D&Dであれこれ:a client

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D&Dであれこれ:a client

はじめに

 依頼人というのは2つに分類する事が可能である。即ち、信頼できる依頼人か、或いはそうで無いかだ。様々な知性が、冒険者であるプレイヤ・キャラクタに依頼を持ちかけて来るだろう。例えば、村人、商人、乞食、子供、貴族、他の冒険者、妻、椅子などである。この内乞食、子供、貴族、冒険者、妻は絶対に信用できず、椅子は知性を持たない。この事実から依頼人の内75%は信頼してはいけない事が分かる。

 私も信頼できない依頼人と遭遇した事がある。

※以下『Bastion of Broken Souls/迷える魂を喰らう者』のネタバレが含まれているので、適宜目を瞑りながら読む事。

強襲、改造Marilith

 D&Dというゲームは、それをプレイしない人、或いは浅くプレイしている人には、ひどく誤解されがちである。例えば「D&Dでは町中でも安心して歩く事ができない」というような誤解だ。こういう基本的帰属錯誤は行けないのである。木を見て森を見ずと言われても仕方がない。

 ある時、私(Paladinのキャラクタであった)がGreyhawk Cityという立派な法治都市の酒場で、仲間と酒を飲んでいるとDMに、

皆さんが酒場で駄喋っていると、突然そのテーブルから30ft.離れた所に、下半身が蛇、上半身が半裸の女性で腕が6本あり、全身に鎖を巻きつけたクリーチャがテレポートアウトしてきます。という訳で不意打です。

と言われた。

 おや?

 キャラクタだけでなくプレイヤも完全に不意を打たれ――この反応こそ、こういう出来事は一般的では無いという証左に他ならない――上、その改造Marilithは信じられぬ程強力だったので、苦戦を強いられ、我がPaladinは気絶し、なんとMarilithに連れ去られてしまった。

善なる使者ナーン

 唖然として暫く機能停止していたプレイヤだったが、やはりDMの言葉によって活動を再開した。

皆さんが呆然としている――プレイヤの表情からもそれは明らかだ――と、レザーアーマを着て、レイピアを腰に佩いたローグ風の男が君達に話しかけて気ます。「私はナーン、たった今君達を襲ったDemonを追っている者だ。出現を嗅ぎ付け急いでやってきたが間に合わなかったようだ。すまない」

 更にこの男は事情を話し、あの改造Marilithを探すのを手伝えば、去らわれたPaladinの救出に協力してくれると言う。彼は善なる存在の使者であると主張し、またあのDemonは、彼が仕える存在の敵のエージェントに当たると言う。

 このナーンと名乗る男が信用できない事は、彼が信頼できる依頼人の集合である村人・商人のどちらでも無い事から明らかである。また妻でも椅子でも無い事も分かる。

依頼者の正体見たり……

 D&Dというゲームは、それをプレイしない人、或いは浅くプレイしている人には、ひどく誤解されがちである。例えば「D&Dシナリオに登場する依頼人の8割以上はEvilだ」とか。木を見て森を見ないのは感心できる態度ではない。少なくともD&Dのシナリオが、どういうものかはオフィシャルシナリオから判断しなければならない。

 シナリオは流れ、ナーンと一緒にPaladinを救出しに言った時、戦闘が始まるや否やパーティのClericがTrue Seeingという呪文を使った。これを使えば、見た物/者の真なる性質などが詳らかにされるのである。幻術で素顔を隠している相手ならば素顔が分かるし、Alignmentも判明する。高レベルのシナリオで依頼人に対して、この呪文で確認を取らないのは愚か者の所業であると言える。それを行なわない冒険者なのであれば、依頼人は即座に別の冒険者を探す方が良いだろう。
 果して、我々は愚かでは無いので(依頼を受け随分経ってから)使った。そこに見えたのは

えーと、Death Slaad。

 おや?

 SlaadというのはChaotic Evilな生物で、Limboを主たる拠点とする異界の存在である。その中でもDeath Slaadは最も危険で邪悪な生物なのである。非常に強力な呪文能力も持っている。

 いやはや。

 最後にもう一度、念を押すが、誤解は良くない。D&Dシナリオの何たるかはオフィシャルシナリオの内容を持って判断すべきである。決して、特定のリプレイやプレイレポート、コラムなどを基準に判断してはならない。

 以上、Wizards of the Coast社発売のOfficial Adventureシリーズ最終話『Bastion of Broken Souls』、ホビージャパン社翻訳の冒険シナリオシリーズ最終話『迷える魂を喰らう者』で体験した出来事である。

 おや? 何やら、オフィシャルシナリオを判断基準にして得られる認識は、誤った評価と大差が無い事を証明してしまった気もするが、やはり偏った評価は良くないのである。偏差の少ない正しい評価とは、即ち「D&Dは最高、至上、空前、絶後の唯一にして無二の神のゲームであり、皆これを遊び、崇めるべきだ」というものを指す。Q.E.D.

さいごに

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月刊TRPG.NET 2004年04月号

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