TRPG.NET > 月刊TRPG.NET / 2004年10月号 >
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バイクショップの喫茶スペース。明るい店内、背景に数台のバイクが見える。
敬之「ぼく、バイク用品の開発が趣味なんです」
蛍「創造的なのね」
理緒「バイクのほうをいじったりとかも、やるんですか」
敬之「いや、メカのほうはちょっと苦手でねえ」
敬之「ほら、これはバイザーに双眼鏡を内蔵しているんだ。走行中でもちょっと遠くが確認できる。便利でしょ」
オフロード用の、ひさしの付いたヘルメットを持ちだす敬之。
理緒「それ、太陽のほうに顔を向けたら、目がレンズで焼けないかな」
答える理緒。ふきだしの中に図を描く。
図(ヘルメットを被った男の頭部。顔を向けた方向に太陽があり、太陽光線がレンズを通って目に焦点を結んでいる)
蛍「あ、元気出して」
沈み込む敬之。
敬之「アイデアには自信があったのに、こんな落とし穴があったなんて……」
理緒「アイデアの問題点を洗い出すコツを学びたいなら『日シナのマスタリング講座』がお勧めよ」
敬之「…………マスタリング講座?」
理緒「そう、60年の実績を誇る日シナのマスタリング講座は、経験豊富な先生方が、完成したと思った作品を再確認するための要点を、事細かに、でも余す所なく伝授してくださるのよ」
理緒「バインダー式のテキストと、実用新案のマスタリング練習機を使うと、既に形作られているアイデアの検討が容易になるだけでなく」
蛍「ゼロから新しいアイデアを産み出すためにも使えそうね」
敬之「……ふーん」
理緒「1日20分の練習を続けるだけで、シナリオ検定にも楽々合格。シナリオ1級の合格者の9割以上が、日シナの出身なのよ」
蛍「毎日の繰り返しが結構大事なのは、私も知っていたけど……」
敬之「日ごろから些細なアイデアでも出しつづけていけば、いつかは成果に繋がるわけか」
姿勢を正す敬之。
敬之「うん、なんだか立ち直れそうな気がする」
蛍「それは良かったね」
敬之「早速、また新しい発明のアイデアが浮かんだりしたぞ」
理緒「ふーん、どんなの?」
敬之「バイク用エアバッグ内蔵スーツ。転倒時にツナギがガス圧で大きく膨らんで着地の衝撃を緩和、安全が確保されるまでの間、膨らんだままで安定する」
蛍「『マグマダイバー』みたいな」
理緒「でもそれ、川とかに落ちて、頭が下になったら大変なことになるね」
答える理緒。ふきだしの中に図を描く。
図(大きく膨らんだツナギを着て、逆立ち状態の男性。ヘルメットの部分は水面を示す線より下になっている)
敬之「…………」
落ちこむ敬之。
蛍「そんなふうに、即座にずけずけっと言うのも『マスタリング講座』で学んだ事なの?」
理緒「これは性分よ」
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