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Date: Mon, 7 Jun 2010 20:07:04 +0900 (JST)
From: Subject: [KATARIBE 32378] [HA06] エピソード『門音』
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From:うたこ
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エピソード『門音』
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登場キャラクター
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無戸室近衛(うつむろ・このえ)
:201号室の住人。
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2010年6月初めのお話。
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本文
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門音は燃えていた。
心が、体が、黒く深い色の炎と共に――
?? :「はっ―――怖いね。」
どこまでも続く裏路地、どこまでも暗い夜の空。
それしかない世界で対峙している二人の人影。
黒い霧を絶え間なく噴出させている丸レンズのサングラスをした黒服の女。
赤い髪、深緑の瞳。高級なスーツを身に纏い、夜空を見ている赤い女。
二人は共に笑顔だった。
門音 :「近衛に何したの?」
?? :「ちょっとからかっただけよ。」
そう、と呟くように言った門音の輪郭が、ずれた。
ずれた直後、顔には仮面、服は衣装、羽のようなマントが装着された。
?? :「異能…?違うわね。妖怪でもない。」
面白そうな物を観る眼で笑い、髪を掻き上げた。
?? :「何なの、君?」
門音 :「門音。近衛の保護者よ。」
?? :「ぷっ………あはははは!親熊は怖いものね!」
背を仰け反らせて赤髪がひとしきり笑うと、仰々しくお辞儀をした。
?? :「私は赤鐘。通りすがりの――怪異よ。」
門音 :「妖怪、ね。」
赤鐘 :「……あら?近衛、だっけ。あの子はこう言うのには免疫
: なかったのに…」
門音 :「近衛はね。あの子には、知って欲しくないの。」
赤鐘 :「過保護ね。」
門音 :「大切なだけよ。」
赤鐘 :「熱いわね。」
門音 :「そう言うのじゃ、ないのよ。」
苦笑する門音。ふぅん、とため息をつくように返事をする赤鐘。
門音 :「そろそろ良い?」
赤鐘 :「どうぞ。いつでも」
そして、異形同士の戦いが始まった。
数時間後―――201号室。
門音 :「ただいまぁ…」
近衛 :「おかえりー………ってお前、どうした…の…?」
門音 :「転んだ…」
近衛 :「ベタな…」
サングラスは壊れ、服もところどころ破けている。傷もひとつやふたつなん
てものではなかった。ただ歩いている所を見るとまだ、動ける状態だと言う事
だった。
門音 :「近衛…どこも怪我ない?」
近衛 :「お前が怪我だらけじゃねぇかよ!」
門音 :「うん…ごめんなさい。」
近衛 :「あやまらなくて良いから、早くPCの中に戻れ!」
アプリケーションを起動させながら、本気の顔で心配する近衛。
そんな近衛の顔を見て、門音はえへへ、と笑った。
門音 :「近衛」
近衛 :「…なんだよ?」
準備ができたのか、集中しつつある近衛は横目に門音を見る。
門音 :「ただいま。」
近衛 :「…………おか、えり。」
耳を赤くして、近衛はPCの方を向く。
次の間には、門音の姿は消えていた。
近衛 :「トラックにでも轢かれたのか…?」
首を傾げて、かちゃかちゃと門音の修復作業に入った。
同時刻―――101号室。
不在。
同時刻―――102号室。
不在。
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