[KATARIBE 31829] [HA06L] チャットログ『仙刃森の古狐』

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Date: Sat, 18 Oct 2008 22:20:14 +0900 (JST)
From: Subject: [KATARIBE 31829] [HA06L] チャットログ『仙刃森の古狐』
To: kataribe-ml@trpg.net
Message-Id: <20081018132014.6653C49DB02@www.mahoroba.ne.jp>
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2008年10月18日:22時20分14秒
Sub:[HA06L]チャットログ『仙刃森の古狐』:
From:久志


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チャットログ『仙刃森の古狐』
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登場人物
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 古狐  :仙刃の森の大将、五十年以上生きた半ば妖怪になりかけの狐。
 若いの :現場で働いていた青年、いい奴らしい。
 狐爺  :あやかし狐軍団のエライやつ、何年生きてるんでしょう。

始まり
------

 昔、吹利県、喜由川を望む小高い丘に仙刃森という森があった。
 この森は昔から、吹利の狐達の棲み処で、下手に踏み入ろうとした者は狐達
に化かされてとの、もっぱらの噂だったそうな。

[Hisasi] #昔、吹利県のとある森 
[Hisasi] #あちこちで唸るような音を立てて 

 SE     :がりがりがりがり 

[Hisasi] #ぎぎぎばたーんと 
[Hisasi] #木が倒されていく 
[Hisasi] #その後方に流れていた河川も掘り返され、もはや見る影もなく 

 声      :「おーい、そっち急げよー」 

[Hisasi] #重機が川を埋めて 
[Hisasi] #木を切り倒して 
[Hisasi] #がりがりと森のあった丘を削り落としていく 
[Hisasi] #その奥で 

 古狐     :「…………」 

[Hisasi] #一匹の狐が、ぎらりと目の奥に怒りを燃やして 
[Hisasi] #睨みつけていた 

 狐@若    :『……行かんのか?』 
 古狐     :『…………いけぬ』 
 狐@小娘   :『ダメよ、死んでしまう』 
 古狐     :『…………わかっている』 
 狐@若    :『どうしようもない、もう喜由のヌシさまのおらなんだ』 
 古狐     :『どうして立ち去れようか』 
 狐@若    :『ワシらもあきらめたくはない、だが』 

[Hisasi] #見上げる 
[Hisasi] #もう森の半分以上が削られて、もう明日には全部なくなっちゃうぜ 

 古狐     :『……仙刃の森は……もう終いだ』 
 狐@若    :『…………』
 狐@小娘   :『……いきましょう』 
 狐@若    :『…………ああ』 

[Hisasi] #小娘狐と若狐は何度も古狐を振り返りながら、 
[Hisasi] #その場から立ち去っていった 

 古狐     :『……ヒトが、何様のつもりか』 

[Hisasi] #すっくと立って 
[Hisasi] #駆ける。 
[Hisasi] #その頃 

 おっさん   :「よし、運べ」 
 運ちゃん   :「おす」 

[Hisasi] #がーっと、切った木を運び出しつつ 

 若いの    :「後もう少し、っすか」 
 おっさん   :「そうだなぁ……予定から大分遅れてるからなあ、できる
        :ところまでやるぞ」 

[Hisasi] #轟音を立てて土を削る重機、 
[Hisasi] #ガリガリと仕事をしつつ 
[Hisasi] #そろそろ最後かなーとか思っていた頃に 

 おっさん   :「よし、最後だ」 
 若いの    :「はい」 

[Hisasi] #ごごごごごと移動する重機の前に 

 SE     :ぴょいん 

[Hisasi] #何かが飛び出してきた 
[kisi_afk] #うお、なんか重い話が。 

 若いの    :「……あ」 

[Hisasi] #すたん、と。その前に飛び出してにらみつけたのは 

 古狐     :『…………』 

[Hisasi] #ぎっと、睨みつけて 

 若いの    :「あ……あぶない!」 
 おっさん   :「お、おい!」 
 運ちゃん   :「な、なんだ!死ぬ気か!」 

[Hisasi] #甲高いブレーキ音 
[Hisasi] #何かがぶつかるような音 

 若いの    :「止まれ!今!」 

[Hisasi] #駆け寄った若いのが 

 若いの    :「生きてるか!おい!」 

[Hisasi] #見た先 
[Hisasi] #よぼよぼの小さな体を丸めて 

 古狐     :『…………』 

[Hisasi] #ぐったりとした古狐 

 若いの    :「おい……ああ、生きてる……」 

[Hisasi] #ひょいと、両手で抱えあげて 
[kisi_afk] #正秋が飛び出したくなるような話だなぁ…… 

 若いの    :「あの、まだ生きてます……こいつ……ちょっと、医者に
        :つれてきます!」 
 おっさん   :「おいおい、まだ作業は……」 
 若いの    :「すぐ戻りますから!」 

[Hisasi] #ぐったりとした狐を上着でくるんで 

 若いの    :「死ぬなよ……ごめんな」 

[Hisasi] #駆ける 


爺
--

[Hisasi] #そこに 

 ??     :「……そいつをどこへ連れてくのかな」 
 若いの    :「え?」 

[Hisasi] #顔を上げた先になんか行者っぽいのがいた 

 ??     :「……それは、死んでヒトに祟る積もりで飛び出した……
        :それを何故助ける?」 
 若いの    :「だって…………助けたいじゃないっすか……」 
 ??     :「ヒトの恨みを忘れんよ?」 
 若いの    :「……わかってますよ、ヒドイことしてるって……でも」
 ??     :「ふむ、そやつを助けたいか」 
 若いの    :「助かるのか?」 
 ??     :「なに、ワシらの眷属じゃ」 
 若いの    :「…………え?」 
 ??     :「ワシらが預かろう、同胞が……祟り神になるのは……
        :やはり心辛い」 
 若いの    :「!?」 

[Hisasi] #抱きかかえた狐がふわりと浮いた 
[Hisasi] #そのままふわふわと、??の元に飛んでゆき 

 古狐     :『…………ぐ』 
 ??     :「ヒトが憎いか?……だが……お前は祟り神にはさせぬよ」 

[Hisasi] #伸ばした手の上で 

 古狐     :『……ぐ……が……』 

[Hisasi] #光に包まれて 
[Hisasi] #古狐の姿が消える 

 若いの    :「……きえ、た?」 
 ??     :「いや……生まれ変わるのじゃよ」 

[Hisasi] #ふわふわと光に包まれた古狐が 
[Hisasi] #だんだん光が薄れて 

 若いの    :「!?」 

[Hisasi] #そこには耳と尻尾のついた白い着物の幼い子 

 狐爺     :「……おいで、同胞」 

[Hisasi] #狐耳の生えたジジイ 
[CorDeath] #仙君誕生秘話ですか? 

 狐耳っこ   :「きゅ」 
 狐爺     :「おうおう、良い子じゃ」 
 若いの    :「…………ば、化け狐?」 
 狐爺     :「そういう者もおるなあ」 
 若いの    :「……あんた、一体」 
 狐爺     :「さあのう、だが、ヒトも悪いものでもないのう」

[Hisasi] #狐耳っこを抱えたまま、ひょんと飛び上がる 

 狐爺     :「もうあわぬとも思うが……礼を言おう」 
 若いの    :「…………(ぽかーんと見上げてる)」 

[Hisasi] #そのままひょん、と。 
[Hisasi] #爺が消えた 


その名は
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[Hisasi] #そして 

 狐爺     :「おお、よしよし」 
 狐耳っこ   :「ふぁー」 
 狐爺     :「仙刃森の古狐よ、おぬしは今日から『仙』じゃ」
 仙      :「にゃー」 
 狐爺     :「うむ、いずれ……ヒトへの恨みも薄れよう」 
 狐爺     :「捨てたものでもあるまいよ」 

[Hisasi] #仙の誕生秘話でした 
[CorDeath] お〜 
[kisito] さて。 
[Hisasi] #意外とシリアスだったようだ 


それからどうよ
--------------

[CorDeath] 薄れるどころか、キレイサッパリわすれてそうだw>ヒトへの恨み 
[kisito] 恨みだけ思い出して暴れられても困りますがw 
[kisito] ……余計な事は言わない方が良いかもしれんwまぁひさにゃーは
    その気になったら俺の想像なんて軽く超えていくけどw 

 仙      :「いい話ですねー(ぷりんほおばりつつ)」 

[kisito] #ずべっ 
[Hisasi] #おめーのことだよ 
[arca] #それで良いよ仙(ぉ 

 仙      :「いいひとっているんですねー」
        :>自分のこととはおもってもいないヨ 


時系列と舞台
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 1998年ぐらいのお話。
解説
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 喜由川工事、吹利のある森が消えた。そこに住んでいた一匹の狐の話。
 稲荷仙の誕生秘話。今じゃすっかりゆるキャラです。
 http://kataribe.com/IRC/HA06-01/2008/10/20081018.html#010000
-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-= 
以上



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