[KATARIBE 32296] [HA21L] 『迷宮』果ての夢

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Date: Sun, 13 Dec 2009 01:55:12 +0900 (JST)
From: Subject: [KATARIBE 32296] [HA21L] 『迷宮』果ての夢
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2009年12月13日:01時55分12秒
Sub:[HA21L]『迷宮』果ての夢:
From:Matuya


[HA21L]『迷宮』果ての夢
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登場人物
--------
クリス
  :迷宮則第三条適用済。


●遠い夢
----------- 

 薬の為か、失血か。 
 朦朧とする意識の中、何ともつかぬ夢を見た。 

 ひとり立つは無辺の広漠。
 見渡す限りの砂の海。 
 空は虚ろにただ高く、宙天にかかる巨大な太陽。 
 切れかけた電球のような光は、消え入るようにあかぐろく 
 影よこたわる丘を越えて、砂海の上をただ歩む。
 
 何もかもが乾き、崩れ、全てが過ぎ去り終わった世界。 
 薄い空気は肌を刺し、まとった襤褸はまるで頼りない。 

 昼も夜も歩きつづけて、やがて至った小さなオアシス。 
 この世に残った最後の泉。 
 水辺の傍らの黒い影が、待っていたよと薄く笑った。 


 影   :「右手はどうしてしまったね。落としてきたかい」 
 クリス :「右手は、取られてしまいました」 
 影   :「それは大変だ」 
 クリス :「ええ、大変です」 
 影   :「のわりに、何だか、嬉しそうじゃないか」 
 クリス :「そう見えますか。かもしれない。
     : あれは私にしてみれば過ぎた荷物だったのかも」 

 クリス :「――ところで、ここはどこでしょう」 
 影   :「なんだい。覚えていないのか」 

 影   :「昔、むかし、小さいころ、私と君は遇ったじゃないか」 

 影   :「ここで。水のほとりで。縁がつないだ扉の果てで」 
 クリス :「ああ――そうでしたか。確かに。
     : なにか覚えがあると思ったのです」 
 影   :「すると、君と私の約束は、忘れられてしまったかい」 
 クリス :「約束?」 
 影   :「ああ何てこと。
     : 何もかも滅ぶこんな世界で、多少とも信用なるものがあると思ったら、
     : まったく御覧のありさまだよ」 
 クリス :「……す、すみません。どうも忘れっぽいもので」 
 影   :「いいさ。いいさ。忘れたならそれで。
     : 約束は消えたわけじゃない。
     : 君がたとえ忘れようとも、いっそ忘れようとしても、
     : 約束は決して消えはしない。
     : いつか必ず君は思い出し、この約束は果たされたのだ」 

 影   :「それまで僕は待っている。
     : 果ての世に一つ残った、この泉のすぐ側で」 
 クリス :「…………? はい」 
 影   :「ところでね。君」 
 クリス :「なんでしょう」 

 影   :「分かっているかな。因果の糸は結ばれた。
     : 遠い未来に。遥かな過去に。
     : どんな刃物を以てしても、断ち切ることなどできはしない」 

 影   :「おぼえておくといい。クリス。おぼえておくといい」 

[matuya]  影のような男がにいと笑い、そこで目が覚めた。 
[matuya]  ここは研究所。
            昨夜奪われた右手はまだ熱くうずく。 

--- 

[matuya]  自分でもわかってないことを書くのは難しいな。 
[matuya]  いったいこりゃどういう意味だ。 
[Sawdead]  ご覧の有様だよで無条件に吹いてしまった自分がにくい 
[matuya]  わたしゃ勝手なことを書く自分がにくい。 
[Sawdead]  今のところただの夢なので、性的な衝動が云々とかいって
      「実はなんでもなかったぜ」にすることも 
[matuya]  それだ。 
[Sawdead]  でも小説でそんな事やられたら滂沱するw 
[Toyolina] 性的なw 



時系列と舞台
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2009年2月

次回予告
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天に消えたか、地に潜ったか。
手がかりなき捜索が焦りを呼ぶ。
この声が聞こえるならば答えてほしい。
頼るは絆、それ一筋。

次回「焦燥」
眠れぬ夜がまた一夜。
-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=
Matuya 


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