TRPGな一言2000年10月中期分


目次


2000/10/11:なにができるかを明確にするための情報

情報の機能をいろいろと考える切り口の一つとして。なにが出来るのかを明確にするための道具である、という考え方があります。

情報をあつめればあつめるほど、できること、できる相手、できる道具が、どんどん増えて行くと考えるわけですね。

どんな行動を行うにしても、行動の対象と、どのように行動するかを決定する必要があるルールが多いわけですから。まず行動の対象や、どのように行動することができるかの情報をあつめることからはじめるというのは、便利な考え方だと思います。

この考え方でシナリオを作成するとすれば、行動の対象についてカード化するなどしておくと、明示的になりわかりやすくなりますね。場所や人物をカード化して、情報収集の結果として開示していき。その開示されたカードにある場所や人物を情報収集や行動の対象とするわけです。

2000/10/12:はじめてのマスターにとって楽しくせねばならないのは敷居

はじめてシナリオ作成した、はじめてのゲームマスターでも。プレイヤーが楽しめるようなゲームでないと。どうせつまんなくなる危険が高いならゲームマスターなんてするもんか、という人ばかりになるのは、あたりまえなのかも知れない。

ランダムジェネレータで、それなりに楽しく、ゲームマスターが創意工夫しなくても問題なく運営できるようなシナリオが、自動的に生成されるとか。特に工夫せずパーツをおいて行くだけで(ゲーム的なコストなどを考えないでも)楽しいシナリオができるとか。そういう環境だと。マスターはじめる敷居が小さいのかも知れませんね。

2000/10/13:得意技を使える状況にする

どんなPCにも得意な戦術、得意技のようなものがあると思います。戦士が武器でぶんなぐるのが得意とかいったレベルのものも、得意技ですよね。

そして、どんな得意技であっても、たいていのばあいには利用の条件に限界があって。いつでもどこでもどんな問題にでも適用できるわけではないわけですよね。そこで、自分の得意技を使うための状況を用意するわけです。戦士であれば、戦闘で問題を解決できるところまで状況を構築するのが、プレイヤーの腕の見せ所、となるわけですね。

さて。ゲームシステムにも、また得意技、得意なシチェーションといったものがありますよね。たとえばダンジョンものを行うのが得意とか、一対一の決闘を表現するのが得意とか。得意でない方法でPCが問題解決しようとすると、ルール処理がつまらないことになりがちです。

ここでゲームマスターがルールを暗黙理に、もしくはハウスルールとして構築して、得意でない分野での問題解決を対処するというのもひとつの手ですが。いっそ、すべて状況を「そのルールの得意な解決方法」に持ち込むようにシナリオを作成するというのも良い手なのかも知れません。

「村人が病気で困っている」→「ダンジョンにもぐって薬草を取ってこよう」
「大臣の陰謀を立証しなければならない」→「ダンジョンにいる協力者の盗賊を捕らえて証拠を取ってこよう」

とかね。漫画であるような

「どちらがこの街を支配するか決めよう」→「麻雀で勝負だ!!」
「改築のため立ち退いてもらいたい相手がいる」→「料理で勝負だ!!」
「恋のライバルを蹴落としたい」→「ゲームで勝負だ!!」

なども、その極端な展開例なのでしょうか。

2000/10/14:シナリオに困ったら異世界へ

シナリオに困ったりマンネリ化したと思ったりしたら。世界法則なり雰囲気なり道具立てなりの異なる異世界にPCたちを引きずり込むというのは、ひとつの手です。亜空間、他界、平行世界、夢の中、ポケットディメンジョン、とかね。

短期的に引きずり込むだけであれば、大がかりなシナリオのためだけに舞台を作成して使い潰したりもできますので。変わったことをしてみたい時には便利ですね。

2000/10/15:不愉快パターンの固着

コンベンションなどで、不愉快な行動と感じるものを見つけることはあると思います。

ここで、不愉快な行動とが意見やプレイスタイルを短絡して結びつけてイメージして、それを他人に話すことでなぞって定着させてしまうことは、良くあるようです。人間らしい認知的落とし穴に落ちていると言えばそのとおりなのですが、あまり幸福なことではありませんよね。

不快な行動を特定の人物パターンと一体化させてしまうと、以後そのタイプに出会った時に、自動的に不快感を抱くというつまらないことになるわけで。そうなると長所は見えず短所だと思うところばかりが目について、どんどん不愉快のスパイラルに陥ってしまう、と。

その結果、コンベンションやTRPGに不満ばかり持ってしまうというのは、自業自得とはいえ、誉められたものではないなあ、と思います。

2000/10/16:維持費を稼いで面白いのか

必要経費や税金や災難によって手持ち資金を低めに保ち、仕事する動機を維持させるというテクニックが賞揚されることがあります。しかし、これってほんとに良い手なんでしょうかね。

赤字か黒字すれすれで延々と続けるってのは、実社会では往々にして、モチベーションを破壊し、気力と意欲を喪失させ、無感動に作業するだけになりがちなんですよね。プレイヤーのモチベーションも、PCがそんな環境でいるだけで維持できるのかが疑問です。あくせくやってるのを笑ってみてるようなプレイスタイルだと、気にならないのかも知れませんが。

やはりこう、維持するために金を稼ぐんでなくて。なにか買いたいものがあるから、金を稼ぐ。そうなるような魅力のある商品リストのあるゲームだと、金稼ぐために仕事させる気にもなるんでしょうね。車両や船、城や領地なんかは、金つぎ込んで良くしてみたい欲望をそそる手段として、良いものだったんだと思います。プレイヤーがそれを望まないならどうしようもないですが。

2000/10/17:プロらしいPCでの楽しみ

プロらしい行動をするってのは、TRPGを遊ぶうえでいろいろと問題をはらんでいるんですよね。

ほんとのプロの行動ってのは最低リスクで不確実性も少なく、多重に準備・対処されているわけで。そこに不確実性やなんかは本来あってはいけないわけです。でまあ、そういうのを重視してると、プレイヤーはどんどん判定をできるだけしない方向で計画し行動するようになったりするんですよね。

遊戯はプロセスを楽しむものなので、プロ的行動であればあるほど、単純作業になってつまんないとか、口の達者なやつがすべてこなすので他は居るだけや指示で動くだけになるとか。つまんなくなる危険性があるんでないでしょうか。

プロらしい成功や、プロらしい行動をなぞることを楽しむなら、それはそれで楽しめるんでしょうけどね。

2000/10/18:戦闘システムに込められた意図

戦闘とはなにか。戦闘とは、なにを目的、なにを意図してに行われるものなのか。実は、このあたりはけっこう曖昧なままプレイしているんですよね。プレイだけならともかく、曖昧なままデザインすると、上手くいかなかったりしやすいかと思います。

とかまあ色々と解釈できるわけですよね。それによって戦闘の実装・運用は異なる。それを無視して、とりあえず戦闘システムを組んでおこうとかなると、いろいろと齟齬が生じるんですよね

2000/10/19:気楽にシナリオをつくろう

多彩な選択から選んで意味のあるシナリオ、狡猾に戦闘を回避してあっと驚く解決策を提示されても大丈夫なシナリオ、あとから見て素晴らしい叙事詩になるようなシナリオ、感銘を与え勘当されるようなシナリオ、PCの設定を生かして人間関係などで悩めるシナリオ。そんなシナリオを、最初から期待してしまう、そんなシナリオを書かねばいけないと思えてしまう。そんな風潮があるような気がします。。

しかし。ダイスの出目と予期せぬできごとに一喜一憂し、自分の行動が他者に影響を与えていくこと、協力することで問題に打ち勝つこと。そのあたりの、ゲームシステムの提供するプリミティブな部分を。とりあえず楽しんでみるような、ちょっとしたシナリオで、十分なんですよね。口の肥えたひとたちを相手にするのでなければ。

そのための、もっとも基本的なのはやはり、戦闘なんでしょうね。ダンジョンをてけとうに組んで、がつんがつんと戦闘するというのは、とりあえずはじめるには手軽なんですよねぇ。

2000/10/20:有利に行動してくれるとは限らない

最近、ゲームシステムの意図を見ぬいて、プレイヤーがゲーム的に有利に行動すると。ゲームシステムの提供するセッション支援システムや世界観表現システムが機能するようなものが多いわけですが。

そういうシステムは、ゲームシステムから有利な行動を見抜く能力が高くなかったり、有利に行動することに意義を見いだしていなかったりすると。とたんに機能しなくなる危険性があるんですよね。

きちんとゲームシステムから有利な行動を読み取るというのは、誰にでもできることでもなく、誰もがやろうとすることでもないみたいなんですよね。有利な行動が見いだせる、無意識に見つけてやってしまうような人間には、想像しにくいことですけど。

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