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Date: Sat, 29 Nov 2008 14:50:33 +0900 (JST)
From: Subject: [KATARIBE 31954] [HA21L] チャットログ『死神のけじめ』
To: kataribe-ml@trpg.net
Message-Id: <20081129055033.1AAFD49DB02@www.mahoroba.ne.jp>
X-Mail-Count: 31954
Web: http://kataribe.com/HA/21/
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2008年11月29日:14時50分32秒
Sub:[HA21L]チャットログ『死神のけじめ』:
From:久志
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チャットログ『死神のけじめ』
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登場人物
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ウヤダ
:腕利きのハンター、元吸血鬼狩り組織に身を置いていた。
フィクサー
:”水”関連の仕事を主に仲介する口入屋。
報告
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[Hisasi] #夜
[Hisasi] #ひとりの男が歩いている
[Hisasi] #そのまま、ある雑居ビルへと
[Hisasi] #ある一室
[Hisasi] #落ち着いた色合いに品のいい調度品
[Hisasi] #奥のデスクに座った金髪の男
フィクサー :「……入れ、死神」
[Hisasi] #一瞬置いて
SE :ギィ
ウヤダ :「…………」
フィクサー :「適当に座れ、これまでの報告とそのまとめは既に確認済
:みだ」
ウヤダ :「ああ」
[Hisasi] #かつ、と。
[Hisasi] #絨毯を踏みしめて
[Hisasi] #ソファに座る
フィクサー :「…………」
ウヤダ :「……問わないのか?」
フィクサー :「問うたらお前は答えるのか?」
ウヤダ :「…………」
フィクサー :「今までの仕事は全てこちらの望みどおりにこなした、
:その腕は信頼に値した」
ウヤダ :「……打ち切ったものはできうる限りの結果はまとめた、
:違約金が必要なものは用意する、金魚が追ってる件につい
:ては指示で情報収集のみで続ける……報告は直接こちらに
:まわすようにした」
フィクサー :「…………わかった、違約金の件は発生しない、当初の
:契約通りの調査レベルでの結果は取れている」
ウヤダ :「そうか」
フィクサー :「…………」
ウヤダ :「……今は、アンタの望む腕を俺は出せない」
フィクサー :「……何故と、私が問うてもいいのか?」
ウヤダ :「問題は俺にある」
フィクサー :「…………」
[Hisasi] #義眼からはその顔がどんな表情を浮かべているか、見ることは
できない
フィクサー :「ああ、違うな」
ウヤダ :「何がだ?」
フィクサー :「今までの死神然としたお前とは、違う」
ウヤダ :「…………」
[Hisasi] #言い返せない、それが何故言い返せないのかもわからない。
ウヤダ :「それを見極めたい」
フィクサー :「…………それまでは、こちらの仕事は全て凍結すると」
ウヤダ :「そうだ」
フィクサー :「正直、お前ほどの腕前の者が手を引くのは非常に困る」
ウヤダ :「……ああ」
フィクサー :「また仕事に復帰する目算は?」
ウヤダ :「見極めることができたら、また」
フィクサー :「わかった」
ウヤダ :「ああ、それまでは」
[Hisasi] #なんかちょっと仕事人として後味の悪い幕引きだとは思っている
ウヤダ :「フィクサー」
フィクサー :「なんだ」
ウヤダ :「もうひとつ、わかったことがある」
ウヤダ :「今日はその報告にきた」
[Hisasi] #仕事顔で
フィクサー :「聞こう」
[Hisasi] #ばさっと硝子テーブルに置かれる紙束
ウヤダ :「『黒狗』の正体だ」
フィクサー :「…………結果が出たか」
ウヤダ :「この狗の元となったもの……旧日本陸軍に極秘に存在し
:た獣人特殊部隊の一人、二十四号『レ・二十四番 黒狼号』」
フィクサー :「旧陸軍の負の遺産が、何故に……」
ウヤダ :「本体は死亡、その遺体は生体資料として保管されていた
:らしい……が」
フィクサー :「何らかの形で、水に汚染した、と」
ウヤダ :「ああ、そして他の水の異形と違う理由」
[Hisasi] #硝子テーブルに置かれた紙を取り上げて
ウヤダ :「獣人特殊部隊を作り上げた者の一人、大上孝二郎……
:その男が残した文書がこれだ」
フィクサー :「ほう」
ウヤダ :「写しだが、これに獣人一族の発見から調査、そして特殊
:部隊編成に到るまでの詳細が記されている」
[Hisasi] #いつの間にか橋本さんちに忍んでこぴーとってきました
フィクサー :「これは、あの黒狗が汚染されきらない理由と?」
ウヤダ :「あるようだな、この一族……獣人、俺の調べからわかっ
:たのは、彼らはかつての古代文明の生きた遺物の一つ、
:である、と」
フィクサー :「…………古代文明」
ウヤダ :「アンタの想像したとおりのものならば、汚染されない
:理由も伺える」
フィクサー :「なるほど、水に汚染されない理由は……水に対抗する為
:に作られた兵器であったから、と」
ウヤダ :「再び生命を与えたのは水だろう、だが完全に意識全てを
:水に奪われているわけではない、背後で操る者に『使役』
:されている」
フィクサー :「使役する者を突き止め、このつながりを断ち切れば」
ウヤダ :「支配から解かれれば、それは獣」
フィクサー :「……わかった、よく調べてくれた。今後同じものを作り
:出される恐れは?」
ウヤダ :「それはない。これは獣人でも、大上による改造を行われ
:た特殊な一例だ」
ウヤダ :「同じ種族の獣人をつかったところで同等のものを作り出
:せない」
フィクサー :「断言できるか」
ウヤダ :「ああ、純血を護り隠遁して生きていた頃と違い、人の世
:に混じった者達は劣化が激しい。改造を考慮したとてあれ
:以上の力を発揮できるものは少ない」
フィクサー :「……こちらの戦力にもならぬ、か」
ウヤダ :「ああ、廃棄されたものの生き残りに過ぎない。獣人部隊
:として目をつけられたのも、奇跡的な偶然に過ぎない」
フィクサー :「そうか」
ウヤダ :「決定的なものではないが、あの黒狗に対処する為には
:多少なりとも使えるだろう」
フィクサー :「わかった」
[Hisasi] #とん、と。紙をまとめて
フィクサー :「これが最後のケジメか」
ウヤダ :「…………」
フィクサー :「ご苦労だった」
ウヤダ :「…………ああ」
[Hisasi] #しばし、沈黙
ウヤダ :「フィクサー」
フィクサー :「なんだ」
ウヤダ :「あんたが、何故義眼をはめてまで、あんたを地獄に突き
:落とした『水』を追うのか、少しだけ理解した気がする」
フィクサー :「…………」
ウヤダ :「それだけだ」
[Hisasi] #かつ、と
[Hisasi] #ソファを立って
[Hisasi] #背を向けて出て行く
フィクサー :「変わったな、死神」
[Hisasi] #ぼそり、と
時系列と舞台
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2008年10月
解説
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http://kataribe.com/IRC/KA-06/2008/11/20081108.html#230000
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以上
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