[KATARIBE 31909] 小説『白い揺り篭』

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Date: Tue, 11 Nov 2008 00:46:22 +0900
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小説『白い揺り篭』
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登場人物
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 テトラ:心臓がなんかすごい。
 ジィ:やたらに丈夫。鳥肌を超えた棘肌。
 ヘキサ:身体が速度にあわせて変態する変態。

本文
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 ある朝テトラが目を覚ますと真っ白な天井に汚らしく血がこびり付いていた。
 何事かと起き上がると床や壁は血の海。あちこちに指先やらわき腹の肉やら
が投げ出してあって、なんというかだらしない。

「てんめぇ、よくも風呂場で俺の裸ジロジロながめやがったな。このホモ野
郎!」
「見られたくないのなら隠しておけ、そもそも筋肉に埋もれてキミの粗末なモ
ノなど見えなかったがね……」

 品のない怒号を上げたのがジィ、品のない呟きで返したのがヘキサ。展開の
わかりやすい応酬をありがとうと感謝。二人ともテトラの兄弟だがいつもこう
して喧嘩をしている。きっと仲がいいのだろうとテトラは思う。そして自分は
そんな仲良しさん達の邪魔をしたくないのでiPodの再生ボタンを押して無関心
を決め込んだ。
 スーパーカーのベスト盤を聞きながらテトラはそんな彼ら言うところの「決
闘」を眺める。
 真っ白な壁を背景に、音楽に合わせて二人の男が舞う。
 ジィの下腕が10倍位に膨張してヘキサに振り下ろされ、さらに肌からサボテ
ンのように無数の突起物が飛び出す。その重い一撃をなんなくかわし、ヘキサ
はしなるような、回し蹴りをくるくると連続で浴びせる。いや、実際に足の先
は刃となってしなっていた。
 景気よくジィの肉片が宙を舞うがすぐさま再生を開始。なるほど、先ほどか
らダメージを一方的にくらって体の破片や血を撒き散らしているのはジィばか
りのようだ。
 どうでもいいが二人とも腰にタオル一枚巻いてるだけじゃないか。そんな格
好で飛んだり跳ねたりしないで欲しいとテトラは思う。テトラは分類で言えば
女で、舞い踊る二人は男なのだ。こういう時は悲鳴をあげるのが外での定番だ
と話好きの女性職員が教えてくれた。テトラは悲鳴の上げ方など知らなかった
けれど。
 というかよく考えたらなんで人の部屋でこいつらはじゃれあっているのか、
テトラはむしろそっちが頭にきはじめた。ああ、そんなに足を上げたら見える。
見えた。

「ぶらぶらさせないで気持ち悪い」
「きかねぇっ、きかねぇぞ! ぬぅっ! ふごはぁっ!」
「やれやれ……大概にしろよ。しまいには貴様のその粗末なもの刻むぞ。刻ん
で僕のコレクションにくわえて色んなことをしてやるぞ」

 テトラの怒りのこもった呟きは男達の奇声と呻きに掻き消される。
 ──実力行使でわからせよう。テトラはベッドの下にしまっておいた刃渡り
80cmはあろうかという大剣、外科医ヨハンを抜いた。そしてiPodを操作してメ
ローな曲調から一転ハードなテンションのモノに変える。
 テトラはその時聞いている曲の影響を普通よりちょっぴり受けやすい体質で
あり、リズムに感応して共に心臓が高速で胎動。腕が超音波振動で目に見えな
いほど細かくゆらぎ始める。調律の済んだ剣はその振動を正確に受け止め、鋼
でもバターのようにスライスできる凶器へと変わる。

 ここはキンダガーデン。9人の怪物たちを育む白くて清潔なゆりかご。

解説
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 自己満過去話。

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