TRPGな一言:2000年04月中期分


目次


2000/04/11:汎用世界設定は難しい

汎用のシナリオのため、システムに依存しないサポートのために。汎用の世界設定のようなものが用意できるといいなあ。というのは昔から思ってはいるんですけど。

実は、最近良く遊ばれているルールで横断的に使える、汎用の設定ってのは、なかなか難しいような気もします。異世界ファンタジー系に限定すると、時代・技術・雰囲気、どれも共有しにくいんですよね。

もう一つの現代、であればわりとやりやすいけど。これはもう、現実という大量のデータがあるわけですしねぇ。

2000/04/12:使いにくい技能

技能性のシステムで、とくに技能リストが固定であったり豊富であったりするゲームでは。リストにはあっても、とりにくいとか。取ってあっても、雰囲気づくりにしかつかえないで、なかなか実際に利用しにくい技能、というものがありますよね。

戦闘技能でさえ、戦闘で解決できる事態が無ければ活用できない。というのは極端な話にしても。(でも戦闘なしシナリオってのは、一定の人気がありますよな)

たとえば水泳技能。これをいつも使うわけにもいかんわけですよね。泳げる場所が無いと、そして泳ぐ意味がないと、使いようがない。技能が使えるように状況を工夫するといっても、野外で罠に誘い込む時に水のある場所を探して計画をたてる、くらいでしょうか。

このようなマスターがシナリオ上で利用できる環境と利用する意味を用意していないと使えない技能ってのは、けっこうあるんですけど。ないと困る、だけどあっても割り振りで取るのはリスクが高いわけですよな。

このような技能をうまく活用しやすいようなルール的しかけ、もしくは位置づけを考えてみても良いんでしょうね。

2000/04/13:環境の違いは意識しにくい

年齢や生活環境によって、金銭感覚や常識なんかはいろいろと違ってくるものですが。年をとると、もしくは新しい環境に慣れてしまうと、以前のことなんて記憶から飛んでしまうものなのかも知れない。と思ったり。

例えば社会人が。中学生のころの金銭感覚でものを考えられるか。ってと、なかなか難しいですよねぇ。

しかし年齢によるものは、まだしもある程度想像はつくけど。生活環境の根本的な違いは、どうしようもないのかも知れない。子供のころに野山で遊んでいた人間と、そういう環境のなかった人間とでは、野外探索シナリオゃやらせても、認識が根本的に食い違ったりしますよね。以前、大学の連中と山手にいったとき。カエルを見るのさえ小学生以来だ、というのが山ほど居て驚いたっけ。

環境や体験、知識や解釈が違っていることってのは、意識しないとだめなんだけど。なかなか難しいですね。

2000/04/14:意図を伝える

PCやNPC・状況についての、ゲームマスターやプレーヤーの持っている意図が伝わらなくてセッションがうまく機能しない、というのは良くあることだと思います。

明言してさえ意図が伝わらないことは多いのに、明言せずに揶揄や婉曲表現で意図が伝わるわけがない、と考えたほうが良いんですよね。。

ルールデータ的な表現も、現実性や常識による推定も。しょせんそれが理解して共有できていなければ、意図が伝わるわけがない。ゲームデザインによる誘導やコントロールも、意図が明言されていないのに理解してもらえるわけがない。

意図を理解するための対話を忘れて、じぶんの意図を押しつけるだけ、理解させたつもりになるだけ、にならないように、気をつけないとね……。

2000/04/15:企画の継続期間

ひさしぶりに、うちのPBeMリンク見直したら、ほとんど消滅してるのに気がつきました。整理しないといけないなあ。

でまあ、栄枯盛衰は世の習いとはいえ。なかなか企画を続けるのはたいへんですよね。労力をコンスタントに投入しつづけるのも、モチベーションを維持するのも、たいへんです。

TRPGでもある程度そうで、やはり、長く続けるのにはコストがかかるんですよね。

……しかし……今残ってる古いPBeM系のものって、なにがあるんだろう。とりあえずエクレア地方開拓史(語り部のWeb進出前にはWebにはこれしかなかったような気がする)が生存してるのは確認しましたけど。

2000/04/16:日本ってTRPGに恵まれてる

韓国のTRPGサイトを見ていたりして思うんですが。

自国語で多数のTRPGが出版され、自国内でデザインさえできるという環境は。世界的にみても恵まれているみたいですね。

2000/04/17:role player と自称するのはまずいかも

英々辞典(フリーのWordNet)で role player を引いてみると。

第二義には演劇の演者とあったのですが……。

第一義としては a person who makes deceitful pretenses などと書かれておりました。同義語には imposter(詐欺師) だの pretender(詐称者) だのが並んでおりまして……いい言葉ではありませんなぁ。

リアルロールプレーヤーって、この意味にもひっかけてあったのかも知れないなあ。などと思ったり。マンチキンテキストの四類型は、どれも困ったプレーヤーの類型ですし。

2000/04/18:人を雇う必然のある状況

人を雇う必然を産む、雇う側の事情としては。

などがあるかと思います。

PCが依頼される時にも、PCがなにか専門家などを雇う時にも、どの理由なのかを考えておくと、待遇や相手の反応などを考えやすいのではないかと思います。

しかしこう、わりとPCが他人を雇うことができること自体を、プレーヤーやゲームマスターが認識していないことも多いのかも知れませんが……。

2000/04/19:無意識に置く、ゲーム成立の前提条件

ゲームデザイナーがゲームシステムを作成する時、ゲームマスターがシナリオを作成する時には。それが機能するための、一定の前提条件を、無意識に仮定しています。

そして、形式の前提条件(暗黙の了解、ですね)を共有していないプレーヤーと遊ぶとすると、セッションは失敗してしまう、もしくは面白くなかったという感想を産むという事態が発生するようです。

自分が当然であると思っている前提条件を疑ってかかることは、人間にはたいへん難しいことですから。自分の前提条件に問題があると考えずに、前提条件を無視するプレーヤーはわるいプレーヤーだと排除することで、心の安寧を確保するのは。ある意味自然なことだとは思います。

そのため。自然と、ゲームマスターなどは「プレーヤーが××だから、うまくいかなかったんだ(自分は悪くない)」と主張し、他者にたいして同意を求めるべく、体験談を自分に都合のよいように伝達してしまうのではないでしょうか。実際はどうあれ。

良く意識していない前提条件としては「提示された目標達成のために可能な限り努力する」「死亡を避けるべく行動する」「現実性に配慮して行動を行なう」「出てきた悪人/敵は殺す」「お約束な状況にたいして、お約束な行動を取る」「最終的には人情を優先する」「PC以外の人間を動員しない」「事前調査を行なう/行なわない」など、さまざまなものがあります。

すべての前提条件を明確に伝達し把握してもらうとか、すべての前提を必要ないようにシナリオを組むというのは、おそらく非現実的でしょうから。結局、うまくいかなかった時に、どう回復できるかという、避難計画というか、緊急時対策というか。危機管理をどうするかを考えておくといいのかもしれません。

2000/04/20:セリフ進行の功罪

セリフメインで進行することのメリットデメリットについて少し。

いわゆるキャラチャットとチャットセッション比較していて思うのですが。PCの会話だけで運用するほうが展開のスピードがはやいというのは、あると思います。この点からいえば、うまくいってるあいだは、PC会話だけで機能させたほうが。単位時間あたりの展開密度も、ゲームへの没入感や満足感も高くなりやすいのはあるんじゃないかなと。宣言から実行への確認の往復が減りますから。

ただ、意図の確認や、状況認識の共有がズレた時が恐いんですよね。意図や状況認識のズレを認識しないまま、状況が転がってしまうという事態が、起きやすいと。スピーディーな分ね。

むろん行動宣言とか描写でも、意図や状況認識の共有がはかれないってことはわりと良くあるとは思います。とくに意図。

ただ、直接話法でのPCの会話のみの場合には、意図や状況認識の共有をはかるのが難しい、もしくはノウハウが違うというのはあるかなと。程度の問題ですけどね。

意図や状況認識の共有をはかろうとしない、自分の意図や状況認識を固持する。そういうひとだと、なんにしても困るのですが。PC会話のみだと失敗時のリカバリが効きにくい危険があるんでしょうね。

会話後に状況をプレーヤー会話によって整理したりするだけでも、だいぶと違うとは思いますけど。

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