「勇者論考シリーズ1――最後の街――」(ニセあみ)

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 宿の機能は、疲労の回復と落ち着いた治療が第一である。
 これはCRPGの次にTRPGを知った世代のプレイヤーでなくとも同じ意見であろ う。疲労の回復と落ち着いた治療、明日の活力を再生産するのに一番重要なの は先ず安全であること。
 人災以外からも、守られていることが重要である。虫害の例が7月号の記事 で紹介されていましたが、宿泊者の肌が蝕まれるのは、これはつらい。食事ひ とつとっても、虫害や食中毒や異物混入(近代以降なら、公害や誤った知識も 侮れない)などの対策が杜撰であったりする。

 宿は兵糧の延長であり、勇者でも冒険者でも選ぶべき武具のひとつ。勇者チー ムの職人(技術者)や商人であってもクロークよりも重要な、厳選を避けること のできない武具といえる。
 贅沢ではなく、安全のために本当の高級宿は勇者にとって必要。
 本当の高級宿を見分けるのは、勇者自身か勇者の魂の一部ともいえる仲間が 行うであろう。一般人は、商業従事者から事前調査されたデータを分与される、 ぐらいしか見分け方を知らないであろうけれど。

 行動の自由や武器の所有(社会の肯定)も、勇者にとっては必要。勇者は、そ のためには品行方正か、少なくとも社会の勢力に負担を強いるようなことはし ないようにしないように。

 そして勇者はクリーンであるように努めなければならない。
 儀式魔法の観衆を集めるだけが勇者ではないのだ。隕石が地球を翳めていて も、都市の祝祭に夢中になっているだけで、人類社会(北米圏、欧州圏など)の 大半の組成ユニットは良いのだ。
 勇者の原型は生贄の珍獣。聖獣。勇者は、人類代表。

 安宿が安宿たる所以は、あらゆるものから守られていないこと。幾多の五軍 六軍チームともいえる、名も知らぬ大切な仲間たちの力が、勇者を助けること ができない、ということ。
 都市で野宿することの延長、といえるかも知れない。呪文だけを見ても《避 難所》《食料(水)浄化》(または作成)《見張り(番犬)》を使用することで快適 になる宿は、限りなく野に近い。技能だと先ず〈生存/都市〉といったところ だろうか。
 都市、村、野のエリアを区別するのは何だろうか。霊界の住人であったり、 あらゆる世界を識る知性だけの存在であったり、その魂と精神の器が著しく人 類とかけ離れているユニットには、要らないことかも知れない。世界と己の繋 がりが神の如く調和している肉体のユニットには、もう宿は要らないであろう。

 それらはまた後日述べることだが、今月の結論は。
 安宿を、あまり宿と思うな。

さいごに

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月刊TRPG.NET 2003年10月号

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