TRPG総合研究室 LOG 055

TRPG総合研究室の2000年11月02日から2000年11月08日までのログです。


2000年11月08日:01時26分15秒
【ゲーム中リソースデザイン】Re:リソースデザインが行われる過程で存在する二つのタスク / 鍼原神無〔はりはら・かんな〕
>SHiNさんへ
 ども☆
 「リソースデザインが行われる過程で存在する二つのタスク」 (SHiNさん記,当掲示板,2000年11月07日:16時13分08秒)、とてもわかり易かったです。スッキリします。
 論旨に同感です。

 なんかこのとこ、SHiNさんに向けては「重箱の隅」ばかりやってて。気は引けるのですが。一点述べさせてください。
 
 プレイヤーがマスタリングに期待するのは、「平等(equality)」ではなく「公正(fairness)」であると思います。プレイヤーはGMに平等さを期待すべきでない、と言うべきかもしれません。
 
 SHiNさんは「ゲームの平等を損ねることはフェアでない」って判断を含めて主張されているのですが。もし・ここに含意があるならお聞かせ願いたいです。(もちろん急ぎません)
 
 念の為、アタシの方の言葉の意味を限定・明確化しておきます。
 「平等」ですが、機会均等は否定されるべきではありません。しかし結果の平等は、排除されるべきです。SHiNさんが「結果の平等」を含めて「平等」を言っているとは文脈からも判断されないと思うのですが。誤解が生じ易いところと思います。

 一方、「公正」ですが、こちらにも機会均等は含まれています。しかし、もし、自ら何もしようとしない人(「何をしたらよいか戸惑っている人」ではない)がいたら、他のプレイヤーと、「平等」に扱われるべきではありません。つまりは、原則、行為選択に応じてリターンに差別がつくことも含意されます。(TRPGや特定システムへの慣れ・不慣れなどは、配慮されるほうが、より公正とも思います)
 
 「<タスク2>においてプレイヤーが自身の目的を達成するために影響力を行使するということについて」ですが、アタシはこれは以上の公正さの範囲で認められるべきと思います。
 通例、GMはプレイヤーからの働きかけを、公正に判断するべく勤められていると思います。そのうえで「ルール改変ゲーム」的なやりとりが生じるのは、TRPGの性質上避けられないことと思います。(判断の裁量権は、もちろん、理論上GMが持つとみなされますし)
 
 「公正な判断」と一言で言っても、SHiNさんの言われる通り、「『脱税』と『節税』の差と同じで、〔判別が:カンナ補記〕難しい」と思います。「『脱税』を防止し、プレイヤー全員が『節税』のチャンスを得られるように」という点は異論はないです。
#具体的、個別のチップスとして、アタシがプレイヤーとしてGMに「<タスク2>の働きかけ」をするときは、「できるだけ質問の型から入る」「次いで狙い・意図を明瞭化する」を心がけるようにしています。こーゆー工夫・コミュニケーション戦術は、もっと言われてもよいのかもしれません。
 (あ、関係ないですけど。アタシ、最近、極・近しい人を相手にGMやってみたりなんかしてます☆ 実に6年ぶりのチャレンヂかな、さすがに、それなりにはできてます☆)
 
 この先からSHiNさんが打ち出された、「公的な利益/私的な利益」が活きてくるのだな、と期待しています。
 理想論を言えば、「最強のプレイヤーとは、マスタリングの公正さを補強してみせるプレイヤーである」、と期待されるのではないでしょうか(私見)。
 
 プレイヤーはGMに平等さを期待すべきでない(公正さは期待すべき)。
 
 あたりまえのことと思うのですが。ポイントではあると思いましたので。
 重ねますが、SHiNさんの論旨には同感です、重視するポイントの差違くらいしかないと思います。
#ホント、この先の議論、期待してます☆
2000年11月07日:16時13分08秒
【ゲーム中リソースデザイン】リソースデザインが行われる過程で存在する二つのタスク / SHiN
 じゃあ、私もせっかくですから以後は舞の助さんの定義してくださった用語に合わせて書きます。
 
(Purpleさん)
>もはや、「myrtさんが遊んでいるRPGと私が遊んできたRPGは、全く別の遊びなのだ」と思うしかなくなっていますが、
 
 私が思うに、きっと、PurpleさんとmyrtさんのRPGも、ほぼ同じものだと思います。ただ、可能性として、myrtさんが、Purpleさんにとっては(実は私にとっても)「ゲームマスターの補佐」として位置付けられる要素を「PLによるゲームへの介入」として表現されてる点が、違和感として存在してるのかもしれないとは思います。詳しくは本文を見て下さい。
 
(myrtさん)
>論点の整理、ありがとうございました。ただ、私の主張が一部誤解されているのではないかと思います。それは私が以下のように考えていることです。
>「ゲーム中のルール改変」:TRPGでも、一般ゲームでも禁止事項
>「ゲーム中リソースデザイン」:PLが干渉できる。また、馬場講座に不満を持つ点もこちら。
 
 なるほど。では、あらためて、その「ゲーム中リソースデザイン」自体にも、「ルール改変ゲーム」と「ゲームトークンを使用したゲーム」の二種類のタスクが含まれてるということを指摘させていただきます。
 
 「ゲーム中リソースデザイン」というのは、結局、次のような二つのタスクによって、実現されているわけです。
 
 <タスク1:リソースの不足をGMに要求>
 【1】プレイヤーの行為選択(意思決定)→【2】リソースの不足→【3】GMによる、プレイヤーの行為選択の意義の確認→【4】GMによるリソースの作成
 
 <タスク2:GMによるリソースの作成>
 【1】GMによるリソース案→【2】プレイヤー意見・異論の発生→【3】GMによる最終的なリソースの決定
  
 この二つのタスクは連続して実行されるので、一つのタスクのように見えるかもしれませんが、実際には、まったく違う性質を持った二つのタスクである事をまず指摘させて下さい。
 
 これらのタスクのうち、プレイヤーが影響を与えていると言える部分は、<タスク1>の【1】と、<タスク2>の【2】です。この事からわかるように、どちらのタスクにもプレイヤーが影響を与える事は可能です。
 但し、その影響の与え方に関するPLのスタンスには違いがあります。
 
 <タスク1>に参加する場合のプレイヤーの立場は、「ゲーム中のリソース(目標・状況・資産・ルール・定義済みか未定義かは問わない)を考慮しながら、ゲームトークンを通じて行う」というものです。もちろん、プレイヤーはここに「裏の意図」を込めることも出来ますが、建前としてはゲームトークンたるキャラクターの置かれている状況と合致した行為選択でなければなりません。それはPCの状況を好転させたり、PC(プレイヤーではない)の目的が達成できる可能性があるものでなければならないのです。(プレイヤーがゲームキャラクターの立場にたって、行為選択を行う。これは初期の頃から一貫してTRPGと呼ばれているものに共通の、基本的な定義でしょう。きちんとPCの立場に立って行動できれば良いロールプレイ、でなければ悪いロールプレイというわけです。)
  
 ところが、<タスク2>に参加する場合のプレイヤーの立場は、必ずしもゲームトークンたるキャラクターの置かれている状況と合致した意見を出す必要も無いのです。プレイヤーとして、「ゲームが面白くなるように」と言う動機で、キャラクターに不利な発想を行う可能性もありますし、「世界観の整合性」という観点からGMに意見を行う場合もある。単純なケアレスミスの指摘や、ルールやワールド設定との違和感の指摘といったものも。これらの事をプレイヤーがセッションに影響を与えているという言い方も出きるかもしれません。
 しかし、それはゲームマスターの補佐(※1)という作業でしかありません。「ゲーム」では無いのです。
 
 が、ゲームトークンたるPCの状況を好転させるため、もしくはプレイヤー自身の目的を達するという理由で、これに意見を行うというのは、たしかに『ゲーム』です。が……それは、<タスク1>を発生させた『ゲーム』とはまったく違うものなのは明らかです。
 
 もちろん、myrtさんの意見自体が、「PLがセッションに影響を与えるには、ゲームトークンを必ずしも通さねばならないというのは間違い」というものである以上、最低でも「ゲームトークン」を通すかどうかという違いが生じるのは最初から自明です。この事についてどうこう言うのは今回の書き込みの意図から外れるので触れません。
 
 が、重要なのは、ゲームトークンを介さず行われるプレイヤーが自らの目的を達成するための『ゲーム』を認めるかどうかで、TRPGは「全く別のゲーム」になります(ここでは検証という立場から「認める」という前提で話を続けます)。ただ、どちらにしても、<タスク1>とは完全な別物だということです。そしてそれは単に「ゲームトークン」を介さないという違い以上のものが含まれてます。
 
 ゲームトークンを介さない場合、ロールプレイの要素がありませんし、ゲームシステムのルールによって定義されたリソースも、GMが定義することによってルール処理できる未定義リソースも使用されません。プレイヤーは、キャラクターをロールプレイ(キャラクターの立場にたって行動する)しているわけではなく、プレイヤーとしてGMと「交渉」しているだけです。これは、モノポリーなどにも存在する要素であり、TRPGとしても認められてもおかしくない要素ではあります(もちろん認めない人もいるでしょう)。が、それは、先に上げた<タスク1>の【1】とは、全く違った要素であるというわけです。なぜなら、<タスク1>の【1】はロールプレイだからです。
 
 前回の私の投稿の要旨に当てはめれば、
 
 <タスク2>におけるプレイヤーの影響がゼロになっても別にTRPGらしさは失われません。
 <タスク1>の「リソース不足の要求」の発生がゼロになると、TRPGらしさは減少します。
 <タスク2>におけるプレイヤーの意思の介入は、ルール改変ゲームとしての側面を持つので「プレイヤーが影響を与えられるのはゲームトークンによるもののみ」の制限は消滅します。
 <タスク1>は、あくまでプレイヤーがゲームトークンを通じて行った意思決定の結果ですので、「プレイヤーが影響を与えられるのはゲームトークンを通じてのみ」という制限に反しません。
 
 と、言う事です。
 
 ところで、先ほど述べた<タスク2>においてプレイヤーが自身の目的を達成するために影響力を行使するという事についてですが、確かに、通例としてこれはプレイングテクニックとして広く認知されています。
 プレイング研究所や、マスタリング研究所などの過去ログを調べれば「最強のプレイヤーとは、GMを味方につけられるプレイヤーのことさ」などと誇らしげに行われている発言を多分見つける事ができるでしょう。
 
 が、私としては、これはあまり良いプレイスタイルで無いと思います。
 なぜなら、GMは全てのプレイヤーに対し、「ゲーム的に平等」でなくてはならないと思うからです。
 それを「故意に」損なおうとするアンフェアなテクニックを、私はプレイングテクニックとして公認する気にはなりません。
 
  プレイヤーからGMへの働きかけに関して、どこからどこまでをアンフェアとするかというのは、「脱税」と「節税」の差と同じで、難しいところがありますけどね。逆にGMは、より効果的に「脱税」を防止し、プレイヤー全員が平等に「節税」のチャンスを得られるようにマスタリングを努力すべきでしょう。
 
(※1/ゲームマスターの補佐:
 わたしは、ゲームマスターの補佐であってゲームで無い、という表現を使いましたが、ゲームマスターのゲームというものがあります。いかに、セッションを成功させるかという部分に目標をおいたGMのマスタリングをゲームに例えたものです。これにPLが参加していると言う言い方も可能です。が、それは同時にGMの補佐でもあり、「プレイヤー」という立場を逸脱〜といっても、悪い事では無い〜した行為です。それゆえ、これもまた「ルール改変ゲーム」といった政治ゲームの一種であり、TRPGというゲームと同列には考えるべきではないと思います。TRPGというシステムの中では、あくまでマスタリングの補佐でしかありません。)
2000年11月07日:15時48分27秒
【TRPGの定義】ゲームとは人為的にシステム化されたものである / SHiN
(この文章は匿名希・望さんの『2000年11月01日:20時18分10秒【TRPGの定義】コスティキャンとルール改変ゲーム』に対するレスです。)
 (匿名希・望さん)
 >それにコスティキャンのゲーム論では資源を効果的に配置できるかどうかは単に「ゲーム」の出来に関わるだけで「ゲーム」の定義そのものには関わってこなかったはずです。
 
 いや、配置「しているかどうか」は、ゲームの出来に関わるだけですが、配置「可能かどうか」についてコスティキャンのゲーム論が触れていたという事は無いはずです。
 そして、わたしは、コスティキャンのゲーム論は、ゲームシステムの評価・分析を行うためのものである以上、その定義には次の一言が加えられるべきだと思います。
 「ゲームとは、人為的にシステム化されたものである」
 
 それは、コスティキャン本人にしてみれば、あまりに自明の事であって、わざわざ言及するまでも無いと思ったのでしょう。が、逆に言えば、このことが、未定義のリソースの働きが大きくなってしまった現代的なTRPGというコスティキャンのゲーム論で語りきれないものまでも、無理やりコスティキャンのゲーム論にあてはめ、TRPG本来の特性を無視した欠陥のあるTRPG論などを成立させてしまった要因になっていると思います。
 
 初期のダンジョンTRPGは、資源を効果的に配置することが出来た、そのシステムが有効に働いていたから、コスティキャン的なゲームと呼んでも差し支えなかった。
 
 が、未定義のリソースとして、任意にゲーム的に重要な意味を持つ「資源」が発生させられてしまう今のTRPGにおいては、資源を効果的に配置するシステムが十分では無い。
 だから、『ゲームとは、プレーヤーが目標達成を目指して,ゲームトークンを介して資源管理のため意志決定するものである』という定義は成立しない。
 
 なぜなら、もはやTRPGにおいては資源は「管理」するだけでなく、「発生」もさせうるものだから。
 
 将棋で王将1枚を除いて他の駒を全て取り上げられたら、もう勝ちようが無い。
 が、TRPGでは全ての所持品を失っても絶望する必要は無い。プレイヤーの工夫しだいで、それらを任意に「発生」させる事が出来るし、GMの任意で出現させる事もできるのだから……
 
 だから、「資源」について、TRPGに特化した架空のゲーム論「コスティキャンのゲーム論(改)」においては次のように語られるべきだと思うわけです。
 
 『それらの資源は,意志決定の際に葛藤を引き起こすよう発生させられているか。その発生はセッションを面白いものにするようにコントロールされているか』
 
 これが、TRPGセッションの「出来」にかかわってくる「資源」についての分析・評価基準です。
 
 それゆえ、TRPGにおいては、マスタリングが重要な意味を持つのです。なぜなら未定義リソースの発生をコントロールしてるのはGMのマスタリングだからです。
 
 そして、資源管理をシステム化できなくても、コスティキャンの定義に合致しなくても、相変わらずTRPGは一般通念的には「ゲーム」です。
 なぜなら「一般通念的なゲーム」の定義に必要なのは、意思決定でも資源管理でも目標でさえもなく、「人為的にシステム化されている」という事なのですから。
2000年11月07日:15時44分34秒
【GMのゲーム】ゲームマスターは、ゲームデザイナーとゲームプレイヤーを兼任している  / SHiN
>匿名希・望さん
 質問に答えてもらいながら少々、レスが遅くなってすいません。
 (この文章は『2000年11月01日:20時18分10秒【TRPGの定義】コスティキャンとルール改変ゲーム』に対するレスです。)
 
 基本的な感覚で差異は無いと確認できました。GMのスタンスについて、もです。
 
 匿名希・望さんがおっしゃられてる
 
 >それはそれとして、俺がGMはゲームデザイナーではないというのは、RPGの(ゲーム上の)目的を「話を面白くすること」としているからです。
 >この立場から言えばシナリオを作る行為は「世界観・システムコンセプトの枠内で製作する」という「ルール」を守りながら、NPCや舞台、といった「トークン」を操作(シナリオ段階では初期配置のみだが)しつつ、話を面白くするという「目標」達成を目指す「意思決定行為」です。
 
 という話も別に納得できないものじゃありません。
 が、その逆に、なぜこれを「ゲームデザイン」として匿名希・望さんが納得することが出来ないのか?というのが私にとっては謎です。
 もし、ゲームデザインが「創作」であり、ゲームをプレイするという事は「創作」ではない、と考えてらっしゃるのであれば、それは違うと指摘したい。(似た様な主張として、TRPGはゲームであり、物語創作ではないという主張もよく聞くので、匿名希・望さんの主張がそうでなくても無駄な書き込みにはならないでしょうし)
 
 TRPGにおいては、未定義リソースを使用するということで、「創作」的な意思決定が可能となっています。そして、私と匿名希・望さんの間では合意できてるように、GMはPLに比べるとはるかに未定義のリソースを自由に利用できる。
 
 これはPurpleさんの書き込みからの引用ですが、
 
 >この「無限の選択肢」を追い求めた結果が「未定義リソースの利用」なのではないでしょうか?
 
 という言葉が示すように、未定義リソースを使用すれば、選択の可能性は無限となります。
 範囲は有限(たとえば、ファンタジー世界でSF的な選択は出来ないし、空を飛べないキャラクターが、理由なく空を飛ぶ事もできない)ではありますが、選択肢としては無限なのです(0から9までの「実数」を選べと言うようなものです。「整数」なら10種類ですが「実数」なら無限。しかしその範囲は有限なのです)。
 
 そして、ある目的を達するために、範囲は有限でありながら、選択肢としては無限である集合から、一つの選択を行う事……それは通常「創作」といわれてる物であるわけです。
 よって、TRPGのGMは、ゲームデザイナーとゲームプレイヤーを兼任できても、なんの不思議も不都合も無いと思うわけです。
 
 そして、これは限定的ながらも未定義リソースにアクセスできるプレイヤーにも言えることでもあるのですが……それゆえ、既存の「ゲームデザイナー」「ゲームプレイヤー」という分類はTRPGにおいては適切じゃないと思うわけです。それゆえ、従来の区分に変わる区分例として、「公的な利益を第一に考えてセッションをコントロールするのがGM、私的な利益を第一に考えて行動するのがプレイヤー」という区分を前に提出したのですけどね。これについては、またいずれ詳しく。
2000年11月07日:12時23分06秒
【ゲーム中デザイン】ゲーム中デザインと慣れあい / myrt
(Re:2000年11月07日:03時32分51秒ほか【ゲーム中デザイン】Re: PLが川についての情報を尋ねた場合 / Purpleさん)

>こちらでは、「橋についてだけ設定」とあります。前提条件が違います。

これは失言でした。できあいのMAP(村や施設なんかは設定されている)上に シナリオに関係しそうな点だけシナリオを書く過程を考えながら発言 したためです。「施設については設定した」でも、「bは施設に関する 発言だけをしなかった」でも文意はかわりません。

>「渡河『方法』」は無限にあるでしょう。「その全てを考えておかなければ
>シナリオは未完成である。」とは思いません。
>あの〜、ところで、myrtさんは「問題の解決方法を考えること」も「プレイ中
>デザイン」に含めているのでしょうか?

全く違います。ここでは「問題の解決方法に対する未定義リソースの定義」の ことを指しています。無限にある渡河方法に対応できるリソースをあらかじめ 定義しておくことが、有限時間内に可能なんでしょうか??

Purpleさんは、「逃走するかもしれないシナリオで、逃走経路について設定 してないなんておかしいじゃないか」という意見なのだと思います。 違うのですよ。これは「無限にある選択肢の中から、たまたまリソースを設 定していなかったものを選ばれた」例なのです。妥当性について想像しやす いように「普通のGMなら即座に判断できる」 例にしてあるだけで、「じゃあ設定しとけよ」というのは筋違いなのです。 この場合全体を否定するのは、「この場合はこう設定すればよかっ た」ではな くて「リソースを設定していない選択肢を選ばれない方法があり、それを とるべきである」という論理でしょう。
#私は、それを究めるにはゲームブック方式しかないと思います。

>依頼を受けない->冒険にならない->プレイ終了。面白くなかった。
>となった後に、原因解析をしてみるということです。

それは非常に良いことだと思います。また、もし依頼を受けたとしても、 そのぎこちなかった部分を解析してみることは有益であると思います。

しかし、信頼(つまり慣れあい)なくして依頼シナリオの大部分は成り立 たないと思います。なぜなら、依頼を受けざるを得なければ(金銭や立場など)そ れは強制シナリオであるからです。

というか、「GMはPCを無意味に虐殺しないだろう」ということ自体が信頼に 基づくとすでに主張したのですが、それについてはどうお考えでしょうか??
2000年11月07日:03時32分51秒
【ゲーム中デザイン】Re: PLが川についての情報を尋ねた場合 / Purple
 --- 2000年11月06日:12時22分50秒のmyrtさんの書き込み
 >皆で「依頼を断る。」という選択を選んでしまう原因を考えて、
 >それを無くすのも1つの方法です。
 それが、そのものずばり「ゲームを面白くするために、未定義リソースのデザインにPLが参加してGMの承認をもらう」ことだと思います。
 --- 引用ここまで

 すみません、私の書き方がよくなかったようです。
 私が書いた「皆で「依頼を断る。」という選択を選んでしまう原因を考えて」というのは、プレイ中に考えるのではなく、プレイ後に考えるということです。
 依頼を受けない->冒険にならない->プレイ終了。面白くなかった。
 となった後に、原因解析をしてみるということです。
 そうして、マスターのシナリオの導入部が悪いことが判れば、次回は同様の失敗は起こりにくくなるはずです。
 もしかすると原因はプレイヤーにあるかもしれません。(私自身の経験では、「対人恐怖症で世捨て人」という設定のPCを作ったプレイヤーがいて、マスターが押しても引いても、そのPCは話にかかわってこない。それどころか話から遠ざかろうとする。ということがありました。まあ、そんな設定をOKにしてしまったマスターにも責任はあるのですが。)
 その原因が判れば失敗は起こりにくくなるはずです。(上の例では、冒険にかかわりにくくなるような設定をつけたことが原因であり、逆の設定をつければ「依頼を受けない」ということは起きないでしょう。)

 もっともこれは、マスター技術とか、プレイヤー技術を高めたいと思っている人向けの話であって、そんなのはどうでもいいと思っている人は、馴れ合いでごまかして依頼を受けてください。
2000年11月07日:02時33分58秒
【ゲーム中デザイン】解法もデザインなのでしょうか? / Purple
 ---2000年11月06日:13時19分22秒のmyrtさんの書き込みより
 これを認めないならば、「いかに妥当でありゲームバランスに問題を与えなくても、原則としてあらかじめGMが考えた渡河方法以外は全部理由なく却下」とでもしないと無理です。
 #理由を考えると、デザインしてることになります。全部のPL反応に対して理由を考えておくことは不可能です。
 --- 引用ここまで
 「渡河『方法』」は無限にあるでしょう。「その全てを考えておかなければシナリオは未完成である。」とは思いません。
 あの〜、ところで、myrtさんは「問題の解決方法を考えること」も「プレイ中デザイン」に含めているのでしょうか?(「問題の解決方法」までもリソースに含めているのでしょうか?)
2000年11月07日:00時34分56秒
【ゲーム中デザイン】Re: PLが川についての情報を尋ねた場合 / Purple

 私の2000年11月06日:01時31分29秒の書き込みは、myrtさんの次の書き込みに対する意見として書いています。
 --- 2000年11月04日:14時54分28秒のmyrtさんの書き込み
 例として、PLが川にボートがあるかを訪ね、GMはあらかじめ設定していなかったのでバランスを考えてデザインする場合を考えます。
 a:「その川にボートはありますか??またその脇の道は??」
 b:「この川には橋がかかってないので渡し船があるかもしれない。上流に木材関連の施設があるので、いかだ下りの影響も考えられる。上流にものを運ぶ場合、ボートにロープをつけて横の道から引っ張る方法があるので道があるかもしれない。もしそれができれば、運んできたバリスタをばらさずに運搬できる。GM、川にボートはありますか??またその脇の道は??」
 aとb、また単にaの聞き方をしたあとbの説明を入れる場合、それぞれGMの反応は決して変わらないのでしょうか。
 ---引用ここまで

 あくまで、「上の条件のもとではマスターの反応が変わるのはおかしい。マスターは川の周辺を設定しているはずだ。」と書いているつもりなのです。
 プレイヤーが上のbのような質問をするということは、プレイヤーは次のことを知っているはずです。
 
 ・川には橋がかかっていない。 
 ・上流に木材関連の施設がある。

 つまり、「川の上には上流に木材関連の施設がある。」という設定があるではないですか。「上流のことまで設定しているのに、PCが必要になりそうなボートのことは未設定。」なマスターはそうそういないと思うのですけど。まあ、マスターが初心者ならそういうミスもあると思いますが、上達すればなくなります。

 一方、2000年11月06日:12時22分50秒のmyrtさんの書き込みの中では、
 --- 引用開始
 いくつもある逃走経路を全部細かく設定することはできなかったので川にはとりあえず橋についてだけ設定。
 --- 引用ここまで、
 こちらでは、「橋についてだけ設定」とあります。前提条件が違います。
 マスターが「橋についてだけ設定」しているのならプレイヤーが得られる情報は「橋が無い。」ということだけです。にもかかわらず、bのような質問をしてくるプレイヤーがいるとすれば、それはかなり「困った」プレイヤーですね。
2000年11月06日:14時40分56秒
【ゲーム中デザイン】上位ルールの拘束 / myrt
(Re:2000年11月06日:09時24分15秒【ゲーム中デザイン】ゲーム中リソースデザインとTRPGの定義 / 鍼 原神無〔はりはら・かんな〕さん)
> どちらの路線にせよ(また、別の路線もあるかもしれません)この
>関連の議論、「『ゲーム中リソースデザイン』はGMによるものもプ
>レイヤーによるものも、上位ルールとみなせるワールドコンセプトや
>ゲームコンセプトに拘束されていると理論上はみなす」


「理論上」は必要でしょうか。なぜなら、この拘束そのものが 概念的な存在であり、拘束がうまく働かずセッションが崩壊するような 場合でもなんらかの拘束(参加者全員と環境に依存)が存在するはずであ るからです。


「プレイヤーがゲームの目的をセッション中に策定してい く」、「物語表現を印象深くする」場合については私のそのような 経験が貧弱なために静観するように勤めております。
#興味深くROMさせていただいています。

>例外は、やっぱり「ディプロマシー」タイプのゲームなどですね。

しかし、「カタンの開拓」をやっていても交渉時の口八丁手 八丁はモノを言います。交渉で手に入れたリソースで交渉相手に甚大な 被害を与える行動をしたときの衝撃はおそらく「ディプロマシー」に 勝るとも劣りません。
#もちろん頻度は断然低いですが。
リソースをデザインしない自然言語要素は、大抵のマルチプレーヤー ゲームに存在するのではないでしょうか。
2000年11月06日:13時19分22秒
【ゲーム中デザイン】PLが川についての情報を尋ねた場合 / myrt
(Re:2000年11月06日:01時31分29秒 ゲーム中デザイン】Re:2種類のゲーム中デザイン / Purpleさん)
>「今日のシナリオでは、PCが川についての情報を尋ねてくる可能性がある。」
>と思っていたのなら、川の周囲の設定は既に済んでいると思うのです。

すみません。もっと簡単に答えるべきでした。あらかじめ十分に川の周囲について 設定することはまず不可能です。なぜなら、PLのすべての反応を予測することは不 可能だからです。ここでは船について聞かれましたが、

・ブリザードの呪文で表面は凍るか
・まわりに船を作れる木があるか
・同様に橋をかけることはできるか
・同様に竹馬もどきをつくれるか
・バリスタの矢にロープをつけて対岸に打ち込めないか
・まわりの木の種別は何か(例えば魔法の触媒になるか)
・etc.

とやられる可能性があります(というか私がPLならやります)ので、全部につ いて設定してるといつまでたっても シナリオができません。私がGMならば、「橋がかかっていない」からとっさに

・橋をかけられないか、かける必要がない状態である。
・「浅いから普通に渡れる」というオチは、逃走路を選択するときに 言ってなくてしばかれたくないから使わない。
・川を渡る需要があるならどこかに船がある可能性が大きい。

などと考え、妥当な結果を探します。ちょうど「ジョンとメリー」のように。 これを認めないならば、「いかに妥当でありゲームバランスに問題を与え なくても、原則としてあらかじめGMが考えた渡河方法以外は全部理由なく 却下」とでもしないと無理です。
#理由を考えると、デザインしてることになります。全部のPL反応に 対して理由を考えておくことは不可能です。
2000年11月06日:12時22分50秒
【ゲーム中デザイン】PLが川についての情報を尋ねた場合 / myrt
「ジョンとメリー」やっと見つけました...LISTさんの、D&D専科です。 勝手に紹介して申し訳ありません。私はこのコラムを見て感動し、思わず 身のまわりの人々に即座に実践してしまいました。

(Re:2000年11月06日:01時31分29秒 ゲーム中デザイン】Re:2種類のゲーム中デザイン / Purpleさん)
>「今日のシナリオでは、PCが川についての情報を尋ねてくる可能性がある。」
>と思っていたのなら、川の周囲の設定は既に済んでいると思うのです。

はい。ですからこの場合は、橋がないと設定されています。というか、これは 単に「ゲーム中デザインの必要性が発生し、その結果がいくつか想像でき る場合。どの結果にも十分な妥当性がある上、どの結果を選ぶかによってゲー ムバランスが大きく異なる」一例ですから、そのような事態になっていると 想定しています。

ありえませんかね。「侵入シナリオで脱出時にミスして追手がかかる。逃亡路は いくつか用意されており、そのうちの川の横断を選ぶ。逃亡劇になるとは 限らなかったし、いくつもある逃走経路を全部細かく設定することはできなかった ので川にはとりあえず橋についてだけ設定。PCは渡河地点を選択できるので細かい設定 は面倒。PCがバリスタなんか持ちだすとは思ってもいなかったので船とバリスタ の関係については設定しなかったが、プレイ中にPCに与えた アイテム(マジック含む)を見直すと十分持ちだし可能だった」なんてどうですか??

> 「依頼を断る」という行動を選択すると、ゲームがすぐに終了する。
:
>皆で「依頼を断る。」という選択を選んでしまう原因を考えて、
>それを無くすのも1つの方法です。

それが、そのものずばり「ゲームを面白くするために、未定義リソースの デザインにPLが参加してGMの承認をもらう」ことだと思います。「得ら れた情報からは、ゲーム的には断るべき」なので問題が発生している わけですから。 また「依頼 人が見た目どおりPCをだましていても、その罠は致命的かつ 回避不能なわけではない」という、GMに対する信頼感(悪く言えば慣れあい感)がな ければとてもとれない方法だと思います。
#逆に言えば、「断っても話が続く」信頼感があれば別の手がとれます。
2000年11月06日:09時40分52秒
【未定義のリソース】Re:Re:リソースの決定のタイミングの違いがもたらすもの / 鍼原神無〔はりはら・かんな〕
>Purpleさん
 こんにちは。はじめまして。

>極論すると、「あらかじめ全てがきまっているのは、RPGではない。マスターはRPGを遊ぶためには、シナリオの中にゲーム中デザインが発生する余地を残しておかなければならない。」というふうにも受け取れます。そのあたりが私の感性や経験から得た知識にあいません。
#【未定義のリソース】Re:リソースの決定のタイミングの違いがもたらすもの (Purpleさん記,当掲示板,2000年11月06日:00時20分41秒)
 
 あぁ、なるほど。

 アタシが思うに、「『ゲーム中デザインが発生する余地』は、意識するしない、活用するしないににかかわらず、常に潜在してる」、ってことではないかと思います。
 
 例え、ダンジョンマップが、ゲーム前にリソースデザインされている場合でも。リソースデザイン(アレンヂ?)に以前SHiNさんがあげられたような、「アイテムのルールに規定された以外の使い方を工夫すること(剣を通信機として使う例)」まで含めるなら、「ゲーム中デザインが発生する余地」は常に潜在している、と言えるでしょう。
2000年11月06日:09時24分15秒
【ゲーム中デザイン】ゲーム中リソースデザインとTRPGの定義 / 鍼原神無〔はりはら・かんな〕
 特に「リソースデザインでGMが設定したシナリオのゲームバランスに、プレイヤーが影響を及ぼすこともありえる」、ってことについて。
 
 それが馴れ合いにつながる場合もあるでしょう。
 しかし、一括整理は慎重に考えた方がよいと思われます。
 
 「ゲーム中リソースデザイン」も「プレイヤーが影響を及ぼすこと」も、LISTさんがコメントされている、「プレイヤーがゲームの目的をセッション中に策定していくこと」という「TRPGジャンル独特のゲーム特性」を支えているからです。
#【TRPGの定義】 ゲーム中デザインの範囲について質問 (TRPG総合研究室 LOG 054,LISTさん記,2000年11月01日:19時10分47秒)
 
 「TRPGジャンル」の一般的定義を整理してゆくなら、「GMが設定したシナリオのゲームバランスにプレイヤーが影響を及ぼす事象」の実態をケース分けして考えてくことは大事だと思われます。ケースごとの対処法を考えることも有意義ですし。(YANさんも書いてられましたね)
 
 もちろん、myrtさんの目的が「TRPGを『より』ゲーム的に遊ぶ為の工夫の整理」なのでしたら、それは「TRPGジャンルの一般的定義の整理」と別種の話としても意義があると思われます。
 でも、その場合、「TRPGには、ゲーム中リソースデザインも受け入れるジャンル特性がある」とし「それを利用しつつよりゲーム的に遊ぶ工夫」として議論を進める路線もあると思います。これは「TRPGジャンルの一般的定義の整理」とはちょっと方向性の違う議論ではないでしょうか。
 
 どちらの路線にせよ(また、別の路線もあるかもしれません)この関連の議論、「『ゲーム中リソースデザイン』はGMによるものもプレイヤーによるものも、上位ルールとみなせるワールドコンセプトやゲームコンセプトに拘束されていると理論上はみなす」、とそのポイントは、はずせないのではないでしょうか。
 (「理論上はみなす」はこの場合、実態としては理論上の原則に抵触したり逸脱したりする事例もあるかもしれないが、との含みです)

@myrtさんWrote (「【ゲーム中デザイン】Re:2種類のゲーム中デザイン」,当掲示板,2000年11月04日:14時54分28秒)
>だからGMは「ゲーム中リソースデザイン」をするときにそのなれ合い基準に従い、PLはその基準にそって不服を申し立てることができます。

 できますよね。ただルール・慣習上はプレイヤーには申告ができるだけです。裁量権はGMにあるとみなせるでしょう。理論上は。
 
 「プレイヤーがGMの裁量決定に影響を及ぼす(こともある)」事象は、「影響を及ぼすことがあってもそれは間接的(直接的ではない)」、「GMにせよプレイヤーにせよ自在にデザインできるわけではない(上位ルールには拘束される)」と、一端、理論上の整理をする。
 そのうえで、どのような場合に抵触や逸脱がみられるか、抵触や逸脱にはあたらず「プレイヤーがゲームの目的をセッション中に策定していく」場合、「物語表現を印象深くする」場合は、どんなケースがあるか、などを考えた方が有益なのではないでしょうか。
 アタシ的には、こうした整理に「TRPGを『より』ゲーム的に遊ぶ為の工夫の整理」にも間接的には寄与するものを期待してよいとも思います。
 
追記:「GMの裁量決定がプレイヤーの行為選択に影響を及ぼす(こともある)」ことの実態、特にmyrtさんが「不可確定性原理」になぞらえているようなケースのメカニズムは、言語コミュニケーションの一般的性質、<コード発信>と<メッセージ発信>の混在から説明できます。
 その点、「ジョンとメリーが殺されました」という事例は、興味深いです。(アタシは元のページをみてはいないので一種思考実験的にイメージしているだけですが)
#「【TRPGの定義】ゲーム中デザイン」 (当掲示板,myrtさん記,2000年11月02日:12時33分02秒)
 
 myrtさんが「不可確定性原理」になぞらえているような事象は、「TRPGセッションでは自然言語を使用してのコミュニケーションが不可欠(他のほとんどのゲームジャンルでは自然言語のコミュニケーションを使用しなくてもゲームプレイは可能)」ってジャンル特性によるわけです。例外は、やっぱり「ディプロマシー」タイプのゲームなどですね。(「ディプロマシー」タイプのゲームとTRPGジャンルの差違にはやはり「ゲーム中リソースデザイン」が目安になるかな、と思われます)

 もちろん馴れ合いのようなことが推奨されるわけではありませんが、メカニズムの整理は分析に役立つはずです。
2000年11月06日:09時19分06秒
【TRPGの定義】「ジョンとメリーが殺されました」 / 鍼原神無〔はりはら・かんな〕
 今の話題の流れからは、少しはずれるのですが。

 myrtさんが紹介された「ジョンとメリーが殺されました」って事例は、「TRPGの一般的定義」を詳細化してゆく上で、とても興味深いですね。
 今の話題の流れからは少しはずれるのですが、触れておきたいとおもいます。
#「【TRPGの定義】ゲーム中デザイン」 (当掲示板,myrtさん記,2000年11月02日:12時33分02秒)
 
 元のページはみたことないので、アタシは、今のとこある種思考実験的にイメージしてるだけですけど。
 
>この遊戯では、GMのデザインにPCが影響を与えます(望む望まぬにかかわらず)。微妙な質問を繰り返せば、だんだんGMが困っていく様子がよくわかります。
#「【TRPGの定義】ゲーム中デザイン」 myrtさん記
 
 この種の事態は一般に、「言いよどみ」や「間」や「表情」がコミュニケーションの<コード発信>(言語表現の明示内容)以外を構成する記号になっていて、全体として(言語記号と複合した全体として)<メッセージ発信>(明示内容以外の含みや暗示)を表現するものと整理できます。
 
 「ジョンとメリーが殺されました」の場合、<コードコミュニケーション>は、「Yes/Noで応えられるもの」と限定されることになっているので、自然言語の発話としてはすごく情報伝達性も論理性も高いことになります。
 そのためかえって、<メッセージコミュニケーション>の機能も明瞭になることもある、ってことと思われます。
 元のページで記事を見ているかたのご意見をお聞きしたいところですけど。推測するに、おそらく<コードコミュニケーション>でのやりとりの方は、ある種「言語を使った論理パズル」のような性質の遊びになると思われます。
 一方、<コードコミュニケーション>を主軸とし、それに付随する<メッセージコミュニケーション>の方が「遊戯的」なおもしろみを醸し出すのかと思われます。推測ですが。
 多分「だんだんGMが困っていく様子」とかがそうなのではないでしょうか。
 
 「ジョンとメリーが殺されました」をオンライン環境でプレイすれば、「言語を使った論理パズル」のような性質がより明瞭化すると推測されます。
 オンライン環境でプレイすると、<メッセージコミュニケーション>で重要な機能を担う表情などの非言語コミュニーケーションが途絶されます。同時に「間」の方はオンラインコミュニケーションのタイムラグがノイズになって判断困難になります。こうした理由から、「言語を使った論理パズル」のような性質がより明瞭化すると推測されます。
 
>GMはPLの意向を不必要に無視しないので影響を受けますし、無視した場合には無視そのものが情報となります。そして重大なことに、PLはそのことを知っていて、度々利用します。
#「【TRPGの定義】ゲーム中デザイン」 (当掲示板,myrtさん記,2000年11月02日:13時13分13秒)
 この事態のメカニズムも一般論としては<コードコミュニケーション>と<メッセージコミュニケーション>の複合として整理できます。
 
 で、<メッセージコミュニケーション>の解釈は文脈依存性と状況依存性のものです。だから判断尺度は論理的なものとは限りません。意識する、しないは人により様々でしょうけど、自然言語の<構造>的性質・メカニズムに拘束されます。
 もちろん、TRPGセッションでのゲームプレイも、言語コミュニケーションを介在させる限り、介在の度合いに応じて、自然言語の<構造>的性質に拘束されざるを得ないわけです。
2000年11月06日:01時31分29秒
ゲーム中デザイン】Re:2種類のゲーム中デザイン / Purple
 もはや、「myrtさんが遊んでいるRPGと私が遊んできたRPGは、全く別の遊びなのだ」と思うしかなくなっていますが、

 --- 2000年11月04日:14時54分28秒のmyrtさんの書き込み
 例として、PLが川にボートがあるかを訪ね、GMはあらかじめ設定していなかったのでバランスを考えてデザインする場合を考えます。
 a:「その川にボートはありますか??またその脇の道は??」
 b:「この川には橋がかかってないので渡し船があるかもしれない。上流に木材関連の施設があるので、いかだ下りの影響も考えられる。上流にものを運ぶ場合、ボートにロープをつけて横の道から引っ張る方法があるので道があるかもしれない。もしそれができれば、運んできたバリスタをばらさずに運搬できる。GM、川にボートはありますか??またその脇の道は??」
 aとb、また単にaの聞き方をしたあとbの説明を入れる場合、それぞれGMの反応は決して変わらないのでしょうか。
 ---引用ここまで

 未定義理ソースの決定内容が変わってしまうとしたらマスターの技量不足です。あるいは、手抜きしすぎです。
 どうも、bの例から判断すると、「PCがバリスタを輸送する途中で川に出くわし、川を越えて輸送する方法を考えている」という状況においてプレイヤーから発せられた質問のようなのですが、マスターがシナリオを作成段階で、
 「今日のシナリオでは、PCが川についての情報を尋ねてくる可能性がある。」
 と思っていたのなら、川の周囲の設定は既に済んでいると思うのです。可能性があると思っていて設定していないのはマスターの手抜きです。既に設定済みなら、(そしてその設定に間違いが無いのなら)どのような聞かれ方をしても、同じになるはずです。

 マスターが「今日のシナリオでは、PCが川についての情報を尋ねてくる可能性はない。」と思っていたなら手抜きとまでは言いません。その場合、なぜプレイヤーが川の情報を欲しがる状況になっているのでしょう?
 #よっぽど準備の悪いマスターなのか?あるいは、よっぽどひねたプレイヤーなんでしょうねえ。

 ---引用始め
 いや、元はもっと単純な話なのです。よほどの理由がなければ、GMはPC を虐殺しませんし、PLは依頼シナリオで断りません。つまり、ある程度のなれ合いがあって初めてTRPGは成立します。だからGMは「ゲーム中リソースデザイン」をするときにそのなれ合い基準に従い、PLはその基準にそって不服を申し立てることができます。
 ---引用ここまで

 それは、未定義リソースの話とは全く関係のないはなしです。
 「依頼を断る」という行動を選択すると、ゲームがすぐに終了する。それでは遊びとしては面白くない。
 というだけの話ですね。
 それを「なれ合い」で乗り越えるのも1つの方法なのでしょうが、皆で「依頼を断る。」という選択を選んでしまう原因を考えて、それを無くすのも1つの方法です。
 情報を分析し適切な行動を選択することはゲームを楽しむ上で重要な手順ですから、「ゲームの心」がわかっている人は後者を選ぶでしょう。

 さらに、マスターは無意味にPCを虐殺するシナリオなんか組まないでしょう。面白くないはずです。それで面白いと感じているマスターは異常者です。(なお。ホラーRPGでの虐殺は意味があるので、この話から外れます。)

 ---引用開始
 太平洋戦争での昭和天皇と周囲の関係とでも言いましょうか。
 ---引用ここまで

 そんな、変な例えを出していただいても、よくわかりません。議論がますますわかりにくくなるだけなのですけど。
2000年11月06日:00時20分41秒
【未定義のリソース】Re:リソースの決定のタイミングの違いがもたらすもの / Purple
 判りやすく説明していただき、ありがとうございます。
 SHiNさんが2000年11月02日:04時18分22秒に書き込まれた内容には、ほぼ同意します。
 私が気にしているのは、前にも書きましたように、
 ---
 これは極論すると、「あらかじめ全てがきまっているのは、RPGではない。マスターはRPGを遊ぶためには、シナリオの中にゲーム中デザインが発生する余地を残しておかなければならない。」というふうにも受け取れます。そのあたりが私の感性や経験から得た知識にあいません。
 ---
なのです。

 ところで、私はSHiNさんの書き込みを読んで、かつてゲーム雑誌に書かれていたRPGの紹介文句を思い出してしまいました。

 「RPGの魅力(面白さ)は自由さだ。ゲームブックやコンピューターアドベンチャーゲームなどでは1つの場面に対して2、3個の選択肢しかないが、RPGでは無限に選択肢がある。」
 (ただし、無限といっても、プレイヤーが操る「PC」が知っている情報を元に「PC」が考えうる選択肢でなければならないので、ある程度数は絞られてきますが。)

 この「無限の選択肢」を追い求めた結果が「未定義リソースの利用」なのではないでしょうか?
 もっとも、無限の選択肢が先か未定義理ソースの利用が先かという程度の違いしかなく、本質的にはSHiNさんの意見に同意です。
2000年11月04日:14時54分28秒
【ゲーム中デザイン】Re:2種類のゲーム中デザイン / myrt
論点の整理、ありがとうございました。 ただ、私の主張が一部誤解されているのではないかと思います。 それは私が以下のように考えていることです。

「ゲーム中のルール改変」:TRPGでも、一般ゲームでも禁止事項
「ゲーム中リソースデザイン」:PLが干渉できる。また、 馬場講座に不満を持つ点もこちら。

「ゲーム中のルール改変」: たとえばSHiNさんのあげられた宴会での例では、 処理方法がいくつか考えられます。
1:3戦目の勝ち点を3点にする:2本とったほうが怒る。
2:そのまま行う:皆のやる気がないことには疑いない。
3:やらない:時間があまる。
4:3戦目の商品を急遽用意し、ボーナスゲームとして行う。
つまり、3戦目は別ゲームとして扱うことが妥当です(ゲームとゲームの 間でデザインすることは特に問題ない)。 ところが、一般のゲームで1のような処理をする人は結構います。 断言しましょう。その人は「ゲーム」の心がわかっていません。

「ゲーム中リソースデザイン」:PLに決定権がないことになっていますが、 影響力は無視できません。GMが聞く耳持たない人だったり、PLとGMの 知識レベルの差が圧倒的な場合でもない限り、GMのゲーム中リソース デザインはPLの発言に影響されます。

例として、PLが川にボートがあるかを訪ね、GMはあらかじめ設定していなかった のでバランスを考えてデザインする場合を考えます。
a:「その川にボートはありますか??またその脇の道は??」
b:「この川には橋がかかってないので渡し船があるかもしれない。上流に 木材関連の施設があるので、いかだ下りの影響も考えられる。上流に ものを運ぶ場合、ボートにロープをつけて横の道から引っ張る
方法があるので道があるかもしれない。もしそれができれば、運んできた バリスタをばらさずに運搬できる。GM、川にボートはありますか??また その脇の道は??」
aとb、また単にaの聞き方をしたあとbの説明を入れる場合、それぞれGMの 反応は決して変わらないのでしょうか。

GMはゲームバランスを考えて妥当なデザインをしようと試みています。 そして、一度デザインすると滅多なことでは変えてはいけません。 PLはそのことを知っているので、妥当性の考えを左右したり、PCの意図を 説明することによってGMのゲームバランスについての考えを左右 することができます。

いや、元はもっと単純な話なのです。よほどの理由がなければ、GMはPC を虐殺しませんし、PLは依頼シナリオで断りません。つまり、ある程度 のなれ合いがあって初めてTRPGは成立します。だからGMは「ゲーム中リ ソースデザイン」をするときにそのなれ合い基準に従い、PLはその基準に そって不服を申し立てることができます。

太平洋戦争での昭和天皇と周囲の関係とでも言いましょうか。
2000年11月04日:00時03分12秒
【ゲーム中デザイン】の議論 一つの提案 / 舞ノ助
 【ゲーム中デザイン】の議論で内容に意見できるほど理解していませんが、
 
 >SHiNさん
 >●A:ルール改変ゲームとしての「ゲーム中デザイン」
 >と、
 >●B:プレイヤーの未定義リソースを使用した意思決定の結果としての「ゲーム中デザイン」
 
 >がごっちゃになってるんじゃないかと思うわけです。
 
 今までの過去LOGを素直に読んでいてもどっちがどっちか混乱しやすいと思います。(わたしが頭悪いからかなぁ?)
 
 そこで、
 Aの「ルール改変ゲームとしての「ゲーム中デザイン」」を 【ゲーム中のルール改変】
 
 Bの「プレイヤーの未定義リソースを使用した意思決定の結果としての「ゲーム中デザイン」」を 【ゲーム中リソースデザイン】
 
 と、してもらった方がわかりやすいかな?と思います。
 もっと適当な名前があれば、そちらを使ってもらっても全然構いませんが、読んでいて区別しやすい様に書いて頂けると非常に助かります。
 
2000年11月02日:20時36分51秒
TRPG総合研究室 LOG 054 / sf

 TRPG総合研究室 LOG 054として2000年10月26日から2000年11月02日までのログを切り出しました。


2000年11月02日:14時38分58秒
【ゲーム中デザイン】2種類のゲーム中デザイン / SHiN
 具体論に移るまえに、少し明確にしておきたいことが。
 myrtさんの語られてる『ゲーム中デザイン』の中には、全く別々の二つの要素が同居した状態になってると思うんですよね。
 
 ひとつは、ゲームリソース(ゲームシステム、及びGMのシナリオ・マスタリングにより設定されたもの)を改変(改良)するための「ゲーム中デザイン」。
 これは、Purpleさんがボードゲーム「戦国武将」でのルール改変例として示したものと、基本的には同じ性質のものであると思います。
 
 もうひとつは、前回の投稿の中で私が述べた、「未定義リソースを使用したプレイヤーの意思決定」の結果としての「ゲーム中デザイン」。
 
 >「ゲーム中デザイン」の定義は非常に簡単で、「(TRPGなどを)プレイしている途中でルールやリソースをデザインすること」です。(Re: 【提案】定義について / myrtさんの発言より引用)
 
 という定義のもとで、この二つを混同してしまうと話は変になっていくと思います。
 
 以前から指摘のある通り、ゲーム中のリソースのデザインの変更というのは、非TRPGにおいても行われます。Purpleさんの「戦国武将」の例もそうですし、もっと卑近な例をあげれば、宴会のゲームにおいて三回勝負で片方が先にあっけなく二勝してしまった場合、最後の勝負が突然ボーナスゲームになってしまうというような(笑)
 
 また、はりはらさんが書き込んで下さった「ルール改変ゲーム」が適用されるのも、この部分ですし、myrtさんがおっしゃる「馬場講座に反旗を翻している」というのもこの部分のはずです。
 
 一方で、TRPGセッションにおけるリソース(ルール及び資産)の不足分を補うための手法としての「ゲーム中デザイン」というものも存在し、これは、先の「ゲーム中デザイン」とはまったく違うものです。
 プレイヤーの意思決定が、あまりに広範にわたって行われるため、事前に用意したリソースでは足りないという事情によって生じるものであり、TRPGの自由度などに関わってくる要素です。
 そして、こちらのゲーム中デザインは、「プレイヤーが直接さわれるのはトークンのみ」という前提に反しません。
 では、myrtさんの言うゲーム中デザインとは、前者だけを指すのかというと、そうでも無いようです。ゲームブックの例は、どちらかというと後者を示していますし、私の発言の「TRPGの特徴は未定義の仮想世界を扱う事である」という話への同意も、後者をmyrtさんが受け入れてる事を示しています。
 
 だから、結論として、myrtさんの発言の中では、
 
 ●A:ルール改変ゲームとしての「ゲーム中デザイン」
 と、
 ●B:プレイヤーの未定義リソースを使用した意思決定の結果としての「ゲーム中デザイン」
 
 がごっちゃになってるんじゃないかと思うわけです。
 
 Purpleさんの二つの疑問、『ゲーム中デザインは改善とともにゼロに近づくはずだが、そうするとTRPGらしさが失われるというのは変』『どこがプレイヤーが影響を与えられるのはゲームトークンを通じてのみという制限に反してるのかわからない』というのは、この二つの「ゲーム中デザイン」がごっちゃに語られてるところから生じているんじゃないでしょうか。
 
 Aの「ゲーム中デザイン」がゼロになっても別にTRPGらしさは失われません。
 Bの「ゲーム中デザイン」がゼロになると、TRPGらしさは減少します。
 Aの「ゲーム中デザイン」は、ルール改変ゲームとしての側面を持つので「プレイヤーが影響を与えられるのはゲームトークンによるもののみ」の制限は消滅します。
 Bの「ゲーム中デザイン」は、あくまでプレイヤーがゲームトークンを通じて行った意思決定の結果ですので、「プレイヤーが影響を与えられるのはゲームトークンを通じてのみ」という制限に反しません。
 
 この二つの「ゲーム中デザイン」、TRPGにおけるルール改変ゲームと、プレイヤーの意思決定における発想の自由さを支える未定義リソースのデザインとは、明確に区別する必要があるんじゃないでしょうか。
2000年11月02日:13時13分13秒
【TRPGの定義】ゲーム中デザイン / myrt
本題を忘れてました。

というわけで「デザイン」は「改善」とイコールではないです。後者は前者に 含まれるかもしれませんが。

しかし、ゲームブックそのもののシナリオなんて見たことないです(ブラ ッドソードはゲームブックだろう)。誰でも、「宿屋の主人。愛想が良い」 程度の設定からリアルタイムで対応をデザインしていませんか??
#重要な点と、簡単に記述する--あるいはしない点を使い分けるということ。


(Re:2000年11月02日:00時22分22秒 【TRPGの定義】Re: 2つの主張 / Purpleさん)
>それともう一つ浮かんだ疑問なのですけども、結局、さまざまな決定を行うの
>はマスターであって、プレイヤーは直接(マスターの意向を無視して)設定を
>決定することはできてないではありませんか。

だから、不確定性原理に似た話になるのです。GMはPLの意向を 不必要に無視しないので影響を受けますし、無視した場合には無視そのものが 情報となります。そして重大なことに、PLはそのことを知っていて、度々 利用します。
#わからない人はシュレディンガーの猫で引くとか。
2000年11月02日:12時33分02秒
【TRPGの定義】ゲーム中デザイン / myrt
これはちょっと前にこのtrpg.netからネットサーフしたときに見つけたTRPG関 連(特にD&Amp;D)のWebPageに書かれていたのですが、どこかは失念してしまいました。 作者の方申し訳ありません。

とにかく、そのページでは「ジョンとメリーが殺されました」と いう言葉遊びについて述べられていました。質問者(PL)は設問者(GM)に 質問できるが、それはYes/Noで答えられるものに限られるやつです。 質問者は、「事件の真相は---である」という 質問に対して「Yes」を得ることが目的です。

ここでは、GMにはTRPGのシナリオもびっくりするほどの少ないデータしか ありません。ですから、PLがないデータについてGMに尋ねたときは、
・問題の難易度(ありふれた答えほど特定が難しくなる)
・妥当性(もちろん矛盾してはいけない)
・即応性(悩めば、それが微妙な質問であること自体がバレる)
を考えて回答をデザインしなくてはいけません。

この遊戯では、GMのデザインにPCが影響を与えます(望む望まぬにかかわらず)。 微妙な質問を繰り返せば、だんだんGMが困っていく様子がよくわかります。
#そーいうときはPLも困っているのだが。

私の想定している「ゲーム中デザイン」はこのデザインのようなものです。 もちろんTRPGではGMの用意する情報量が比較的大きくなりますが、大枠にお いてはかなり似た構造を持っていると思います。
2000年11月02日:12時12分01秒
[未定義のリソース【コメント】]意思決定・意志決定と行為選択 / 鍼原神無〔はりはら・かんな〕
>SHiNさんへ
 アタシ今、積極的に議論に加われない生活状況あるんで、簡単なコメントとゆーか、提案とゆーかで、勘弁してください。
 
 「優れた意思決定/意義ある意志決定」の関連なんですけど。
 アタシは論の必要に応じて概念のレベルを調整していって、例えば、「優れた行為選択(=ゲーム的な意思決定)」「意義ある行為選択」とかそーゆー使い分けを導入した方が、議論の為によいように思いますので、提案します。
 ご一考いただけるとありがたいです。
 
 理由を2、3挙げます。

1.意思決定(及び意志決定)の判断尺度を数値的論理的に判断可能でないものまでに拡張すると、「意思決定(及び意志決定)」の概念が意味をなさなくなってしまう。
 例えば「個人的な意思決定」もあれば「プレイヤー本人の情動に基づいた行為選択(これは意思決定とは言い難い)」もあれば、「他のプレイヤーの情動に訴えかける行為選択(これは意志決定だけでは効果が期待できない:私見)」もあります。
 これらはそれぞれに性質が違う行為選択です。
 セッション上の取り扱いや、もんだいの発生しやすさの可能性、そしてもんだいが発生した場合の対処、もんだい発生を統御するコントロール、それぞれに違うはずです。
 将来そうした議論につなぐためには今の内から「意志決定(及び意志決定)=判断尺度が数値的論理的に判断可能な行為選択」と整理されるとよいはずです。
 
2.ゲームの理論にせよ、コスティキャンのゲーム論にせよ、馬場講座にせよ、意思決定および意志決定の考え方は、日本語でTRPGを遊ぶ人達の共有の知的資産だと思います。これは「1」とも関連するポイントです。
 意思決定や意志決定のコンセプトは破棄されるべきではないでしょう。
 もんだいがある場合でも、意思決定や意志決定を特殊解とみなして、より一般的な解を求める方が、過去の資産の活用としては効率的と思われます。
  
3.「意思決定(及び意志決定)=判断尺度が数値的論理的に判断可能な行為選択」って限定を加えた方が、TRPGのゲーム性を重視する前提で発想・思考をしてる論者からも意見が出易いと思います。議論は紛糾するかもしれませんけど、逆に論点のポイントがはっきりするかもしれません。

4.あまり意味はないかもしれませんけど「判断尺度が数値的論理的に判断可能な行為選択」をゲームの理論の意思決定、コスティキャンの意思決定、馬場講座の意志決定に共通な必要条件とみなすことで意外な発見があるかもしれません。アタシ的には、それぞれの違いや、妥当な適用範囲についての発見・整理を期待したいです。
 
 なお、ここではゲームの理論の「意思決定」を極、初歩的な意味で使っています。それで構わないでしょう。
 
 アタシの観点だと、「物語表現を効果的にするための行為選択」は判断尺度は論理的・数値的なものではない。また、判断基準は情動的なものでもない(プレイヤーの情動や感情移入は行為選択をするときの福次効果でしかない)。そう限定すれば、「物語表現を効果的にするための行為選択」も、個人的な意義の行為選択をセッションの公共性に寄与するものに出来得る、的な予測があります。ただし、これはアタシの観点の都合にすぎませんが。
 
 以上、重箱の隅ですし、差し出口なのですが、ご一考いただけると幸いです。

 かしこ
2000年11月02日:08時49分10秒
【TRPGの定義】Re:コスティキャンとルール改変ゲーム / 鍼原神無〔はりはら・かんな〕
>myrtさんへ
@myrtさんwrote (「【TRPGの定義】ルール改変ゲーム」,当掲示板,2000年11月01日:10時42分46秒)
 >もしTRPG を「ルール改変ゲーム」として真剣に戦った場合は「自PCに有利になるようにルールを設定しようと口論する」というなかなか不毛な事態に陥ると思います。
 
 あぁ、なるほど。
 法律では、「ルール改変」の妥当性を判定するためのルールも予め明示されていますしね。
 
 TRPGセッションでは、普通はゲーム中デザインの裁量権はGMに委ねられる、とみなされると思います。ただし、GMの裁量は上位ルールとみなせるワールドコンセプトにあたるものに拘束される。この辺が「司法と法体系の関係性」に類比されると思ったんです。
 そうゆう意味でも「新ルールを自在にデザイン」できるとは思えません。あくまで多義的なワールドコンセプトの内容解釈に拘束されると思われます。(この観点では「論理的に一意な判定系」は「多義的なワールドコンセプト」の一部に含まれるとみなしています)
 
 一方、「プレイヤーがGMの裁量判断に影響を与えるよう試みること」の実態なんですけど、この行為の尺度は、コスティキャン式のゲーム概念では扱えませんよね。ワールドコンセプトやGM・プレイヤーによる描写の解釈と、その判断妥当性の評価が関わることもありますので。
 ただし、リソースにセッション時間も含めると、ゲームの理論のゲーム概念で扱うことはできる・かもしれません。
 
 アタシはTRPGセッションはもともと「ゲーム的な行為選択と物語表現のための行為選択が混在して、しかも相互に影響し合って進んでく」って整理したほうがいろいろなことが説明し易くなるって前提なんで、、、。(ややこしいのは、セッション上、ゲーム的な選択行為が、同時に物語表現としても機能することの方が多いってあたりなんですけど)
 「『ゲーム』的に楽しむ場合の『ゲーム中デザイン』要素」の整理にはあまり口を差し挟まないほうがよいと思って拝見しています。(整理が為されたらいろいろお尋ねするかもしれませんけれど)
 
 それでも、「ゲーム中デザイン」が「TRPGセッションの必要条件」である、ってゆーのは言えてるような気がして拝見しています。
 「ゲーム中デザインがないセッションはTRPGとは言えないのか?」ってことが、問われてましたけど。
 やっぱり、デザインの概念規定が詳細化された方が分かり易くなるような気はします。
 
 一案、「水滸伝の関所」のように「一度活用されたらよほどの理由がなければ改変されない設定」は「デザイン」。「剣を通信機として使う」のように「後で別の機能に転用してももんだい無い表現」は「アレンヂ(でもなんでもいいんですけど用語は)」とか。この二種の行為はどう性質が違うか、とかですね、セッション上・ゲーム上の位置付けはどう違うか、とかですね。その辺が詳細化されると「TRPGの定義」として整理するんならよいかなーとかは思いますが。
 
 ルールに明記されてない判定方式は明らかに「デザイン」と言えますし、「一度選択されたらよほどの理由がなければ改変されない(ことが期待される)もの」と言えると思います。
 
 「ワールドコンセプトは多義的で、論理的整合性を期待される判定系はその一部に含まれる」って見なすアタシ的前提からも、「多義的なリソースから、ゲームに使える意味を限定・抽出・考案・検討・運用してく過程はおもしろい」ってポイントは興味深くて。それで、検討を拝見しています。(この関心は、Myrtさんの論旨とはズレているはずなので、それは申し訳ないですが)
 
追記:(別件です、こっちもMyrtさんの論旨とはズレているはずですが)
 「三角形」を「三点を直線で結んだ平面図形」と「定義」すれば「三角形の集合のすべて」を言表したことに論理上はなりますよね。
 もひとつ、重要なポイントは、「三」「点」「直線」「平面」「図形」これら全てに一意な定義がなされていることですよね。特にそれ以上溯ることが無意味な定義のうえに「論理的」になりたってることも重要です。
 論理ってゆーのは、そーゆーものですよね。(アタシはTRPGのワールド設定はそうゆう性質の論理構成態では・ない、って判断してるわけなんですけど)
 
 一方東涙香さんが紹介された「意味の限定」ってゆーのは、もともと一意ではなく多義的な単語が、論理や公理系ではなく示差性(や連想やいろいろ)で意味生成してく自然言語や日常会話に妥当な「定義」の概念規定ですよね。
 
 ゲーム内デザインの話でも「リソース」は「無定義」なのではなくって、もとは「多義的」なんだ、とアタシは思っています。すでに他の方から同趣旨の意見が出されてますけど、ルールに明記されていないリソースも、ワールドコンセプトには拘束されるので「無定義」とは言い難いと思います。

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