地図に付いての乱文

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地図に付いての乱文


二つの地図

 TRPGで地図と聞かれると、自分が最初に思い付くのは二つ。
 一つは、シナリオを作る際の骨組みとしての地図。
 もう一つは、参加者にその場所の状況を視覚的に伝える為の地図。
 他にも用法は色々と在りますが、その二つに付いてちょっとだけ、後者の方はオンラ インでの事に的を絞って書かせて頂こうかと思います。

シナリオの骨組みとしての地図

 先ずは、シナリオの骨組みとしての地図。遺跡探索シナリオの迷宮の地図とかでは ありません。
 例えばキャンペーン・シナリオを作る時に架空の世界地図を、どんな国があって、ど んな街があって、気候は? 特産は? 特徴は? 国同士の関係はどうかなんて事を膨 らませていきます。(最近はオンライン(公共設定)のソード・ワールドしかしてい ないので作る事は無くなってしまいましたけどね。)
 シティ・アドベンチャーを作るなら街の地図、どんな施設があって、どんな人がそこ に居て、などと舞台を作ります。地図と言っても住宅地図みたいな精密な物では無く、 白い紙に○を書いて、酒場とか、寺院とか大凡の位置関係だけを書き込んだ単純な物 だったり……します。
 その舞台で、どんな人が、どんな事を考えて、どう行動するか(=誰が、何を目的に、 どんな事件を起こすか、起こそうとしているか)を考えて、最後に参加するキャラク ター達が現在どんな状況で何処に居るかを設定して……後はGO!
「現在のすべての情報を知る事が出来たなら、未来は予測出来る」と言った人も居 ますが、そこまででは無いにしても、地図の範囲内ならばPCがちょっと横道に外れて も十分に対応出来る、もしくはセッション中に補正出来る柔軟性のあるシナリオが作 れると思っています。
 もっとも、そこまで綿密な情報設定をしていないのと、GMとしての力量と知識量が無 い自分では、ちょっと予想外の行動をされちゃうとおろおろと、ましてや地図の外に 出られてしまうと……。
 それでも何度か、通る予定に無かった場所の設定で助かった事がありました。一回の シナリオでもう使わないのならちょっと労力が掛かりすぎますが、その街で何度かセッ ションを行うのならかなり有効な手法だと思っております。

参加者に状況を伝える為の地図

 次に、参加者に状況を伝える為の地図。オフラインでは、特に遺跡探索シナリオで プレイヤーに書いて貰ったり、(横着になって来て)GMが書いたり……、用意して 置いた地図を小出しにしたりと色々しましたが、オンラインではちょっと難しいのか、 その手のセッションには出会いませんでした。
 その内GMをさせて頂く様になり、ダンジョン・シナリオをオンラインで遊んで欲しい! と、htmlチャットでのセッションで在った事もあり、タグと記号を使ったマップを……作ろうとして……手間の為に断念しました。
 表示と編集が別な事や、チャットで送信する為に一行で書かないといけない事による 見辛さ、それによるタグミスが致命的な事、など問題が多くて……。
 で結局シナリオを作る前に、タグマップ編集ツールを……。他の方も手軽に利用で きるように、JavaScript利用の編集ページとしてみました。もし良かったらご利用下 さい。ただ自分で使う為のツールでも在った為、ちょっと不便な所も在るかと思いま す。より手軽で便利な物に改良していきたいですね。

地図は説明したあとで出す

 で、準備が出来、それを利用したセッションで思った事は、地図表示に頼るのは最後が良いかな? と言う物でした。(因みにダンジョンシナリオではなく、屋敷の見取り図でしたが……)
 真っ先に地図を見せてしまうと、想像の範囲を行きなり狭めてしまう印象を受けまし た。
 確かに位置関係を全員に正しく伝える手段として非常に有効だったのですが、雰囲気 を壊してしまったのではと思ったのです。
 例えば、
「扉を開けると、薄暗い窓の無い部屋で、壁に並べられた本で覆い尽くされていた。 部屋の中央には黒塗りの机と、その上に今は火が灯っていないランプが……。」
 と言った描写や説明の後に

┌───┐
│   │
│   │
│   │
│   :
└───┘
 と言った地図を見せるのと、地図を見せた後で先の説明をするのとで、随分と印象が 変わってくると……。
 文の説明と、地図で見た物の違いの一つは、例えば視点。地図の視点が上からなのに 対して、文章での説明ではキャラクターと同じ視点からの説明が出来る事。
 この辺りがキャラクターに移入しやすいかどうかの差になってくるのかなと、思って います。
 小説とテレビドラマなどの違いで、小説の方が主人公に成りきって読めるから好きだ と言う人が居ますが、それに似ている様な気がしました。

 そして次のセッションの時に、地図は用意したのですが先の事もあり、文章だけの 描写でダンジョン・シナリオを……。
 結果と言うか、出だしの通路でプレイヤーさんの一人が地形を把握出来なくなり急遽 htmlマップの貼り付けに……。やっぱり地図はあると便利です。
 今は、キャラクター視点での文章による描写にて状況説明をした後、確認と共通認識 をして頂く為にhtmlマップを後から出す様にしています。

さいごに

 以上、自分がTRPGで地図を利用方法の内の二つでした。前者はGMのシナリオ作り、 後者はPLが遊ぶ際の情報伝達ですが、どちらも全くの無から世界を想像する際の最初 の足がかりと成ると言う点では同じ物かも知れません。
 あと、オンライン・セッションは、オフライン・セッションに比べて情報量が極端に 少なく時間も掛かって大変だと言う話も聞きますが、先の小説とテレビの差では無い ですが少ない故に想像で遊ぶゲームとしてはより深いものに成っているのでは、と思っ ています。
 マップ表示などが、その欠点の補完に成ると良いですね。それらが楽しいセッション を行う手助けになれば幸いです。

さいごに

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月刊TRPG.NET 2004年06月号

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