初心者DMのキャンペーン顛末記(第1回)

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初心者DMのキャンペーン顛末記(第1回)


キャンペーンのコンセプトを決めよう

 まず最初に決めたのが「キャンペーンのコンセプト」でした。コンセプトといってもそんな大層なものじゃなくて、例えば「1レベルから始めて9レベルぐらいまで遊ぼう」とか「ヒロイックな物語を楽しもう」とか「パーティは人間戦士男だけで組もう」といった類の、わりとお手軽なものです。

 で、今回のDM側が提示するコンセプトは「参加プレイヤがコンベンションでDMできるかなと思えるようになる」でした。プレイヤにもこの点をきちんと伝えて了承をもらいます。

ルールレギュレーションを決めよう

 次にコンセプトを全うするためのレギュレーション決めです。これはあっさり「日本語限定。コアルール3冊とサプリメント少々」に落ち着きました。英語版を許可すると、それを訳したり確認したりする手間がかさんで初心者DMの手にあまると考えたからです。

 サプリメントで導入が確定しているのが『グレイホークワールドガイド』。さらに『次元界の書』『モンスターマニュアルII』を導入することを予告してます(もっともこの二冊はDMがまだ買えてなかったりするわけですが;苦笑)。

 この他のものもプレイグループ内で希望が出て、お財布に余裕があれば徐々に解禁していく予定です。

集まってキャラクタ作成してもらう準備

 キャンペーンを遊ぶのであれば、まずキャラクタ作成をせねばなりません。というわけでプレイヤに集まってもらうことにしました。
 別にセッションをする予定はないので、シナリオ作ったりする必要はありません。でもキャラ作成に関するルールは確認しておいた方が良さげです。

 というわけで、『プレイヤーズハンドブック(PHB)』と『ダンジョンマスターズガイド(DMG)』のキャラクター作成に関するところだけざっくりと流し読みしておきます。

≫[PHB:2-5章,7章][DMG:p19]

 そうそう。メールなどで連絡をとりあって、誰がどんなキャラをやりたいかを事前に軽くリサーチしておきました。それで「○○はレイピアを使うキャラがやりたいらしい」とか「ウィザードをやってみたい人がいるよ」みたいな情報はこまめに共有。

キャラクタ作成の横で

 で、実際に集まってキャラクタ作成。能力値決定はDMGに載っているオプションルール「変動的再ロール」に、「一回だけ振り直し可」というローカルオプションを加えたものを採用しました。

 作成中はプレイヤの質問に答えるぐらいしかやることはありません。しばらくお茶を煎れたりお菓子を齧ったりしてみたものの、どうにも手持ち無沙汰。

 そこで「PCが完成したら小冒険をすることにしましょう」と宣言。さっそく戦闘に関するルールなどを調べはじめます。

 あれこれ思案して小冒険は「NPCウィザードの依頼でマジックアイテムの素材を職人から受領するため、都市から少し離れた村にお使いに行く」というものに決定します。当然、これを妨害しようとする悪者がいるわけですよ。

 さっそくPHBの戦闘に関する部分やDMGの遭遇に関するルールをチェックします。出すモンスターはベタにゴブリンあたりにしましょう。『モンスターマニュアル(MM)』の該当項目を読み漁ります。

≫[PHB:8章][DMG:p59,165,170][MM:p33,p59]

キャラクターのチェック

 なんだかんだで完成したキャラクター4体。ファイター、クレリック、ローグ、ウィザードと実に基本に忠実なパーティです。

ティリダテネス [エルフ/ファイター1/女]
エアレンディル [エルフ/クレリック1(アローナ)/男]
コナー     [ハーフリング/ローグ1/男]
フベルトゥス  [ドワーフ/ウィザード1/男]
シヴァ     [ウルフ]

 ……人間がいなかったり、どいつもこいつもクラスで重視する能力値ボーナスが+3以上だったりするのは気のせいということにしときましょう。まー、キャンペーンだし、能力値が低くてモチベーション下がるより、能力値が良くて思い入れしやすい方が遥かにマシですからね。ええ。

ゴブリンとの遭遇戦

 さっき考えたお使い小冒険を開始。野外でのランダム遭遇はないと明言した上で、スクエアマップをテーブルに広げます。今回はプレイヤ向けのフィギュアはあったものの、モンスタフィギュアが無かったため木片にシールを貼ったもので代用することに(しかもフィギュアがPLさま提供です)。

 かくして、たどたどしくも戦闘開始。敵はゴブリン5匹とヴォーグ1匹。戦闘ルールを体で覚えるための敵なわけで、あんまり考えずにさくさく戦います。

 結局、PCが一人も倒されることなく戦闘終了。DMは悔しがります。

ゴブリンの持っていた財宝

 敵を倒したら財宝を漁る、というのが世の習いと信じて疑わないプレイヤたち。DMは面倒なのでプレイヤにダイスを振ってもらうことにしました。

 これがいけなかった。

 「ゴブリンの持ってた貨幣は出目97だよ」
 「(ナヌ!)……40ppだね」
 「ゴブリンの持ってた美術品も出目97だったー」
 「(ガーン!)……大理石の置物だね。せ、1200gp相当だ」

 なんせ初期所持金が一人150gpとかいった世界で、なんとなく倒したゴブリンから1600gpもの収益です。投資収益率250%以上ですよ。しかも恐ろしくローリスク。しばし大混乱に陥るDM。今回のキャンペーンは実はバブリーズだったのかーっ(ぐるぐる)。

 「……こ、怖いよー」

 ん?

 「ただのゴブリンがこんな財宝持ってるわけがない」
 「きっと何か裏があるんだー」

 どうやらあまりのローリスクハイリターンっぷりに恐慌をきたしていたのはプレイヤたちも同様だったようで。これはつまり「裏を作れ」というサインに違いありません。

 「……あー、ゴブリンの荷物の中から命令書が出てくるよ」
 「わー、やっぱりー(でも嬉しそう)」

 というわけで、小冒険は第二ラウンドを迎えることに。

 プレイヤはリターンに比してリスクが小さすぎることに違和感を感じているのですから、第二ラウンドはリスク高めでも文句は出ないってことですよ。DMは邪悪な笑みを浮かべつつ、いそいそと次の遭遇を準備するのでありました。

(つづく)

さいごに

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月刊TRPG.NET 2005年01月号

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