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Date: Mon, 19 Apr 2010 23:32:14 +0900 (JST)
From: Subject: [KATARIBE 32349] [HA06N] 小説『バス停にて』
To: kataribe-ml@trpg.net
Message-Id: <20100419143214.230F03067E3@www.mahoroba.ne.jp>
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2010年04月19日:23時32分13秒
Sub:[HA06N]小説『バス停にて』:
From:久志
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小説『バス停にて』
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登場キャラクター
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市原千沙紀（いちはら・ちさき）
：小動物的な彼氏。
途奥彗（とおく・すい）
：小動物的な彼女。実は黒いところもある。
本文
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すっかり晴れた日曜日の朝。
バス停に書かれた時刻表と携帯の時間を確認する。
「次のバス４２分だって、あと１５分くらいだね」
「そっか、じゃあうん、少し待たないとね」
「そうだね」
中途半端に空いてしまった時間。晴れた空の下、並んでバスを待ちながら。
道を眺めながら黙ってしまった彗の姿をちらりと見て。
「……えーと」
何か話題を、と。周りを見渡しながら必死で会話のネタを探しつつ。
「もう、桜すっかり散っちゃったね」
「ホントだね……お花見、結局いけなかったし」
桜が咲いたら一緒にお花見にいこうかなどと話していながらも、何気に時間
が合わなかったり天気が悪かったりして、気づいたら近所の桜の時期は過ぎて
いて。折角の桜の季節に花見に誘い損ねた自分の不注意さに軽く自己嫌悪に陥
りながら、取り繕うように口を開く。
「うん、でもほら、春日さんとかはまだ遅咲きの桜が結構あるってクラスの子
が言ってたし」
「そうか、春日さんなら」
「八重桜もまだまだ咲いてるっていうし、他にツツジとか色んなお花もあるっ
て言うから今度春日さんに行ってみようよ」
「じゃあお弁当作っていかないとね」
「うん、楽しみ」
ふと、また会話が途切れる。
また黙ってしまった彗が退屈しないように、と。
必死にあれこれ頭の引き出しから話題になりそうな事柄を引っ張り出す。
「そうだ、あのね……彗さん。こないだ父さんと一緒にご飯食べてた時にね」
「うん」
「父さんが海外にいた時に聞いた話があって、それが……」
「へぇ」
やれ、この間父親が話してくれた異国の話どうとか。
「あとね、こないだクラスの子がPenPenで特集されてたバッグもってきてて、
それって実はすごい人気で……」
「そうなんだ」
やれ、クラスメイトが話していた流行りのバッグの話やら。
「えっと……それでね」
ひとつの話題を話しながら、次の話題をと思い返しているうちに、だんだん
頭の中がこんがらがってくる。
「えーと……」
次に何を話そうとしていたっけ、と。
軽く首をひねる。
「ねぇ、千沙紀くん」
「え？」
「そんなに無理して話さなくてもいいのに」
「……でも、彗さん。退屈かなって思って」
「そんなことないよ」
「だって」
と、ふわりと包むように手が温かくなった。
「あ」
ぎゅっと千沙紀の手を握り締めた手。
「こうして一緒に待ってるだけでも、楽しいから」
「……うん」
真っ赤になりながら、その手を握り返した。
時系列
------
四月。
解説
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rg[Hisasi]HA06lovecome: 街中で二人きり ですわ☆
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以上。
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