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Date: Sun, 02 May 2010 01:05:21 +0900
From: Subject: [KATARIBE 32361] [HA06P] 『猫の場合、猿の手も借りたい』
To: kataribe-ml@trpg.net
Message-Id: <4BDC5141.7000507@gombe.org>
X-Mail-Count: 32361
Web: http://kataribe.com/HA/06/P/
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ごんべです。
三十分一本勝負。
[Role] search_db: 孫空児(そん・くうじ/スン・コンル) さん
でいかがですか☆
[Role] HA06event: 黒猫が戸惑っている ですわ☆
こりゃまた久しぶりな人だ。
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エピソード『猫の場合、猿の手も借りたい』
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登場人物
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孫空児(そん・くうじ/スン・コンル)
:猿由来の仙人。というか、とある大聖の分身。
本編
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黒猫 :「……にゃあ」
空児 :「どうした」
黒猫 :(びくっ)「にゃ、にゃあっ……」
ぐらり。
黒猫 :(びくっ)
空児 :「……なるほど」
黒猫 :「……みー」
ちょっと黒猫の声が哀れな響きになってくる。
ここは、とあるビルの軒先。
軒の上にいる黒猫の足下には、何やら興味をひいたと思しき品物がいくつか
転がっている。それになぜだかつられて、上に見える手すりから飛び降りたの
だろう、とわかる。
ただ問題は、手すりに戻るには黒猫のジャンプ力では到底足りないし、どこ
か他の上り口を探そうにも畳一枚分くらいの広さしかないし、下に降りように
もそれこそ目もくらむような高さで、猫の身軽さをもってしても飛び降りて無
事に済むとはとても思えない。
空児 :「……どうやら、ここに住み続けるというわけにもいかん
:しなあ」
ビルの意匠というか飾りの一部と思われるので、足場としても凸凹が激しく、
安定しないようである。
そこにたまたま風に流されてきた微小サイズの空児が猫にしっぽに引っかかっ
たわけだが、暢気に話す空児の口調にようやく気が落ち着いたようで、再び黒
猫は自分の身の振り方に意識を向け始めた。
と言っても、落ち着いて考えられるわけでも選択肢が豊かにあるわけでもな
く、黒猫は戸惑うばかりである。
空児 :「よっ、と」(どろん)
黒猫 :(びっくり)
黒猫が驚いたのも無理はない。空児が、煙とともに小猿の姿になって黒猫の
横に佇んだからである。
空児 :『で、どうするんだい』
黒猫 :『な、何だよお前は!?』
空児 :『細かいことは気にするな』
黒猫 :『気にするだろっ!』(にゃあっ)
空児 :『大丈夫だ、こいつはキツネザルって言って、尻尾が長い
:から下からはお前さんたちと大して違って見えないさ』
黒猫 :『どこが違わないってんだ!?』(にゃにゃあっ)
空児 :『そんな場合じゃないんだろ?』
黒猫 :『……』(にゃ……)
問題点もずれてきていたが、確かにそんな場合ではない。
黒猫 :『……なあ』
空児 :『ん?』
黒猫 :『その変な力で、何とか下に降りられないかな』
空児 :『力に頼ってちゃ、目立ってしょうがないんだ。お前さん
:のせいってことになって捕まってあれこれ調べられる羽目
:になってもいいなら、まあ俺は構わないがね』
黒猫 :『それは困る』
空児 :『だろう。だから、この今の俺の姿でできることを言って
:くれなくちゃいかん』
とは言え、目の前にいるキツネザルは、黒猫と比べてもやや小さいくらいの
姿しかない。
黒猫 :『何でもっと大きながっしりした生き物にならないんだ
:よ!?』
空児 :『これ以上大きいので来たら、足場が崩れちまうかも知れ
:ないだろ』(しれっと)
黒猫 :『う……』(にゃ……)
空児 :『その尻尾を持って、下ろしてやろうか?』
黒猫 :『……いやだね、痛いじゃないか!』
空児 :『でもそれくらいなら人目を盗んでできるし、そのくらい
:下がってからなら飛び降りても大丈夫なんじゃないか?』
黒猫 :『……う』(下を覗き込む)
言われてみれば……そのような気もするし、そうでない気もする。
黒猫 :『だめだだめだ、あぶねえよ』
空児 :『まあそう言わずに。今なら人目も無いぜ』(むんずっ)
そう言うと、いきなり空児のキツネザルが黒猫の首根っこを鷲掴みにした。
黒猫 :「にゃあっ!?」
空児 :『そらよ』(ひょいっ)
言うや否や、唐突にダイブ。
黒猫 :「にゃあああああぁぁぁぁっっ!?」(ひゅううううう)
空児 :『そぉれ、“雲のように浮け”っ』
泡を食って鳴きわめく黒猫を片手に落下しながら空児は、黒猫のもとに着く
まで使って以来もう一方の手にしのばせていた小さな綿毛を取り出し、まじな
いを唱えた。
SE :ぽむっ
:(いきなり空児の手の中で大きな浮力が発生し、中空で空
:児を支えようととどまる)
空児 :『おおっと』
:(落下が止まり、とっさに綿毛を掴み直す)
黒猫 :『にゃああっ!?』
:(ぐん、と空児に引かれて落下が止まる)
空児 :『ここらなら大丈夫だろ。ほら』
ぱ、と空児が黒猫の背中から手を離す。
黒猫 :『お、おいこらうわああああああっと!?』(再び落下)
ひゅるるると落ちていく黒猫。
だが、かなり高さが減っていたためか、慌てて身体をひねって開いた四肢が、
間一髪黒猫の着地を支えた。
黒猫 :『お前っ! 危ないだろうっ!? ……て言うか、お前そ
:の形(なり)でできることしかって言ったのはそもそも嘘
:だったんじゃねえかこのやろおおっ!!』(にゃああっ!)
空児 :『まあまあ、助かったんだから野暮は言いっこ無しだぜ。
:あばよ』(どろんと)
恨めしげに空児を見上げて鳴く黒猫を尻目に、元の大きさに戻った空児は、
再び綿毛の上に寝転がって、風に吹かれてどこかへ飛んでいった。
解説
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人をからかうことしか考えていない相手の言うことを鵜呑みにしちゃいけま
せん。親切ではあるんだろうけどもさ。
時系列
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2010年春の気候の良い連休の土曜のこと。
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えっと、こんな人だったっけ?(マテ
でわでわ。
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ごんべ
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