[KATARIBE 32021] [HA06N] 小説『万象のクリスマス』

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Date: Tue, 23 Dec 2008 23:12:54 +0900 (JST)
From: Subject: [KATARIBE 32021] [HA06N] 小説『万象のクリスマス』
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2008年12月23日:23時12分54秒
Sub:[HA06N]小説『万象のクリスマス』:
From:Tihiro


どうも、葉月知洋です。
久しぶりに流します、きっとひどい出来ですっていうかひどいです。orz
とりあえずチャレンジあるのみーということでどうか。一日前に。


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小説『万象のクリスマス』
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登場人物
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 天海万象(あまみ・ばんしょう)
  :元小市民。現小市民に毛が生えた程度の異能者。
 緑眼の少女(みどりめのしょうじょ)
  :お薬売り。
本文
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 薄暗い裏路地、世間はクリスマスと浮かれているがこんな所だとそれも遠く
の話のようである。

「スイーツ、すか?」
 そしてこんな日のそんな場所に居る青年、天海万象がはじめて聞く単語を緑
色の目をした少女に聞き返す。服装は大人が着ている品だが、顔立ちはまだ少
しばかり幼さが見える。ゆえに少女でいいのだろう、多分。
「そ、スイーツ。近頃流行ってるやつで、数年前から出てきた俗に言う水系統
の品ね」
「水系統……ってのはどういうものなんすか?」
 少しばかり目が鋭くなる。今回こんなことをしてる目的はそれについてだか
らである。

「そうね、基本的に値段はそれほど高くなく、ダイエット効果があるーとか、
願いがかなうー、とか、そんなのが付属してる。主に少年少女に人気」
 ふむ、と言いながらメモをとる万象。
 メモするのを少し待って続きを話す少女。
「んで、この水っての、詳しいところが実際不明なのよ」
「え、そんなに出回ってんのに?」
「そうそう、一般的オクスリが色々混ざってたりはするみたいだけど、水自体
はよくわかってないの」
「……なんつーか、気にしないんすかね、使用者は」
 何考えてんだろうなぁ、と溜息をつく。それに対して少女はあっさりと。
「気にしないでしょ、たとえばこの大麻、凄いメジャーでやってる人も多いけ
ど、どういう成分がどう作用するかなんて知ってるのはあんま居ないしね。内
容物気にしてんのは売る側作る側くらいなもの」
そういってポシェットから白い粉の入った袋をちらと覗かせる。
「そういわれてみれば」
でしょ、と満足げに頷く少女。

「……もっとも、大麻がメジャーって言っても、近頃そっちの方が人気でねー
、私みたいに水売ってないのは商売あがったり」
「なんで水売らないんすか?人気があるんだったらそっちにシフトすればいい
のに」
と、メモを付け足しながら片手間に訪ねる万象。
「まぁ、そこは私の上に居る人とかで色々あるのよ。水を撲滅しようとしてる
人もいるしね」
「そりゃ、大変すね」
でも、それにね、と付け足す少女
「この水って何故か都市伝説っぽいのが付いてるのよ」
「どんなのっすか?」
「やってたコが溶けたーだとか、化け物に食い殺されたー、だとか」
「……まさかそれ鵜呑みにしてんすか?」

 えー、と思いつつも、まぁあっても近頃の状況じゃ驚かないよなぁ、とか思
って聞く。それに対し、少女は少しむすっとして
「違うってば。この都市伝説、少年少女の間で回ってたのよ。一番人気が出て
るはずの所で。ホントに何もないならこんな噂は出もしないでしょ?」
「とすると?」
「ほんとに化け物が出るかはともかく、厄介事がついてる、ってのはありそう
なのよ。さっき言った撲滅しようとしてる大物も居るしね、手は出さない方が
無難無難」
「なるほど」
「それに、実際行方不明になってるのも居たりするしね」
「……なんか、本当に厄介そうすね」
「でしょー。あと、不明なモノを買い手に渡すのは嫌じゃない」
「……結構良心的なんすね」
「商売人としての意地もあるの」
 はぁ、と適当な相槌を打ちつつ、メモを書きあげる。

「よし、どうもありがとうございました」
「はいはい。……ところで、おにーさん、なんか買わない?玉とか。ハシンも
あるよ〜」
「や、それは勘弁ってことで」
「えー、私も忙しいけど折角付き合ってあげたのに」
「んじゃ、代わりにこれで一つ」
 持ってたバッグから金とダイヤのネックレスを出す万象
「……え、いいのこれ。っていうかホンモノ?」
「……多分」
「……ま、いいわ。けどニセモノだったら怒るから、あとで怖いからね」
「へーい……」

 白夜サンに貰った品の中にあった金とダイヤを解析して、安物を置換して作
った品なので質が大丈夫かは不安であるのだが。
それに本物でも自分の金儲けに作るわけじゃないしいいか、とも。

「んじゃ、ありがとうございましたー」
「はいはい、またなんかあったらどうぞー」
 受け取ったネックレスをまじまじと見ている少女に別れを告げ、今日この場
で得たちょっとした手ごたえを感じ、浮かれた世間の方へ帰っていく万象であ
った。



時系列
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 2008年12/24日、お昼。
解説
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 ちょっと冒険した万象でした。
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