[KATARIBE 32353] [HA06N] 小説『ある休日と面倒と』

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Date: Tue, 20 Apr 2010 23:25:26 +0900
From: Subject: [KATARIBE 32353] [HA06N] 小説『ある休日と面倒と』
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ゆーふぉです。
三十分一本勝負、お題は、「金の延べ棒を見つけた」でした。

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小説『ある休日と面倒と』
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登場人物
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羽湯雅仁(うとう・まさひと):http://kataribe.com/HA/06/C/0831/
    山猫温泉主人、のはず。小雪の下僕。

白露:式鬼のひとり。羽湯に貸し出されている。

本編
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 金、それは人類の欲望の象徴である。
 下品な輝き、と評する者も居れば、高貴の象徴、とする者も居る。
 いずれにせよ、それを目の前にして、平静でいられる人間は少ない。

 羽湯雅仁(うとう・まさひと)もまた、そういった意味では一般的な人間で
あった。
 彼のうららかな春の休日は一変した。
「おいおい……」
 公園のベンチの下にあったバック、忘れ物かと思って何気なく開けたところ、
入っていた物がコレでは笑うに笑えない。
「落とし物だよ……な?」
 警察に届けなければならないかという至極常識的な判断と、その前に追いかけ
られるであろう公園に金の延べ棒を放置するような輩――つまり極道な感じの方々
とのやりとりの前に見なかったことにしようかという判断がせめぎ合っている。
「よし!」
 決断は早かった。
「俺は何も見ていないっ!」
「ほほー、兄ちゃん何を見てないんや?」
 しかし不幸と面倒の方が、さらに半歩ほど早かった。
 バックを戻そうとした彼の周りには、派手な色のスーツを着た三人の男達が取
り巻いていた。
「あは……はは」
 愛想笑いは、相手のサングラスに遮られた様であった。
「にーちゃん、ちょーっと付き合ってくれんかのぅ?」

 倉庫というのはあまりにも常套手段過ぎないか、というのが、この場所につい
ての唯一の感想であった。
 黒塗りの高級車のトランクに押し込められてから、ここまで三十分ほど、窓か
ら漏れ出る光はまだ明るい。
 自分の持っている手札を確認してみる。
 異様によく見える視力、ただし温泉付近限定。香坂から借りている、式鬼の白露。
(どう使えってんだよ!)
 内心で自分に盛大にツッコミを入れてから、しかし使える手はソレしかないと
いう。
 ついでに言えば、両手を縛られている。
 さらに言えば、連中はコンクリがどうとか言ってた気がする。
(……人生で最大のピンチ?)
『かもねー』
 白露が至極適当な相づちを入れた。
(気楽に言うんじゃない!)
『だってーあたしー、かんけいないしー?』
 羽湯にしてみれば、今回ばかりは冗談に冗談で返す余裕は――毎度のことな気も
するが――無かった。
(お、ま、え、も、な、ん、と、か、し、ろ?)
『えー、しょーがないわねー』
 かくて、一人と一匹(?)の絶望的な脱出作戦の立案が始まった。

時系列と舞台
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2010年4月。吹利市内。

解説
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続きます。どうしてこうなった。

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