初心者DMのキャンペーン顛末記(第5回)

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初心者DMのキャンペーン顛末記(第5回)


キャンペーン第一回、いざ開幕

 というわけで、キャンペーン開始です。パーティはすでに軽い仕事をこなしているため、自己紹介のようなシーンはカット。楽で良いですな。

 マスタは前回のルール運用に関して誤っていた点を(しぶしぶと)告げ、追加の財宝ロールをやってもらいます……結果は「何もなし」。神はやはり居るのですよ!

 さらに、前回手に入れた美術品を売却する前に中から『鍵』が見つかったということを説明。知識系の判定をやってもらって、ダンジョンの情報をはじめとする、シナリオの基本となる情報を伝えていきます。

# この間、プレイヤの「このダンジョン行かなかったらどうなります?」という質問には「その場合は『病魔の坑道』をやるから!」とにこやかに答えたり。

 そのあとは、お買い物タイム。ハードバイは小都市なので、1レベルPCたちが必要とする大抵のものは手に入ってしまいます。ワンドやポーションといった不吉な単語を耳にしながら、DMはデータを詰める作業に勤しみます。

まずは情報収集

 ウィザードが呪文書に新しい呪文を書き込んでいる間、その他の人々は情報収集に奔走します。今回は情報を難易度5,10,15,20の4段階で設定して、15が出たら3つの情報を手に入れられるといった形で運用。プレイヤの出目がそこそこ良かったので、かなりの情報がPCの手に渡ります。

 ハードバイの情勢を手始めに、鍵に刻まれたシンボルがどんな神であるか、ダンジョン(神殿)の来歴や付近に出没するゴブリンの情報などについて、手堅く情報を収集していく一行。

 ちなみに、ここで出す情報は事前にしっかり準備していたわけではなく、シナリオ作成の過程であっちこっちにメモしておいたディテールを切り張りしてるだけだったりしますが。まぁ、そんなもんです。

ダンジョンに突入

 野外での遭遇はきちんとやると全滅するので、今回は省略することに宣言。遭遇に関するルールをチェックしてなかったとか、遭遇表を作っていなかったとかもありますが。プレイヤにしても、ダンジョンに行くまでに全滅というのは悲しいので、まるで異論はなさそうです。

 そんなこんなでダンジョン前。今回は神殿といっても「岩窟寺院」「地下神殿」といったものなんで、外から見ると、崖に石で組まれた門が張り付いているだけです。

 入り口のところで、歩哨役のゴブリン3体と軽い戦闘。マスタとプレイヤが一緒になって戦闘力のバランスを見ます。PCたちはどいつもこいつもキャラ作成で出目が走っており、マジックミサイルのワンドなんかも持っているためにあっさり勝利。

挟み撃ち

 やはり正面から戦っても無理と反省。なんせ前衛二人は金にあかしてまっとうな金属鎧に身を固めておりまして、すでにアーマークラス(AC)は18とか19なわけで。ゴブリンごときの攻撃はほとんどあたりませぬ。

 というわけで、次は「前方からの敵と、背後の隠し扉から出てくる敵の挟み撃ち」を狙った曲がり角です。上手くすれば防御の薄い魔術師あたりを膾切りにしてさしあげましょう。

 ……などと企んでいたら、僧侶が供にしているウルフを魔術師の後ろに配備しだすじゃないですか。たしかにウルフは移動力も高いですし、最後尾に置くのは良い判断なわけですが。

 結果、挟み撃ちは成功するものの、隊列の妙とマジックミサイル・ワンドの猛威による、挟み撃ち作戦は大きな被害を出すこともなく終了。あえなくゴブリン3体とホブゴブリン1体が鬼籍に突入ですよ。


 途中でゴブリン1体が怖気づいて撤退。奥の部屋に逃げ込んでしまいます。

一斉射撃

 次は「敵がクロスボウを構えて待ち伏せ」の間。ローグのクラスレベルを持つゴブリンチーフの矢が僧侶にクリティカルで命中。急所攻撃もあわせて僧侶を沈めた(HP:-8)ものの、盗賊が飲ませたポーションが9点回復させたために即時戦線復帰。あぁもうまったく。

 戦士に切り込まれ、マジックミサイル砲台と化した魔術師に打ち抜かれ、あれよあれよと打ち倒されます……あのワンドだけは、はやく使い切らせようと心に誓うDMでした。

レッドドラゴンに怖気づく

 お次はお待ちかねの「レッドドラゴンの雛」です。脅威度3。

 ……全会一致で「見なかったことにしよう」と即決されました。「邪悪で獰猛で危険な存在を看過するの?」と軽く誘惑するも「うちらパラディンじゃないですから!」と猛烈な反論が。おまけに「PCたちは邪悪なゴブリンを先に解決しようと考えてるんです」とか予防線まで張り出す始末。

 ここで戦わないのは予想通りなのだけど、ここまで反応が強いとは。ハイリスクハイリターンを敢えて選ぶ猛者はどこかにいないのかっ。

ドワーフ僧侶の亡骸を見つける

 ふとした思い付きから、シナリオを修正して過去にこの神殿を討伐しにきた僧侶の亡骸を配置。遺言やら印章指輪やら装備品なんかを提供しつつ、次回以降で使う布石とします。

 シナリオを途中で書き換える行為はあんまり誉められたもんじゃないですけど、次回以降にしか影響しないから大目に見てもらいましょ。当座は預かったアイテムで有利なわけですしね。

ゴブリンの呪術師を倒せ!

 そしてとうとう、ゴブリン探索隊の首魁、ゴブリン呪術師との対決。ここは移動を阻害するバリケードの向こう側から、クロスボウを打ち込むことを基本に、さらに呪術師が治癒のワンドを振り回して味方を癒すという作戦である。

 しかし、この作戦はラウンドあたりのこちらの損害が絶望的に大きい場合はどうにもならないこと思い知る。戦士のクリティカルで前線が崩壊したかと思うと、あれよあれよと言う間にゴブリン勢は敗北。

 でも善なるパーティを自認する彼らは、捕虜にしたゴブリン1人──情報をさんざん搾り取った上に、ドラゴンの部屋まで仲間の死骸を放り込ませた後で──を逃がしてくれました。きっと彼は族長の元に帰り着いたはずです。

 今回の結果を戦訓にして、次のゴブリンたちはもっと上手くやってくれるはず。頑張れゴブリン、負けるなゴブリンっ!!

封印された『扉』

 呪術師を倒した一行は、隠し扉の奥に隠された『扉』にようやくたどり着いた。これを手許にある『鍵』によって開けば、次の階層へと進めるはずだ。

 PL A :DM、いま「次の階層」って言いました?
 DM  :……ああ、確かに言ったね(ちっ)

 PL A :今日はここまでにしましょう。レベルアップとかもありますし。
 PL B :え、なんで?
 PL A :ダンジョンレベルが上がると敵が強くなるんだよ。

今回はここまで

 ……残り時間が少なくなったので、今回はここで終了。「レッドドラゴン戦ぐらいならできるよ?」と持ちかけてみたら、すげなく断られてしまった。あれなら数ラウンドで(勝つか全滅かで)終わるはずなんだけどな。

 今回はびっくりするような戦利品はなし……これだけでほっとできるのは何か間違っているとわかってるのだけど。ともかくこんな感じで初のD&D3rdキャンペーンが始まったわけです。

 はてさて、これからどうなることやら。

さいごに

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月刊TRPG.NET 2005年02月号

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