[KATARIBE 32038] [HA21L] チャットログ『ひとときの夢の中で』

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Date: Sun, 28 Dec 2008 23:12:04 +0900 (JST)
From: Subject: [KATARIBE 32038] [HA21L] チャットログ『ひとときの夢の中で』
To: kataribe-ml@trpg.net
Message-Id: <20081228141204.5690149DB02@www.mahoroba.ne.jp>
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2008年12月28日:23時12分04秒
Sub:[HA21L]チャットログ『ひとときの夢の中で』:
From:久志


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チャットログ『ひとときの夢の中で』
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登場人物
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 ウヤダ
    :吸血鬼狩りエキドナ・ファミリーの一員。過去の姿。
 マリア
    :吸血鬼狩りエキドナ・ファミリーの一員。ウヤダと親密だった。

かつての姿
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[Hisasi] #夢? 
[Hisasi] #黒髪の少女が隣に座っている 
[Hisasi] #慣れた手つきで銃の手入れをしながら、隣の少女にやり方を見せて

 ウヤダ@少年 :「マリア、しっかり覚えるんだ。いいな?」 
 マリア    :「……うん」 

[Hisasi] #心細げな声で答える 

 ウヤダ@少年 :「しっかりしろ、日頃の手入れを怠ればいざという時に
        :困るのは自分だ」 
 マリア    :「うん、わかった、ウヤダ」 

[Hisasi] #こくんと頷く、ふわりと揺れる黒い髪 

 ウヤダ@少年 :「…………」 

[Hisasi] #一瞬、なんだか奇妙な感覚を覚えた気がする 
[Hisasi] #胸の奥から響くような 

 マリア    :「ウヤダ?」 
 ウヤダ@少年 :「いや……得物の確認と手入れは、しっかり慣らせておけ、
        :いいな?」 
 マリア    :「うん」 

[Hisasi] #手渡された銃を受け取って、頷く 
[Hisasi] #小さな白い手には不似合いな 
[Hisasi] #だが、武器をとり戦わなければ生きていけない 
[Hisasi] #他に生きていく術をウヤダは知らなかった 

 ウヤダ@少年 :「……次だ、ついてこい」 
 マリア    :「あ、うん!」 

[Hisasi] #歩いていくウヤダの腕を掴む手 
[Hisasi] #ぎゅっとしがみつくように 

 ウヤダ@少年 :「…………」 

[Hisasi] #一瞬、マリアを見て目を逸らして 

 マリア    :「…………(ぎゅっと腕を抱きかかえるように)」 

[Hisasi] #どこか怯えながらも、ウヤダに縋るように 
[Hisasi] #離れるまいと、 

 ウヤダ@少年 :「……大丈夫だ」 
 マリア    :「え」 
 ウヤダ@少年 :「……俺が護る」 
 マリア    :「……うん」 

[Hisasi] #目はあわせない、そのまま引っ張るように歩いて 
[Hisasi] #よくわからない、だが、なんとなく落ち着かなかった 
[Hisasi] #レニーやイリといるときとも違う 
[Hisasi] #奇妙な感覚だった 
[Hisasi] #あれから 
[Hisasi] #時々なんとなくマリアの様子が気になった 
[Hisasi] #食事の時、戦いのとき、ふと顔を上げてマリアの姿が目に入った
[Hisasi] #戦いの後、気がつくとマリアの無事を探すことも 

 マリア    :「ウヤダ!」 
 ウヤダ@少年 :「マリア、大丈夫か?」 
 マリア    :「うん」 

[Hisasi] #戦いの日々の中、ゆっくりと話す時間も、視線を通わせることも
     殆どなく 
[Hisasi] #訓練の合間、時折口を聞くほどの、短い時間 

 マリア    :「……ねえ、ウヤダ」 
 ウヤダ@少年 :「どうした、マリア?」 

[Hisasi] #日の暮れた獣道を歩いて 
[Hisasi] #使いの帰り、二人 

 マリア    :「…………いつまで、戦わなきゃいけないのかな」 
 ウヤダ@少年 :「戦わなければ、生きていけない」 
 マリア    :「本当に?だって……」 
 ウヤダ@少年 :「俺達は、そうしなければ生きていけない、戦って敵を
        :倒す、その為に生きている」 
 マリア    :「でも!」 

[Hisasi] #使いに行った先 
[Hisasi] #そこは教会だった 

 ウヤダ@少年 :「…………」 

[Hisasi] #二人の姿を見るなり、ふくよかで優しげだった修道女は顔をしか
     めて醜いものを見るかのように手で近寄るなと手を振った 
[Hisasi] #庭では、はしゃいで追いかけあう子供達の姿、話し合う女性達、
     笑いあう農夫らの姿があったが 
[Hisasi] #ひとめ、薄汚れたファミリーの子供達をみるなり 
[Hisasi] #目を背けてひそひそとささやきあった 
[Hisasi] #血生臭い汚らわしい殺戮集団 
[Hisasi] #吸血鬼狩りとして生きる彼らに向けられる視線は冷たかった 
[Hisasi] #その手を血に汚して、命を賭けて、ボロ布に包まって眠る子供達に 
[Hisasi] #その恩恵で生きているはずの者達は、何一つ彼らに返そうとはしな
     かった、感謝の言葉すらなく、侮蔑の視線と、汚らわしいと噂する
     言葉が背中に刺さった 
[Hisasi] #それが当たり前のことだった 

 マリア    :「…………ウヤダ」 
 ウヤダ@少年 :「仕方がない」 

[Hisasi] #薄汚く汚らわしく血生臭い存在 
[Hisasi] #それは仕方のないことだ 
[Hisasi] #他に生きる道はない 

 マリア    :「……いやだよ、ウヤダ」 
 ウヤダ@少年 :「…………」 
 マリア    :「ウヤダ、逃げよう?」 
 ウヤダ@少年 :「……なに、を」 

[Hisasi] #目を見開いて 

 マリア    :「逃げようよ、ウヤダ、ファミリーにいいことなんて一つ
        :もない! 一緒に逃げよう! わたしウヤダがいれば」 
 ウヤダ@少年 :「馬鹿なことをいうな! 裏切りは死だ、許されない!」 
 マリア    :「だって……ファミリーはおかしい……狂ってるよ」 

[Hisasi] #泣きそうな声 

 ウヤダ@少年 :「……それは、出来ない……そんなことはできない。
        :レニーを置いていけない、イリを、マムを裏切るなんて
        :できない」 
 マリア    :「ウヤダ……」 
 ウヤダ@少年 :「アサドも、エドも、ロッシも……皆がいる、裏切りたく
        :ない……」 
 マリア    :「……ごめんなさい」 

[Hisasi] #きゅっと、掴んだ腕 
[Hisasi] #うつむいて 

 ウヤダ@少年 :「……辛いか?」 
 マリア    :「…………うん」 

[Hisasi] #転がるように 
[Hisasi] #抱きついてきた 

 ウヤダ@少年 :「…………」 
 マリア    :「怖いよ、ウヤダ……戦うの、怖い……苦しい」 
 ウヤダ@少年 :「…………」 
 マリア    :「ウヤダは……苦しくない?」 
 ウヤダ@少年 :「俺は、何とも思わない」 

[Hisasi] #その積もりだった 

 マリア    :「…………ウヤダ」 
 ウヤダ@少年 :「…………」 

[Hisasi] #本当は?と言いたげな目が 

 ウヤダ@少年 :「…………戻ろう、マリア。遅くなった」 
 マリア    :「……ウヤダ」 

[Hisasi] #ぎゅっと、袖をつかまれた 
[Hisasi] #見上げる黒い目 

 ウヤダ@少年 :「…………もどるぞ、マリア」 

[Hisasi] #見上げる目にちょっとたじろぎそうになりつつ 
[Hisasi] #なんかじっと見られて困りますぅ(実はヘタレなんじゃないのか
     このひと) 

 マリア    :「……」>じっと見上げたまま、手の力抜いて目閉じた
 ウヤダ@少年 :「…………」 

[Hisasi] #一瞬、固まった 
[Hisasi] #五秒程固まった後 

 ウヤダ@少年 :(半分顔ぶつけるようにキスして離れる) 
 マリア    :「ウヤダ……」 
 ウヤダ@少年 :「いくぞ」 

[Hisasi] #ぐい、と腕を引いて 

 マリア    :「……うん」 

[Hisasi] #何となく顔が見れなかった 

 ウヤダ@少年 :「…………」
        :>早足でマリアの手をぐいぐいと引いて歩いていく 

[Hisasi] #振り向けない。 

 マリア    :「…………ウヤダ」 

[Hisasi] #このひと時の後 
[Hisasi] #次の戦いで、マリアは帰らぬ人となった 
[Toyolina] #ヒ。見られてたのか 
[Hisasi] #その遺体は、まるで原型も留めぬほどに破戒され、戦いの中で散
     り散りになったという。 
[Hisasi] #……見てたのかもしれないネ、レニーのことだから、、 
[Hisasi] 久しぶりの眠りの中、懐かしい夢を見ていた。 


時系列と舞台
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 2008年12月 はるか過去の夢
解説
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 何十年ぶりの眠りの中で、懐かしい夢を見るウヤダ。
 http://kataribe.com/IRC/KA-06/2008/12/20081210.html#000000
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以上



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