[KATARIBE 31376] [HA06N] 小説『県警のタバコの煙・3』

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Date: Sun, 30 Sep 2007 23:11:33 +0900 (JST)
From: Subject: [KATARIBE 31376] [HA06N] 小説『県警のタバコの煙・3』
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2007年09月30日:23時11分32秒
Sub:[HA06N]小説『県警のタバコの煙・3』:
From:いー・あーる


てなわけで、いー・あーるです。
なんかこう……どうしてこうもさいげんなくだらだらのびるんだよっ
てなわけで、県警の話。これで最後です。

********************************
小説『県警のタバコの煙・3』
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登場人物
--------
 相羽真帆(あいば・まほ)
     :自称小市民。多少毒舌。10月に入籍。 
 相羽尚吾(あいば・しょうご)
     :吹利県警刑事課巡査。真帆にはめっさ甘い。
 香庭 愛(かにわ・あい)
     :或る事件の被害者。
 縹 (はなだ)
     :小さな雨竜。一応女の子。相羽家の娘。

本文
----


 二人して、話した。

「ほら、好きなもの頼んじゃって。パフェでもケーキでも」 
「あ……えっと、じゃあ、このバナナショコラパフェでっ」 
「はい……じゃ、すみませーん……ええと、バナナショコラパフェと、チョコ
パフェ一つずつで御願いします」

 茶色に染まった髪。人工的に厚みと長さを加えた睫。メニューを受け取って
目当てのパフェを示す指の先の、淡いピンク色の爪と、そこにはめ込まれた小
さな幾つもの花。

「……あの?」
「うん、その爪……全部本物じゃないよね?」
「まさか」
 彼女はぷっと吹き出した。
「これ、付けてあるんです。その上にこうやって色々色塗って」
「あ、なーるほど」
「こんなのじゃなくて、凄いのもあるんですよ。えっとね、クワガタの絵がつ
いてるのとか、十本揃って風景とか宇宙とか」
「…………うわー」

 やってきたパフェを食べながら、二人で話した。友達とうろついていた時に
豆柴君に出会ったこと。若くて可愛かったから最初はからかったりしてたけど、
でも相手がとても真剣で、本当に自分達のことを心配してくれているのが痛い
ほど判ったこと。
「……若いっても……うん、まあ若いけど、もうすぐ2児のお父さんなんだよ」
「えええっ?!」
「っても、双子の、だけどね。まだ子供さん居ないよ」
「え、いや、それでもっ」
「……幾つくらいって思ってたの?」
「幾つっていうより……独身かと思ってた」

 ある意味容赦ないお言葉である。

「でも、お母さんに伝えようとは思わなかったの?」
「……お母さんは」
 ふうっと目が曇った。
「お母さんは、忙しいから」
 諦め切った声だった。

 ぽつり、ぽつり、と、聞いた。
 念願の一軒家を買った後、両親が仕事に熱中し……そしてそのまますっかり
二人して仕事に熱中している、ということ。
「忙しいことは知ってるけど、でも……仕事だからで全部終わらせるの。いつ
でも、それだけで……」
 いつもいつもさみしい、と言った。
 友達と話していても、皆でつるんでいても、いつも淡い影がかかるように、
さみしかった……と。

「……それで、バンドやってるっていう彼氏の子が……」 
「うん」
 長いパフェのスプーンでクリームをすくいながら、話を聞く。同じように寂
しい友達のこと。その彼氏のこと。
「……変な薬を売ってる人とつき合いがあって……」 
「変な薬?」
 うん、と、彼女は頷いた。
「……やめたほうがいいって、何度もいったんだけど……でも」 
「うん……」 
「でも、あの子、中学の時からダチで……ほっとけなくて」 

 アイスをすくう手が止まっている。
 ほっとけなくて……そして。
 細いスプーンの先が、細かく震えている。

 だから。

 手を伸ばして、ぽんぽん、と、頭を撫でてみる。
 あ、と、小さく呟いて、愛ちゃんは顔をあげた。目を丸くしてこちらを見る
顔が、ひどく無防備で。

 だから。

「お友達思いの、証拠じゃない」
 そうやって、付き合って。
 彼女だけはその友達を一人にしなかった。
 彼女の死の様を、無論彼女は語らない。あたしも聞かない。けれどもそれで
も、彼女達が最後まで一緒にいたことは確かだから。

「……いいこだなあ」 
 ぽんぽん、と、撫でる手の下で、髪の毛はさらさらと細くて柔らかかった。
 ほんのりと手の中に熱が残るような、そんなやさしい感触があった。
「……うぅ」 
 かすれるような、うめくような小さな声。
 大きく見開いた目に、一杯に涙が溜まって、そのまま零れた。
「えらかったね」
「…………うぁあ……」
 大きく息を吐くような声。
 そして彼女は、本式に泣き出した。

 ひとしきり泣いた彼女と手を繋いで、家に帰った。
「インスタントだけど、アイスコーヒー飲む?」
「あ、はい……」
「ちょっと待っててね……あ、そっちに座ってて」
 座り込んだ彼女をおいて、とりあえず台所でコーヒーを用意している、と。
「きゃっ」
「え?……って……こらっ」
「きゅ?」
 薄青い身体に、ぽやぽやの長いたてがみ。
 愛ちゃんとこちらを、きょときょとと見上げる大きな目。
「……寝てなさいって言ったでしょ」
「きゅ、きゅうーっ」
 ちたちたぱたぱた。
 足をぱたぱたしながら、縹……そう、大概忘れてるけどこの子は立派な竜な
のだ……が抗議してきた。


「きゅ、きゅううっ!」
「だーかーら」
 コーヒーを互いに飲んで、時間も時間だし寝よう、となったところで。
「おねーさんはね、ねむいから寝るの。あなたと遊ぶわけじゃないの」
「きゅ!」
 最初は驚いたようだったけど、愛ちゃんは割に早く縹に馴染んだ。可愛いで
すね、トカゲですか?と訊かれて、縹がぷんすかしてたけれども。
『竜なの。その子』
『え……竜?!』
 うんうん、と、腕の中で得意げに頷いている縹を眺めて、暫く愛ちゃんは考
え込んでいるようだったけど。
『……あ、でもなら判ります。この子、あたし達の言葉を完全に判ってますよ
ね』
『きゅうっ』
 そうなのそうなの、と、頷いた縹は、それからぺったりと愛ちゃんにくっつ
いた。彼女にしても、慣れてしまえば縹は可愛かったらしくて、ぽわぽわのた
てがみを指で梳いては笑っていた。

 ……のは、判るんだけど。

「きゅう!」
「…………あんたね」
 以前使っていたベッドに愛ちゃんを案内したまではよかったのだが。
 そこにどうして君が……愛ちゃんの腕にダッコちゃん人形状態でくっついて
くるのだろうか?
「おねーさんが寝るの、邪魔でしょ」
「きゅううっ!!」
 ぶんぶん、と、首を横に振るのを、彼女もちょっと困った顔で眺めてたけど。
「あの……いいですよ」
「え」
「ね、一緒に寝ようね、は……はなだ、ちゃんでしたっけ?」
「うん。でも……いいの?邪魔じゃない?」
「はい。あ、でも……潰しちゃったりしないかな」
「しないしない。だいじょぶだいじょぶ」
「きゅきゅ!」
 どっちかというとこの子がころころして、彼女の顔を踏んづけたりしないか、
のほうが心配なんだけど。
「じゃあ……宜しく」
「はい」
「きゅっ」
「……こら。あんたがいばるな」
「……きゅぅ」
 くすくす笑う愛ちゃんに、寝巻きを貸して、その場を離れた、けど。

 扉を閉じて、考えてみる。
 竜。小さくても何でも、彼女は所謂霊獣なわけで。
 そう考えると……愛ちゃんにくっついていたのは、その痛みを和らげるとか、
そういう心も自然にあったのかな、と。
 ……そう考えると、浅慮だな自分って。

           **

 翌日、朝。
 あれきり尚吾さんは帰ってこない。
「おはようございます」
「あ、おはよう……朝、ご飯で大丈夫?」
「え、はい!」
 彼女が顔を洗っている間に用意する。
 目玉焼きと、わかめと豆腐のお味噌汁。塩鮭に胡瓜の浅漬け。
 食卓に並べて、そしてテレビをつける。
 と。

「あ、ほらほら、ニュースになってる」
「…………あ」 

 顔をタオルで拭いていた彼女が、その動きを止める。
 見たことのある、店の並び。
 濃い紺の服を着た人々。
 
「……」
 彼女は黙って、テレビを見ている。化粧っけの無い、歳相応の、どこかしら
あどけない顔のまま。
 少しほっとしたような……でも同時に、悲しいような顔で。
「ここまで来たら、必ず見つけてくれるよ。あの人達なら」 
「はい……」
 頷いた彼女は、ちょっと首を傾げた。
「……あのー、あの刑事さんって、旦那様なんですか?」 
 …………そういえば。
「あ……えとあの……うん」 
 え、でもでも、旦那さんってわかることしてないというか、そんなにぺたぺ
たもしてない……いやあれだ、あと頼むねって言われたからそう思ったんだ、
うん大丈夫だ(って何を一人で納得しているんだろう、自分……)。

「……おねえさんの旦那さんなら、きっと……」 
「うん、すっごく優秀な刑事さんだから」 
 絶対見つけてくれる。あの人なら。
 って……いや、思った、んだけど。
「……はい」 
 くすっと笑われてしまいました。
 …………ええと。
「えっとだからね、安心して、ご飯食べて?」
「……はい」 

 そして、何となく、テレビはつけっぱなしで。
 朝になって起きてきたベタ達に、また愛ちゃんはひとしきり驚いて……でも
嬉しそうに遊んでやってくれてて。
 お茶を飲んだり、小さい面々と一緒に金平糖を食べたり。
 こちらも洗濯したり何だり、ばたばたしてた、んだけど。

「お昼、そうめんでいいかな?」
「え、あ、はい」
 じゃあ付け合せは天ぷらかな、今ならゴーヤとかでもいいな、と、冷蔵庫を
見ていた時に。

「きゅー……きゅ?」 
「……あ」 

 その声は小さかったけど、ただ事ではなかったから。
 慌てて、冷蔵庫を閉めてテレビのほうにゆく、と。

『ただいま、緊急ニュースが入りました。吹利県、○○にて行方不明になって
いた女子高校生の、遺体が発見されました』

 確かに緊急なんだろう。紙を見ながら、地名を丁寧になぞるアナウンサー。

 三人の遺体。うち二人は女性、一人は男性。
 名前で判る。一人は愛ちゃん。一人は友達、そして男性は……友達の彼氏。

『警察は……………香庭愛さんと断定、現在……』

「…………よかった」
 安堵した声と、ふわっと笑う横顔。
「……愛ちゃん……」 
 その笑顔が、一瞬ふうっと薄らいだ。
「……あ」 
 思わず伸ばした手の先で、彼女はこちらを振り向いた。
 やっぱりふんわりと、安心した顔をしてた。

 あたしを見つけて下さい、と、彼女は言った。
 だから……そういうこと、なのだろう。

「……真帆さん……旦那様に、お礼を……伝えてください」
 すっきりとした、化粧なんてしなくたって充分可愛らしい顔。そうっと膝か
ら縹を下ろし、頭を撫でてやりながら、彼女は少し照れたように言った。
「ありがとう……って」 
「……うん」 
 伸ばした手を、彼女の手がふわり、と包んでくれる。
 その細い手も一緒に、ゆっくりと彼女は薄れてゆく。
「良かったね。お友達も皆見つかってよかったね」 
「はい……それと」
 ふっと、一度言葉が途切れた。
「……あのおまわりさんにも」 
 
 涙が、こぼれるかと思った。
 おかあさんに、じゃなくて、おとうさんに、じゃなくて……あのおまわりさ
んに、と愛ちゃんは言う。そりゃあたしは彼の知り合いだし、それだから、と
も思うけど。
 でも。
 たった一度、確かに親身になってくれたとはいえ、出会っただけのおまわり
さんに伝言を頼むくらい。

 彼女のさみしさは、深かったのだろう……と。

 雪崩の、ように。

「……はい」 
「…………本当に、ありがとう……って」 
「確かに……お伝えします」
  
 だから。
 精一杯、笑ってみた。
 泣き顔で送るなんてことは絶対するもんかと思った。
 友達を一人にできなくて、その彼女と一緒に……今こうやって見つかった彼
女を。
 泣いて見送るなんて、できないと思った。

 彼女は笑った。
 ふんわり、と、口元をほころばせて。
 そして…………

 一瞬、まるで蛍のように優しい光が、彼女から溢れた。
 そして……そのまま彼女は消えていった。


 BGMはテレビのニュース。
 同じことを、幾度も幾度も繰り返す単調な声。
 目をまん丸にして縹を見ていた顔も、パフェのクリームを掬って、にこにこ
していた顔も、そしてぽろぽろと涙をこぼしていた顔も。
 そんなものも、画面の向こうの事件にしてしまうような、そんな無機的な声。

 それが、なんだか。
 とても……辛くて辛くて。

「……きゅぅ」
 ばいばい、と、縹は手を振って……そしてぱたぱたと近寄ってきた。
「きゅ」
 心配そうにスカートをひっぱられて、ようやくあたしは、自分が泣いてるこ
とに気がついた。
 彼女が行ってしまったこと。それは本当は、よいことなのかもしれない。
 だけど。
 ……だけど。

              **

 尚吾さんの携帯は留守電状態になっていたから。
「尚吾さん。愛ちゃん、いっちゃいました」
 それだけ入れて、切った。
 お昼のご飯を作る気力が無くなって……でも、ベタ達と縹に食べさせないわ
けにはいかなかったから、そうめんを茹でて、胡瓜とちくわの輪切りと一緒に
食べた。
 朝の残りの鮭の切り身を見たら、何だかまた泣けてきて。

 
 一緒に彼女の家に行ってみればよかった。
 そういえば遅いからって、お風呂入れないで寝ちゃった。
 たった、半日。彼女はもっともっとやりたいことがあったんじゃないか。
 会いたい人、声をかけたい人だっていたんじゃないか。

 ……幽霊と思われても、会いたい人が。

 そんなことを考えてたら、何だかもう、何がどうなのか判らなくなった。
 
 尚吾さんからは、一度だけ連絡があった。
 今日は帰れないから、と。本当に短い一言で。
 帰る前にまた連絡するから、と言われた。
 明日帰れますか、と、聞くこともできなかった。

 その夜は、縹をかかえて寝た。
 泣いていたら、ぽんぽん、と、頭を撫でてくれた。
 こうやってこの子は、もしかしたら昨日、愛ちゃんを慰めてくれたのかな、
と思って……何だかそのことがほっとして、そのくせ止めさせようとしてたの
自分だよな、とか思ったら。
 尚更情けなくて、泣けて困った。

            **

 尚吾さんは、翌日遅くに戻ってきた。
 県警にいつも置いてある、スーツに着替えて、着替えた服を袋に入れて。
「おかえりなさい」
 出来るだけ笑って出迎えた顔は、少し青褪めて見えた。

 あれからテレビでは少しずつ情報が流れた。
 三人の遺体はすぐ近くにあったこと。
 そしてどうやら……ばらばらにされていたらしいこと。

 その遺体を、この人は多分直接見たのだろう。
 そして多分、吐いて吐いて……それでも仕事を続けたのだろう。

「お疲れ様」
「……ただいま」
 ふわり、と、半ば倒れるように、尚吾さんは手を伸ばしてきた。


 出来るだけ胃にもたれないもの、と思って夕ご飯を用意した。とにかく少し
でも食べたほうがいいからって思って。
 でも。
「お疲れさん……」
 一度ぎゅっと抱きしめた後、尚吾さんはそう言って、あたしの頭を撫でた。
「お前さんのおかげで、あの子……救われたよ」 

 笑ってた顔。
 しょんぼりしてた顔。
 さみしそうにつぶやいていた顔。
 びっくりしてた顔。
 
「……そんなん……あたし何もしてないよ」 
 頭を撫でる手が、あんまり優しくて。
「…………お風呂入れたげるの忘れてるし」 
 あたしがあの子にしたことの、何倍も何倍も優しくて。
 せめて……せめて。
「せ、せめて、おうちの近くまで、いってあげたら」 
 泣いたら駄目と思ってた。ほんとに疲れて帰ってきてるんだから、そんな時
に甘えたら駄目だ、と。
 だけど。

「ううん……よくやったよ」 
 ぎゅっと、抱え込むような……手が、本当に暖かくて。
「……ホントに」 

 例えば、あまりに明白なさびしさとか不公平さとか。
 幾らなんでも、どんな理由があっても、高校生でそんな亡くなり方ってあま
りに酷すぎると思ったこと。
 言葉でどういえばいいか判らない……から。
 ただ、わんわんと泣いていたように思う。

「……ありがとうって」 
 うん、と、小さく頷く気配がある。
「尚吾さんにも…………本宮君にも」 
「……そう、か」 
 泣いたら、支えてくれる手がある。
「…………豆柴君に言わないと」 
「……そうだね」 
「……っ」 

 話したら返事があること。
 言葉にしたら伝わること。
 さみしかった、と、何度か呟いた彼女が、多分とっても欲しかっただろうも
の。
 
 あんまりにも普通の子で、そんな決してひどくぐれてるわけでもなくて。
 むしろ友達思いで、一人で彼女を行かせることが出来なくて。
 ……なのに。


「…………ごめんね。尚吾さん疲れてる、のに」
「平気だよ……むしろ、お前に協力してもらったおかげだから」

 莫迦みたいにずっと泣いた。
 ずっとずっと、尚吾さんは抱き締めて背中を撫でていてくれた。
 申し訳ない、疲れてるのに、と思うのに……愛ちゃんのことを思うと、
涙は幾らでも湧き出してくるようだった。
 
 あんまりにも普通の子で、そんな決してひどくぐれてるわけでもなくて。
 むしろ友達思いで、一人で彼女を行かせることが出来なくて。
 ……なのに。

「なんで……なんで」 
 頬をすうっと撫でる手が、何だか遠いもののようで。
 眠くなってるのが判って……駄目だって思った。
「……ありがとう、真帆。辛い思いさせて悪かった」 
「そんなの、平気だからっ」 
 辛い思いをしたのは、この人のほうなのに。
 何も出来なかった自分が、こんなに泣かせてもらっているのに。
「また、手伝うようなことがあったら」 
 言いかけて……詰まる。無いほうがいいに決まってる。のだけど。
「…………もし、だけど、そんなときなら、手伝う、から」 
 とろとろと、眠くなる。
 まだ尚吾さんご飯食べてないのに。疲れてるのに。
「……ありがとう」 
 低い、静かな声。こめかみにそっと触れるような感覚。

 それが結局……この日の最後の記憶だったと思う。

時系列
------
 2007年7月末〜8月初め

解説
----
 そして事件の、06側での収束。
***************************

 てなもんです。
 であであ。 
 
 


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