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D&Dの3版は今までのD&Dの集大成とも言える作品で、非常に良く出来たルールシステムになっています。
ただし、この良く出来たシステムにも弱点はあります。それは、お宝ゲットの爽快感が減ってしまった事です。
D&D3版では、LVに応じた所持金の目安が決められています。これは非常に便利なもので、これを守れば持込みPCも新規作成PCも、もちろん長年使い続けてきたPCもほぼ同じ財政状態でプレイに参加できるのです。
アイテムや所持金の多寡にとらわれず、どこでも安心してPCを使える様になったことは非常に大きな進歩でした。
しかし、この公平性がお宝ゲットの爽快感を減らしてしまったのです。
例えば、目安の5割増しの財産で買い物をしたPCと5割引きの財産で買い物をしたPCが一緒にプレイするのは明らかに間違いです。そしてこれが間違いであるならば (ならば、ではなく明らかに間違いですが)、冒険の結果として渡す財宝が多すぎても少なすぎてもやはり間違いになるのです。
つまり、公平を保つ以上、貰えるお宝の量は分かってしまうのです。
量が分かってるお宝をもらうことにどんな爽快感があるでしょうか?
もちろん、次のような意見もあるでしょう。
・自分たちのプレイグループでバランスを取るなら、財宝が多くても少なくても大丈夫ではないか?
・所持金が多すぎても少なすぎても楽しければいいじゃないか。
これに対する答えはNOです。ハッキリとNOです。
D&D3版では、PCの強さに応じて敵の強さを調整する仕組みがあります。アイテムの量によって、当然倒せるべきモンスターを倒せなかったり、苦戦するはずのモンスターを労せずして倒してしまっては楽しさ半減です。楽しければいいなんて言えないのです。
よく出来たルールシステムならではの問題で、歯車が狂うと全体が乱れてしまうわけです。
お宝ゲットの爽快感を取り戻したい。
決めれた量のお宝が出てくるなんて不自然だし、爽快感が無い! 面白くない!!
でも、お宝が多かったり少なかったりするのはトラブルがある。
では、どうするか?
答えの一つは、身内だけでのプレイでDMが苦労を背負うという手です。
お宝の決定表でダイスを振るのをPLに任せ、結果に一喜一憂する喜びを復活させるのです。
敵の強さ (脅威度) の問題は、データをよく検討し、LVに対して財宝が多く出ている時は脅威度に比して強い敵を出し、財宝が少なければ逆にするのです。
脅威度の数字が同じでも強さにはばらつきがありますから、DMが苦労して調整するわけですね。結果として早く/遅く成長しますので、見かけ上のバランスは取れるはずです。きっと。
DMがどんなに苦労して調整しても他所でそのPCを使えなくなりますが、それはお宝ゲットの爽快感とのトレードです。どちらかを選びましょう。
もう一つの答えは、お金や経験値に結びつかない報酬を与える方法です。
せっかくバード(吟遊詩人)がいて、パラディンの規律があって、悪に堕するルールがあるのですから、名誉や名声、あるいは悪名を報酬として用意するのはいかがでしょうか。
PC達の苦労によって (ゲームバランスを壊さないタイプの) 報酬が増えるワケですから、検討されてみてはいかがでしょうか。実践してみたことが無いのでちょっとアレですが、パラディンの規律などは実用的な記事も書かれていますし、試す価値はあると思います。
今後のサプリメントや Dragon誌、その他サードパティのルールの中には、武器自体を成長させたり歴史を持たせたりする物もあります。
ルールに沿った処理になってしまうと結局もとの木阿弥になってしまう可能性が高いのですが、お金でも経験値でも戦闘バランスでもない新たなパラメータを用意することは打開策になる可能性を秘めています。
お宝ゲットの爽快感は、色々なルールを探す手間に見合う効果があると思います。みなさんもぜひご検討ください。
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