[KATARIBE 32008] [HA21L] チャットログ『二人だけの結婚式』

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Date: Sun, 21 Dec 2008 18:55:47 +0900 (JST)
From: Subject: [KATARIBE 32008] [HA21L] チャットログ『二人だけの結婚式』
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2008年12月21日:18時55分46秒
Sub:[HA21L] チャットログ『二人だけの結婚式』:
From:久志


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チャットログ『二人だけの結婚式』
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登場人物
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 レニー
    :元吸血鬼狩り組織にいた少女。その心は既に壊れている。
 ウヤダ
    :元吸血鬼狩り組織にいた男。レニーとは兄妹のようなものだった。

幸せな花嫁
----------

[Hisasi] #ロストマンの手により綺麗にされた部屋で 
[Hisasi] #純白のウエディングドレス、 
[Hisasi] #花嫁のヴェールをかぶって 

 レニー    :「ねぇ、ウヤダ……綺麗?」 
 ウヤダ    :「綺麗だよ」 

[Hisasi] #くるりんと、回るレニーの姿を見て 
[Hisasi] #笑いかける、、、 

 レニー    :「ふふ、ウヤダも素敵だよ……ねぇ、とっても似あう……
        :いつもの血まみれのウヤダも素敵だけど、今のウヤダは
        :……一番素敵」 

[Hisasi] #身なりを整えて、髪を撫で付けて、タキシードを着て 

 ウヤダ    :「……レニー」 
 レニー    :「ずっと、ね。待ってんだ、この日を……」 

[Hisasi] #くるくるっと回って、ぽふんとウヤダの胸に飛び込んで 

 レニー    :「……毎日毎日毎日、血生臭くて、怯えて、苦しくて、
        :泣いていて……でも、いつか」
 ウヤダ    :「…………」>レニーの背に腕を回して 
 レニー    :「…………いつか、こんな風に、ウヤダと二人で、二人で
        :……幸せな日が来るって」 
 ウヤダ    :「……レニー」 

[sawdead] #よかったね、よかったねレニー。ママもう満足よ。 

 レニー    :「ずっと、ずっとずっと…………いつか、血の匂いなんて
        :しない、斧を振り回してまめをつぶすこともない……
        :そんな日が」 
 ウヤダ    :「……レニー、お前は……苦しかったのか?」 

[Hisasi] #抱きしめたままで 

 レニー    :「……苦しい?ううん、わたしウヤダの側に居たかった
         :……血の雨なんて平気だった、側にいられるなら……」 
 ウヤダ    :「…………」 
 レニー    :「何も怖くなかったんだよ、ウヤダがいれば……ウヤダ
        :さえいれば…………」 
 ウヤダ    :「…………」>腕に力を込めて 

[Hisasi] #引きずり込んだ自分のせいか? 
[Hisasi] #気づかなかった自分のせいか? 
[Hisasi] #彼女を拒んだ自分のせいか? 
[Hisasi] #こんな風に、壊れきってもなお、執着するほどに 

 ウヤダ    :「…………レニー」 
 レニー    :「もう、絶対離れないよね?」 

 #故     :「嘘をつくのならつき通して。彼女はあなたのたった一言
        :をずっと待っていたのだから」 

 ウヤダ    :「……レニー」 
 レニー    :「ウヤダ……」 

[Hisasi] #肩に手をおいて、かがんで 
[Hisasi] #その言葉が何の慰めになるのか、わからない 
[Hisasi] #だが、レニーにとっては、 

 ウヤダ    :「愛してる、レニー」 
 レニー    :「…………」>目を見開いて 

[Hisasi] #涙が零れた 

 レニー    :「……嬉しい」 

[Hisasi] #狂った目から、一筋の涙がこぼれた 

 ウヤダ    :「…………」 
 レニー    :「嬉しいよ、ウヤダ……ずっと……ずっと」 

[Hisasi] #ぽろぽろと、涙がこぼれた 

 ウヤダ    :「……ああ」>でも心の奥が痛んだ 

[Hisasi] #彼女の望む言葉ではあっても、それは彼女が最後の最後まで欲し
     たものではないことを 
[Hisasi] #誰よりも口にした自分自身が知っている 

 レニー    :「愛してるよ、ウヤダ。ずっとずっとずっとずっと一緒
        :だよね、誰にもわたさないよ? わたしのものだよね?」 
 ウヤダ    :「ああ、約束する……」 

[Hisasi] #そしてくっつく二人のシルエット 
[Hisasi] #レニーは、きっと幸せだった、この瞬間だけは 
[Hisasi] なんか、痛い子だったのが可哀想な子になってきた、また 
[Hisasi] それはそれでおいしいのでよし 
[sawdead] 思ったよりいい役回りがもらえてよかった…… 
[Hisasi] ロストマンぐっじょぶ 
[sawdead] この結婚式は自己満足にすぎないかもしれないけど、必要だったと
     思うのです。流れ的に。 
[Hisasi] レニー的にはとても 
[Hisasi] ウヤダにも、自分が中途半端に愛した事実を叩き返されるという
[Hisasi] 大変痛い、傷つけられていたぶられるより痛い 
[sawdead] さて、このあと銀二達が助けにきたらウヤダはどう振舞うんですか? 
[Hisasi] レニーのものとして振舞うでしょうな 
[sawdead] 守る方向で。 
[Hisasi] というか、死んだ目でかばう 
[Hisasi] あわよくば、レニーを道連れにして死のうと 
[Hisasi] 銀ちゃん、蒼助さん、察してくだしあ、、、 
[arca] #蒼助は盗み聞きしてたはずなので察している 
[sawdead] ならば安心。もう本当に退場します。 
[Hisasi] レニーもろとも銀ちゃんに串刺しされる覚悟です 
[sawdead] 約束は嘘を突き通すことですから 
[Hisasi] それでレニーが満足するなら 
[Hisasi] 銀二とキャリーを守れるなら 
[Hisasi] レニーを連れて逝こう 
[sawdead] 仮にその過程でレニーが死んでもロストマンの呪いは発動しません
[Hisasi] 最後は蒼助さんにこないだの一言を言われて 
[Hisasi] 虫の息のレニーにナイフを突き立てて「愛してるよ」と、最後の嘘
    を吐きます 
[Hisasi] それくらいはやりぬくぜ 
[sawdead] 満足。さて、こっちはこっちでナナシに殺されるか…… 


待ち望んだ日
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[Hisasi] #廃屋 
[Hisasi] #そこは小奇麗に片付いていた 
[Hisasi] #だが、ひび割れた壁に半分鉄骨の覗いた天井はそのままで 
[Hisasi] #何故か部屋の中央から吊るされた不似合いなシャンデリアが、
     不気味にあたりを照らしている。 
[Hisasi] #殺風景な廃屋の中、二人は寄り添っていた 
[Hisasi] #寂れた廃屋にまったく不自然ないでたちの 

 ウヤダ    :「…………」 
 レニー    :「…………」>座ったウヤダの膝に頭をのせて 

[Hisasi] #シルクの手袋、純白のヴェール、白い鳥のようなドレスを
     まとった少女が 
[Hisasi] #幸せそうに、手を握ったまま 
[Hisasi] #似合わないタキシード、髪を撫で付けて、タイをしめた男の膝に
     あたまをのせて 

 レニー    :「ねぇ……幸せだよ」 
 ウヤダ    :「……ああ、幸せだ」 

[Hisasi] #握り返す手 

 レニー    :「あのね、憶えてる?一度だけ……街へでたときのこと」
 ウヤダ    :「……街?」 
 レニー    :「マムの使いで、一度だけウヤダと一緒に街へでたの……
        :忘れちゃった?」 
 ウヤダ    :「……モローの使いに行った時か」 
 レニー    :「あ、憶えてたんだ……えへへ、嬉しい」 

[Hisasi] #その声はとても遠い何かを想うように 

 レニー    :「そのとき、見かけたの……ウヤダは見ていなかったけど
        :……ウヤダに手を引かれながら、見えたの……教会が」 
 ウヤダ    :「…………」 
 レニー    :「そこでね、結婚式を挙げていたの……小さな女の子達が
        :花をまいて……花嫁の手をとって……」 
 ウヤダ    :「…………」 

[Hisasi] #そんなの見てなかった、 
[Hisasi] #目の前の敵を殺すことしか、なかった 
[Hisasi] #敵を殺す、狩る、戦う、そうしなければ死ぬ 

 レニー    :「綺麗だったよ……白いドレスを着て……淡いピンクの
        :ブーケを投げて」 
 ウヤダ    :「…………レニー」 
 レニー    :「……時々夢にみたんだ」 

[Hisasi] #その目は、生きていた 
[Hisasi] #狂った目ではあったけれど 

 レニー    :「……朝殴られて起きることもなくて、銃で敵を撃たなく
        :てもよくて、血まみれの手を擦って洗わなくてもよくて、
        :斧で頭を割らなくてもよくて、カビの生えてない白パンと
        :甘いお菓子があって、穴の開いてない虫の湧いていない
        :暖かい毛布があって、もちろんウヤダが側にいて」 
 ウヤダ    :「………………」 
 レニー    :「……そんな日が」 
 ウヤダ    :「…………」>ぎゅっと、レニーを抱きしめた

[Hisasi] #言葉にできなかった 

 レニー    :「そんな日が、いつか……くればいいって」 
 ウヤダ    : 
 ウヤダ    :「…………レニー」 

[Hisasi] #そんな日は来なかった 

 レニー    :「ねぇ、幸せだよね?」 
 ウヤダ    :「……ああ、幸せだ」 

[Hisasi] #こんなにまで壊れてしまった妹に 
[Hisasi] #何も出来なかった、何も返さなかったのは 

 ウヤダ    :「……だから、一緒にいよう」 

[Hisasi] #せめて、共に 

 ウヤダ    :「最期まで……」 
 レニー    :「……嬉しいよ、ウヤダ」>その胸に擦り寄るように
 ウヤダ    :「…………」 

[Hisasi] #恐らく、だが、もう先は無い 
[Hisasi] #銀二は、蒼助は、決してレニーを許さないだろう 
[Hisasi] #生きたとして、モローに改造されつくしたこの体も、精神も、
     もう持たない 
[Hisasi] #レニーの為に、最後にできることは 
[Hisasi] #せめて一緒に死んでやることくらいだろうか 
[Hisasi] #例え偽りの言葉でも 

 ウヤダ    :「愛してるよ、レニー」 
 レニー    :「うん! 愛してる! ウヤダ!」
 ウヤダ    :「…………」 

[Hisasi] #言葉もなく 
[Hisasi] #嬉しそうに擦り寄るレニーの頭を撫でた 
[Hisasi] #ずっと 
[Hisasi] 覚悟完了 
[Hisasi] 銀ちゃん、ごめん。ウヤダはレニーの側につくよ。 


時系列と舞台
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 2008年11月末
解説
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 ロストマンの綴る物語の終演、ささやかな二人だけの結婚式。
 http://kataribe.com/IRC/HA21/2008/11/20081130.html#010000
 http://kataribe.com/IRC/HA06-02/2008/11/20081130.html#170000
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以上



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