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Date: Tue, 23 Dec 2008 01:02:00 +0900 (JST)
From: Subject: [KATARIBE 32015] [HA21L] チャットログ『黒髪の死神』
To: kataribe-ml@trpg.net
Message-Id: <20081222160200.884CF49DB02@www.mahoroba.ne.jp>
X-Mail-Count: 32015
Web: http://kataribe.com/HA/21/
Log: http://www.trpg.net/ML/kataribe-ml/32000/32015.html
2008年12月23日:01時01分59秒
Sub:[HA21L] チャットログ『黒髪の死神』:
From:久志
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チャットログ『黒髪の死神』
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登場人物
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ウヤダ
:腕利きのハンター、元吸血鬼狩り組織に身を置いていた。
レニー
:吸血鬼に全てを奪われた少女。ウヤダの妹のようなもの。
黒髪の死神
:ウヤダが死に瀕した時、何度となく現れる女。
死に瀕して
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[Hisasi] #遠い昔の光景。
[Hisasi] #立ち込める血の匂い、倒れた仲間、首を切られ杭を打たれた吸血鬼、
原型を留めていないグール
ウヤダ@少年 :「…………はぁ、はぁ……(斧を地面について、倒れそう
:になる体を支えながら)」
[Hisasi] #押さえた脇腹の傷は思っていたよりも深い
[Hisasi] #どくどくと、血が溢れてくるのを感じる
ウヤダ@少年 :「……っく」
[Hisasi] #地面に突き立てた斧によりかかりながら、布を裂いて腹にきつく
巻きつける
[Hisasi] #じわじわと血で赤く染まっていく
[Hisasi] #きゅっと、縛って
ウヤダ@少年 :「……はぁ」
[Hisasi] #戻らなければ
[Hisasi] #ファミリーの元へ
[Hisasi] #震える足で、手にした斧を地面について体を支えながら
ウヤダ@少年 :「…………(ぜぇはぁ)」
[Hisasi] #何故こうまでして生きている
[Hisasi] #殺して、殺して、殺して、殺して、殺して、それでも生きて
[Hisasi] #何故、自分は生きている。
ウヤダ@少年 :「…………(意識が薄れそうになるのを必死にこらえ
:ながら)」
[Hisasi] #死ねない
[Hisasi] #何のためかはわからない
[Hisasi] #死にたくないのか?
[Hisasi] #それすらもわからない
ウヤダ@少年 :「……もう、少し……」
[Hisasi] #もう少しで合流できる
[Hisasi] #もう少し
ウヤダ@少年 :「…………(かたかたと足が震えて)」
[Hisasi] #前に進みたい
[Hisasi] #だが、足は一歩も前に動いてくれない
ウヤダ@少年 :「…………あ」
[Hisasi] #膝が崩れた
[Hisasi] #そのまま手が離れ、がくりと前のめりに倒れる
ウヤダ@少年 :「…………(何かの名を呼んだ、自分でも誰の名かすら
:わからない)」
声 :「ウヤダ!」
[Hisasi] #声が聞こえる
ウヤダ@少年 :「…………(ぴくりと手が動いた)」
レニー :「ウヤダ! ウヤダ! しっかりして!イリ! 早く、
:こっち!!」
[Hisasi] #駆け寄って、倒れたウヤダをそっと膝にだきあげて
ウヤダ@少年 :「…………レ……ニー」
レニー :「だめ、死んじゃだめ……ウヤダ……ウヤダ!」
[Hisasi] #ぎゅっと抱きしめるように
ウヤダ@少年 :「…………(何かを呟こうとして)」
[Hisasi] #そのまま意識を失った
レニー :「ウヤダ!!」
[Hisasi] #悲鳴のような叫びが、やけに遠くに感じる
その腕に
--------
[Hisasi] #暗い、薄暗い世界
[Hisasi] #霧がかかった世界の中に、立っている
ウヤダ@少年 :「…………ここは」
[Hisasi] #見回す、が、誰もいない、ただ薄ら冷たい霧が立ち込めている
ウヤダ@少年 :「……どこだ?」
[Hisasi] #一歩前へとあるこうとして
[Hisasi] #目の前に誰かがいる
ウヤダ@少年 :「お前は……」
[Hisasi] #白いベールをまとった女が振り向いた
[Hisasi] #さらりと、黒い髪が零れた
黒髪の女 :「…………」
[Hisasi] #こちらを見つめてくる、黒髪に白い肌、その目は黒く底なしの闇
:のように見えて
ウヤダ@少年 :「…………誰だ」
黒髪の女 :「…………」>すっと、音もなく近づいて
[Hisasi] #両手を広げた
[Hisasi] #いらっしゃい、とでも言うように
ウヤダ@少年 :「…………っ」
[Hisasi] #不気味な女だった
[Hisasi] #だが
ウヤダ@少年 :「…………」
[Hisasi] #だが、とても懐かしいような感覚を憶えた
[Hisasi] #その腕の中に倒れこんでしまいたいような、吸い込まれるような
ウヤダ@少年 :「…………」>一歩前に踏み出して
黒髪の女 :「…………」
:>闇の向こうにある目が、じっと見つめている
[Hisasi] #その腕に、胸に、全てを任せてしまいたかった
[Hisasi] #それはとても、とても……懐かしいもののような気がした
ウヤダ@少年 :「…………(ぎゅっと、歯を食いしばった)」
[Hisasi] #違う
[Hisasi] #踏みとどまった
[Hisasi] #これは死神だ
ウヤダ@少年 :「…………消えろ」
黒髪の女 :「…………」>ただ、手を広げて待っている
[Hisasi] #こちらへいらっしゃい、と。言葉もなく告げる女の姿
ウヤダ@少年 :「…………消えろ…………俺は、行かない……」
[Hisasi] #そこに飛び込んでしまったら、きっと無限の闇に堕ちる
[Hisasi] #そう自分に言い聞かせて
ウヤダ@少年 :「…………消えろ…………」
[Hisasi] #意識が、遠のいた
目が覚めて
----------
[Hisasi] #再び目を覚ましたのは、どれくらい時間が経ったのか
ウヤダ@少年 :「…………う」
レニー :「ウヤダ!」
ウヤダ@少年 :「…………あ」
[Hisasi] #傍らで、しっかりと手を握って覗き込む顔
ウヤダ@少年 :「…………レニー」
レニー :「よかった、ウヤダ……よかった……生きてる」
[Hisasi] #涙をこぼしながら、その手に頬をすりよせて
ウヤダ@少年 :「…………俺は」
[Hisasi] #敵を殲滅し、だが攻撃を喰らって、一人生き延びて
レニー :「……生きてるよ、ウヤダ……よかった、よかった……」
ウヤダ@少年 :「……ああ……」
[Hisasi] #手に感じるレニーの頬の感触、指先をぬらす涙
ウヤダ@少年 :「……生きてる」
[Hisasi] #生きている。
[Hisasi] #死神の誘惑に勝った
ウヤダ@少年 :「…………」
[Hisasi] #あの死神はなんだったのか
[Hisasi] #だが、もう一度目を閉じて眠りについた後は
[Hisasi] #もう死神の姿は跡形もなく記憶から消えていた
[Hisasi] #その後、死に掛けるたび、生死を彷徨うたびに、黒髪の死神の姿
を見た
[Hisasi] #だが、それは目を覚ますとウヤダの記憶の中から綺麗に消え去って
[Hisasi] #その顔すらおもいだせないまま
[Hisasi] #黒髪の女、という記号だけが、いつまでもこびりついて
[Hisasi] #時折、ウヤダの心を疼かせた。
[Hisasi] 死神つーのは、まあ、ママなんですが
[Hisasi] もう顔も思い出せない
[ToyoMB] 不憫や
[Hisasi] きっとまた会える
[Hisasi] 今度こそ、その腕の中に
[Hisasi] 久志さん殺る気です
[ToyoMB] ^^
時系列と舞台
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昔々。
解説
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ウヤダ、幾度とある瀕死の夢で見た黒髪の女とは。
http://kataribe.com/IRC/HA21/2008/12/20081207.html#020000
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以上
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