TRPGな一言:1998年07月分


目次


1998/07/27:物語の線形性

TRPGで表現できるストーリーってのには、物語の線形性というものがある。ゲームの性質上、どうしても時系列を追ってしか物語を展開させることができないのである。これで表現できる物語とは古典的なものだけであり、現代小説におけるような各種の物語を維持するのは困難である。

……エピソード作成との比較と検討から、以前から分かってたことだけど。まあ。どうせならこれを打破できるくらいの方法論がみたい今日この頃。

1998/07/28:戦闘重視でしかない現在のルール体系

戦闘ルールしかないゲームシステムとは、課題を戦闘によって解決することしかゲーム的に用意されていないルールである。その中での細かな違いあろうと、どれもゲームとしては同質で同工異曲に過ぎない。

……とも思ったりしないでもないよな。むろん競争だとかいろいろな問題解決についてのルールはあることはあるけど……それが戦闘並みになってるかってと、なかなか難しいところで。

1998/07/29:内輪とよそ行きのセッション異なるゲームだ

最近チャットでも何回も書いてましたけど、不特定多数と遊ぶコンベンションでの単発のセッションと、仲間うちでのキャンペーンとでは、ゲームとしての性質が全く異なるんですよね。準備・対応、そして暗黙の了解に基づく選択結果に関する理解の相違、キャラクターに対する価値観の相違。

たとえばキャンペーン向けのルールが根幹に食い込んでいる……たとえば経験点システムによる報奨なんかは、単発ではろくに制約としても機能しませんし。どうせキャラクターも使い捨てだと思えば、使い方も変わってきます。最近多いようなクライマックスを抽出したようなゲームシステムや、過去についての設定をゲーム的に生成するようなシステムは、コンベンション向けのゲームルールとして機能しやすいでしょう。

……などと考えていて……実際問題として、この二つってゲームとして同じものなのか疑問に思う今日この頃。それはまあ、幾つかの工夫で両方ともでうまく動作するゲームシステムは作れるでしょうけど、プレイ観といいますか、プレイスタイルといいますか……どちらで育ったゲーマーかによって、プレイの方向性はまったく違ってしまうんでしょうね……。

……ってどこが一言だよ。(苦笑)

1998/07/30:戦闘は一般的な問題解決法ではない

問題解決のためのルールとして戦闘ルールしかないってあたりについて、わりといい加減に書いていたので、少し展開させてみますか。

TRPGではばっさりと武力で問題を解決してしまうようなことも多い……というかゲームシステム的に、そういう選択をすることが効率的であったり、詳細にゲーム化されているために面白かったりするわけです。

しかし……実際の問題解決において、武力行使はそれほど一般的な方法とはいえませんよね。(もしかして普通のことだったらどうしよう) なぜかといえば、その選択の行使によるリスクがでかいからなわけで。しかし現存のTRPGのほとんどでは、戦闘のもつリスクを、せいぜい負傷の危険性程度にしか表現していないわけです。武器の携帯のリスクくらいはあるけど、実際に使ってしまったことによるリスクのほうは……わりと寂しい。これはまあ戦闘ゲームとしては正しい判断なわけですけど。

もちろん、今までだって普通のゲームマスターであれば、官憲につかまるリスク、復讐されるリスクを指摘したり実際に体感させたりしたことでしょう。しかし、こういった『戦闘によるリスク』はよくて世界設定におけるルールとして表現される程度。たいていは存在しなかったりします。実際には共有できているとは限らない暗黙のルールで処理されているわけです。これでは問題があるわけで。

ってあたりで、戦闘自体のもつリスクについてのゲームルールでの明確化と、戦闘以外の問題解決策についてのゲームルールでの記述が、もちっと進歩すると面白いなぁ、というのを考えとります。

……だんだん長くなっとるのう。

1998/07/31:ジレンマ構造による他プレイヤーの意見表明の問題軽減

専門家としての、それらしい行動を表現するために必要になるものとして、適切な行動を行うというものがあります。しかしまあ、プレイヤーがたまたまその分野について専門的な知識をもっており、行動手順や判断基準、用語の利用などを正しく運用できるという極めてまれな事例を除けば、プロらしい行動をさせるのは極めて困難ですよね。

この対策としては、ゲームシステム側で専門的行動の行動と判定の手順について厳密化すれば、まあいいわけです。ついでに、初心者が何をやっていいのかが分からなくなるという問題への対策にもなりますから。

でまあ、こうすると最適行動の手順が記述されるということになってしまい、ゲームとしての性格がどこかに飛んで行ってしまうというふうに思われるかたもおられるかも知れません。しかし唯一絶対の最適解が有り得ないようにしてやれば問題ありませんよね。いくつかの有効解をゲームシステム的に定義してあれば、その中のどの対策を利用すればいいのかについて悩むことができるわけで、ゲーム的葛藤を容易に体験できるうえに、PCにプロっぽい行動を取らせることが可能になるということになります。

こういったやり方は、うまいマスターなら、ゲーム内時間やアイテムなどの使用可能リソースと成功率や結果をバランスさせることで、ごくあたり前に行っていたことだとは思いますが、ほんとはゲームシステム側できっちりと対応すべきことではありますよね……などと最近思っとります。

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