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Date: Sat, 27 Dec 2008 02:56:30 +0900
From: Subject: [KATARIBE 32027] [HA06P] 凍える寮で
To: kataribe-ml <kataribe-ml@trpg.net>
Message-Id: <2f58daf20812260956j47b737b9mfbc91756b1630d91@mail.gmail.com>
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Web: http://kataribe.com/HA/06/P/
Log: http://www.trpg.net/ML/kataribe-ml/32000/32027.html
[HA06P] 凍える寮で
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登場人物
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HA06C:Blonde Green:白貝・ルーシー・菜摘(しらがい・-・なつみ)[ルの字]
[好物は魚][金髪][真・お嬢][Type.L][霞中][セレスティアル財団][クローン体]
http://kataribe.com/HA/06/C/0688/
HA06C:-Vivid Double-:波佐間壬郭(はざま・みひろ)
http://kataribe.com/HA/06/C/0550/
凍える寮で
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壬郭 :「……寒い」
自室を出て、通路を足早に進もうとして。壬郭は考え直しゆっくりと歩いた。
壬郭 :「寒いぞ金髪!」
霞中学校の学生寮は、当然男女で棟が分かれているが、それぞれを繋ぐ通路
の中間地点に、サロンを模したスペースがある。この日、急激としか言いよう
のない冷え込みのせいか、寮の空調はまともに働いていない状況だった。一向
に暖まらない自室に耐えかねてサロンにやってきたのだが、ルーシーの姿を見
るなり、八つ当たりした。
壬郭 :「酷い有様だ。エアコンがちっとも効かないじゃないか。
:どうしてくれる」
ルーシー :「私に言われても……セントラルヒーティングがきちんと
:動いてないのかしら」
壬郭 :「その金髪は飾りか……っ」
がくがく震えながら怒鳴るその姿からは、彼が学年屈指の秀才であることを
想像するのは難しかった。屋内だというのに、コートを着、マフラーまで巻いて
いるのだ。
壬郭 :(がくがくぶるぶる)
ルーシー :「どうしようもないわ。それに地毛だし……暖かい地方の
:生まれなの?」
壬郭 :「寒いのも暑いのも大嫌いなだけだ」
好き嫌いで片付ける壬郭。その傾向はルーシーにとってはかえって好ましい
ものだった。もっとも、ルーシー自身は厚手のセーターをワンピースの上から
着込んでいるだけで、平気そうにしている。
壬郭 :「お前、あんまり寒くなさそうだな」
ルーシー :「何か暖かいものでも飲もう? 取ってくるけど……本校は
:もっと寒かったから」
壬郭 :「頼む。このままじゃ凍え死ぬ……」
しばらくしてグランデサイズのマグカップを二つ手にして戻ってくる。ゆら
ゆらと湯気が立ち上る。ルーシーが持ってきたのはココアだった。
壬郭 :「ふん、悪くない趣味じゃないか」
ルーシー :「ミルクがなかったから全然甘くないけど」
壬郭 :「いい。甘すぎるのは好かない」
ふーふーとマグカップに息を吹きかけながら口にする。
壬郭 :「何事も少しビターなくらいの方が丁度いい」
ルーシー :「ありがとう。日本のココアは甘かったからそっちがいい
:のかと思ってた」
壬郭 :「確かにそうかもな。だが俺の姉のココアはこの味だ」
姉の、という言葉が少しひっかかる。母の、ではなく姉の。
ルーシー :(少し考えた)「お姉さん、年は離れてるの?」
壬郭 :「歳の離れた姉もいれば近い姉もいる。うちは母が家に
:いなかったからな。家の味といえばあいつらの味なんだ」
ルーシー :「お姉さんたちのこと、好きなのね。わたしは、兄弟居ない
:から想像するしかないけど」
兄弟でも仲が悪い人間はいるし、逆も然り。ルーシーは何気なく訊ねただけ
だったのだが、壬郭の反応は過敏と言えた。
壬郭 :「ばっ、馬鹿を言うな。別にそんなんじゃない……親代わり
:みたいなものだからな。それだけだ」
ルーシー :「? 好きじゃなくても味は好きなの?」
壬郭 :「馴染みがあるというだけだ! ──ん? お前と話して
:いたら暖かくなって来たぞ」
ルーシー :「あ、そういうこと。そうね、スペアリブでも、うちと隣
:でも味違うし──私、何もしてないけど……でも良かった」
壬郭 :「ふん、相手を怒らせることで寒さを忘れさせる。これは
:いい手かもしれないな」
ルーシー :「debateすると、カロリーを結構消費するし、理にかなっ
:てるね」
壬郭はあることに気づいたようだった。日頃平静を保っているものの、その
実内面は、激しい。そして、ルーシーと話していると、何かと怒ってしまうこ
とが多いと。たやすく内面を晒してしまっていると。
ルーシー :「……怒らせるつもり、なかったんだけどね」
壬郭 :「お前には人を怒らせる才能があるのかもな」
ルーシー :「……それは初めて言われたわ。あまりほめられてる気は
:しないんだけど?」
壬郭 :「相手を冷静でなくせばスキも作れる。重要な能力だ」
いかにして会得するかを考え始めたところで、ルーシーが口を開く。
ルーシー :「確かに……でも、ミヒロ。今回はミヒロの勝ち、って
:ことになるね。私に新しく気づかせて、その上で復活して
:みせた」
壬郭 :「はは、そういう事になるのかな?」
ルーシー :「最初に、寒い! って怒ってみせたのもテクニック?」
壬郭 :「まさか。その手には乗らないぞ金髪。お前は人を乗せる
:のがうまい」
忌憚のない感想だった。それは嫌みでもなんでもなく、本心から思った。
ルーシー :「疑り深い。でも、今度はちゃんとほめてくれてるのね。
:ありがと」
壬郭 :「俺は世辞は言わない。ただの順当な評価だ。だから礼を
:言われるいわれもないよ」
ルーシー :「私は、なんでも都合良く受け取るようにしてるけど……
:覚えておくね。ミヒロは、お世辞は言わない」
壬郭 :「変わった奴だ」<なんでも都合よく
ルーシー :「それもよく言われるよ」
壬郭 :「適わないな」(苦笑)
変わり者呼ばわりされることには慣れているのか、笑うルーシー。褒める意
図はなかなか含まれない言葉だが、それも都合良く受け取っている。こればか
りは苦笑するしかなかった。
時系列と舞台
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12月
解説
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ルの字さんの不思議さんっぷり。
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Toyolina
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