[KATARIBE 32356] [HA06P] 『太郎道』

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Date: Sun, 25 Apr 2010 02:50:20 +0900
From: Subject: [KATARIBE 32356] [HA06P] 『太郎道』
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 ごんべです。
 三十分一本勝負その4。

>>[Role] 若村愛(わかむら・めぐみ) さんでいかがですか☆
>>[Role] rg[gombeLOG]HA06event: 古い髪型の少女が抗議する ですわ☆

 おうけぇ。

 ……とは言え、少し寝かせていたネタなので、書くのに30分、とさせて
いただきました。


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エピソード『太郎道』
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登場人物
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若村愛(わかむら・めぐみ)
   :中学1年生。おっとり型女子、声と発育は良い。


本編
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 愛      :「……あら?」

 ふと通りがかった初めての道。
 古い家並みの続く昔の町割りの道を通って近道しているとき、愛はふと奇妙
な光景に出会った。

 愛      :「……直しておいたほうがいい、よね……」

 街角の祠に立つ地蔵の赤い前掛けがめくられ、顔にかぶせられている。
 さすがに聞いたことのない風習なので、愛はそっと地蔵の顔から前掛けを下
ろした。

 と。

 少女の声   :「こらっ!」
 愛      :「え?」

 振り向くと、そこにはおかっぱの少女がひとり。
 おかっぱというより、愛は知らないが「かむろ」と行った方が正しいような
古めかしい髪型である。服装も、浴衣を着崩したような、純和風の出で立ち。
 そしてこの少女、大層目つきが悪い。

 少女     :「苦労してめくったんだぞ! 余計なことをするな!」
 愛      :「え? でも」

 怒られていることは解ったが、さりとて、かぶせてある方が良いとも思えな
い。そのため愛はどうすべきかわからず手を止めた。
 見ると、少女の背後から仲間と思しき子供が二人ばかり駆けてきた。……そ
の子供たちもまた、大層目つきが悪い。

 子供その1  :「何するんだよ! かぶせておけよ!」
 子供その2  :「かぶせておかないとそいつに見られちゃうじゃないか!」
 子供その1  :「そうだ! そいつは太郎と仲が良いんだ! 太郎を呼ば
        :れちゃ困るだろ!」
 愛      :「……太郎?」
 少女     :「ばかっ、余計なこと言うなっ」

 少女に叱責されて仲間たちは思わずといった風情で口をつぐむ。

 少女     :「とっ、とにかく、俺たちがここを通るにはそれがかぶ
        :さってないとダメなんだ! さっさと元に戻せ!」
 愛      :「……そうなの……でも」

 ここらの大人にも訊くべきでは、など至極真っ当なことを考えて逡巡した、
その時。

 SE      :……ひゅうううううぅぅ……

 子供その1  :「やべえっ!」

 SE      :「………………わんっ、わんっ、わんっ!」

 子供その2  :「太郎だ! しっぺい太郎が来た!」
 少女     :「くそうっ! 逃げろ!」

 くもの子を散らすように逃げていく3人。
 それを見送った愛の背後から、路面を掻く固い音がして、傍らに一頭の犬が
滑り込んできた。

 犬      :「……わんっ!」

 子供たちの去った方に、あたかもとどめを刺すような勢いで、ひときわ強く
一声咆える。仁王立ちになったその姿を、愛は感心するように見つめていた。

 愛      :「……でも、あまり怖がらせちゃダメよ?」
 犬      :「……」
 愛      :「ね?」

 理解されることを期待せず、しかし思わず声をかける。
 だが犬は、まるで言葉がわかるかのように振り向き、愛を見上げた。
 その利発そうな顔と仕草に、愛も覗き込むように語りかける。

 と。

 犬      :(ぺろり)>頬
 愛      :「きゃっ!?」

 SE      :ひゅうううううぅぅぅ……

 鼻先を上げて愛の頬を舐め上げると、犬は再び駆け出し、風とともに路地の
向こうへと去っていった。

 愛      :「……行っちゃった」

 派手に舐められた頬を撫でながら、愛は祠に鎮座する地蔵に目を戻した。
 地蔵は、どこまでも穏やかに微笑みを浮かべている。


解説
----

 たぶん愛は、異界の事柄と出会ったとは思わないのだろうなあ。


時系列
------

 2010年4月下旬のとある日。


$$

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 ちょっとオーバーしちったぜ。>書くのに30分
 では。

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ごんべ

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