[KATARIBE 32376] [HA06P] エピソード『昼夜』

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Date: Sun, 6 Jun 2010 15:32:31 +0900 (JST)
From: Subject: [KATARIBE 32376] [HA06P] エピソード『昼夜』
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From:うたこ

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エピソード『昼夜』
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登場キャラクター

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 無戸室近衛(うつむろ・このえ)
     :201号室の住人。締切り後は世捨て人。
 門音(かどね)
     :201号室の住人。サングラスは近衛のプレゼント。
 新間紗枝(あらま・さえ)
     :101号室の大家さん。恋愛ごとはドラマ思考。
 ??
     :102号室の住人。趣味は読書。

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2010年5月末:エピソード『贈り物』の数日後。

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本文

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 あるお昼過ぎの話。



 門音     :「近衛ー、近衛ー?」
 紗枝     :「あら?」

 201号室から出てくる門音。
 丸レンズのサングラスをかけた女の子。

 202号室の点検を終えて出てきた紗枝。

 紗枝     :「えぇっと…無戸室さんのお友達?でしょうか。」
 門音     :「あぁ、えぇ、そんな感じです。」
 紗枝     :「無戸室さんなら先ほどお出かけになられましたよ。」
 門音     :「近衛…私に黙って出かけるなんてさ。」

 もう、と言って怒っている門音を見て、何やら紗枝はにこにことしている。

 紗枝     :「お暇でしたらお茶でもいかがです?」
 門音     :「あ、悪いですよ。それに、近衛追いかけてみます。」

 ぱたぱたと靴を履いて駆けていく門音。
 その姿が見えなくなるまで紗枝は見送り、くすくすと笑った。

 紗枝     :「無戸室さんも隅におけませんね。」

 そんな紗枝の勘違いを置いて門音は近衛を探しに行った。

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 近鉄吹利駅前公園―――

 近衛     :「あー…天気良いさなぁ…」

 角田書店で買った資料で心一杯夢一杯、そんな顔で空を見上げていた。

 近衛     :「締切り過ぎのこの時間がたまらねぇんだよなぁ…」

 はぁ、と気の抜けた息を吐いてベンチに深く背を預けた。

 門音     :「こ、の、えー」

 ぱたぱたと足音を立てながら走ってくる黒服の女の子。

 近衛     :「あ?門音じゃねぇのさ。どうした?散歩か?」
 門音     :「違うよ。近衛追いかけて来たんだって」
 近衛     :「ご苦労様。」
 門音     :「うん。」

 えへへ、と笑う門音を横目に、は空を見上げる。

 門音     :「最近、この公園よく来てない?」
 近衛     :「んー…?まぁな」
 門音     :「最近、フィギュアとか良く買うよね。」
 近衛     :「まぁな…」
 門音     :「ロリコン」

 ずるっとベンチから滑り落ちそうになりながら、苦笑いした。

 近衛     :「おま…お前なぁ…」
 門音     :「解ってるって。でもああ言うのが好きなのは…」
 近衛     :「……」

 顔を真っ赤にして視線を背ける。
 あぁ、耳まで赤くなっているのかもしれない…

 門音     :「ファンシーなのが好きなのねぇ…」

 はぁあ、とわざと聞こえるようにため息をつく門音。

 近衛     :「別に、良いだろ…」
 門音     :「うん。」

 何となく空を見上げる黒服と少年。

 門音     :「帰ったら、大家さんとお茶しようよ」
 近衛     :「大家さんにお前のことまだ紹介してないぜ?」
 門音     :「出てくるとき会った。
        : 私のこと無戸室さんのお友達ですか?だって。」
 近衛     :「まぁ、他人が見ればそうだろよ。」
 門音     :「いいえ、私は近衛の彼女ですって言っといた。」

 またベンチから滑り落ちそうになる。

 近衛     :「……お前、今度頭に花つけるぞ。ピクミン的な。」
 門音     :「嘘嘘。そんな感じですーって言っといたから。」
 近衛     :「ったく…」
 門音     :「大家さんには彼女がいるとか思われたらまずい?」
 近衛     :「変な勘ぐりすんなよ…」

 面倒くさそうな眼で門音を見ると、つまらなさそうな顔をされた。

 門音     :「もっと健全になれば?」
 近衛     :「良いんだよ。そう言うのは…」
 門音     :「不健全極まりだわ。」

 やれやれと首を振ると、門音は立ち上がり近衛の手を引く。

 門音     :「お茶菓子買って帰ろう?」
 近衛     :「俺、ケーキが良い。」
 門音     :「私はクッキーが良いの。」

 クッキーで良いぜ、とため息混じりに言うと、門音に引かれて公園を後にす
る。結局ケーキ屋でクッキーも買う羽目になった。

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 101号室―――就寝前の話。

 門音     :「嫉妬、してんのかな。」

 部屋に居るのは、淡いピンクのパジャマを着た新間紗枝といつもの格好の門
音。卓袱台を囲んでお茶をしている雰囲気だった。

 紗枝     :「近衛さんに親しい間柄の女性でもできたんですか?」
 門音     :「あ、いや。親しくはない、んだけども…」

 何と言って良いのか解らない。
 門音はゆっくりと言葉を選んだ。

 門音     :「近衛が憧れというか、趣味…?みたいなのに、ストライ
        : クな女の人が現れて、ね。たまにその人の事考えてるみ
        : たいなの。」
 紗枝     :「門音さんが居るのに、無戸室さんは…もぅ」
 門音     :「そう!私が、居るのに!」

 妙な空気が、二人の間に流れた気がした。

 紗枝     :「(無戸室さんってば、自覚がないのかしら…可愛い彼女
        : さんがいるのに…)」
 門音     :「(近衛ったら、私がいるのに他の異能の子なんかにデレ
        : デレして…私だって同じようなものじゃないの。)」

 二人の視線が交差し、うん、と頷きあう。

 紗枝     :「許せませんね。」
 門音     :「許せないわ。」

 一歩踏み外すとずっと転落していくように、二人はすれ違う。
 201号室では毛玉に頬ずりする近衛が悪寒に震えていた。

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 102号室。
 小説を読みながら、寝転がっている人影。

 ??     :「……妹アニメ化じゃないの。」

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 ある1日のお話だった。



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