻撃
盗賊 :通常武器で倒せる奴を倒すまで戦闘参加
という状況に陥ります。まー、それはそれで良くあることなわけですが、今回のシナリオは盗賊の見せ場である〔急所攻撃〕が効かないアンデッドばかりで戦闘では盗賊の活躍がしにくい構造です。そこでダンジョン内に「盗賊用の魔法の武器」を一つ置こう、ということに。
≫[DMG:p183]
でも細かい内容を決めるのは面倒なので、DMGの下級アイテムチャートを利用して形状をダガーに固定して振ることに。プレイヤに魔法のダガーが見つかったということを伝えてダイスを振らせ、DMはチャートをチェックしていきます。
するとできたのは「薙ぎ払い追加の+1ダガー」……ちょっとダガーで敵を薙ぎ払っている情景は想像しにくいので、プレイヤたちと協議の末に振り直しを指示。結局は「霜の+1ダガー」ということになりました。特殊能力が付いてるため市価8000gpの大盤振る舞いです。
「あーそうそう。魔法の物品は一定確率で知性を持ってるんだった。一応はダイスを振っておくか。近接武器なら15%だから」といって気軽に振ったd%の出目はまさかの「03」。
≫[DMG:p228]
やがてはDMGの影で黙々と鎮痛の面持ちをしながらダイスを振りつづけるDMに不審がるプレイヤたち。結果的に部屋にあったのは「善にして中立な知性ある霜の+1ダガー」ということに。そして市価は大きく跳ね上がって25500gp……今回のダンジョンは財宝を出さない方向で始めたはずだったんだけどなぁ。
# DMというのはままならないものです。
ワンダリングを乗り越えて扉をひっぺがすことに成功した一行は、問題の深溝の部屋に戻ってきます。
深溝の部屋にあるトラップ図
クレリックPL:「落とし穴がありそうなマスに隣接して橋を設置します」
DM :「(存在を確認して無力化しようということね)」
ローグPL :「それじゃ、ファイターさんちょっと先に行って」
DM :「(曲がり角に隠れてるスケルトンを牽制しろってことか)」
ファイターPL:「りょーかーいっ」
笑顔でファイターのフィギュアを動かすプレイヤ。しっかりはっきりと、落とし穴があると思われるマスを通過しながら。
ファイターは如何にしてあると予想された落とし穴に落下したか
DM :「ファイター、今の移動順路だと落とし穴が作動するね」
ファイターPL:「あ、しまったーっ」
DM :「反応セーブして……失敗なら2d6ダメージだ」
≫[DMG:p115]
クレリックPL:「な、なんであると知ってる落とし穴を踏むんだーっ」
ファイターPL:「だってローグが『先行け』って言ったから……」
ローグPL :「いやたしかに行ったけど斜めに移動すればいいし」
ファイターPL:「あ、じゃあ、さっき判断力が減少したからだよ、きっと」
ウィザードPL:「なるほど。ううむ『能力値減少』おそるべし」
などと漫才をしながらもスケルトンはあっさり粉砕。ファイターの受けたダメージも治癒のワンドでみるみる回復。DMはワンドの威力に今更ながらげんなりしてみたり。
「部屋はがらんとしていて、西側と南側にそれぞれ扉がある。あたりに動くものの気配はしない」
計算してみると経験点が次のレベルに達していることが判明。これでダンジョンのラスボスにレベルドレインをされても瞬殺されなくなったね、と心の中で邪悪に微笑みつつ、状況を説明していきます。
DMの話を聞いてこの部屋が安全そうだと判断したプレイヤたちは、この部屋で休息をとりつつレベルアップをただちに行いたいと提案。これに対してDMは成長にあまりに時間がとられてセッションのテンポが間延びすることを危惧して以下のように決定。
1.HPなどの諸数値上昇は許可 (単純計算だから手間がかからない)
2.特技・呪文の修得は許可 (影響が大きい)
3.技能の成長は後回し (選ぶのに時間がかかる割には影響が小さい)
DMはワンダリング判定を振る横で、各自がPHBを片手にレベルアップ作業。残る部屋もあとわずかということで、DMはここで少し長めの休憩を挿むことにします。
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