移動する場所、操作する対象、対話する人物、闘う敵のような。セッション中にPCが関与する対象というものがありますよね。
これらはTRPGでは口頭で伝達され、ゲームマスターが必要に応じて用意することができるのが、メリットであるとされていますが。口頭だけであるために、PCの現状や可能な行動が把握しにくくなるという問題があるわけです。
対処法としてはプレイヤーレベルでメモを取るという手があるわけで、これはたいへん有用な手段であるわけですが。ゲームマスター側でも、トークン・カード・マップなどのマテリアルとして用意しておくと、親切だしスムーズにゲームが進行できるんですよね。
そのシナリオにおいて重要な要素についてだけでも、カードなりの目に見える、プレイヤーたちに明示できる方法で提供できるようにしておくというのは。手間は多少増えますが、試してみてはいかがでしょうか。
ゲームには学習装置としての効果があります。体験することにより、その立場やある事象を表現したモデルの動き方を理解し、体得するという機能があるわけです。
そういったものを考えると。実際に利用することでTRPGの遊び方、ゲームマスターとしての心構えや処理の考えかたなどを学習できるような、学習用のゲームってものが。意識して設計・提供されてもよいような気がします。
TRPGは自由度が高いのだ、などといわれます。
しかし、ここで言う自由度ってのはなんのことなんでしょうね。
など色々ありえますね。
選択肢型のアドベンチャーゲームやゲームブックのようなものは、手段の自由度は低くなりがちだけど。結末はマルチエンディングであれば自由度があるし、経路は最終シーンへのバリエーションの数という点では、TRPGよりも自由度は高いのが普通ですよね。展開の自由度をきちんと設計するのは手間ですから、TRPGのマスターの作成するシナリオは、見かけはともかく現実には展開の自由度が低いことが多いように思います。
わりとこう、ズルズルと遊んでいると忘れてしまいがちになるような気がしますが。キャンペーンやシリーズもののセッションを行う時には、いつどのような時点で完結とするかというのを、あらかじめ意識しておくと、引き締まった物になりやすいですよね。
むろん、ずるずると終わりなき物語を遊べるのも、良いものなんですけど。特にオンラインのセッションや、PBeMなどでは、いついつこれこれの条件で完結させるのだ、というのはもう少し意識的になっているものが増えてもいいような気がします。
剣と魔法のファンタジーもので、なぜ地下施設が多いのかを考えていて。
飛行する騎乗生物や、飛行する存在がたくさん居る世界では、空中からの侵攻にたいして遅延抵抗するためのもっとも有用なのは、城郭や堀などではなく、地下要塞にすることなのだ。という説明ができるなあと思ってみたり。
戦闘正面を減らすためには、ダンジョン的なものは優れてますからね。
そういう視点で「このダンジョンをどう守ろうとして配置・設備を作るか」なんてことを意識していると、マップデザインの考え方も変わってきますよね。
楽しみながらTRPGを学ぶためにも、それ単体で余分な知識を必要とせずに遊べるような、入門セットが欲しいですよね。買って開いて、その場で読みながら遊び進められる。最低限、これくらいが実現できていないと、勧めにくいんですよね。
逐一、知っている人間が伝授するとかであればともかく。初めて遊ぶ人たちに、自分たちで最初から手探りしながら学習するという楽しみを味わってもらうためには、シンプルで遊びやすいものがあって欲しい。そうやって始めたほうが、のめりこみやすいし。学校の授業と自発的な学習との違いですね。
そのような入門セットは。なにができてなにができないのか、なにをする役割なのかを明示した出来合いのPCがあって。達成するべき目的と障害が明確で、舞台や登場事物が目に見える形でデータ化・図示されたシナリオがあって。使用するルールなんかは、シナリオとキャラクターデータを見るだけで運用できるくらいが望ましいでしょうかね。
英語であることを除けば、D&D3eのスタート用のボックスなんかは良い出来なんですよね。
改造しやすいルールと改造しにくいルールがあるというのは、ハウスルールを作成したりしている人は痛感していることかと思います。
ちょっとしたルールを追加するだけで、すべてのルールを再検討したり、追加データを作るためにすべてのデータを確認しないといけないシステムもあれば。ぼこぼこと能力値を追加しても平気なシステムもあるわけですよね。
この違いはなにかと考えてみますと、一つにはルールの部品間の相互作用の強さではないかと思います。複雑に能力や技能や消耗ポイントや所持品などのデータが、判定システムと絡み合って良くまとまっているシステムであればあるほど。追加のデータやルールを作りにくいというわけです。
たとえば遭遇判定でPCのパラメータが関係せず、単に1D6で決められるシステムと。能力や状況やポイント消費や手札などが複雑に関与するシステムとでは。なにか判定を追加しようとするときに影響の出る要素の数が違うわけですよね。
TRPGにしてもCRPGにしても。色々な技能や呪文があっても使用するのに必要なポイントが共用であったり、逆にどれを使っても消耗しなかったりするのであれば、定番の有利なものだけ利用することになりがちです。典型的には攻撃呪文しか使わないとか。
しかし、技能や呪文それぞれに固有のポイントがある形式であれば、管理は繁雑ではあるものの、まんべんなくどれも使うようにする意義が出てきやすいんですよね。呪文一種ごとにポイントがあれば、補助呪文でも「もったいないし、使うだけ得だし」ということで積極的に利用しやすい心理になるわけです。
同様に共通のポイント、共通のプールから利用する場合には、定番のやつだけに陥りやすいわけで。ポイントは行動ごとに色々あると、いろんな行動をする気にさせることもできるのでしょう。能力値を消耗するタイプであれば、すべての能力値についてそれぞれ技能や呪文があるとか。
もともとウォーゲームでもそうだし、ゲーミング・シミュレーションでもそうですけど。ゲームのシナリオってのは元来、ストーリーではないんですよね。
必要なのは、TRPGで言えば、初期状況、マップ、登場人物(やモンスター)のデータ、なにができてなにができないのかのルール、起こりうるアクシデント、といったところのようです。
これだけあればゲームが回るようなスタイルってのは、ゲームとして遊びやすいし、安定しやすいんでしょうね。
まあ、実際。それだけデータがあれば、ダンジョンものでなくても、事件と真相をちょいとひねり出せば、十分遊べますし。シナリオとして本当に必要なものというのは、そういったデータ類の充実なんでしょうね。
TRPGのゲーム的な要素(戦闘、モンスターとか)ってのは、結局は、選択の機会を提供していると考えることができます。
罠とはなにを提供するのか。罠がないか探すために時間を費やすか費やさないかの選択の機会、罠をみつけた時にどうするかの選択の機会、罠が発動した時にどう対処するかの選択の機会、発動した結果にどう対処するかの選択の機会、などの選択の機会を提供する。
モンスターはなにを提供するのか。存在するかどうか探すために時間を費やすかどうかの選択の機会、遭遇した時にどうするかの選択の機会、戦闘になった時にどう対処するかの選択の機会、戦闘の結果(負傷など)にどう対処するかの選択の機会、などの選択の機会を提供する。
マップはなにを提供するのか。どこから入るかの選択の機会、どの経路をたどるかの選択の機会、部屋に入るか入らないかの選択の機会、時間を費やすか費やさないか選択の機会、などの選択の機会を提供する。
そう考えると、罠やモンスターやマップが、単体でゲーム的に価値のあるデータかどうかは。意味のある選択の機会をどれだけ提供できるか、と考えることもできるんでしょう。
それを敷衍すると、TRPGにおいて使えるデータとして、モンスターなどの既存のデータ以外でも、選択の機会のリストを大量に用意しておくという手もあるわけですね。
2001年分の一覧へ。
TRPGな一言の総合情報へ。
連絡先 / ディレクトリルートに戻る / TRPG.NET