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錬金術の通史を文献学的にまとめたものです。巻末には、大英図書館の錬金術関連の写本や手稿の目録と簡単な錬金術用語辞典がついています。図版も多めで、カラーの図版もあり、価格なりのものはあります。
文献を山ほど追いかけて変遷をたどるもんだから、固定的な「こういう概念である」というものが変遷していくというのが面白いですね。もともとは、ふつうの化学的知見を書いた文書だったものが、いかにして再解釈されていったかとかが面白く感じられました。
こういった本と比べると、通俗紹介本は底が浅いものよなぁ、とか思ったり。これを読むと、錬金術をTRPG的に技術として整理することそのものに疑問を感じたりしなくもありません。統一的原理で明快に記述できるようなものではないんですよね。そういう意味では、ゲーム用に使いやすく大胆に解釈するのは、かなり正しいことなんだろうなあ、と考えてます。
2004年に新装版になっています。